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スーパーロボット大戦α外伝 - (2012/10/26 (金) 05:14:59) のソース

*スーパーロボット大戦α外伝
【すーぱーろぼっとたいせんあるふぁがいでん】
|ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00005OVX8)|&amazon(B00005OVXV)限定版|
|対応機種|プレイステーション|~|~|
|発売元|バンプレスト |~|~|
|開発元|バンプレソフト|~|~|
|発売日|2001年3月29日|~|~|
|定価|通常版:6,980円 / 限定版:9,800円|~|~|
|備考|>|>|PS one Books:2002年12月5日/2,800円&br()PREMIUM EDITION(初代・第2次とのセット):2005年5月28日/9,240円&br()ゲームアーカイブス:2011年12月21日/1,500円|
|>|>|>|CENTER:''[[スーパーロボット大戦シリーズ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/287.html]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
『[[スーパーロボット大戦α]]』に続く、通称「αシリーズ」の2作目。前作『α』の好評を受け、急遽開発される事となったPS最後のスパロボ。&br()
『α』のシステムを引き継ぎつつ、数々の新システムや意欲的な試みを導入。『α』と共に現在まで続くスパロボの基礎を築いた。&br()
『戦闘メカ ザブングル』『機動新世紀ガンダムX』『∀(ターンエー)ガンダム』『銀河旋風ブライガー』の4作品がシリーズ初参戦。

#region(参戦作品一覧(バンプレストオリジナルは除く))
|BGCOLOR(#eeeeee):COLOR(blue){''参戦済み''}|超獣機神ダンクーガ|
|~|機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY|
|~|機動戦士Zガンダム|
|~|Z-MSV(機体のみ)|
|~|M-MSV(機体のみ)|
|~|機動戦士ガンダムZZ|
|~|機動戦士ガンダム 逆襲のシャア|
|~|CCA-MSV(機体のみ)|
|~|機動戦士Vガンダム|
|~|新機動戦記ガンダムW Endless Waltz|
|~|無敵鋼人ダイターン3|
|~|マジンガーZ|
|~|グレートマジンガー|
|~|劇場版マジンガーシリーズ(機体のみ)|
|~|ゲッターロボ|
|~|ゲッターロボG|
|~|真・ゲッターロボ(原作漫画版)|
|~|超電磁ロボ コン・バトラーV|
|~|超電磁マシーン ボルテスV|
|~|勇者ライディーン|
|~|超時空要塞マクロス|
|~|超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか|
|~|マクロスプラス|
|~|超機大戦SRX|
|~|魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL|
|BGCOLOR(#eeeeee):COLOR(red){''初参戦''}|銀河旋風ブライガー|
|~|戦闘メカ ザブングル|
|~|機動新世紀ガンダムX|
|~|∀ガンダム|
|~|機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン(機体のみ)|
#endregion

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**特徴・評価点
***システム
前作をベースに追加、改良が施されている。
-COMPACT2で実装された援護攻撃・援護防御を据え置きスパロボで初採用。より戦略性が増すこととなった。
--対応する技能を持ったユニットと隣接した状態で戦闘をすると、支援を受けられるシステム。攻略上非常に重要だが、これらの技能はいわゆる脇役パイロットの方が覚えやすいため、運用の幅が広がった。
---ただし援護攻撃に使う武器は自動で決まってしまうため、雑魚相手に必殺武器をぶっ放してしまいプレイヤーを悩ませる事も。
---この問題点は以後のシリーズで解決されていくことになる。

-特殊能力「指揮」が新登場
--「指揮」を持っているユニットの周辺では命中率・回避率が上昇。上記の援護システムと合わせ、SRPGらしい陣形を組む面白さを強調している。一方で、援護防御や指揮官技能の存在は難易度の上昇にも一役買っている。その代わり、前作に比べて削除された特殊能力も少なくない。

-パイロット能力値「反応」と、特定のレベルに達する事で全パイロットが自動習得する「二回行動」の廃止。
--それに代わり、新たなパイロット能力値「防御」を導入。

-パイロット毎に上昇する能力値が異なる新システム「成長タイプ」が追加された。
--「格闘系・万能」「射撃系・回避」など、数種類のタイプのいずれかに分類され、タイプによって上昇する能力値が異なる上に「レベルいくつになったら急成長する」という設定もなされている。この新システムと、前作『α』から受け継いだ「技能ポイント」システムが相まって、パイロットごとに異なる個性ある成長を見せることになった。
---初導入であったためかキャラ間の格差が激しく、バランスの粗さが目立った(後述)。

