「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド - (2013/05/01 (水) 17:53:42) のソース

*ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド
【どらごんくえすともんすたーず てりーのわんだーらんど】
|ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B00005OVGE)|
|対応機種|ゲームボーイ|~|
|発売元|エニックス|~|
|開発元|トーセ|~|
|発売日|1998年9月25日|~|
|価格|4,900円(税抜)|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ドラゴンクエストシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/269.html]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
2人で留守番することになったミレーユとテリー。いつまでも寝ようとしないテリーをミレーユが叱っていると、タンスから「ワルぼう」と名乗る魔物があらわれて、ミレーユを連れ去ってしまった。しばらくすると同じタンスから魔物がもう1匹あらわれた。「わたぼう」と名乗るその魔物は、テリーに「ミレーユの代わりにモンスターマスターになって欲しい」という。姉を助けるために、テリーはわたぼうの住むタイジュの国に向かった。~
~
『[[ドラゴンクエストVI 幻の大地>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/395.html]]』に登場したキャラクター・テリーを主人公にしたスピンオフ作品((テリーが主人公になった理由は「『VI』では出番が遅いうえに強くないから」。『IV』のトルネコが『トルネコの大冒険』の主役になったように、不遇なキャラクターであることへの埋め合わせである。同じく『VII』で不遇な扱いを受けたキーファも『ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート』の主人公になった。))。当時大流行していた『ポケットモンスター』に対抗してモンスター育成要素を前面に出しながらも、「配合システム」を導入したことでポケモンとは違う「モンスターを作る」面白さを確立。ポケモンフォロワーの中でも抜群の人気を誇った。

**本作の特徴
''ゲームの目的''
-タイジュの国のあちこちにある旅の扉で異世界(ダンジョン)に入り、扉の奥(最下層)にいるボスを倒していく。ただし、主人公(テリー)は直接戦わず、道中で仲間にしたモンスターでパーティを組み、彼らに指示を出したりアイテムでフォローをしたりする。ある程度異世界を攻略するとタイジュの国が成長して((タイジュはその名の通り「大樹の中に作られた国」という設定であり、成長するたびに国の規模が広がる。))行ける場所が増え、新たな旅の扉があらわれる。大会に出場できるようになってからは、大会のランクを上げることもストーリーを進める条件になる。
--ストーリーの最終的な目標は、優勝者に1つだけ願いを叶えてくれる「ほしふりの大会」で優勝すること。「ほしふりの大会」は各国代表が参加する大会でもあり、決勝戦ではマルタの国の代表と戦うことになる。大会に優勝するとストーリークリアとなり、以降は最強モンスターの育成やモンスター図鑑の完成、クリア後に開放される旅の扉の攻略などのやりこみ要素がメインとなる。

''配合システム''
-モンスター同士の結婚のようなもので、オスとメスのモンスターを「配合」すると、組み合わせに応じて新たなモンスターが生まれる。配合を終えると親の2匹はいなくなってしまうが、子どもは両親の覚えていた特技や能力値・耐性を引き継ぐため、普通に仲間にするよりも強力なモンスターが入手できる。配合でしか入手できないモンスターもいるので、強いモンスターを手に入れるには計画的な育成が必要である。

**本作の魅力
''配合システムの奥深さ''
-配合は「血統×相手」とあらわされ、「血統」に選んだモンスターの系統のものが生まれる。例えば「スライム」を血統、「アントベア」を相手として配合すると、「スライム系×獣系」の配合となり、生まれる子どもはスライム系の「ぶちスライム」になる。
--配合の組み合わせは「悪魔系×獣系」のように該当する系統であればどんなモンスターでも成立するものから、特定の種族と特定の系統、あるいは特定の種族同士の配合でないと生まれないものもあり、自分で配合の組み合わせを発見していくことがこのゲームの醍醐味となっている。
--モンスターが習得する「特技((「メラ」や「ギラ」「ヒャド」などナンバリング作品では「呪文」とされているものも本作では「特技」として扱われている。))」にも工夫が施されており、「ホイミ」→「ベホイミ」→「ベホマ」のように一定の能力値に達すると成長したり、「ギガスラッシュ」のように複数の特技を覚えることで習得できたりする特技が存在する。野生のモンスターは能力値が低く習得できる特技もデフォルトでは3種類しかないため、好きなモンスターに好きな特技を習得させるための配合もまた重要になってくる。

