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エメラルドドラゴン - (2011/07/02 (土) 22:06:06) のソース

*エメラルドドラゴン
【えめらるどどらごん】
|ジャンル|RPG|&amazon(B0000ZPLVI)|
|対応機種|PC-8801mkIISR以降|~|
|発売元|バショウハウス|~|
|開発元|グローディア|~|
|発売日|1989年11月|~|
|定価|8,800円|~|
&bold(){写真はPCエンジン版}
//PC-Engineは88VA
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**概要
ストーリー性、キャラクター性の色濃いRPG。PC88SRシリーズのゲームとして発売された。
今となってはストーリー性やキャラクター性が強いRPGは珍しくも無いが、発売当時は本作ほど強く出してるものはあまりなかった。またアニメ的要素も強い。キャラデザイン、演出にはそれが垣間見える。戦闘システムが独特なのも本作の特徴。
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**特徴
-映えるキャラクター達と、二転三転するストーリー。
--中心メンバーは、少年漫画やアニメのようにメリハリの立ったキャラクター達。そしていぶし銀的おっさんも以外に多い。それらが世界観が複雑にからみあい、敵味方、仲間間でドラマを織り成している。
--アニメ調のキャラデザインや多彩な演出、ストーリーなどによりキャラクター性を強く出している。特に会話シーンの多さが際立っている。それを象徴するのが相談コマンド。一応ヒントコマンドに当たるが、これはヒントというよりキャラ同士の雑談に近い。内容も頻繁に変わるので、キャラクター性を深くするのに一役買っている。
--会話の時に顔をアップにしている。今では当たり前だが、RPGでこの演出方法は当時としてはあまりなかった。
--デモにアニメを多用。これもRPGでは他には見られなかった。ただし動画ではなく、CGをアニメのように見せているだけ。サイズも小さかった。
--ストーリーは複雑に変化し意外な展開を見せる。というのも本作には全世界マップが存在しない。そのため残りの未踏破地域から、どの程度話が進んだか予想する事ができないからだ。そろそろ終わるかと思わせて、実は…という話の進め方ができるのである。
--OPはプロローグをうまくまとめ、そのOPテーマと合わせて、印象深く評価が高い。

-戦闘はシステムは独特のもの。
--システムはタクティクスタイプ。敵との遭遇はボスなどを除いて、エンカウント制。
--戦闘になると、ある程度の広さに味方、敵キャラを配置したものをトップビューで見るスタイル。味方の配置は、プレイヤーが設定したフォーメーションを取る事になる。
--攻撃はキャラを実際に操作しておこなう。例えば打撃なら、敵キャラまで近づいて攻撃する事になる。
--行動はターン性。順番が回ってきたキャラクターには、行動ポイントが与えられる。そのポイント内で、移動、攻撃、魔法を行う。
--他のゲームにまず見ないシステムが、なんと動かせるのは主人公のみという点。他のパーティのメンバーはAIで勝手に動く。プレイヤーが他のキャラにできる事は、目標を指示する事と、アイテムを使う事くらい。~
だがAIにまかせっきりという訳にもいかない。パーティの中で一人でもHPが0になるとゲームオーバーなので、不用意な行動は避けねばならないからだ。手段は少ないながらも、他のメンバーに働きかける事は必要。
--各キャラクターのレベルアップも独特。なんと主人公とヒロインの二人しかレベルアップしない。他のキャラはパラメーターが固定されている。そのため強化は、装備交換だけでなんとかするしかない。~
これでは先に進む内、行き詰るように思えるが、そうはならない。敵が強くなり、主人公とヒロイン以外のキャラが厳しくなってくる辺りで、話の展開によってパーティーから抜けていくのだ。そして新たなより強いキャラが加わるという形になる。また抜けたキャラの中には、再びパーティに加わるキャラもいる。そしてその時には、格段にパラメーターが上昇した状態で加わる。これらは本作のストーリー性の強さを象徴している。
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**難点
-ストーリー性重視のため、攻略に自由度はない。せいぜいいくつかあるサブシナリオを、やるかどうかくらい。
-MAP上での移動速度が遅い。他のRPGと比べても最低クラスの移動速度。
-数は少ないがダンジョンに複雑なものがある。文字通り迷路のようなダンジョンがあり、足の遅さと合わせ、結構苦労させられる。
-AIが攻撃寄りに作られており、あまり賢くない。そのため回復魔法をかけて欲しいような状況でも、攻撃ばかりしてメンバーを見殺しにしてしまったり、むやみに突撃して死んでしまうなどが起こる。一人でもHP0になるとゲームオーバーなので、敵によってはイマイチなAIキャラをどう誘導するかに頭を悩ませる事に。
--特にヒロインであるタムリンは、最強攻撃魔法であるレイヴァースを習得すると、これを狂ったように連発するようになる。おかげで回復魔法をまずしてくれない。レイヴァースはそのグラフィックから「タムリンレーザー」と呼ばれ(主にプレイヤーを)恐怖に陥れた。
---PCE以降の移植版ではAI改善が図られて、ちゃんと回復してくれるようにはなった。
-主役、ヒロイン以外が厳しくなると、ストーリー上から入れ替えが発生するのは特徴で説明した通り。しかしストーリー展開によってはそれがやや遅く、苦しい戦闘が続く場合もある。
-上記の理由から、RPGとしては難易度がやや高め。
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**ストーリー
太古の伝説の土地、イシュ・バーン。そこにはドラゴンと人間が平和に共存していた。外敵も入ってこないこの土地は、正に理想郷であった。~
しかしある時、イシュ・バーン全土に強力な呪いがかけられる。その呪いは、何故かドラゴンにしか効かないものだった。やがてドラゴン達は抵抗空しく、次々と倒れていく。そして残されたわずかなドラゴンは、この地から去っていった。~