-改造の仕様が大幅に変更され、機体改造は上昇値が一律でなくなり基の値の○%となった。また、武器の改造はこれまでの個別方式から一括改造方式に変更された。
--固定値でなくなったことで長所を伸ばす機体改造がよりしやすくなった。
--これまでは複数の武器を持っていても特定の武器しか使わないのが普通だったが、様々な武器を使い分ける楽しみが増えた。
-- 量産型など低性能な機体ほど、武器や機体改造の費用対効果が高い傾向にある。そういった機体はパーツスロットも多いため、主人公機を超える強力機体に化けることも。
---ただしこの仕様変更には不満もあった(後述)。

-前作では隠し扱いで変動条件も不明瞭だった熟練度システムは大幅に改善された。
--選択肢による変動は廃止され、各ステージ毎に決められた条件を満たすことでのみ上がる仕様に変更。自分が獲得した熟練度もメニューに表示されるようになった。
---獲得熟練度によって、難易度が「易」「普」「難」の3つに自動的に変化。
---前作で明示されなかった熟練度によるステージ変化(敵の数やステータス値、撤退条件、クリア後のボーナス、入手できる機体、最終ステージへと至る最後のルート分岐の条件など)が視認できる難易度をもとに決められるため、確認しやすくなった。

-新システム「バザー」と、そこで用いる通貨「ブルーストーン」の採用
--ブルーストーンは『戦闘メカ ザブングル』劇中に登場する鉱石で、一種の通貨として用いられている。~
本作でも舞台が惑星ゾラに移行してからは、敵の撃破時やマップ上のコンテナなどからブルーストーンを得られる。そしてインターミッションの「バザー」コマンドから、強化パーツや機体を売買できるのだ。
--売買できる機体は『ザブングル』のウォーカーマシンと、一部のモビルスーツ、モビルアーマー。いずれも弱小~中堅クラスの性能だが、機体改造によっては一線級に化ける機体も。
--さらに機体を高度に改造してから売却すると、隠し強化パーツがもらえることもある。
--ただし強化パーツの売買が、ある悪質なバグの引き金となる場合もあった。詳しくは後述。

-最近のスパロボでは定番である「クリアしたデータの引き継ぎ」を、不完全ながら初めて採用。
--正確にはクリアデータの引継ぎではなく、周回プレイの開始時に、前の周のクリア難易度に応じた一定額のボーナス資金がもらえるというもの。回プレイのモチベーションを高める効果があった。

***ゲームバランス
かなり易しい難易度だった前作に対し、難易度調整が行われシミュレーションゲームとしてのやり応えは増している。なお、「易」ルートであればそこまで深く考え込まずともクリアは可能。一方「難」ルートは旧シリーズ並みの難易度を誇り、幅広いプレイヤーに対応できるようになった。

-ダメージ計算式が変化し、敵味方共に与えられるダメージが大きく減少した。前作は、終盤では5万6万という数値のダメージが飛び交っていたが、本作ではダメージを2倍にする『熱血』を用いても10000を超えるのがいいところ。
--そのため上記の援護システムを活用する必要があり、戦略性が増している。
--全体的なダメージ減少傾向のため、従来はあまり硬いという印象がなかった超電磁系やゲッター系などのユニットもザコの攻撃にはかなり耐えてくれる。ただしそれでもボス級の攻撃は激しく、食らうとかなりの大ダメージに。

-精神コマンドについても、前作よりも弱めに設定されている。
--前作の非常に強力な精神コマンドは軒並み廃止、弱体化され習得者も限られるようになった。
---具体的に魂(攻撃力3倍→2.5倍 習得者は主役級のみ)、戦慄(敵全員の気力10ダウン→5ダウン 習得者は1人のみ)が代表的。
--逆に使いやすい方に修正されたものもあり、精神コマンド間の使い勝手の差は無くす方向の調整がされている。
--全体的に味方のSPが低めになっており、精神コマンドの使いどころを選ばなくてはいけなくなった。

