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真昼の星






死んだ人はお星様になるんだって……





























 それは、とある国のとある街のとある宿にて起きていた。





























「 なーんでっ! 俺がサスケと同じ部屋なんだってばよ!? 」



 叫ぶのは、金の髪の男の子。 元気そうでいいけれど、結構うるさいようだ。



「 それはこっちのセリフだ、ウスラトンカチ 」



 返すのは、黒い髪の男の子。 顔は涼しげに整っているけれど、口は悪いようだ。



「 どういう意味だってばよ!? 」

「 お前の言っていた意味と、たいして変わらないだろ 」

「 ムカツクってばよっ、お前!! 」

「 そうか、俺もだ。 珍しく意見が一致したな 」



 どうやら口喧嘩をしている模様。 まぁ、手が出ていないのだから、一種のコミュニケーションなのだろう。

 それを見守るのは、桃色の髪の女の子と、銀色の髪の男の人。 ……訂正、見守らずに、宿の亭主に交渉している。



「 ですが、いいんですか? 子どもだけで…… 」

「 大丈夫ですよ。 それに、他のお客さんの迷惑になったら、容赦なく外に磔(はりつけ)にしても―― 」



 何か物騒なことを言っている ―― 深くは考えないでおこう。

 そんな銀髪の男の人を見上げてから、桃色の髪の女の子は言い合う男の子たちの下へと向かった。何故か白熱してきた彼らは、自分たちの口論に夢中で気付かない。

 最初はさらりと毒舌でいなしてきた方も声を張り上げているのだから、うるさいことこの上ない。すぅっ、と息を吸ってから桃色の女の子は声を張り上げた。



「 二人とも、うるさいっっ!!! 」

「 「 っ!! 」 」



 びくっ、と二人が口論を止めた。 どうやら腕力その他は置いておいて、精神的な意味で最強なのはこの女の子らしい。

 桃色の女の子はさらに言い募った。



「 ナルト! あんたとサスケ君が同室なのは仕方ないでしょ? 里から支給されたお金じゃ、二部屋がせいぜいなんだからね。カカシ先生が、わざわざお友達のところに泊まるって言ってるのよ? 宿に泊まれるだけ感謝しなさい!」

「 でも ―― 」

「 『 でも 』 も 『 だって 』 もない! それに、私は女であんたは男。 同室に泊まるっていうのは、やむを得ずの場合以外は誉められたことじゃないわ。わかるでしょ? 」

「 ……わかるけど…… 」

「 わかるんだったら無茶言わない! それに、喧嘩してたら他の人にも迷惑でしょ。いい加減にしなさい。

 それから、サスケ君も! ナルトに付き合って喧嘩するのはやめてよね。 里の中じゃないんだから」

「 悪ぃ、サクラ 」



 黒髪の男の子 ―― サスケは、それ以上言われる前に正直に謝った。 口で彼女に勝てる道理はない、と知っているのだ。

 金髪の男の子 ―― ナルトの方は不満そうだが、彼女が正論だと分かっているのか、文句は言わない。

 桃色の女の子 ―― サクラは、彼らの様子に満足そうに頷いた。 どうせまた喧嘩はするだろうが、これで部屋割りの文句はもう出ないだろう。

 いつの間にやら、こんな状況 (サスケとナルトが喧嘩をして、サクラがそれを止める)が当たり前になっていた。



 それをカウンターで亭主と共に見ていた銀髪の男の人 ―― カカシは、こちらも満足そうに頷いてから亭主を振り返った。



「 ま、あんな子たちですから。 喧嘩してたら、サクラに言ってもらえれば収まりますんで」

「 はぁ…… 」



 亭主はなんだか不安そうな顔をしたが、彼らの宿泊を受け入れた。





























 さて。 上記の会話でわかった通り、彼らは今、己らの里にいるのではない。珍しい里外任務だ。

 とはいえ、そう遠いものではない。 里から一番近い街の隣の街で、遠くはないが、下忍である子ども三人にとって日帰りは難しい距離だ。なので彼らは任務後一泊し、それから里へと帰る。 という予定だった。