-自分のモンスターだけでなく、ゲーム中に登場する他のマスターが連れているモンスターや他のプレイヤーが連れているモンスターと配合(お見合い)することもできる。
--お見合いの場合は''自分の側のモンスターが血統になる''ため、自分と相手で生まれる子どもはまったく異なる。このことを計算に入れておかないと、相手だけ強力なモンスターを入手してしまうこともあるので注意。
--また、モンスターには成長の傾向を決める「性格」が設定されているが、お見合いの場合はこの「性格」が合わないと配合できないことがある。

''旧作ファンを意識した演出''
-ゲームのメインとなるモンスターは、有名どころを中心に当時の最新作である『VI』までからまんべんなく選ばれており、歴代の魔王も別形態のものを別モンスターとしてすべて網羅している。
--本作オリジナルのモンスターも多数登場。「ゴールデンスライム」「ローズバトラー」「にじくじゃく」など一部のモンスターは『[[VII>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/325.html]]』に逆輸入されている。

-''旅の扉のボス戦では旧作の名シーンが再現されており''、わたぼうの解説と相まって古参ユーザーを魅了する。
--「ローラ姫を持ち上げようとして失敗」といったパロディもあれば「未来の自分との戦い」という設定を上手く利用したクロスオーバーもある。また、クリア後の旅の扉では歴代作品の魔王がボスとしてプレイヤーを迎える。
--さらに''ボスのいる1つ前のフロアでは「地平の彼方へ」「さすらいのテーマ」など歴代作品のフィールド曲が流れる''。ボス戦前にどの作品が出典なのかが分かるこの演出もプレイヤーの胸を熱くした。もちろん普段から流れるフィールドBGMも素晴らしい出来で、どこかもの悲しさを感じさせる音楽は殺風景なグラフィックと相まって非常に印象深いものとなっている。

-発売当時、飲み会で大人たちが「お見合い」に興じたり子ども以上に大人がハマりこんだりしたといったエピソードがあるのも、こうした旧作ファンへの配慮あってこそである。また、本作がきっかけでドラクエシリーズに初めて触れた子どもたちも多く、GB版『I・II』『III』の発売にはこのソフトの影響があると思われる。

**残念な点
''配合をやり込むとモンスターの個性が消えていく''
-モンスターの個性であるパラメータや耐性、覚える特技などは配合で全て変更できるため、愛があれば「HPの高いはぐれメタル」「オール999・最強特技満載のスライム」なんてのもできる。これは「自分の好きなモンスターを強くしていつまでも使える」という評価点でもあるのだが、やりこめばやりこむほど手持ちのモンスター全てが似通った性能になってしまいがちでもある。
--このため、後の『[[ドラゴンクエストモンスターズジョーカー>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/744.html]]』では、この問題点を解消するためか能力の限界値をはじめモンスターの強弱をはっきりさせたのだが、「パーティの固定化を招く」という別の問題点を生み出してしまった。

''モンスターの育成が作業化しやすい''
-努力次第で能力値を限界にすることができるため、ストーリークリア後は「配合→レベル上げ」の繰り返しに終始しやすい。特に、クリア後に登場するある旅の扉にはぐれメタルが大量に出現するフロアがあるため、やりこんでいるうちに「配合→このフロアではぐれ狩り」というルーチンワークになりがちである。

''対戦が不便''
-ゲーム中の大会や通信対戦ではモンスターに命令を出すことができず(「めいれいさせろ」が「とくぎつかうな」になる)、自分で戦略を組み立てるポケモン的な対戦には向かない。AIの頭が悪いわけではないのだが、どうしても行動がパターン化しやすく、人間同士の駆け引きを反映するには物足りない。

''セーブも不便''
-''旅の扉の中でセーブすることができない''ため、うっかり電源を切ってしまったり電池切れしたりすると全て1からやり直しになってしまう。
--救済措置として「たびのしおり」という旅の扉の中でもセーブできるアイテムがあるのだが、一度使うとなくなってしまう。また、3の倍数のフロアにあらわれる道具屋や宝物庫でもセーブできるのだが、条件がランダムなため利用しにくい。先の「はぐれ狩り」のできるフロアがかなり下のほうにあり、プレイヤーが面倒くさがってノーセーブで行ってしまうのも、悲劇が起こりやすい一因である。

-逆に''配合をするときは強制的にセーブされてしまう''ため、モンスターの選択を間違えると取り返しのつかないことになる。(以上2点については次作で改善されている。)