-敵CPUの思考力向上。フロスト兄弟等名有りパイロットの多くは、こちらの攻撃によって回避や防御を選択するようになった。
--援護防御とともに敵の選択肢を増加させ、戦略性が向上した反面、ゲームテンポを悪くする原因にもなった。

-敵ボス格が一定ダメージ毎に精神コマンドを発動する。
--「ド根性(HP全回復)」はもちろん「熱血」「必中」「閃き」「鉄壁」などプレイヤー並みにガンガン使ってくる。しかもボスによっては何度も発動する。
---前作でも一応使っていたが、HP回復だけで超ダメージにより使わせる前に撃墜という荒技も可能だった。
--しかし今作は前述のダメージ減少により精神コマンドの使用を回避しづらい。
--特に「必中」「鉄壁」など1ターン持続するコマンドを使われた場合はそのターンでの撃墜はかなり難しく、ターン経過により効果の解除を待たなければならない。ボスユニットは大抵HP回復を備えているため精神コマンド+回復能力でこれまで与えたダメージが大幅に消えてしまう。
---また精神を使われるのに誰に仕掛けさせるか、それを解除するのは誰か・・・など色々考えを巡らせないと逆に自軍に大量の被害が出ることも。
--これにより「ラスボス1ターン撃破」という威厳を消すような行いがかなり難しくなった。
--おそらく前作が易しすぎたとの声を受けての調整だったと思われるが、明示されないため戦略性に乏しく、今度は逆に「難しすぎる、ウザすぎる」という声が上がってしまった。
--次回作以降はボスの精神コマンドはほとんどなくなり、代わりに「非常に高いHPをひたすら削る」という形になった。どちらが面白いかは感性によるところであろう。

***戦闘アニメ
-グラフィックの質は前作からの大きな進歩はないが、戦闘アニメは大幅にパワーアップしている。
--本作から新規登場したユニットの中でも、コミカルな動きを見せる『ザブングル』のウォーカーマシンや、細かい演出の光る『∀ガンダム』に登場するMS、『魔装機神』などオリジナル機体の派手な演出は特筆すべきもので、これらのユニットは攻撃を外した際に特殊な動きをするなど芸も細かい。
---特に人気が高いのは、後述するオリジナル機のスレードゲルミル、本作唯一の二段カットイン付き&s(){でロリコン垂涎モノ}のディアブロ、入手が難しい隠しユニットのHi-νガンダムなど。
---また、美少女型ロボットであるヴァルシオーネRはPSとは思えないほどヌルヌル動く。これはヴァルシオーネ好きのスタッフによる暴走だったらしく、それに引きずられて全体的に戦闘アニメがパワーアップしたらしい。
--既存ユニットでも『マクロスプラス』のYF-19・YF-21、マジンカイザーや真・ゲッターロボなどは使い回しが見られないほど別物に作り直されている。
--ハードの性能を限界まで引き出しているためか、場合によっては処理落ちを起こしてしまうのが難点。
--また、ハードの型番によっては一部戦闘アニメの音声の末尾が途切れてしまう場合がある。
--他に前作から大きく変わった点として、スーパー系敵メカを中心にある程度の敵ユニットの戦闘アニメーションがよく動くようになった。特に顕著なのがゲッターロボのメカザウルスで、今作で所属勢力である恐竜帝国が初めて参戦したためか非常に気合いが入っている。ノッシノッシと歩く様などは大きな進歩と呼べる。
--戦闘アニメ開始時に、ユニットが枠外から登場するようになった。
--この要素がおおむね好評であったことと、ハードが進化していったこともあり、演出重視の姿勢は後のシリーズでも続けられていくことになった。

***ストーリー
-序盤では『α』直後の地球圏での権力争いが行われるが、その後、舞台は『ザブングル』『ガンダムX』『∀ガンダム』などの新規参戦作品の世界観を主軸にした荒廃した地球・惑星ゾラ(ザブングルの舞台)へと移動する。
--スパロボ全体から見ても本作は宇宙に行く場面が非常に少なく、それまでにはなかった大胆なクロスオーバーと外宇宙を見据えたスケールの大きい展開が特徴のαとは対極的。しかし物語が進むにつれ前作との関係が明らかになっていく構造や仲間同士のやり取りに重点をおくなど、より緻密な展開になっている。

