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Schwarzschild - (2012/04/08 (日) 00:42:24) のソース

*狂嵐の銀河 Schwarzschild 
【きょうらんのぎんが しゅゔぁるつしると】
|ジャンル|SLG|
|対応機種|PC-9801VM/UM以降、PC-8801mkIISR以降、MSX2|
|発売・開発元|工画堂スタジオ|
|発売日|1988年12月9日|
|定価|12,800円|
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**概要
-シナリオシミュレーションとでも言うべき独特のゲーム性を持つ、ストーリー性を兼ね備えたSFシミュレーションゲーム。
-戦略、戦術の両面を持ったSLG。プレイヤーはサンクリ星国の王となり、列強が割拠する銀河の中で、自国の勢力を広げていくのが目的。

**ストーリー
星暦3960年、シュヴァルツシルト銀河外縁部ジロ星団に、「サンクリ星国」という国があった。&br;KGB星域に遊学中であったサンクリ星国皇太子に凶事の知らせが入る。惑星ウーリィに行幸中の父上の暗殺され、惑星ウーリィの反乱を起こしたのだ。&br;そして、皇太子は急ぎ帰国すると、すぐさま即位式をあげ国王となる。そして反乱鎮圧と父上の仇を討つために、行動を起こすのだった。 

**特徴
-シナリオシミュレーションという、従来にないゲーム性。
--ストーリー性を持ったSLGには、『ファイアーエムブレム』シリーズや『スーパーロボット大戦』シリーズ(双方ともRPG要素もある)などがあるが、本作はこれらと一線を画している。この性質を持ったゲーム性の多くに見られるのが、ミッションスタイルでの戦術SLGだ。この方法は、ミッション間のインターバルがあるため、ストーリーを導入しやすい。~
だが本作はミッションスタイルではない。言わば信長の野望シリーズのような、群雄割拠スタイル。つまりどこを攻めるのも、同盟を結ぶのもプレイヤーの自由なのである。~
しかし、そこまでプレイヤーに自由度を与えていては、ゲームにストーリー性を導入するのは不可能に思えるかもしれない。そこには巧妙な仕掛けがあるのだ。一見複数の選択肢があるようで、論理的に考えれば実は選択肢は一つしかない場面が多いのだ。~
このため、プレイヤーは自分の考えで選択したようでいて、実はシナリオ通りに進む事となる。自らの意思による選択が、ドラマチックな展開を生み出すかのような爽快感を得る。そういうゲーム性なのだ。
//--最序盤の選択としては、ある国が対反乱軍に「加勢してやるから、小惑星の権利をよこせ」と言ってくるがこれが罠、それよりも自分で軍隊に投資した方が最終的に強くなる。(難点に移動しました)
--もっともプレイ毎に細部は異なるようになっているし、プレイヤーの意思次第では普通敵に回すことのない国家を敵にしたり、滅びる運命にある国を救えたりするので、あえて最適以外の選択肢を取る意味は確かに存在する。

-コマンド群は戦略を中心としたもの。内政はほとんどなく、外交、軍事など、戦略に専念するコマンド構成となっている。
--外交は国家間関係を良好にするための各種援助と不可侵条約、同盟、そして戦争を始めるための開戦準備がある。
--軍事は軍事行動から軍備の充実等様々。
---造船ドッグの建設。戦艦は各惑星にあるドッグで作られる。一度に作られる戦艦の上限は当然ドッグの数だけ。造船ドッグの建設は、戦力の増強ペースを上げるために必要。
---本作の戦艦は、戦艦、巡洋艦や空母などの種類はなく、一系統しかない。艦隊戦も惑星攻略も同じ艦船で行う。戦艦は強さにより段階的にランク付けされ、開発レベルが上がる事により製造が可能な種類が増える。また1艦隊が保有できる艦船数も上限があり、これは統括コンピューターの開発により上昇させられる。
---そして全ての行動はターン開始時に20ポイントある『行動ポイント』を割り振って行う。これが結構ぎりぎりの数字であるためうかつな指示は出せず、プレイヤーの頭を悩ませる。自国や敵の情報を確認することは、ポイントの消費なしで行なえる。

-戦闘はシンプル。
--艦隊は一国、四艦隊まで持てる。
--戦艦が敵艦隊もしくは惑星に攻撃を開始すると、正方形のマスで構成された戦闘画面となる。惑星戦、艦隊戦により配置は異なる。同盟国の援軍がある場合は、同じく配置される。ちなみに同盟軍はNPCであり操作できない。
--移動は前進しかできない。よって目的の場所へ向かうには方向転換が必要。当然移動力を使う。
--射程の概念はなく、隣接した敵に攻撃を加える事になる。攻撃は正面のみしかできないが、防御は基本的に正面、側面、後方の順で強く、大きな差がある。このためどう敵の弱い面を突くかが、勝利への道となる。
--艦隊戦は全滅や旗艦撤退で、惑星戦は防御力を失うと占領となると、敗北する。