 ……いや、上記の予定に狂いはない。 ただ、例によって例のごとく遅刻したカカシと、庭の草刈任務でのナルトの怪我がなければ、もうちょっと早く終わっただろう、というだけで。

 だが、宿に泊まろう、というところで問題が発生した。

 金が、二部屋借りるだけしかなかったのだ。 ああ、悲しきは木の葉隠れの里の財政難。 ……まぁ、どこの里も似たり寄ったりだが。

 取り敢えず、唯一女の子であるサクラが一部屋。 もう一部屋に男三人は辛いから、カカシは友人の家に泊まることにした ―― の、だが。

 これに猛烈に反発したのがナルトだ。 「 サスケと一緒は嫌だ! 」 と駄々をこねる。元々彼らの仲は良くないので、こんなのも珍しくはない ―― もっとも、最近は随分と軽い喧嘩くらいだが。

 サスケは分別を持って 「 同室でも仕方ないか 」 とか思っていたが、 「 嫌だ!」 とまで叫ばれていい思いはしない。 仲間として認めつつあるだけに、嬉しくない。

 結果、彼らは口喧嘩を始め、いつものごとくサクラに止められたのだった。



























 彼らを送り出してから、サクラはため息をついた。

 サクラはサスケが好きだ。 格好いいし、成績もいいし、強いし、里の女の子の憧れだ。

 そんなサスケと同期で下忍になって、しかも同じ班になれて。 サクラはすごく嬉しかった。 自分に鬱陶しく付きまとうナルトというオプションが無ければ、なお良い。

 ―― そう、思っていたのに。



( そりゃ、ね……メルヘンゲットーッ! とかいうのも、そうそう有り得ないだろうなぁ……とか、思ってたけどね…… )



 だけど。

 だけど!

 何が悲しくて、好きな男の子を怒鳴れるようになってしまったんだろう、自分は……。



( サスケ君はナルトと喧嘩ばっかりしてるし…… )



 自分と話すより、ナルトと喧嘩している方が多い気がする。 ―― きっと気のせいじゃない。

 はぁ、とまたため息をついてから、サクラは自分に割り当てられた部屋へと向かうのだった ―― 。





























 室内は沈黙の只中にあった。 ―― 寝ているのだから当たり前だが。

 ナルトは布団にくるまりながら、眼を閉じていた。 閉じているだけで、眠ってはいない。



( …………やっぱ、眠れないってばよ…… )



 だから、サスケと同室は ―― いや、誰かと同じ部屋で寝るのは嫌だったのだ。疲れきっていない限り、瞼はちっとも重くならない。

 こんなだと明日サクラに怒られて、カカシとサスケには呆れられるだろうから、サクラとサスケが同室になっても我慢しよう、と思ってわがままを言ったのに……。

 結局意見は切り捨てられ、ナルトはサスケと同じ部屋で寝ている。

 開け放たれた窓から、夏の夜風が入り込む。 今日は風があって良かった。 熱帯夜で、しかも眠れないなんてすごく嫌だ。



( えーっと…………羊が一匹……羊が二匹…… )



 古典的だが、一応試してみる。 しかし、百を数え、ナルトは諦めた。 余計に眼が冴える。



 と ――



 すぐそこのベッドから、サスケが起き上がるのが見えた。 なんとなく起きていると気付かれたくなくて、ナルトは寝たふりをする。

 しかし、サスケは元から興味がないのかナルトに注意を払わず、そのまま出て行った。



( ………どうしたんだってばよ……? )



