琉夏「やっぱさ、いいよ、動物園は。」 〇〇「琉夏くん、楽しそうだったね?」 琥一「ガキの頃からだ。なにがいいんだ?」 琉夏「なんだろうな……こう、血わき肉躍るじゃん?」 琥一「踊んねぇよ。」
琥一「動物見てると、時どき人間くせぇのがいんだろ。」 〇〇「あ、わかるわかる。」 琥一「妙にオッサンぽかったりな。そういうとこが、面白くねぇこともねぇな。」 琉夏「わかってきたな、コウ。30点やる。」 琥一「30点かよ?やりがいねぇなオイ……」
琉夏「コウ、金持ちになったらどうする?」 琥一「あ? なんの話だ?」 琉夏「俺なら家から学校までジェットコースター引くね。」 琥一「おぉ、そりゃ悪かねぇな。」 琉夏「〇〇ちゃん、どう?そしたら、遅刻はなくなるよ?」 〇〇「余計寝坊するだけだと思う。」 琉夏「あ、なるほど。」 琥一「確かにな。」 〇〇(ねぼすけ兄弟め……)
琥一「ところでオマエらなぁ……もうちっと、大人しく出来ねぇのか?」 琉夏「出来ないね。遊園地だぜ?」 〇〇「琥一くんももっと楽しめばいいのに。」 琥一「ハァ~ア……この歳でオヤジの偉大さがわかって来たぜ……」
琉夏「なんかさ、アレだな。」 〇〇「なに?」 琉夏「遠足の帰り道、思い出す。」 琥一「確かにな。」 〇〇「じゃあ、家に着くまでが遠足だね?」 琉夏「はぁい。コウ、先生の言うこと聞けよ?」 琥一「バカ。」
琥一「よう、ルカ。」 琉夏「ん?」 琥一「遠足で行ったことあったな。秋の山。」 琉夏「あぁ、あった。コウ、カード付きのガムばっか買って、当日は俺のお菓子喰ったよな?」 琥一「くだらねぇこと覚えてやがんな。」 琉夏「返して?」
琉夏「〇〇ちゃん、寒くない?」 〇〇「平気。琉夏くんは?」 琉夏「寒い……すごく寒い……」 琥一「ビッとしろ。さっきまで一番はしゃいでたろうが。」 琉夏「だって、もう雪ないじゃん……」
琥一「おい、腹減んねぇか?」 〇〇「え!? ラーメン二杯も食べたのに?」 琉夏「コウには胃袋がたくさんあるからね。」 琥一「牛か。」
琉夏「天守閣ってさ、高いとこに作るじゃん。なんで?」 〇〇「う~ん……権威の象徴とかかな?」 琉夏「あぁ、そうか……なんだ。」 琥一「殿様がみんな高いところが好きだと思ってたんだろ?」 琉夏「まあね。ちょっとだけ……」
琥一「下克上か……」 琉夏「コウ、まだ考えてたの?」 琥一「まあな。殿様もいいけどよ、なんのかんのとメンドクセーかも知れねぇ。」 〇〇「普通が一番だよ。」 琥一「まあ、そういうことだ。」 琉夏「だな。」
〇〇「そう言えば、あの牧場って、いついってもあんまり人がいないね?」 琉夏「あぁ、会員制だから。言わなかったっけ?」 〇〇「そうなんだ! もしかして、琉夏くん達の家、お金持ち?」 琉夏「どうなの?」 琥一「あ? まぁ、そこそこ稼いでんじゃねぇか? あのオヤジは。」 〇〇「そうだったんだ……」
〇〇「牛の赤ちゃんって、毛が柔らかくて可愛いんだね?」 琥一「まあな。……そう言や、よう、ルカ。」 琉夏「ん?」 琥一「最近、牛肉喰ってねぇな。」 琉夏「高いからね。夕飯、牛丼にする?」 〇〇「ハァ……やだやだ……」
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