-「ぼうけんのしょ」が消えやすい上に、データを1つしか作れない。これは後のシリーズ作品にも受け継がれ、またナンバリング作品の『IX』も1つしか「ぼうけんのしょ」が作れないことから本シリーズになぞらえて批判されることがある((『IX』はこの他にも「ストーリーがあっさりしている」「クリアしてからのやりこみ要素の方がメインになっている」など、ナンバリング作品よりもモンスターズシリーズの特徴を多く持っている。))。

''後半になると迷惑な大臣''
-旅の扉からタイジュの国へ戻る(クリア、全滅、キメラの翼での帰還など)と、大臣が薬草を1つくれる。回復特技・呪文が少ない序盤~前半は非常に助かるのだが、後半になると薬草はほぼいらない道具になるため、一転してありがた迷惑な代物になる。当時の『4コママンガ劇場』でもたびたびネタにされていた。
--さすがに道具を持てないときには渡さないが、何度も扉をクリアするうちにいつの間にか薬草が手持ちいっぱいになることもしばしば。売るにしても本作では道具のまとめ売りができないため面倒で、所持金が最大であればそのまま捨てることとなる。

**その後の展開
-当時発売されたポケモンフォロワーの中では数少ない成功作となり、後に「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズとして独立。次作『[[マルタのふしぎな鍵>ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵]]』のあと、『キャラバンハート』『ジョーカー』『ジョーカー2』『ジョーカー2 プロフェッショナル』(J2P)とシステムをマイナーチェンジしながらシリーズが続いている。

-PSにおいて『星降りの勇者と牧場の仲間たち』の副題で『マルタのふしぎな鍵』とのカップリング移植がされており、『マルタのふしぎな鍵』のモンスター・特技が使えるようになっている。
--また、ニンテンドー3DSでリメイク作品が発売された。今回の移植では新ストーリーが追加されるほか、『J2P』に登場したモンスターと「特性」の追加、スカウトアタックの追加、4匹パーティへの変更、フィールド上のパーティ連れ歩きの廃止、ランダムエンカウントからシンボルエンカウントへの変更、新イベントの追加などの違いがあるようだ。
---ベースは「ジョーカー」のものだが、今のところ特に大きな批判は見られない。

-ドラクエシリーズではおなじみの『4コママンガ劇場』をはじめ、『ドラゴンクエストモンスターズ+』(吉崎観音著。ロト3部作をリスペクトした内容から古参ユーザーからの評価が高い)など複数でマンガ化されている。
--3DSでのリメイクに伴い、本作もコミックスの新装版が発売された。

**余談
-ポケモンを意識した作品であるためか、旅の扉の世界を冒険していると、時折『他国マスター』と呼ばれるポケモンにおける他のポケモンマスターに当たる存在と出会うことがあり、話しかけると戦闘になる。
--勝つとマスターの種類に応じてアイテムをもらえたり回復させてくれたりするが、彼らの真の存在意義はつれているモンスターにある。なんと、野生のものと同じく肉をあげたりすれば''仲間にしてしまうことが可能。''しかも、システムの裏をついた手段や黙認されているのかと思いきや、''ゲーム中で普通に推奨している''のだ。
--人のものを盗むのは泥棒…と思うかもしれないが、このゲームではついていくのか判断するのはあくまでモンスターであるため、モンスターの意志に基づいて行っているとも言える。野生では存在しないモンスターをつれている可能性もあるため、それらを引き抜く手である。
--この仕様は次回作やジョーカー1でも採用されており((他の作品ではこうした人物がフィールド上では出てこない))、ジョーカー1では逆にこちらのモンスターを引き抜こうとする者もいる。…必ず失敗するが。

-実は、本作は''最初のゲームボーイカラー対応ソフト''である。当時はまだゲームボーイカラー自体が発売されておらず(約1か月後に発売)、同時期の他のソフトがカラー非対応だったことを考えるとかなり珍しい例といえる。このため本作は発売時期によってカートリッジの色が異なり、初期は普通のゲームボーイ用ソフトと同じ灰色のカートリッジ、ゲームボーイカラー発売後はカラー対応ソフトであることを示すために黒いカートリッジになっている((後に合併するスクウェアもワンダースワンカラー発売前にカラーに対応したソフト『はたらくチョコボ』を発売したことがあり、「メーカーが売りにしているRPGのスピンオフ」という共通点がある。))。