大塚龍蔵著「高層天気図の利用法」より抜粋
※気象予報士試験ではこれらをすべて理解する必要はないはずです。が、理解できるようになると天気図がより楽しめるはずです。
台風に関して
- 平均等高線が袋状になっているときや、ループ上になっている近傍に台風が存在しているときは、台風の動きは複雑な迷走型で予報が難しい。
- 平均等高線によって示される偏西風の南限は、等圧面天気図に見られる亜熱帯高気圧の尾根に対応しており、転向の目安となるが急速に転校する台風に対しては役に立たない。
- 転向後、日本付近を北東進する台風は、向こう24時間は平均等高線によって施行される流れに非常に良く乗る。この場合、平均等高線にほとんどへ以降か、図107に示したように20~30度の角度で平均等高線を切って北東進し、台風の進行前面の気圧の尾根が強化されるとさらに北上傾向を増加する。
雷雨予報上の着眼事項
- 雷雨が発達するには潜在不安定の厚い成層が必要で、この成層気流に対する地形、前線、風速の垂直方向、水平方向の速度差などの干渉の程度による不安程度の増大
- 寒気の移流の高さ(5~7km)と速度および寒気塊前面に形成される前線の傾斜と寒気の流入方向
- 雷雲の集積地域の補足
- 上、下層の気温、湿度などの偏差値
- 上層の寒気の移動に対する下層の暖気の移流状態
- 局地天気図による地形性の低気圧や前線の検出および雲の分布状態
- レーダによるエコーの強度、高度、移動、消長、静止気象衛星による対流星雲の発生状況、その移動、消長などを上げることが出来る。
さらには、
- 特定観測点の気温の変化量
- 早期の垂直上昇雲(雄大積雲、積乱雲)の発生
- 天気図の天気分布の推移(にわか雨や雷雨の域の推移)
- 850hPa以下の下層の暖気、500hPa以上の上層の寒気の流入状況
- 断熱図による状態曲線から見た大気成層の安定、不安定の算定などに着目する必要がある。
温帯低気圧に関して
- 地上低気圧の西方で500hPaの谷が深いとき、または深くなりつつあるときは低気圧は発達する。
- 500hPaの気圧の谷の西方に、寒気が入り込んでいるときは谷は深まり、低気圧も発達する。この場合、地上の低気圧の上空500hPaの風速が大きい(50ノット以上)と低気圧の発達の度合いは大きくなる。
最終更新:2010年01月23日 16:01