【第三話】 歌声と落涙
天使出現の証「エーテル流」
しかし天使が現れ崩壊を招くような事態は起きなかった。
バノスシティでそれが観測され1月近くたっていた。
街は何も変わらず、天羅・テラ双方の衝突の境にあった。
この街は天羅に侵略を受け蹂躙され、それの奪還にロケットレンジャーズ
部隊が試験的に投入され血で血を染める戦いの末現在はテラ領となっている。
天羅支配時代の悪しき行いが「復讐」の名の下にテラ人達の手によっても
下された。
「天羅狩り」である。
そんな混沌とした街の状況を憂いた市長がレイジングガイアに一報を入れた
のだ。
「エーテル流目撃されたし、街混乱期の為腕の立つモノの力を借りたい」と。
そこでゼンリフュールはバルキリーの朧を呼び出し、調査を頼んだ。
今回の調査にはジークフリート・リヒトホーフェンが加わり、同行することとなった。
彼は表向き「ロステク技術の研究」を対価に線戦力を提供する傭兵のようなものだ。
その実、レイジングガイアが「合衆国に敵となるのか否か?」を判断する為にある部隊
より送り込まれたスパイである。
一行は、バノスシティへトレーラーで向かい(伝説トレーラーの運転手、コール・アフターバーナー)
そこで天羅の指導者達の公開処刑を目撃する。
天羅がテラに行ったという公開処刑をやり返すような見世物は住民の天羅への怒りと
憎しみが駆り立て、異常な雰囲気の中実行されてしまう。
街にはロケットレンジャーズの常駐部隊「アルビス=ペイン」が居り、隊長はまだ若き
女性仕官だった。
名門「シュルツ家」の出身の重圧を女の身に背負い気丈に振舞う、それが
アイネ・シュルツだった。
彼女にしてみれば、功績を上げ本当は跡取りの男子を賜りたかった父に喜んで貰いたい、そんな気持ちも
あったのかもしれない。
バノスシティを護るよう軍から命じられた以上、天羅は敵であり憎むべき存在。
そう言い聞かせるようPC達にもつっかかってきた。
彼女達アルビス=ペインが駐屯する教会には天羅の捕虜が捕まっており(教会が酷い仕打ちをうけないよう
保護しているという意味でも有る)
その存在は志乃や秋・ジェイドを悩ませていた。
彼らは非戦闘員であり、捕まるような罪は犯していないのだ。
しかし、天羅への悪憎渦巻くこの街ではこうして保護しなければ危険なのだ。
捕虜の中には広場で歌を披露し、サーカスでは猛獣どもを手なずける少女「しずの」の姿があった。
彼女はテラ人に両親を殺されテラの人間を過敏に恐れるようになっていた。
彼女と同じ房に居るローザとよばれる女性もまた囚われの身だった。彼女はテラ人でありながら
天羅人を庇った疑いがあると牢に捕えられているのだ。
言葉を発す事の無い彼女は自身の疑いを晴らす事もなく只、慈愛の微笑を浮かべるだけだった。
そんな彼女達の世話をする教会の少年「リゲル」神の御使いである天使を崇め、天使討伐隊でもある
PC達には興味を持って接してきた。
「天使達はシスター達が言うような"悪”なのですか?」
リゲルは捕虜達の身辺を献身的に助けてはいたが、心を開いてくれないしずのには困惑していた。
教会の壁画のように人々に優しく手を差し伸べる
悲劇は突然起きた、天使の目撃調査をすすめるPC達に教会が襲撃されたと夜中知らせが入ったのだ。
天羅側の残党が捕虜奪還・ロケレン襲撃の為教会を襲ったのだ。
しかしそこは、アルビス=ペインの猛者達。侵入者は撃退され被害は無いように見えた。
だが、教会には爆発物が仕掛けられ非情にも発動する。
捕虜達はそこから離れた場所にいる為被害は無く、シスター達も非難して無事ではあった。
だが「リゲルが居ない!」「あのこ天使の絵画の前で寝ちゃって逃げ遅れたんじゃ!?」
シスター達の悲鳴に、ジェイドと秋が火の海に飛び込んだ。
目の前で崩れ落ちる炎の瓦礫の中、リゲルは無事だった。ジェイドは爆発音と光の中、舞い散る羽を見た気がした・・・。
捕虜を無事護り、シスター達の無事を確保し、天羅の襲撃を撃退した。
アルビス=ペインの名はバノスシティで上がったが、軍の上層部はよしとしなかった。
軍幹部の使いが訪れ、アイネ・シュルツを罵倒し檄を飛ばす。
「天羅の残党ごときに好きにやられ根絶やしにも出来ず・・・所詮は女か」
「いぶりだし徹底的に殲滅しろ!人質を何の為に囲ってるんだ馬鹿が!」
シュルツの部下は唇を噛み、飛び掛る気持ちを必死にこらえていた。
ジークは熱くなる青年将校に声をかけ、その辛さ悔しさをバネにするよう諭した・・・。
人質を使った天羅残党の刈り込み作戦…処刑台にしずのや、ローザも連れ出されるというのだ。
シュルツに説得を試みるロザリアとジーク。だが彼女は「人質を処刑することは無い、しかしバノスの平和を護る
任を請けた以上天羅の残党を見捨て置く事は出来ない」と苦しそうに語った。
志乃・秋・ジェイドは人質奪還を企てていた、リゲルも加わり現実的には厳しいロケットレンジャーという監視の
壁、人質を危険に晒さず助ける方法は無いのか?