それから2000年。ドラゴン達はドラゴン小国という土地で暮らしていた。そんなある日、一隻の難破船が流れ着く。ドラゴン達はその中から、唯一生き残っていた幼い女の子を助け出す。だがその女の子は、名前はもちろん、全ての記憶を失っていた。やがて長老である白龍にタムリンと名づけられた彼女は、年の近かった若いブルードラゴンのアトルシャンと共に暮す事になる。~
ドラゴン小国のでの平和な日々は続き、12年の年月が過ぎた。その日、年頃の美しい少女となったタムリンは、胸に決意を秘めていた。人間達の世界、イシュ・バーンに行くと。白龍から、人間ならばやはり人間と共に暮す方がいいと勧められていたのだ。~
それをアトルシャンに打ち明ける。彼は最初こそ反対するが、決意が固いの見ると、自らの角を折る。そしてそれで角笛を作って持っていくように言う。その笛の音がした時には、必ず彼女の元へ駆けつけると伝え。~

それから3年後。イシュ・バーンは混乱の極みにあった。15年前、突如魔軍が現れ、人間に攻撃を開始したのだ。イシュ・バーンを治めていたエルバート王国は、対抗するため軍を差し向ける。しばらくは甲乙つけがたい持久戦が続いていた。~
だが魔将軍オストラコンの出現により、状況は一変する。エルバート軍は劣勢に立たされ、今となっては王城を残すのみとなっていた。~
そんな状況を見かねたタムリンは、魔軍と戦う事を決意する。そして思い出の角笛を吹くのだった。
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**総評
まさにストーリー重視の一本道RPG。レベルアップするのが、主人公とヒロインだけという点もあり、ストーリーを強調するためのRPG部分とすら言える。~
キャラ、ストーリー重視でアニメ要素が強い話が見たいプレイヤーからすれば、十分楽しめる作品だろう。一方で一部の複雑なダンジョンや、AIの貧弱さなどのバランス的に問題もあるのは残念な所。ただこれらは、ゲームに大きな支障のでるほどのものではない。~
今ではストーリー重視のRPGは数多くでてるが、その黎明期的作品とも言える。
-本作は様々な機種に移植されてた。移植されたのはPC-9801VM/UM以降、X68000、MSX2、FM TOWNS、PCエンジン(日本電気ホームエレクトロニクス)、スーパーファミコン(メディアワークス)。この中で傑作と評されているのがPCE版である。詳細は後述する。~
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**PCE版
|ジャンル|RPG|&amazon(B0000ZPLVI)|
|対応機種|PCエンジンCD-ROM2|~|
|発売元|NECホームエレクトロニクス|~|
|移植元|アルファ・システム|~|
|発売日|1994年1月28日|~|
|定価|9,800円|~|
**特徴と違い
PCEの移植版では、いくつもの傑作を産み出してきた岩崎啓眞氏と桝田省治氏が制作に関わっており、足の遅さや複雑なダンジョン、貧弱なAIが解消されている。また木村明広氏の手によるハイクオリティなビジュアルシーン、会話シーンの増加、さらにデモシーンは増加の上、全画面表示でボイス付き。またサブシナリオも増加している。とまあ、かなりのボリュームアップである。一方で、ゲームとしての難易度は下がり遊びやすくなっている。あえて難点を言うなら、評価の高かったOPに手を加えたせいで、逆に評価を落としたくらいだろうか。
-PCEには「メモリーベース128」(以下128。光栄から同等製品の「セーブくん」も発売された)という大容量記憶媒体があったが、対応ソフトでしか利用できなかった。エメラルドドラゴンには本体内のセーブデータを128に移動するユーティリティが内蔵されており、PCEユーザーに歓迎された。
-本作品はスーパーCD-ROM2専用ソフトであるが、実はアーケードカードにも対応している。ロード回数を大幅に減らすことが出来る優れた仕様だったのだ。
ちなみにファミ通のクロスレビューの点数は6565である。完全に気が狂ってるとしか言いようがない。