-リアル系が「X」「∀」らの原作再現を主としたストーリーなのに対し、スーパー系はゲッター・マジンガーを中心にチーム同士やロボットとの絆を描いた独自の展開を見せるシナリオが主体。中でも甲児、鉄也、ゲッターチームら常連でありながらもシナリオ的には目立つ事の少なかったスーパー系にスポットが当てられることで、本作は良い意味で暑苦しく泥臭い「スーパーロボット」大戦の名に相応しい出来となっている。
--特に旧シリーズでは「甲児のためにグレートを持ってきた」と言われるほど冷遇されてきた剣鉄也が、本作ではストーリーの要所で主役的な活躍を見せ、ファンを増やした。同じく過去のシリーズでは単純な上位機体としての域を出なかった真・ゲッターロボやマジンカイザーも、本作ではドラマ的にも重要な意味合いを持つ機体として登場する。

-また、本作を語るのに欠かせないのが敵として登場するオリジナルキャラであるゼンガー・ゾンボルト。
--搭乗機体のスレードゲルミルと共に圧倒的なインパクトを誇り、プレイヤーに強烈な印象を与えた。また、その単純明快な造形から多くのファンを獲得し、『第2次α』では何と主人公の一人に抜擢された。

-人気の高い魔装機神シリーズから多数の機体が参戦。その数敵味方合わせて10体以上とファンを喜ばせた。
--ジャオーム、ディアブロ、ノルス・レイが久しぶりの登場。戦闘グラフィックも気合が入っており(一部入りすぎとも言えるが)評価が高い。

-最初期から長きにわたって参戦しているゲッターロボ(TV版)のまともな原作再現が初めて行われた。
--敵勢力の恐竜帝国が初めてシリーズに登場し、それまで弱小ユニットでしか無かったメカザウルスも全体的に強まった。敵キャラクターのイベントも見逃せなくなっている。

***BGM
-スーパーロボット大戦シリーズとしては初めて、タイトル画面とスタッフロールで流れる歌詞付きの主題歌としてOP、EDテーマが採用された。
--歌手はこの先もスパロボと大きな関わりを持つことになるJAM Project。本作品のOP曲「鋼の救世主」は、今なお人気が高い。
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**賛否両論点
***技能ポイントの仕様変更
-技量・SPを除く全能力が成長可能になったが、各能力の上昇限界が+50までになった。
--前作はパイロット成長における技能ポイントが大きく、常に一軍で戦い続けてきたパイロットとベンチウォーマーでは、技能ポイントが原因で能力差が生じたが、本作ではそれほど極端ではなくなった。
---もっとも、前作においても、単騎無双でもしない限り寄与する値はトップエースで10%程度と圧倒的な値ではなかった。(もちろん大きなファクターではあるが)
--防御・回避の技能ポイント獲得が厳しい。多量に獲得するには致死量の大ダメージを受ける・敵の攻撃を90%以上の命中率で回避する等の条件を満たす必要があり、意図的に成長させる事が困難。
-以後のスパロボでは技能ポイントは廃止され、PPもしくはBPというポイントを任意に振り分けて成長させるシステムが採用されている。どうやらあまり良いシステムではないと判断されたようだ。

***主人公の不在
-第4次以降定番となっていたオリジナル主人公の登場だが、本作はそれがない久しぶりのスパロボである。
--プレイヤーの分身として、版権作品のキャラクターとして肩を並べる主人公に愛着を持っていた層からは、本作の大きな欠点としてこの点がよく挙げられる。
--一方、前作では主人公がシナリオ上重要なキーパーソンであり、目立ちすぎと批判されたこともあってその反動であるとも言える。
---実際、インタビュー等で寺田Pがそういうニュアンスの発言をしている。

***最終分岐の条件
-従来のスパロボでは、エンディングへと至る最終分岐は累計総ターン数による場合が多かったが、前作からは熟練度(難易度)によって分岐する。
--総ターン数を気にかける必要がなくなり「早解き」の必然性が低下。どれだけターンを費やしても一向に構わなくなった。
---早解き一辺倒の攻略ではなく、状況に応じた多様な戦略が取れるようになっている。
--ただしマップによって、早解きが作戦目的や熟練度獲得条件となっている場合はある。

