「ナルトー!そっち終わったら、こっち手伝ってちょうだい!!」
「おうってばよ、サクラちゃん!今すぐ行くってばよ!!」
「ちょっと人の話聞いてた!?そっち終わってからって言ったでしょ!!」
今日は合同任務で、川辺のゴミ拾いだった。
真夏の日差しが照りつける中、平和なほどいつもと変わらない喧騒が、川べりで響いている。
「・・・シカマル!いつまで木陰で涼んでる気なの、手伝いなさいよ」
「へいへい」
幼馴染に目ざとく言われて、シカマルはくあっと大きなあくびをして、仕方なく立ち上がった。
本当は昨晩のナルトとの稽古で疲れきっているのだが、表面には出せない。
(あいつ、容赦ねえんだもんなぁ・・・)
少しでも気を抜いたら即座に殺されかねない、怒涛のような修行だった。
だが、半年で暗部に入れるようにしてくれと、修行に手加減はしないでくれとナルトに頼み込んだのは、ほかならぬシカマルだ。
『・・・馬鹿だろう、お前。俺が、本気100%の修行を今のお前に初めからつけたら、お前、れいコンマ1秒もかからずに瞬殺されんに決まってるだろう』
『・・・』
『はじめは、30%だ。それでも慣れてくるのに一ヶ月はかかる。まあ、あとはお前次第だけどな』
30%。
それで、あのざまだった。
夜明け前に修行を終え、何度も暗転しそうになる意識をかろうじて保ちながら、虫の息で力なく地面に倒れているシカマルの傍らにしゃがみこみ、ナルトは鮮やかに笑った。
『初日で、最後までついてこれたじゃねえか』
『・・・・・・』
『途中で意識失って倒れるのが普通だからな。なかなかだぞ、お前』
これで30%かよ、と道のりの遠さに愕然ともしたが、しかし、それよりも他ならぬナルトに褒められたのが、なにより嬉しくて。
いい気になるなよ、としっかり釘をさすナルトに、そうかと笑いかけて、それから先は記憶がない。
聞きなれた目覚ましのアラーム音に起こされて、気づいたら自分の部屋で、目立つ怪我はすべて治されていた。
(あいつ、医療忍術も使えるのかよ・・・)
妙に感慨深い気持ちになって、向こうの川べりの方でサクラたちと騒いでいる金色に目をやった。
あれが、忍界最強の暗部「奏煉」の、仮の姿。
無鉄砲で、自分を省みることをせず、いつも他人のことばかり気を遣っている、嘘のように明るく正直な。
どうにも可笑しくてたまらなくなって、シカマルは漏れる笑いを隠し切れなかった。
あれの残らず全てが演技にすぎないとしたら、なんて皮肉だろう。
里の闇の全てを一身に背負わされた子どもが、間違ってもあのようにまっすぐに、天真爛漫に育つはずがないというのに。
あれは、具現だ。
害のない、頭の弱そうな無力な子ども。
九尾の子どもに対する、里の理想像。
愚かな里人どもは、その偽りの偶像を信じるあまり、当たり前のような矛盾に気づきもしない。
(だが、それでいい・・・)
せめてものあいだ、愚かな者どもに、優しい目隠しを。
利他的な太陽
最終更新:2011年05月31日 19:41