いつしか千尋の両足からは緊張の糸が切れたのか力が抜けていて、最初の頃よりもその全貌を見せていた。
 神乃木は親指で微かにいじっていた突起物を、本格的に親指に当て、ぐりりと弄んだ。
「いっ、あ、あはあぁぁあぁっ!!」
 がくがくと身体を震わせ、千尋の嬌声が部屋中に響き渡る。
「はあはあ……は、ぁ…」
 とろけてしまいそうなほど潤んだ瞳で、千尋は目の前にいる彼に甘い吐息を掛ける。喘ぎの混じったその息は、神乃木の事をまるで求めているかのようである。
「う……荘龍さん…」
 神乃木はゆっくりと千尋の膣内から指を引き抜いた。粘液が神乃木の指にまとわりつき、てらてらと淡く光に反射していた。
 先ほどと変わらずくたりとした格好のまま、それでも千尋はこれ以上に無いくらい頬を高潮させて、神乃木の事を愛しそうに、そして妖艶に見詰めてきている。
 その表情に、高まる鼓動が抑えきれない。そうなってしまうと、理性よりも身体が動き始めてしまった。
 神乃木は千尋の唇に、今一度己の唇を重ねる。
「ん………」
 熱い。
 顔だけでなく、千尋が、唇も、頬も、手も、指先も……全てが熱い。
 漏れる声すら、神乃木を求めているとしか思えない。
 そっと、影が離れる。
「………千尋…」
 神乃木は千尋の事を呼ぶ。そしてそのまま、横たわっている身体に覆い被さった。神乃木はモノを取り出すと、濡れそぼり、ひくひくと震えている千尋の聖域へとあてがった。
「ふ、うく…っ…」
 部分的にこすれ、千尋はうめき声を上げる。その声も、妖艶に感じられるほどだ。
(…早く……千尋の膣内へ…)
 高ぶる感情に身を任せ、神乃木はあてがったモノを内部へと進入させ始めた。
 にじゅりっ、ぐじゅっ、ぷちゅんっ……卑猥な音は続く。
「あっあっ、くふぅんっ…あう、っは…あはああぁぁぁっ」
 断続的に響く千尋の甘い声。
 粘液にまみれぬめりを伴っている肉壁が、神乃木のモノを狭いながらも受け入れ、官能を刺激する締め付けを送る。太く、血液もそこに集まってしまった今の神乃木のモノでは、進めるのが困難である。
 だが、神乃木は半ば強引に千尋の最奥までモノを突き進めた。
 ずくんっ!
 何かを突き破るような感覚。それと同時に皮膜が裂かれ、痛みに赤い涙を流したものが、千尋の白い太股の間から流れ出した。
 処女喪失。
 千尋の妖艶さに、神乃木はすっかり千尋がこうした行為をした事が無い事を忘れてしまっていた。だが今となってはアフターカーニバル…後の祭りだ。
「う、うぅっ……!」
 千尋の方はと言うと、やはり喪失の痛みに顔をしかめていた。痺れた思考には、今は快楽と痛みしか浮かばない。だが、やがてそれも快楽に押し潰される。
「やうっ……んんっ、あ……うくぅっ……」
 息が詰まりそうな苦しさを確かに感じているはずなのに、千尋にはそれ以上の快楽しか頭に残らなかった。
 白くしなやかな腕が、神乃木の首に巻きつく。そのまま離さぬようにと、千尋はしっかりと神乃木に抱きついてくる。
 下半身はすでに、雄と雌の絡みつきによる滴り落ちる雫が寝床にしみわたり、軋む寝床の音と互いの性器の接触による淫猥な音で、満ち溢れていた。
「かは…ぅ…んんっ…」
(もっともっと高まらせて…そして、膣内に……)
 思ったのはどちらの方であろうか。
 目の前の男が動くたび、千尋には堪えがたいほどの快楽が走った。
 目の前の女が喘ぐたび、神乃木には気の遠くなりそうな締めつけが起こった。
 快楽に任せて千尋は腰をいつの間にやら揺らし、神乃木の動きに合わせてくる。淫らに開いた肢体は、快楽の揺れにびくびくと震え、その快楽を逃さないように決して閉じようとはしない。
 神乃木は激しい動きに揺れ動く乳房に舌を這わせ、艶やかな桜色をしたその先端を口に含み、舌先でざらりと刺激を与える。
「いっ、ああんっ!」
 生温かい舌の体温。
 決して堅くないものの、決して柔らかくも無い、まるで軟骨のような堅さの舌。
 その舌が、千尋の乳首の窪みまで舐め回す。
「ふぅっ、うんっ……ぁっ…」
 目を閉じ、まるで苦痛に耐えるかのような表情をする千尋。
 だが神乃木には分かっている。
 これは千尋にとって決して苦痛ではないと言う事を。
 それが証拠に、美しい裸体にはいつしか、上がった体温のためか透明な汗の雫がじんわりと浮かび上がっていた。
 神乃木は唇を千尋の胸から離すと、じっと千尋の表情を見詰めた。
 千尋の息は荒い。
「はっ、は…ぁ……ぁぁっ」
 いやいやと首を横に振り、襲い来る快楽に飲み込まれすぎまいとする千尋。だが、その行為とは裏腹に、胎内も、肢体も何もかもが快楽に溺れ、蜜で潤った雌の花は、今か今かと実を結ぶ時期を求めているかのよう。
 神乃木の肉棒も、もはや膣にその熱いたけをたっぷり注ぎこみたいと要求している。
 神乃木の痺れた理性では、その本能を抑えきれない。
「中、膣に…出すぞ……っ!!」
 その言葉の意味を、理性が止められるはずも無く。
 千尋の返事も待たずに、神乃木はたぎった欲望を自身のモノから千尋の膣へと勢い良く放出した。
「い…ぁ、ひぃんっ!」
 びゅるっ、ぐぢゅっ、ぢゅぱっ!!
