動詞構文編 - 第13課
主客逆転動詞
1.文の形
これらの形をとる動詞は限られています。これについては、2.で解説します。
動詞が、使役のような意味「~が...される」で訳されるので、次のように言葉を並べていきます。
A.意味上の主語
「~は」を表す語を、文法的な目的語として(通常は文頭に)置きます。
その時に用いる形は次の2つです。
・ 間接目的格代名詞
・ a + 前置詞格人称代名詞もしくは固有名詞 につづけて 間接目的格代名詞
例) Me ... 「私は...(主客逆転動詞を用いた場合)」
例) A María le ... 「マリアは...(主客逆転動詞を用いた場合)」
B.意味上の目的語
「~を」を表す語を、文法的な主語として(通常は動詞の後に)置きます。
通常は名詞をそのまま置きます。代名詞の場合は、主格代名詞を用います。
ただし、gustarなどの動詞によっては、人を文法的主語にとることが、場合によっては好ましくないとされる場合がないとは言い切れません。辞書などで確認してください。
2.用法
この種類の形を用いる動詞は、辞書などでは、「気に入られる」といった使役的な訳であるか、「目的語は」といった注釈がつけられていることがほとんどです。
下に示す動詞は、主客逆転動詞です。また、通常の形(~が...を)で用いることはできません。
A.よい感情の動詞
gustar「~は...に好きだと感じさせる」、encantar「~は...を魅了する」、alegrar「~は...を喜ばせる」、などの動詞では、この形を用います。
gustarの後ろに用いる言葉には、esta、esaなどの指示形容詞か、冠詞をつけます。何もつけない名詞を用いることはありません。
例) Me gusta esta novela. 「私はこの小説が好きです。」(この本は私に好きだと感じさせる)
例) Me encantan los dulces japoneses. 「私は和菓子に魅了されています。」(和菓子は私を魅了する)
例) A él le alegra esta noticia. 「彼はこの知らせに喜びます。」(この知らせは彼を喜ばせる)
B.わるい感情の動詞
molestar「~は...に迷惑だと思わせる」、doler「~は...を痛ませる」、などの動詞では、この形を用います。
例) Nos molesta el humo del tabaco. 「私たちはたばこの煙が不快です。」(たばこの煙は私たちに迷惑だと思わせる)
例) ¿Te duele el estómago? 「君は胃が痛いのですか。」(胃は君を痛ませるのか)
C.その他の感情の動詞
importar「~は...を気にさせる」、interesar「~は...に興味を抱かせる」、apetecer「~の気持ちを...にそそらせる」、parecer「~であると...に思わせる」、などの動詞では、この形を用います。
例) Me no importa. 「私は気にしません。」(それは私を気にさせない)
例) Me interesa tomar la clase de español. 「私はスペイン語の授業をとることに興味があります。」(スペイン語の授業をとるということは私に興味を抱かせる)
例) A Patricia apetece hablar contigo. 「パトリシアは君と話す気です。」(君と話す気持ちををパトリシアに起こす)
例) Me parece que va a llover. 「私は雨が降ってくると思います。」(雨が降ると私に思わせる)
D.その他の動詞
faltar「~は...に欠けている」、などの動詞では、この形を用います。
例) A Miguel le faltan cincuenta dólares. 「ミゲルは50ドル必要です。」(50ドルはミゲルに不足している)