君がいた夏は 遠い夢の中

  空に消えてった 打ち上げ花火





綺麗だ

小さく呟いた言葉はどうやらルイスには届かなかったようだ。
最後にこの姿を見たのは何時だったか忘れてしまったが、記憶の中のルイスとは全然違いとても綺麗な姿だった。
すぐそばに居る彼女の髪からは良い香がしてきてそんなことだけでも自分の心は乱されてしまう。

夏祭り

昔から続くこの祭りは東京郊外のとある神社で行われていた。
この神社の裏には大きな森があり、この化学にあふれた街の中でしっかりと存在感を出している。
僕とルイスがここに居るのは姉さんが二人で言って来いと言うからだ。
浴衣を着てくると言っていたが前に見たことが有るのでそれほど期待はしていなかった、しかし予想以上に綺麗な格好だったので何も言えなくなってしまった。
少し青みがかった白に紅い金魚の浴衣、その金魚がいつものルイスのように元気に跳ねている。
ルイスのママは本当にセンスが良い、改めてそう思う。

「沙慈ーこれ見てー」

袖を引っ張られてそちらを向くと屋台の前で無邪気に笑うルイスの姿があった。
そしてルイスの指の先には金魚すくいと書かれた屋台が合った。

「この金魚かわいいよ!!」

「本当だね」

ルイスのほうがかわいいよなんて当然言える分けなくて普通の答えを返す。
一回やってみれば?そんな事を言うと大きく首を立てに振りすぐに金魚すくいに夢中になる。
そんなしぐさの全てが愛おしく、そしてその全てが自分のものなんだと思うと体の奥から喜びがこみ上げてくる。

「あっ!」

ずっとルイスを見ていたのだがその声で現実に戻されルイスの目線を追うと無残にもやぶれてしまったポイが有った。
もう一回とお金を渡すルイスにおじさんは新しいポイを渡す。
しかしそれもすぐに無残な姿に……。
もう、行こうとルイスを促すと欲しかったのにーと声が上がる。

「お譲ちゃんかわいいからサービスだ」

苦笑いをしつつおじさんが水と金魚を袋に入れた。
それを受け取りはしゃぐルイスは自分の袖が濡れているのに気が付いて、また不機嫌な顔になる。

「若いの、良い彼女を持ったな」

「ええ、元気すぎですけど最高の彼女です」

苦笑いをしているおじさんの目もどこか優しくて、世界に誇れる彼女を持った自分はどこか誇らしい。

「沙慈、いこっ!!」

そう言われて神社の奥のほうへと行こうとしているルイスにあわてて追いついた。
そのまま奥の方へとぶらぶらと歩く。
途中で買った綿菓子を食べて幸せそうなルイスを眺めていると、向こうによく見知った顔があった。
それは高校時代の友人でいつも彼女が欲しいとつぶやいていた奴だ。
ルイスと一緒に居る時にあったことは無いから多分知らないだろう。
後でからかわれたりするのが怖くて少しルイスと距離を置いた、そしてすれ違う時に笑いながら話しかけられた。

「よう」

「ああ、久しぶり」

いわゆる体育会系のそいつは同じ委員会だったので知り合ったのだが、今でもたまにメールをしたりする仲だった。

「よし、お前も一人だな。俺より先に彼女を作るなんて許さないからな!!」

アハハと苦笑いする僕の後ろから声がかけられる。

「あれ?その人沙慈の知り合い?」

ルイス、なんてタイミングが悪いんだ。
ほらこいつの顔が信じられないって顔をしているじゃないか。





ここはこの神社の最深部で屋台も無いので人もまばらだった。
そんなところになぜ居るのかと言うとさっき買った線香花火をやるためだ。
火をつけるとぱちぱちと小さな音を立てて燃える塊、そしてそれを眺めてうれしそうなルイス。

「綺麗だね」

「うん」

この幸せな時間をを楽しんでいた。

ドドーン

大きい音がしてそれに驚き上を見ると、次々にはじける打ち上げ花火が目に映った。
静かな線香花火と違い派手な打ち上げ花火だが、やっぱりそれもとても綺麗だった。
しばらく何も言葉を出さずに眺めいると右手にルイスの感触がして、それを強く握り返した。



「来年もまた来ようね」

全ての打ち上げが終わった時に言われたルイスからの約束。
つないだ右手を放し、肩を抱き、ルイスと向き合う、目が合えばそれが合図となり、ルイスが目をつぶる。
顔を近づけて、お互いの呼吸が分かるほど近くなり、そして………。