 どぷどぷと弾け跳ぶような勢いで、『彼』の先端から出た精液が彼女の膣内を犯す。
 千尋の腰が、注がれる液の脈動に合わせてがくがくと震える。
 そんな彼女の腰を、神乃木は手で引き寄せて自分の腰に、モノに打ち付けさせる。決して彼女がたったの一滴もこの欲望を取りこぼさないように。
「あう、ああぁっ」
 虚ろな瞳で、自身の秘部に目を向ける千尋。
 今こうしている間にも、千尋の膣に叩き込まれた精液中の精子が、結びつく事が出来るのであればとまるで野獣のごとく、(時期的に危険日周辺であれば)千尋の最奥にたたずんでいるであろう卵子を探しているだろう。
 そして卵子を見つけ、その中に入ろうと必死に外壁を突き破ろうとする精子。まるで処女膜を突き破ろうとする肉棒のごとく。
 何とも淫猥な想像である。
 だが、これだけしても先ほどから高揚した鼓動は落ち着きを取り戻せない。それどころか、更に性器が硬く熱くなっていく。
(クッ…こりゃあ、最高の『器』だぜ)
 そんな器と出会えたことに歓喜し、神乃木は再び千尋の腰をつかみかかる。
「きゃっ…あ、んっ。荘竜、さぁんっ……!」
 その荒々しさに、千尋は先ほどの慈愛の表情から妖艶な、そして淫猥な表情へと変わっていく。
 堕天使、と言う言葉がぴったりだった。
 パンッ、パンッ、パンッ!
 先ほどよりももっと荒く、もっと性急に神乃木は腰を打ち付ける。耐え切れず接合部分からは精液がぐちょぐちょと流れ出てきた。
 その液体が、女性器の窪みを伝い、やがて菊門にまでたどり着く。
「あンっ、あ、つい……っ、ふ、はぁああっ!」
 千尋は目を閉じ、体をこわばらせる。その様子を見て、神乃木が腰の動作を止めた。
「何だ千尋、感じてんのか? しかも後ろの穴で」
「っっっ!」
 神乃木からの言葉に、千尋は赤面する。
「そんなに後ろで感じてるんなら……っ!!」
 一気に接合部分からぬ゙ぶっと自身を引き抜いた。たまらず、そこからは白濁色のゲル状のものが溢れてくる。
 そして、千尋の腰に当てていた手を、神乃木は動かして千尋を仰向けからうつぶせにさせる。
「ちょっ、荘龍さんっ!!」
 静止の言葉も聴かず、神乃木は棚から避妊具を取り出すとパチンと装着した。そしてそのまま不浄の穴に性器をあてがう。
 避妊具特有のぬめりに、千尋の臀部がぴくりと痙攣する。
「だ、駄目……そんな…」
 いやいやと顔を振る千尋を見ないふりをし、神乃木はその穴に性器の先端をうずめる。
 息が詰まりそうな圧迫感と異物感。
「いっ、いやぁっ……そんな所、無理……あぅんっ!!」
 必死に身をよじらせて逃げようとするのを、神乃木は腰に当てていた手でがっちりとつかみ、逃がさない。
(やっ……お、お尻に、荘龍さんが……あぁっ)
 その背徳感。たかだか前の穴から後ろへと変わっただけでも、ここまで感じ方が変わるものなのか、と思った。


<スレにて連載中>
最終更新:2006年12月12日 22:25