 トイレか、とも思ったが、一瞬明かりに照らされて見えたサスケの横顔は、なんだかそういう感じではなかった。なんだか、もっと真剣な顔をしていて……。

 なんなんだろう、と考え始めると、体がうずうずした。 ここで寝転がっているのがばかばかしくなる。サスケの後を追ってみたくなった。

 何があるのだろう、何かあるのだろうか、と考え始めると、もう好奇心は抑えられない。



 ナルトは布団を方って、そうっと外へ出た。





























 サスケは昼間に見た野原へと来ていた。 草刈をした庭から少し離れたところにある、割と広い野原だ。

 そこにすとんと腰を下ろす。 見るともなしに空を見上げ、満点の星を無感動に見つめた。



「 ………… 」



 足を抱え、ぼんやりと空を見上げる。

 今夜は、どうにも眠れなかった。

 原因は、ナルトとサクラだ。



 彼に、彼女に、愛想をつかされはしないか。



 そんな、自分でもばかばかしいことを思ってしまった。

 それはた易く不安となって、彼の心を覆った。



 愛想? つかされるも何も、自分は最初から嫌われている。 ナルトはいっそ清々しいほどだし、サクラだって、自分を「 好き 」 だなんて本気では言っていないんだ。

 自分は 「 復讐者 」 だから。 だから、何も、守るものなんていらない。 そう思って、行動して。けれど、ふとした拍子に己の孤独に気づく。

 孤独 ―― というか、己が遠ざけた、己から遠ざかった、 「 温かさ 」 がないことに気付くのだ。そして、己がそれを欲していることにも気付く。



 こんなことでは、イタチを殺せない。



 そう思っても、己の中の喪失感とも言える 「 穴 」 は、ふとした拍子に己を苛(さいな)む。

 ナルトと喧嘩をしている時は、そうは思わない。 「 喧嘩 」 なんて形でも、その時は自分とナルトは確かに繋がれている。

 サクラに叱られたり相談されたりしている時も、思わない。 叱られるときも繋がれている。相談される時など、彼女から必要としてくれている。

 だから、思うのは、一人になった時。 二人だけが会話している時。 喧嘩の直後。

 ちょっとした寂しさ。 疎外感。 頭が冷えた時。

 どうしても、不安を覚えてしまうのだ。 彼らが、いなくなってはしまわないか、と。彼らが、自分に愛想をつかして、いなくなってしまうのではないか、と。

 けれど、優しくなんて出来なくて。 口を開けば憎まれ口。 口に出さなくても、態度と雰囲気で周りを遠ざけて。自分からそうしているのに、ふとした拍子に感じる寂寥(せきりょう)を持て余す。



 そんな弱い自分が嫌いだ。

 自分はもっと強くならなくてはいけないのに。

 強くなって、イタチを殺して、一族を復興させる。

 それが夢。 他の何もいらない。



 そう、思っているのに ―― 。



 それでも、やっぱり、寂しい。































 それから、どれくらい経った頃か。



「 サスケ、何やってるんだってば? 」

「 !? ……ナルト……サクラ…… 」

「 何? サスケ君。 いくら夏だからって、こんなところにいたら風邪ひいちゃうわよ」



 心なしか頬を上気させて、サクラが言った。 ナルトもうっすらと汗をかいている気がする。



 もしかして、探してくれたんだろうか ―― ?



 ふとそう思ったが、そんなことあるはずがない、と切り捨て、サスケは問いかけた。



「 どうしたんだ? 」

「 へ? あ、えっと…… 」

「 ちょっと眼が覚めちゃって。 そしたら、星が綺麗だったから外に出たの 」



 サクラが笑って答え、そしてサスケの斜め後ろ辺りに座った。 ナルトもサスケの隣に座る。



「 ここ、星綺麗ねー…… 」

「 ……ああ 」



 そうして会話もないまま、数分が過ぎて。



「 そういえば、死んだ人の魂は星になる、って聞いたことあるってば 」



 不意にナルトが言った。



「 え? ああ、よく言うわね 」

「 ……イルカせんせーがさ、お父さんが死んじゃった子に、 『 お父さんは星になって見守ってくれてる』 って感じのこと言ってさ……。

 俺ってば、それまで、死んだ人は星になるって知らなくてさー……イルカせんせーに『 本当なの? 』 って聞いたら、 『本当だったら嬉しくないか? 』 って言われて…… 『 ずっと見守ってくれてるんだぞ 』 って言われて……。一応頷いたけど……さ…… 」



 ぎゅっと足を抱えて、ナルトは訥々(とつとつ)と語った。

 サスケは、そういえばそんなこともあったか、と思った。 周囲はどうでも良かったが、父が死んだと、そう言ってわあわあ泣き出したクラスメイトに、イルカがそんなことを言っていた気がする。

