単独

『お弁当』

  • 1回目
〇〇(今日は天気もいいし、屋上でお昼食べようかな)
男子A「チキショー! また海老フライ食われた!」
男子B「ハハッ! そりゃ、アイツに海老フライなんか見られたオマエが悪い。」
男子A「でもよ、今日のメインのおかずだったんだぜ?」
〇〇「……?」
〇〇「あ、琉夏くん。」
琉夏「〇〇ちゃん。これからお昼?」
〇〇「そうだよ。屋上で食べようかと思って。琉夏くんも?」
琉夏「俺? 俺は食事中。」
〇〇「???」
琉夏「それさ、お弁当? 俺も、一緒に行っていい?」
〇〇「もちろん。……でも、琉夏くん、手ぶらみたいだけど。」
琉夏「今月厳しくて。俺、飴ちゃん持ってるから、なんかと交換して?」
〇〇「ふふっ、いいよ? じゃあ、屋上に行こう?」
琉夏「いいね。屋上には、色んなお弁当があるからね。」
〇〇(もしかして、さっきの海老フライの人……」
  • 2回目
〇〇(はぁ……屋上は気持ちいいな!さて、お弁当を――)
???「だから、飴ちゃんと交換だってば。」
男子A「飴はおかずになんねぇんだよ!」
〇〇「あ、琉夏くん!」
琉夏「〇〇ちゃん。」
男子A「助かったぜ!」
琉夏「逃げられた……」
〇〇「この間からなんかおかしいと思ったら……お腹すいてるなら、お弁当わけてあげるよ?」
琉夏「ホント?」

琉夏「ごちそうサマ。」
〇〇「お粗末さま。もう人のお弁当、ねだっちゃダメだよ?」
琉夏「面目ない。」
〇〇「ちゃんと反省してる?」
琉夏「してる。でもすごくウマかった♡」
〇〇(ハァ……琉夏くんって憎めない……)
  • 3回目
〇〇(琉夏くん、今月もピンチって言ってたからお弁当多めに持って来ちゃったけど……)
〇〇「あ、琉夏くんいた!」
女子A「ルカ君、わたしのカキフライと飴ちゃん交換して♡」
琉夏「カキフライ……」
女子B「こっちはアジフライだよ♡」
琉夏「アジフライ……」
〇〇(なんか割り込みづらいかも……)
琉夏「あ、〇〇ちゃん」
〇〇「ああ……琉夏くん?」
琉夏「お弁当、大きいね? もしかして、二人分?」
〇〇「えぇと……ほら、わたし食いしん坊だから?」
琉夏「海老フライの匂いがする……飴ちゃんと交換して?」
女子A「えぇ~! わたしも海老フライにすればよかった!」
女子B「あぁん、そっちだったか!」

琉夏「ごちそうサマ。」
〇〇「お粗末さま。琉夏くん、相変わらずモテモテだね?」
琉夏「まあね。でも、さすがに女子のお弁当取っちゃうのはね。」
〇〇「一応、わたしも女子なんだけど?」
琉夏「知ってる。ハァ……海老フライ、ウマかった♡」
〇〇(やっぱり憎めない……)

複数

『氷室と数学』琉夏・氷室

  • 1回目
〇〇(そろそろ朝のHRかな)
琉夏「〇〇ちゃん。」
〇〇「あ、琉夏くん、おはよう!今日は遅刻じゃなかったんだね?」
琉夏「今日はセーフ。ちょっと飛ばし過ぎたけどね。」
〇〇「あっ! またバイク? 安全運転しないと――」
琉夏「!! 俺、行かなきゃ。」
〇〇「え? あ、琉夏くん!」
???「待ちなさい。」
琉夏「イタタ、耳……ヒムロッチ、耳……」
〇〇「あ、氷室先生。おはようございます。」
氷室「おはよう。」
琉夏「すいません。」
氷室「桜井、なにを謝る。後ろ暗いことがあるのか?」
琉夏「えぇと、まあ、色々とありま――」
〇〇(琉夏くん!)
氷室「“ありま”?」
琉夏「すん。」
氷室「なんだそれは……まあ良い。君にぜひ聞きたいことがある。前回の期末考査で――」
〇〇「あっ、琉夏くん!?」
氷室「まてっ! ここは2階だっ!!」