-最終局面での、想像だにしない展開。
#region(シリーズの核心に迫るもの)
-星団ほぼ全域を掌握すると、突如クラーリンという謎の存在が亜空間から現れる。生物じみたその戦艦や要塞は、全くの異質。さらに戦闘力、展開能力は、開発可能な最強の戦艦をもはるかに上回る。しかも彼らに占領された星々は、所属が変わるのではなく異次元化され消滅してしまうのだ。~
必死の抵抗をしつつも、次々と星を破壊されていく様は正に絶望。その先にあるのは…。~
ちなみにPC88版では、クラーリンを同士討ちさせる裏技(バグ)があり、惑星一つを破壊される程度に被害を抑える事ができる。
#endregion()

**難点
-PC98版ではスタート時の状況が厳しく、最初で躓くプレイヤーも多かった。PC88版では多少緩和されている。
--それでもかなり厳しく、ある程度決まった攻略法を取らないと勝つことはまず無理。息つく間もなく次の戦いが始まるため、戦力を余剰に発展させることが必要不可欠なのも大変な点である。さらに、敵は生意気にも援助を受けて戦力を増大させてくる。
--ある国が対反乱軍に「加勢してやるから、小惑星の権利をよこせ」と言ってくるが実はこれが罠。自分で軍隊に投資した方が最終的に強くなるという、初見殺しの展開も存在する。
--反乱軍との戦いに一見時間制限は存在しないかのように見えるが、実はリミットターンが設定されており、それを過ぎると敵の軍勢が異常に強化され、ほぼ勝つことは不可能になる。このため序盤で敵を生殺しにし、粘って自軍を最高の状態に持っていくという攻略法は不可能。最もそれなりに時間はあるし、ちゃんとインフォメーションで警告されるので、意図的に狙わなければ早々は起きない。
-セーブやロードを行うたびにディスクを入れ替える必要があり、かなり面倒。次回作では緩和されている。

**総評
-本来SLGとは自由度の高いゲームだ。それにストーリーという自由度の低いものを組み合わせるのだから、一工夫必要となる。本作はプレイヤーを誘導する事により、実質的に選択肢を絞るという方法を選んだ。これによりSLGとしてのシステム上の自由度を確保しながら、ストーリーを満喫できる仕組みができあがった。さらに本シリーズの象徴となった最後の意外な展開は、このストーリーを最高に盛り上げる。この従来にないゲーム性が支持を得るのも当然だろう。やがて本作はシリーズ化し、壮大な世界観の歴史として組み込まれていくのである。
-本作と同時期に、SLGにストーリー性を導入する試みがいくつかの作品で始まるが、本作はその答えの一つと言える。

**余談
-現在プレイするならシュヴァルツシルトVの特典として付属する『狂嵐の銀河 シュヴァルツシルトI』、同『II』のPC-9801版をエミュレーション仕様で収録した復刻版CD(Windows XPまで対応)があるので、それを探すのが無難である。
-良く間違われるが((以前はwikipediaでもそうなっていた。))、3作目まで書かれている肩タイトルは「狂乱」ではなく「狂嵐」である。そして2が出て以降に付けられた第1作の副題が「狂乱の銀河」である。この誤用が氾濫しているのは、元々「狂嵐の銀河」は肩タイトル……というよりもSchwarzschildの造語和訳で要するに邦題にあたる訳だが、どちらの読み方も「きょうらんのぎんが」である事が混乱を招いているのだろう。
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*【シュヴァルツシルトII 帝國ノ背信】
しゅゔぁるつしると2 ていこくのはいしん
|ジャンル|SLG|
|対応機種|PC-9801VM/UM以降、PC-8801mkIISR以降、MSX2、&br();PC-エンジン、MEGA-CD|
|発売・開発元|工画堂スタジオ|
|発売日|1989年6月30日|
|定価|9,800円|

**ストーリー
星暦3964年。シュヴァルツシルト銀河内のソマリ星系に「オーラクルム」という新しい王国があった。新しい国ながらも地理的条件を生かし順調な経済発展をしてきた。そんなある日、軍事国家ロッサリアが隣国トリスティアへの侵攻を開始したのだ。トリスティリアの盟友であるオーラクルムは、これを切欠に動乱へと巻き込まれていく。

**特徴と違い
-基本システムは前作を継承。
-国家元首に映像がついた。
-戦艦の種類が、対艦用と侵攻用の二種類に分かれた。
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*【シュヴァルツシルトIII 惑星デスペラン】
しゅゔぁるつしると3 わくせいですぺらん
|ジャンル|SLG|&amazon(B000EWAX1U)|
|対応機種|PC-9801VM/UM以降、Windows|~|
|発売・開発元|工画堂スタジオ|~|
|発売日|1992年2月28日|~|
|定価|12,800円|~|