 サスケもサクラも、ナルトが何を言いたいのかわからなかったが、邪魔することなく聞いていた。



「 でも、 『 いつも 』 って言ったって、夜しか星は見えないし。 けど、イルカせんせーには言えなくて。その時、なんだか悲しかったの覚えてるってば。

 夜見守ってくれても、昼は見守ってもくれないのかなー、って…… 」



 誰が、とは聞けなかった。 きっと、彼の両親のことだろうから。

 両親がいないナルトの言葉には、重みがあった。 自分のそれとは比べ物にもならない孤独を感じて、サスケはなんだか自分が恥ずかしくなった。

 そして、空を見上げる。 この、たくさんの星。 死んだ人間は星になる、なんて信じてはいないが、もしそうなのだとしたら。

 夜だけ現れて、見守って。 昼は隠れて、見守ってもくれないのだろうか。 父母は。一族の皆は。

 そう思うと、無償に物悲しくなった。



 と ――



 ぎゅっと、背後から抱きしめられた。



「 ……サクラ? 」

「 サクラちゃん? 」



 サクラが後ろから、サスケとナルトに腕を回して、抱きしめるような、抱きつくような形になっている。

 それからサクラはナルトを見て、優しく笑って言った。





「 バカねぇ、ナルト。 アカデミーの授業、聞いてなかったの? 星はね、昼でもあるのよ」





 優しく、優しく ―― 母が子に言い聞かすように、サクラは言った。





「 太陽の光が強すぎて見えないだけ。 昼にでも、星はあるのよ。 見守ってくれるのは、夜だけじゃないわ」





 ぎゅっと、回す腕に力を込めて。





「 それにね、ナルト。 たとえ、星が見守ってくれなくても ―― 」





 そう言って、サクラはサスケを見て、ナルトを見て、夜空を見上げて、言う。





「 私たちがいるでしょう? 私も、サスケ君も、カカシ先生も、イルカ先生も。みんないるじゃない。

 私は、ナルトのこと好きよ? 最初は嫌いだったけど、今は好き。 サスケ君も、カカシ先生も、皆、仲間だと思ってるもの。寂しくなんか、ないでしょう? 」





 ナルトの顔を覗きこんで、サクラが返答を迫る。

 ナルトは顔を泣き笑いの表情にして、 「 うん 」 と言った。



 それを見て、サスケは星を見上げる。

 彼女の言葉は、サスケの心にも届いた。



『 私たちがいるでしょう? 』



 ああ、そうだ。 サクラがいる。 ナルトがいる。 カカシだっている。



『 寂しくなんか、ないでしょう? 』



 ああ、そうだ。 寂しくなんかない。 一緒にいる。 彼らがいる。

 それに、サクラは自分のことを好きだと言ってくれた。



 疑う前に、信じてみようか。



 なんとなく、そんな気持ちになった。

 ナルトだって、喧嘩ばかりしているけれど。 以前より、ずっと話しやすくなった。ナルトが話しかけてくることもある。 以前よりいい関係を作れている。

 サクラだって、こんなにも優しいことに気付いた。 自分のことも気にかけてくれている。それに、彼女は嘘をする性格ではない。 自分を疎ましく思っているなら、それなりの態度を示すだろう。 ―― かつて、ナルトにそうしていたように。



 なんだか、心が軽くなった。





























 父さん、母さん、見ていますか?

 これが俺の仲間です。 初めての仲間です。

 あなたたちのことを、忘れたわけではないけれど。

 兄と呼ぶも忌まわしい男への憎悪を、忘れたわけではないけれど。

 大切なものなんてもう作らないと、心に決めていたけれど。



 けれど、これが、俺の大切な仲間です。

 俺なんかに出来た。初めての、誰にでも誇れる ―― 大切な、仲間です。





























「 でも、そういえば 」

「 ? 」



 抱きつくような姿勢のまま、サクラは今思いついた、というように言った。



「 死んだ人は蛍になる、とも聞いたことがあるわ 」

「 ほたる……? って、あの、光るやつ? 」



 首を傾げながらナルトが問う。 反射的に 「 それ以外で蛍っているのか? 」なんて憎まれ口をたたきかけて、すんでのところで思いとどまる。

 こういうところがいけないのだ。そう簡単に治るとも思えないが、努力はするべきだろう。 ……大した成果は望めなくても。



( けど、……蛍、か…… )