***運動性の仕様変更
-ユニットの能力値「運動性」が、敵の攻撃を回避する時だけ影響し、自分の攻撃の命中率には影響しないようになった。
--これにより、避ける能力の低いスーパー系ユニットも、精神コマンドに頼らずに普通に攻撃を当てられるようになった。これは良い変更点といえる。
--しかし、この仕様変更は別の問題も生んだ。運動性の強化で命中率を能動的に補強することができなくなったため、終盤の一部の高能力ボス敵に(スーパー系に限らずすべての自軍ユニットが)攻撃を当てる事が難しくなってしまった。
--精神コマンド「必中」があるのならそれを使えばいいのだが、割を食ったのは「必中」を持たないリアル系パイロットたち。「集中」では命中率上昇が追いつかず、強敵ボスたちに手を出すことすらできないという状況が、しばしば生じた。
--具体的には、ステータス値が高い上に特殊能力「カテゴリーF」を備え、さらに頻繁に防御・回避を行うフロスト兄弟が代表格。また難ルート最終面のラスボスも該当する。
-スーパー系でも精神コマンド無しで戦えるようにという配慮が、逆に精神コマンドに頼らざるを得ない状況を生んだのは皮肉である。後の続編では、このような極端なケースはあまり起こっていない。
--この後は「精神コマンドに頼らない」から「精神コマンドを戦略に組み込む」という方針に変わり、精神コマンドの更なる整備や、精神コマンド無しでは達成不可能なミッションなどが用意されることとなる。

***スーパー系、多人数乗り優遇のユニットバランス
-味方の最大SPが低下し、好きなだけ精神コマンドを使いまくれるゲームバランスでは無くなったため、複数人数分の精神コマンドを駆使できる多人数乗りスーパー系ユニットが強力かつ有用となっている。
--反面、ほとんどが一人乗りのリアル系ユニットは全体的に精彩を欠く印象。特にνガンダムやウイングガンダムゼロカスタムなどは前作に比べて大幅に弱体化しており、((特にνガンダムはひどく機体性能控えめ、メイン武器の地形適応は低い上に距離補正もかからない、武器改造費は高めとあまりにも使い辛い。ただし、ルートで手に入る換装装備で化ける。))ファンを落胆させた。せっかく久々に登場した魔装機神系ユニットたちも、戦力としては今ひとつ。
-本作では地上での戦闘がかなり多く、最強武器の地形対応が全体的に悪いガンダム系にとって大きな逆風となっている。((ファンネルの地上使用は設定上難があるとの意見は前から出ていた。))
--防塵装置が追加されたことで地上適応は前作より容易になった。ただし強化パーツスロットを要求するためスロットの多い機体がより優遇される結果になっている。
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**問題点
***バグ
本作はバグが非常に多く、突貫工事的な制作を思わされるものがある。
-各強化パーツの所時数が一種類あたり9個に達すると、高確率で何らかのバグが発生する。バグについては様々な報告がなされており、最悪の場合、&bold(){ゲームが続行不可能になるケース}まである。~
何より厄介なのは&bold(){『バグの原因発生(所持パーツが9個になる)と、バグの表面化との間に、何マップ分にも及ぶタイムラグがある』}事。もう絶対にクリアできない状態になったセーブデータで長期間のプレイができてしまうので、気づいたときには時すでに遅し、という最悪のケースが生じることも珍しくない。
--さらに輪をかけて厄介なのが、先述の「バザー」で強化パーツを増やせるという点である。「ブースター」(移動力+1)などの安価かつ有用なパーツをバザーで買いまくった挙句、不可避なフリーズにハマってしまったプレイヤーも多い。
--とは言え知っていれば回避は可能である。ステージ中で不意に入手することも踏まえて、各強化パーツの所持数は多くても7~8個で止めておくこと。バザーで売却することで、パーツを簡単に減らすことができる。

