r :このページの内容は護民官または、護民官補の調査と面談を通過した、養子受け入れ希望のご家族しか見ることができない
ビデオレター 第3回
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こんにちは。
「・・・こんにち・・・は」
犬が好きなの?
「ええと・・・ね、このこ、しろくておおきくて、かっこいいでしょ?」
もしかしてウサギも好きなのかな?
「・・・?うん、おみみがね、ながくって、かわいいでしょ?」
そのリボンはウサギの耳みたいにしてるのかな?
「うん、ええっと。ウサギさんとおはなしできたらいいな」
ピンクが好き?
「だいすきなのよ。おくつもピンクいろだったらよかったのになぁ」
黒は嫌いなの?
「くろはかわいくないのよ。しろくまさんはね、ぜんぶくろいおようふく。かっこいいのよ」
そっか、自分が着るならピンクがいいんだね。
「うんっ」
動物はみんなすきなのかな?
「うん・・・。あ・・・。こわいのはいや。おともだちが、がおーってたべられちゃったらかなしいの」
やさしいんだね。
「・・・えへへ」
撮影
イラスト
03-00268-01:松井@FEGさま
SS
44-00008-01:ゆうみ@涼州藩国さま
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「牛乳の時間ですよー」
「「はーい!」」
子供達はメードさんの言葉に元気よく駆け寄り、マイコップにホットミルクを注いでもらった。なんでも子供達が悪夢を見てうなされていた時に支給された牛乳を飲んで気に入った子供達が毎日寝る前に飲むようになったという話である。
「カメラマンさんも一緒にいかがですか?」
「え、いや。私は」
ビデオレター用のビデオを撮っていた私に声をかけてきたのは子供達のお世話をしているメードさんであったが、その場にいた子供達も目を輝かせて私に話しかけてきた。
「そうだよ、おじちゃん。このぎゅうにゅう。とってもおいしいんだよ」
「私、牛乳って苦手だったけど、これはしぼりたてだからおいしいんだよ」
「おいしい」と口々に揃えて言う子供達。牛乳は小学校の給食で飲み飽きたからあんまり好きじゃないんだよなぁ……。
「カメラマンさん、どうぞ」
そんな私の心の中など露知らず、メードさんは新たにホットミルクを注いだコップを持ってきた。
私の行動に子供達が注目しているのは嫌でもわかる。ここで大人が好き嫌いを言ってたらマズイよなぁ。
「で、ではいただきます」
ホットミルクに口をつけた瞬間、喉を通して体中にミルクが行き渡る。熱すぎず、されどもぬるくもない。味も悪くない……というか、給食の牛乳と違い、味が濃厚で香りも良い。
「でね、今日りっちゃんと折り紙したの。私、風船をつくったの」
「そう、それはよかったわねぇ」
「俺はね。今日、鬼ごっこで鬼から逃げきったんだぜ」
「まぁ、すごいわねぇ」
子供達を見ると笑いながら飲んでいる子もいれば猫舌なのか、ミルクを冷ましながら飲んでいる子もいる。
しかし、皆に共通しているのは飲んだ瞬間に微笑みが広がる事だ。メードさんに聞いた所、毎日牛乳を飲んでいる子も数多いと言う。悪夢を見ないですむというだけではなく、牛乳には皆と一緒に飲む事で暖かい気持ちになれる何かがあるのではないか? 私はそう思った。
撮影
イラスト
11-00248-01:イク@玄霧藩国さま
SS
05-00141-01:銀内 ユウ@鍋の国さま
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「びゅーん!」
「赤の次は橙、橙の次は緑ー」
「ツルってどうやって折るの?」
テーブルに座って三者三様で遊ぶ子供達。皆、それぞれ別の遊びをしているが、それでも院内の中でも離れる事なく、一緒にいる。
子供達が失った者は大きい。しかし、失ったらそれでおしまいではない。まだ明日がある。明日へと歩む子供達には明日に出会う人達がいる。
「びゅー、ツル? 三角に折るんじゃなかったっけ?」
「みど……ツルの折り方なら知ってるよ」
「あ、教えてー」
さっきまでバラバラに遊んでいた子供達。今度は色紙で遊んでいた子の手先に集中。教える子、ずっと折る手を見つめる子。
そんな中、おやつの時間が来たのか、職員さんがリンゴを持ってきた。
「……」
あまりに集中している子供達にしばし、止まり、様子見している職員さん。どうやらツルが折れるまで待っているようだ。
自然と私の顔に笑顔が込み上げてきた。ここの職員さんは子供の目線で触れ合っているのだろう。よく見ると持ってきたリンゴもうざぎの形になっている。
願わくば、引き取られる家庭でも子供達が幸せをつかめるように……そんな想いを込めつつ私はツルを折るビデオを撮り続けた。
撮影
イラスト
11-00248-01:イク@玄霧藩国さま
SS
05-00141-01:銀内 ユウ@鍋の国さま
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「行けー! ニャン青GO-」
「負けるなー 行け行けー! オレのブルーセブーン!」
子供が二人、追いかけっこ
走るぞ走るぞ 負けるな負けるな
手に持つおもちゃは未来の愛機
自らの手で作り出す愛機を夢見て心に誓う
おれとおまえ おまえとおれ あいつにはまけない
世界最速の機体 作り出す夢見て 歩き出す将来の道
「ニャン青GO- スーパァー加速ーー!!」
「なにおー、ブルーセブン、フルブーストー 負けんなよー!!」
子供達は夢を背負い走る。今その手に持つのはただの自作のおもちゃ。けれど目指すは立派なエンジニア。
空を飛ぶあの姿を夢見て、今走り抜ける。
撮影
イラスト
11-00248-01:イク@玄霧藩国さま
SS
05-00141-01:銀内 ユウ@鍋の国さま
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「あんちゃん……」
「あ、杏の奴、また寝言言ってるや」
「こーら、杏ちゃんだろ? 女の子呼び捨てにしてるとモテないぞ」
「えー、オレ、別にモテなくてもいいぜ? っていうか、ダチと遊んでる方が楽しいモン」
「はは、まぁ、タカシにもきっとそのうちわかるさ」
「考兄にはわかんのかよー」
「そうだな、考兄ぐらいの年になったらタカシにもわかると思うぞ」
「あんちゃん……」
「杏、また本当の兄ちゃんの寝言言ってら」
「……タカシ、杏ちゃんが起きてる時にそれ、言うなよ?」
「わ、わかったよ」
「よし、それじゃあ、そろそろ帰るか。皆、心配してるぞ」
「はーい」
「あーい。むにゃにゃ」
「……なんだ、寝言か」
「すげぇ、寝言……」
撮影
イラスト
10-00214-01:優羽カヲリ@世界忍者国さま
SS
05-00141-01:銀内 ユウ@鍋の国さま
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撮影
18-00346-01:花陵@詩歌藩国さま
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撮影
29-00550-01:瑠璃@になし藩国さま
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撮影
02-00034-01:阪明日見@akiharu国さま
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撮影
10-00214-01:優羽カヲリ@世界忍者国さま
最終更新:2009年03月23日 20:46