 蛍の命は短い。 今が蛍の旬 (?) だろう。

 蛍が一気に飛んでいるところなど、思わず息を呑むほどに素晴らしい。 緑の光が河のようで、本当に綺麗だ。



「 俺ってば、蛍って見たことないってばよ。 ……サクラちゃん、蛍ってどこにいるの?」

「 え? えーっと……綺麗な川にいるわ。 って言っても、夜に光ったところじゃないと、昼に見ても蛍だってわからないわよ、きっと」

「 確かにな。 蛍は光るところが印象的で、だからこそ人目に止まったのだろう、と言われている。光らなかったら、おそらくはマイナーな虫だっただろうな 」

「 ふーん……。 綺麗な川……か…… 」



 思案するナルトに、サスケがなんだか不安を覚えたところ、サクラもそうだったらしい。



「 ナルト……? あんた、何考えてるの……? 」

「 え? んーっと、夜に森の中に入っていったら見れるかな、って ―― 」

「 「 止めておけ ( おきなさい ) 」 」



 異口同音にサスケとサクラが言う。 夜に、森に入る? 冗談じゃない、遭難するつもりか。蛍のいるようなところだと、森の中でも奥になるのに。

 そうサクラが説明するが、ナルトは頬を膨らませた。



「 俺、蛍見たいってばよ! 」

「 写真で諦めなさい。 確か、図書館にあったはずだから 」

「 えーっ! 」



 二人のやり取りを聞いて、サスケはあることを思った。 だが、それを言うのを躊躇(ためら)う。 今まで、誰にもこんなことを言ったことがない。 だが、言うなら今しかないだろう、と思って、サスケは口を開いた。



「 そんなに見たいなら ―― 」

「 え? 」

「 家(うち)に来るか……? 今なら、家の裏の河にいるはずだから…… 」



 以前、家族で見た蛍は、緑の河のようだった。

 記憶をあさっても、自分が他人を家に招いたことなどない。 なんとなく気恥ずかしく思いつつ言うと、ナルトの顔がぱっと明るくなった。



「 いいのかってばよ!? 」

「 いいの、サスケ君? 夜なのよ? 」

「 ああ……。 なんなら、泊まっても構わない 」

「 やったーっ! 蛍、蛍っ! 」

「 ね、サスケ君、私もいい? 」

「 構わない 」

「 じゃ、次のお休みね! 」



 サクラも嬉しそうに笑い、約束、と言って小指を立てた。 まずサスケの小指にからめて、ナルトにもからめさせて、「 ゆびきりげんまん 」 を歌う。

 こんなことをするのはいつぶりだろう、と考えているうちに、指が離れる。

 温もりが離れたことを惜しく思いつつも、ナルトとサクラと、初めて交わした約束に、なんとなく心が温まった。





























「 ……うちの班の子たちは、なんでこんなところで寝てるのかねぇ…… 」



 野原で寄り添うように寝ている三人を見て、カカシは布団をかけ、その隣に座り込んだ。

 友人には、彼らをみかけた時点で宿泊の取り消しを言っておいた。 いきなり 「 泊めてくれ 」 を言ったくせに、と詰(なじ)られても仕方ないものだったが、軽く説明するとあっさり許してくれた。



 それにしても、なんと安らかな寝顔だろうか。 こちらまでも心が温まる。



 子どもって不思議だなぁ、なんて呟く。 夏とはいえ、夜に野原で寝ていては、風邪をひきかねない。彼らが身じろぎする度にズレる布団を直しつつ、カカシは彼らが目覚めるまで、彼らをすぐそばで見守り続けた。








後書き

 以前から、10万打に狙っていた作品。ゆえに、溜まっているキリ番差し置いて先に UP です(こら)。
 最初はこのような、サスケの孤独というかモノローグというか……じゃなくて、ただ単に、「星は昼にもある」というネタを書きたかっただけなんですが……こうなりました。
 テーマは「七班の絆(サスケ中心)」? でしょうか?(訊くな)

最終更新:2011年11月11日 19:53