気が付くと僕たちは月光が照らす林の中で抱き合っていた、この幸せな気持ちを体に刻み込むために。

「ルイス、かわいいよ」

その言葉に微笑むルイス。
横になり帯をはずし前をはだけさせる、そしてそこにあった邪魔な布を取り外ばたわわに実ったふたつの果実が出てきた。
その一つにキスを落として指先で軽くもてあそんだ。
乳首の周りに円を書くように動かし強弱をつけて先端をはじく。

「…っ…くっ……ぁあっ…」

ルイスが緩急に弱いと言うのは分かっていたので弱くしたり強くしたりして攻める。
漏れる声によって自分の欲望が膨らんでいくのが分かった。
すぐにもぶつけたいが痛い思いはさせたくないのでしっかりと愛撫する。
左手でルイスの手を握り右手で片方の胸を攻め、開いた方は口で攻める。
どうやらルイスは外でやることでいつもより興奮しているらしい。

「んっ…あっ…さじぃ」

「ルイス、好きだよ」

キスを一つ落として下を脱がせた。
月光に照らされるそれはいつもより綺麗だった、そしてそれを広げ艶やかな其処に舌を這わせるとルイスの体がびくっと跳ねた。

「んふぁっ…きゃぁっ…っ…だっ…め」

色々と声が上がるが構わず続ける。
ぴくぴくと小刻みに痙攣している彼女を見つめるととても温かい気持ちになった。
そしてその痙攣も段々と激しくなっていく、絶頂が近いようだ。
ラストスパートとばかりにすぐそばの突起を舐め上げた。

「あぁっ…さじっ…イ…クぅ…っあ---あぁっ--------ん」

ビクンと大きく跳ねた直後に背中が弓なりになった。
そのまま数回大きく跳ねたのを見届けた後にルイスの耳元で呟く。

「ルイス、入れるよ」

ゆっくりとこっちを向いたルイスは微笑みながらそれに答える。

「うん、沙慈のちょうだい」

自分の暴君を取り出すとそれを入り口にあてがった。
その感触だけでも脳に甘い情報が届いて、今にも果ててしまいそうだがそれを我慢した。
ゆっくりと力をこめてそれを侵入させていくと、抱いたルイスが強張っていくのが分かった。
奥まで入りきったところでルイスと唇を合わせた、そして舌を入れてそれを絡めると答えるように絡め返してくる。
唇の感触を楽しみつつ腰をゆっくりと動かした、そしてそのままどんどんと加速させていく。
すると合わせた唇の間から声が漏れた。

「んんっ……ふっ…っ…んぅ…」

頭がボーっとしてくる。
かろうじて分かるのは唇と耳、そして暴君からの情報だけだった。
それがすべてるイスから与えられているのを理解すると心がまた躍った。
唇を離した途端に大音量の媚声が上がる、周りに人が居ないからいいものの誰かが居たら大変なことになっていただろう。

「ああっ…んぁっ…さじぃ…あた…まが…っ…ぁあ…しびれ…て…こわれ…はあっ…ちゃぅよぉ」

「ルイ…ス!!大丈夫…壊れても……僕は、君が好きだから!!」

うん、と縦に首を振ったルイスは全てを沙慈にまかせる。
もうそろそろだと思い沙慈はラストスパートをかけた。

「ぁぁっ…だめっ…イクッ……んっ…あっ…ああっ…あ--------っ!!」

「くっ…ルイスっ!!」

ルイスが激しく痙攣し膣内が勢いよく締まった、そしてそれにより溜まっていたものをルイスの子宮に吐き出す。
びくんびくんと数回膨張と収縮を繰り返してやっとおさまった頃にはルイスの痙攣もおさまっていた。

「ルイス……何時までも一緒に居ようね」

その呟きは小さく闇と混じって消えた。



目が覚めると自室のベットだった。
がばっと起き上がり横を見ると写真立ての中に収まる昔の写真。
金魚を持ち元気に笑う浴衣の少女とその横で微笑んでいる気の弱そうな少年……昔の自分だ。


「なつかしい夢だったな」

今、その世界では大規模な戦争が起こっていた。
『UNION』、『人革連』、『AEU』
三つ巴の戦いはあまりにも規模が大きくソレスタルビーングでも止められなかった。
そして彼女の祖国はAEU………戦争が始まった今、この国には居られなかった。

  君がいた夏は 遠い夢の中

  空に消えてった 打ち上げ花火

それは綺麗な思い出となり、沙慈の胸を締め付ける原因ともなった。


終わり
最終更新:2008年01月11日 20:23