-ゲームを進めると自軍のユニットリストに敵の戦艦である「グレタ・ガリー」が追加される。しかし''使用は不可能のまま最後まで居座り続ける''。改造も可能だが資金を損するばかり。
--この2つの戦艦は色違いの同型機である。原作ではアイアン・ギアーが大破した際、グレタ・ガリーを乗っ取って2代目アイアン・ギアーに仕立てたという設定がある。しかし、データ管理上わざわざグレタ・ガリーを入れる必要はなく、なぜこのようなバグが発生したのか謎。100%発生するバグでありデバッグの不十分さが伺える。

-29話でミリアを変形機能のない機体に乗せていると、強制出撃時に必ずフリーズする。デフォルトの専用バルキリーなどに乗せていれば大丈夫((何の機体にも乗せていないと、勝手にアーマードバルキリーに乗ってきて勝手にフリーズを起こすことも。))。

-35話で敵の増援を出現させすぎたり、敵を全滅させるとフリーズする。獲得資金が多い敵ばかりなので、できる限り倒しておきたいと考えるプレイヤーの多くが引っ掛かった。

-機体、パイロットの地形適応が反映されてない。反映されるのは武器の地形適性だけ。
--もしもこのバグがなかった場合に、前作までと同様に活躍の機会を奪われていたであろう、「地形適性の空と陸がいずれもBであるパイロット」が使用できた、ということでもある。

-成長タイプが「万能型・晩成」であるパイロットは、あるレベルを越えると成長率が大きく向上するのだが、そのレベルがあまりに高すぎて((一説によると100以上。))普通のプレイでは到達前にゲームをクリアしてしまう。そのため単に能力値が低いだけのパイロットとなっており、バグあるいは設定ミスではないかと言われている。
--『∀ガンダム』の主人公ロラン、前作で大活躍したオリジナルキャラのリュウセイ、『魔装機神』のプレシアなど、注目度が高いキャラがこれに属していたため、多くのプレイヤーを嘆かせた。

本作の製作期間は比較的短く、前作『α』からのシステム流用箇所が多いために、このような多数のバグを抱えることになってしまったと思われる((PS one Books版やPREMIUM EDITIONでは、上記のバグの大半が修正されている。))。

***システム
-コンティニュー時の読み込み時間が長い。MAP上の簡易戦闘や精神コマンド使用時のエフェクトも『α』より長くなりテンポが悪く、イライラさせられるプレイヤーもいた。爽快感やシステムの快適さの面では、最近の作品や、前作『α』にも劣っていた。

-本作からの新たな仕様に粗が見られる。これらの問題点は次回作以降で徐々に改善されていく。

-改造関連。
--改造による機体性能の上昇が倍率をかける仕様になったことにより、元の能力値が極端に低い機体は改造を施しても殆ど成長しない((HP2000のユニットならばフル改造しても3000にしかならない。強化パーツ一個分である。))。
---弱い機体ほど強化パーツの余裕が多いため、パーツで補えるため、そちらに任せるという手もある。
--全武器一括改造になった事とあわせて、武器改造の費用対効果が前作よりも圧倒的に低くなった。このため爽快感がない、前作のような個別方式の方が良いという否定的な意見も出た。
--元が弱い機体ほど武器の改造効率がよくなるのはいいが、主役機をはるかに上回る高性能機になる。&br;特にMAP兵器を持っていること以外は、ガンブラスター、トーラスの性能はすさまじく、安く改造でき、攻撃力も継戦能力も高く、パーツスロット4つ、飛行可能と改造が前提とはいえ隙が無い。&br;性質の悪いことに、この現象は改善されるばかりか据え置きでの次作『IMPACT』では更に顕著になっている。

-ダメージ計算式に組み込まれた「距離補正」の存在。
--「武器の最大射程と攻撃距離の差が大きいほどダメージが高くなる」ため、多少攻撃力が低くても射程が長い武器を接近して使ったほうが強いという、やや直感に反するおかしな結果になる。後の作品では廃止されている。
--例えば、本作では射程1のビームサーベルで斬りつけるよりも、最大射程4のビームライフルを隣接して撃ったほうが有効というケースが頻出する。最大射程が8以上の武器を隣接状態で撃つと20%以上の高い補正がかかる。
--この「距離補正」は敵に対しても機能する。一例としてラスボスの最強武器の射程は12という破格の数値を誇る為、並のユニットでは到底耐えられない火力を持つ。
--ただしファンネル類にはこの距離補正がかからない。

