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ボクと魔王 - (2012/07/29 (日) 23:22:56) のソース

*ボクと魔王
【ぼくとまおう】
|ジャンル|RPG|#amazon(B00005OVF6)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|ツェナワークス|~|
|発売日|2001年3月15日|~|
|定価|5,800円|~|
|廉価版|2002年8月1日発売/3,000円|~|

*概要
-PS2初期に発売されたRPG。
--製作は1995年の「LitleMaster」以来6年ぶりの新作となるZENER WORKS。
--海外では『Okage:Shadow King』というタイトルで発売されている。&br()こちらは主人公のデフォルトネームと表情が微妙に変更されている(「ルカ」から「Ari」に・目つきが変わっている)。

*あらすじ
-何処にでもいる地味で平凡な少年ルカは、ある日ひょんな事から父が何処かで拾ってきた怪しげな壷から復活した魔王スタンに自分の影を乗っ取られてしまう。
-スタンの手下にされてしまったルカは、嫌々ながらもしかたなく彼の力を取り戻す旅に同行させられることになる。
-スタン曰く、今世界には魔王の力を手に入れて魔王の名を語る偽魔王が大量に存在するらしい。そんな彼らを倒して力を奪い返そうというのだ。
-事の重大さを全く理解していない家族たちに見送られ、少年と魔王の奇妙な物語が始まった。

*特徴
-奇妙で独特な世界観
--『[[MOTHER]]』などに見られるような、一見して平和な舞台ととぼけたキャラクター達。
--本来「正義の勇者」と「悪の魔王」とは世界に一人ずつというのがお約束であるが、「勇者大学」を出てしっかり勇者という職業資格を得た勇者達による「勇者協同組合」が存在していたり、あちこちの村や町で突然「魔王」が現れるおかしなもの。
---そんな中主人公は片田舎のただの少年。そこに自称「大魔王」の転生体がいきなり現れ部下(仲間)にされ、更にとある事情でエリート勇者からお笑い勇者に転落してしまった女性が新たな同行者に…という破天荒さ。
---のちに加わるのも人の話を聞かず理論を勝手に展開する変人学者、元魔王の魔族達等まともなメンバーではない。
--人形劇のようなデザインのキャラクター達のかけあいは、時に滑稽で笑え、時にハッとさせられる。
-奥深いストーリー
--ネタバレになるため詳細は省くが、「勇者とは何か」「魔王とは何か」「世界(物語)とは何か」等、実に深い問いかけをしてくる物語である。
--前半はストーリーやキャラクター、世界観共に非常にコミカルに描かれ、軽快な音楽も相まって軽い調子で物語が進んでいくが、物語が進むにつれて陰鬱で暗い展開に変わり始め、クライマックスは非常に重いテーマをもって描かれる。
--それまでのファンタジーRPGから少しずれたような奇妙な世界観と、一見取るに足らない物や人物にさえ周到にしくまれた伏線がプレイした者を魅了し、ヒットこそしなかったものの、未だに世界中で根強いファンを持つ隠れた良作。
--ある種、「ファンタジー」「RPG」のお約束というものを上手く逆手に取り、作中に設定として組み込んだといったところ。
-「萌え」という単語がまだ一般に流行する以前の当時、これでもかと「萌え」という単語が出てくるイベントがある。

*問題点
-PS2初期の作品であるためかシステム面で未完成感が否めない。
--戦闘のテンポはイマイチ、ダンジョンは特定の敵を倒すだけのほぼ作業、シンボルエンカウント方式であるにもかかわらず、避け切れないほど大量のシンボルが発生する、カメラがオブジェクトに引っかかりまくる等の問題点も多い。
---敵が一定時間出なくなるアイテム・魔法等もなく、フィールド移動はほぼ確実に戦闘しなければならない。加えて後ろから触れられると不意打ちで先制攻撃される。
---フィールド内に散在しているあるアイテム(小さなメダルみたいなもの)を集めるというサブイベントが、上記のエンカウントの厳しさにより非常に面倒になってしまっている。クリア必須イベントではないものの、最強武器入手に必要なため、延々とフィールドを歩き回されたプレイヤーも多い。
-シナリオ面でも未完成と思われる点が散見される。特にサーカス団長、幻影魔王あたりのキャラクターはもう少し掘り下げて欲しかった。
-ゲーム中盤でとあるイベントが起こるのだが、ひどい''「孤独」「寂寥感」''に襲われる。条件を満たせばそのイベントが終わりシナリオも進むのだが、とあるフィールドの人物にずっと以前に話を聞いておく位しかヒントもない。そのヒントも特に重要そうに当初感じずすっかり忘れる人も多い。おかげで第一のゲーム投げ多発ポイントとされた。
-最終ダンジョンの難解過ぎる迷路ぶり。前述のエンカウントも原因で細い路地を敵から逃げ回るのは更に苦痛。ネット普及も間もない時代ということもあり攻略情報も(ゲームの知名度もあり)発売当時は少ない状態であり、第二のゲーム投げポイント。
-「相性イベント」と呼ばれる所謂恋愛イベント的なものがあるのだが、キャラ数が少し少なめな上におかしな人選。「メインヒロインの王女マルレイン」「仲間の女勇者ロザリー」「大魔王スタン」等はパーティーメンバーということもありまだ分かるが、「かつて主人公が地味な感じ(好み)じゃなくなったからと振った村の幼馴染ジュリア」「主人公の父」「道端でおかしな言動をとる謎の女」等後半は良く分からない。「他のパーティメンバーとの相性イベントも欲しかった」という声は少なからず存在する。

*総評
-PS2初期作品としては間違いなく意欲作。シナリオはとてつもなく深い。キャラクター達の魅力も高い。
--言ってしまえばキャラゲーだがそれで短所を大まか返上している。ファンも根強く創作活動等を続けていたりする。
-ゲームシステムはやはり作り込みが甘いの一言。
-「PSP辺りで今リメイクすれば売れるんじゃないか」とファンは良く言う。
-「一部回収できていない世界の謎や伏線を何か続編で」希望するファンも多いが、シナリオのメインライターが亡くなってしまった為残念ながら…。
-余談であるが、サウンドトラックCD、一部キャラクターのスタンドフィギュア等も発売されている(後者は現在販売停止)。曲の評価は高い。