琉夏「ハハッ! また会おうっ!」
〇〇「……逃げちゃいましたね。」
氷室「なんたる野生児……2階から飛び降りて、怪我も無しか……何故だ?」
〇〇「えっ? それはですね、えぇと……ヒーローだから?」
氷室「ん?」
  • 2回目
???「俺、カンニングなんてしないよ?」
〇〇(……あれ? 琉夏くんと氷室先生だ……)
氷室「それはそうだろう。“問X”を解いたのは、君だけだ。」
〇〇「えぇ!? 琉夏くん、解ったの?」
琉夏「あ、〇〇ちゃん。」
氷室「ん?」
〇〇「あ、すみません! でも、“問X”って、いつも答案用紙の最後にある、絶対解けない超難問……」
氷室「絶対に解けない問いなど無い。しかし、高校数学の範囲ではないから、点数には反映しないことにしている。」
〇〇「ルカ、すごい……」
琉夏「もっと言って。俺、算数得意。」
氷室「しかし、どうにも腑に落ちない点がある。“問X”に限らずだが、君の答案用紙には、裏面や余白に全くメモ書きが見当たらない。」
〇〇「へぇ……そうなの?」
琉夏「まあね。」
氷室「何の躊躇もなく、いきなり解が書かれているように見える。……どういうことだ?」
琉夏「それは……」
〇〇「うん……」
琉夏「シャーペンの芯が、もったいないから。」
〇〇「?」
琉夏「結構高いんだよ、芯。」
氷室「……なるほどな。よくわかった。行ってよろしい。」
〇〇「???」
琉夏「そんじゃ――」
氷室「そうだ、桜井。」
琉夏「ん?」
氷室「シャーペンの芯を使うに値する問題をすぐに用意しよう。楽しみにしていなさい。」
琉夏「ゲェ……当たったのに宿題出された……」
〇〇(琉夏くんって、やっぱりすごいんだな……)
  • 3回目
???「フム……君の見解は?」
???「うん……あれでもいいけど、もっと確実な方法がある。多分ね。」
〇〇(あれ? 琉夏くんと氷室先生)
氷室「何故そう思う?」
琉夏「途中まで読んでて……なんかね、わかるんだ。先に答えがわかった。」
氷室「いつも、そうなのか?」
琉夏「まあね。答えが分かる時は、いつもそんな感じ。」
琉夏「ガラスの迷路に立って目を凝らしてると、出口がクリアに見えて来る。」
琉夏「そうすれば後は、出口を見失わずに歩けばいい。」
氷室「フム……非常に興味深い。」
琉夏「でも、俺。大学なんて受けないよ?」
氷室「よろしい。それでも君はやはり万難を排してその才能を開花させる義務がある。」
琉夏「なんか、メンドクセーの。」
氷室「君に紹介したい人物がいる。教授も破天荒な人物だが、恐らく君とはウマが合うだろう。」
琉夏「教授?」
氷室「そうだ。近所の高校で教鞭をとりながら、一流大学でも教えている。」
琉夏「だからさ、大学へは――」
氷室「時間をかけて決めれば良い。しかし興味が沸いたらいつでも相談に乗る。以上だ。」

琉夏「……あれ? 〇〇ちゃん。」
〇〇「琉夏くん、ゴメン、立ち聞きするつもりじゃなかったんだけど……」
琉夏「いいよ。」
〇〇「進路の話?」
琉夏「進路? 俺の進路は、ヒーローだよ?」
〇〇(琉夏くん……)

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最終更新:2023年04月23日 22:30