***ストーリー
-外伝という作品の性質上、前作をやっていないと理解困難な展開がある。~
特に、本作のストーリーの大前提となっている「イージス計画」が前作のクライマックスに由来する物なので、これを理解できないと導入部からいきなり躓くことになる。一応、オープニングの字幕や序盤のキャラの会話で説明はされるのだが。

-先述のように、本作の舞台「惑星ゾラ」は『ザブングル』『∀ガンダム』『ガンダムX』の世界観がミックスされた世界であり、ストーリーの大筋もこの3作品がメイン。そこにマジンガー系、ゲッター系、ブライガーのストーリーが要所で絡むことになる。~
反面、それ以外の作品は原作の名場面などもほとんど再現されておらず、いるだけ参戦の様相が強い。
--この仕様はこの後も解消されず、シリーズ作品の多くで問題点とされている。

-本作のEDは難易度によって変化するが、真のEDを見るためには「難」ルートをクリアしなくてはならない。前述通り、本作では難易度がαと比べて大きく向上している為、αの続編として買ったプレイヤーを難易度の乖離に苦しませることになった。

-前作で散々思わせぶりな言動をとり、ストーリー上の重要要素と思われた『ジャイアント・ロボ』関係のキャラや設定がすべて未登場。同じく最大の脅威と描かれていた宇宙怪獣やゼ・バルマリィ関係もノータッチ。
--後者は『第2次α』以降で解決されるのだが、前者は結局そのまま何のフォローもされずフェードアウトしてしまった。

-『魔装機神』も本作を最後に退場。その後の展開にもやもや感が残った。
--なお、(OGを除く)据え置き機ではマサキ・リューネ・シュウ以外のメンバーは本作を最後に登場していない。
---この背景には版権の問題が存在していた。この後も形を変えながらも同様の問題が起こっており、さまざまな権利関係が交錯するこのシリーズ特有の問題点といえる。

**図鑑登録の不便さ
本作では前作αと異なり、ユニットが図鑑登録されるためにはそのユニットが実際にMAPに出なければならない。入手しただけではダメ。~
そのため、バザーで売ってる弱小ユニットなども「登録の為に出撃」→「クイックセーブして登録」→「再度インターミッションにて準備」としなければならない。

-リュウセイの乗るバンプレストオリジナル量産機の三種類は、スポット参戦や敵として登場したものが戦闘MAPにいても登録されず、開始からしばらくして味方に正式参入したものを使わないと登録できない。

-こうした仕様の為、登録率100%にするには非常に骨が折れる。
--スパロボの図鑑は一部ユニット・キャラが登録されない(『α』、『第3次α』等)不具合がよくあり、その後パーセント表示は廃止されてしまった。
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**総評
本作は「援護攻撃・援護防御」「武器の一括改造」「二回行動の廃止」など、現在まで受け継がれる多くのシステムを、据え置き機では初めて採用したスパロボである。スパロボの歴史における、ひとつのターニングポイントと言ってもいいだろう。~
厄介なバグがありシステムやユーザーインターフェースでも粗さが見受けられるなど、完成度の面で難はあるものの、シナリオや演出はおおむね高評価。また前作に寄せられていた不満点もほとんど払拭されており、次回作への希望を多くのファンへと与えた。~
難易度は高めだが、『F/F完結編』のような破綻した高難度ではなく、戦術的な思考が要求される性質のものであったため、やり応えを求めるユーザーからの評価も高かった。~
ただし数あるスパロボの中で、システム、インターフェイスの粗さが目立つ本作を現在時点の初心者に薦められるかといわれると疑問符がつく。それでも今からプレイするのならば、バグ情報だけでもネットを通じて押さえておくことをお薦めする。予習として前作『α』からプレイするのもいいだろう。~
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**余談
後にOGシリーズでは本作のゼンガーを元にしたキャラクター「ウォーダン・ユミル」が登場し、''ゼンガーVSゼンガー''という非常に濃い組み合わせも生まれた。~
また、スパロボのお色気描写として一部ユーザーに好評な乳揺れは、本作で登場した『ガンダムX』のキャラ、エニル・エルが最初と言われている。ただし彼女のものは狙ったわけではなく、ただそういう風に見えるだけだった。
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