恋戦隊LOVE&PEACE THE P.S.P.~パワー全開!スペシャル要素てんこもりでポータブル化大作戦である!~

原作:EMIQ
開発:サンクチュアリ
発売:ブロッコリー
公式サイト


製品概要

タイトル 恋戦隊LOVE&PEACE THE P.S.P.~パワー全開!スペシャル要素てんこもりでポータブル化大作戦である!~
ジャンル スーパーロマンチックバトルラブコメディADV
対応機種 PSP
定価 通常版:6,090円(税抜5,800円)、初回限定版:8,190円(税抜7,800円)
発売日 2012年8月30日

要点

  • 携帯アプリ「恋戦隊★LOVE&PIECE」の携帯機移植。2ヶ月の延期を経て発売された。
  • 原作は2010年度大賞「戦国LOVERS」でおなじみのEMIQ。
  • 豪華声優を起用しているのにも拘らず、フルボイスではなくパートボイスのさらに劣化であるピンポイントボイス。
  • メイン、サブキャラ、ナレーション問わず、スチル以外の場所ではどんなに長い台詞でも一言しか喋らない。
  • 発売前は「全キャラ攻略可能」をと言いたげな宣伝をしていたが、実際の攻略キャラはメイン4人に加え、味方サイドの2人のみ。
  • ちなみに原作ではプレイ次第で全キャラほぼ無料で攻略することが出来る。
  • スキップ機能がとにかく遅い。オートじゃないかと見紛うほど。
  • 会話履歴を表示すると、ゲーム画面に戻れなくなるバグがある。

選評1

それは、夏の終わり。8月30日の事―――
2010年度大賞を受賞し、携帯ゲーム部門でも話題となった「戦国LOVERS」。
この作品と同じ開発元であり、同じく携帯機への移植作であるという“期待作”が2ヶ月の延期を経て満を持して発売された。
その名も「恋戦隊LOVE&PEACE THE P.S.P. ~パワー全開! スペシャル要素てんこもりでポータブル化大作戦である! ~」
検証の結果「期待通りの作品である」という個人的主観の下、ここにかの作品の選評を投下する。
なお、このタイトルのままでは長すぎること極まりないので、以下「恋戦隊」とし選評を進めていく。

この作品において特記する点は「パートボイス」である点だ。
前年度大賞「遙かなる時空の中で5」の選考においても取り沙汰された時代錯誤な要素である。
だが、恋戦隊をプレイした人間すべてがこう思うであろう。「遙か5の方がマシだった…」と。
恋戦隊のそれは「パートボイス」でもなければ、前年度大賞が揶揄されたように「ポイントボイス」でもない。
そう、それはまさに「ピンポイントボイス」と呼ぶべき代物だろう。
スチルのあるシーンではきちんと台詞を喋るものの、それ以外のシーンではどれだけ長い台詞だろうと一言しか喋らないのだ。
例えば緊迫した場面での攻略対象の一人の「何だって!? 皆、早く逃げるんだ!!」というテキストが表示されている。
それに対し付けられているボイスは「何?」のたった2文字である。スチルシーン以外の場面では、基本的に台詞に近いニュアンスの
一言を喋るだけなのだ。
さらにこの一言ボイス、画面上のキャラのテンションと一致していない上に、意味や読みが微妙に一致していない。
オープニングで主人公が逃げ出した後、攻略対象2人の会話シーンにて。テキスト上では「ラジャー!」と出ているのに対し、実際に
当てられているボイスは「了解。」である。普通は逆だろうに。
サブキャラ勢は「収録したのか?」と思うほどボイス量が少なく、さらにナレーションまでもがピンポイントボイスという有様。
たちの悪いことに、このピンポイントボイスに関して公式には何の記載もない。発売直前のプレイ動画内で始めてこの脅威の事実が
発覚したのだ。
「騙された・・・」と怒りすら湧き上がってくる。こんなにボイスが少ないのならば、いっそボイス無しにしてくれた方がよかったと思う。

次に挙げるのは、戦国LOVERSが大賞を受賞する決定打となった「続きは携帯アプリで!」といいたげな商法。
恋戦隊の場合一応メイン4人のストーリーはきちんと完結しているが、内容は携帯アプリと全く変わりがない。ちなみに彼らはGREEなどの
SNSでは無料で攻略可能である。
あたかも「全キャラ攻略可能ですよ」と言いたげな宣伝をしておきながら、メイン4人以外で攻略可能なサブキャラはたった2人だけ。
メインキャラとのストーリー上で魅力を感じるであろう敵の3幹部や女装青年、ダンディなオジサマは今作では攻略対象外なのだ。
携帯アプリでは彼らのストーリーはしっかり用意され、謎は残るもののちゃんと完結している。
戦国LOVERSほど酷くはないものの、この恋戦隊もまた携帯アプリをプレイしてもらうことを目的とした作品だった。
表現するなら「サブキャラ攻略は携帯アプリで!」といったところだろうか。

しかし、褒められるべき点もあることにはある。
前年度の選考の上で特に重要視された、ストーリーや主人公については特に問題は見当たらない。
話のあちこちにパロディやギャグが詰め込まれ、プレイヤーを笑わせてくれる。ラブコメディが好きな人であれば、ストーリーだけは
十分に楽しめるだろう。
また、主人公が職場内唯一の女性だということもあり、周りのキャラが非常に好意的に接してくれるのでハーレムが好きな人にも
ストーリーだけはオススメできる。
だが、この作品を勧めるのであれば高い金額を払ったのに全キャラ攻略できないこちらよりも、低コストで全キャラ攻略できる携帯アプリの
方が明らかに得である。

既読スキップはオートじゃないかと錯覚するほどに遅い、クイックセーブ・ロードはあるものの、会話履歴を表示すればゲーム画面に戻れなく
なるというバグ(?)、 ミニゲームはまったくやりがいが無く、1話ごとに入るOP、ED、アイキャッチははじめこそ面白いもののだんだんと
鬱陶しくなってくる。
これらの小粒なクソ要素に加え、上記のピンポイントボイスと「他キャラとの恋は携帯アプリで!」という反省のない商法。
大きなショックと落胆と苛立ちの連続に、プレイする気力が削がれたのはいうまでも無い。
どこがスペシャル要素てんこ盛りだ! と突っ込みたくなるようなこの作品を、個人的な感想と検証の結果、クソゲーに推薦する。
最終更新:2013年03月15日 00:56