**ストーリー
星暦3941年。銀河辺境の地にガーディナル星系がある。そのほぼ中央にアースマンの国であるアプリオン共和国あった。その他にも同じくアースマンのパーシオン共和国があった。そして協定により、かつてのアースマンの入植地にイノン共和国が設立される。ただしイノン共和国は、ミクトネス、ヴァルダムと言った軍事国家に隣接しており、けして安泰という訳にはいかなかった。特にミクトネスとは領有権問題を発生させている。軍備増強を続けるミクトネスは、ついにイノンへの侵攻を開始。イノンの友好国であるアプリオン共和国。その首相であるエグザスは、対応を迫られる事となる。

**特徴と違い
-シュヴァルツシルト正史の中では時系列的に二番目の物語。
-基本ベースはI、IIと同様だが、システムはさらに多彩になった。
--従来はポイント消費によるコマンド実行だったものを、各コマンドを1ターン1回までとなった。
--国家全体でのコマンドのみだったのを、惑星単位で実行するコマンドができた。
--艦隊司令官が新たに導入され、各艦隊を指揮するようになった。
--ターン制だった戦闘をリアルタイム制に。さらに射程の概念が導入された。艦船も対艦、対惑星のような系統分類はなくなり、スペックによって得意分野が分かれるものとなった。
--経済的なコマンドが増え、収入面である程度の施策ができるようになった。
-通常のストーリー展開のほかに、ストーリーを無視して、全ての国を制覇する覇王モードがある。もっとも、おまけ程度の存在で、そのEDもあっさりしたものだった。
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*【シュヴァルツシルトIV THE CRADLE END】
しゅゔぁるつしると4 ざ くれいどる えんど
|ジャンル|SLG|&amazon(B000EWAX1U)|
|対応機種|PC-9801VX/UX以降、Windows|~|
|発売・開発元|工画堂スタジオ|~|
|発売日|1993年4月2日|~|
|定価|12,800円|~|

**ストーリー
シュバルツシルト銀河の存在する八つの強大な国、八強国。その狭間にあるバルディス星系。ここは八強国も一目を置く古の禁断の星域、バウストクルツがあった。そこは6つの巨大要塞で封鎖されており、何人の侵入を妨げている。それぞれの要塞には守護国となる国があり、長らくこの封印を守ってきた。&br;その守護国の一つにヤングリーフがあった。その現国王であるクレア・ヤングリーフは、「光の真王伝説」に関わる者として特別視する国もある人物である。&br;しかしヤングリーフ自体は決して豊かとはいえず、近隣のウィルソード、そしてもう一つの守護国ウルカフィと同盟を組む事で自国維持を図っていた。&br;星暦3958年。守護国ではないレビルレントが、弱小の守護国ウルカフィへ圧力をかける。その狙いは封印の巨大要塞にあるのは明らかだ。侵攻を開始するのは時間の問題である。クレア・ヤングリーフの決断の時が迫っていた。

**特徴と違い
-本シリーズを開発してきたねこさんちーむが作った、最後の作品。
-前三作とは違い外交をテーマとした作りになっている。その他のゲーム性も、違ったものとなっている。
--前作まではある程度決まりきった相手と友好もしくは敵対する事が決まっていたが、本作はそれをかなり自由に選べるようになっている。もちろん、絶対に友好関係を結べない相手はいる。
---自国が自軍を派遣するのをかなり押さえらるほど、外交が強力。このゲーム性は賛否両論だった。
-一方でそれ以外のコマンドはかなり削られ、簡略化されている。一作目にすらあった経済的なコマンドは全くなくなった。さらに開発も前作までは投入資金によってペースを上げる事ができたが、本作は投入資金が固定されており、ペースを上げる事ができない。毎ターン開発実行の支持を出すだけなので、作業感がやや強い。
-数百隻単位の戦いだったものが、数隻単位の戦いに。時系列的にIとIIIの間の話なので、やや違和感がある。ただゲームとしては修理という概念ができ、艦船をむやみ沈めないように気をくばるため、戦術性が上がった。
-戦略マップ、戦術マップともに四角のマスからヘクス構成へとなった。さらに戦術マップではマップ範囲が広がり、機動的な戦術が取りやすくなっている。一方で、解像度の関係で枠線がなくなり、緻密な戦術がとりにくくなった。
-艦船に空母があらたに追加。射程を無視した攻撃ができ、戦術を多彩にしている。
-インターフェースがWindowsライクへと変わった。ただし操作性そのものは、前三作より悪い。