それに、レイジングガイアとして合衆国の軍隊と揉める判断は朧には出来ない…意見は定まらず、有効な手段も
見えずに意見は彷徨っていた…。
実はリゲルが人質解放を決意したのには協力者が居たのだ「謎の和尚」を名乗る天羅人。
話に寄れば、その天羅人「
レイジングガイア」をリゲルに名乗ったという。
リゲルから話を聞いたロザリア達は急ぎその人物に会いに行った。
謎の和尚を名乗る人物それは…ロックシティで行方不明となっていた酒水だった。
酒水によれば彼もまたこの地に天使が光臨した事実を調べ調査していたという。
「気づかれたらしょうがねぇな…だが俺は“天羅の傭兵”だ。レイジングガイアの酒水じゃねぇ」
酒水は「ステルス袈裟(マントでは無いらしい)」を持っておりロケレンの注意を引きつける役を買って出た。
「しっかり頼むぜ、バルキリー。俺もお前らが無事で安心したぜ」
メンバーが飛び出して言った後、朧がひとり酒水の元を訪れた。
「ゼンリュフュールはんも、心配してましたよ」
酒水は笑いながら、心配してたなら悪かったなと言い。朧に宜しくと伝えた。
作戦は実行され、無事人質は解放は達成される。
助け出したしずのが「ローザ」の異変を口にしたとき、メンバーの嫌な予感は的中してしまう。
彼女こそ天使そのものだったのだ。
リゲルを抱きかかえるローザに構えを取りメンバーに警告を促す酒水。
リゲルはローザに抱かれ、恍惚とした表情で全身を光に包まれていく。
「少年が天使化しちまうまで時間が無い!全力で飛ばして行け!!!」
羽を広げ迎え撃つローザはあの微笑のまま天使となってPCを迎え撃つ。
ローザの魔法が次々と羅刹を生み、修羅の世界に引きずり込まれていく・・・。
志乃の陽子剣の一撃も、ジェイドの大剣や秋の雷鳴の様な一撃も耐え切るローザ。
崩れ落ちかかるメンバーを酒水が防護し、ロザリアが的確な支援を送る。
朧の渾身の魔法が天を突き、ジークの重機関銃が吼え戦いは終わりを見せた。
あと氷薄の勝利はジェイドを修羅寸前まで追い込み、ガルフォンの二の舞を誰もが案じた…。
戦い終わり、リゲルは天使化から逃れ、天使は中へと消えた。
街での戦いは終わる事無いものかもしれない…だが、戦いを見守っていたシュルツはバルキリー達に言う。
「人質に逃げられた汚名は負う、人質を危険に晒す汚名には比べるべくもないしな」
「私は私の出来る事をやるだけだ。早くこの街から出て行くんだな」
バリキリーは人質をトレーラーに乗せ天羅陣へ送り届けるべく街を離れる。
歌が響いていた…善と悪の妖が戦い共に滅びるそんな悲しい歌を…。
しずのはテラ人が苦手だった…だが、歌声に引かれトレーラーを見送るサーカスの仲間や、街の人々に
体を乗り出し精一杯手を振っていた…。
ステルス袈裟を羽織った坊主が涙ぐむ少年の背中を叩く。
「少年よ、しっかり成長して大切なものを自分の力と意思で護れるようになれよ」と…。
唄声と落涙 ~完~
最終更新:2008年01月31日 10:08