「良い反応じゃないか」
陰湿にそんな事を言いながら、王都楼は由利恵の耳たぶを甘噛みする。
「うっ……イあはぁっ」
甘噛みされ、ぶるりと由利恵は身体を震わせる。その反応があまりにも妖艶なために、王都楼は
無意識の内に指を深くまで貫き進もうとし、指先の感覚に集中する。
王都楼の行為は由利恵の事を高めるだけでなく、王都楼自身にもその高まりが現れてきていた。
身を寄せていた由利恵が、急に赤面する。
「慎吾……その・・…」
王都楼は「ん?」と言った顔になったが、彼女の視線を辿り、それが何処を見ているのかを
知った時、「ああ」と言った顔をした。
「由利恵があんまりにもエッチな表情をするからなあ。思わず反応してるみたいだ」
臆する事なく言ってやると、流石の由利恵も顔を真っ赤にさせ、「そんな恥ずかしい事を堂々と
言わないの!」と王都楼に対して怒る。怒られた王都楼は、少しだけ肩をすくめるだけだった。
そして、先程から続けている指の突き入れを再開する。
「あ、あんっ」
「本当の事だからしょうがないだろ? 人間の生理現象ってヤツだ」
そんな事を言いながら由利恵の反応を楽しむ王都楼。由利恵はがくがくと足を震わせる。
「慎吾……駄目ッ」
「何が駄目なんだ?」
「……私……慎吾と一緒に、イきたいの……」
節目がちにそんな事を言われ、王都楼は思わず目を丸くした。それから堪らなくなって、王都楼は
思わず由利恵の事を抱き締め、指をそこから抜く。そして、自身をあてがった。
「慎吾ぉ……」
切ない表情で由利恵が王都楼の事を誘う。誘われた王都楼も、由利恵の中に自身を突き入れた。
濡れていたその部分は、勢い良く中に入っても負荷が掛からないほどの滑りを持っていた。由利恵の
中を楽しみ、蹴れど狭い由利恵の中に王都楼は思わず息が詰まりそうな快楽を覚える。
彼女の中は、もう初めてと言う訳ではないと言うのに、王都楼の物をすっぽりと包み込みながらも、
王都楼の物を締め付けて来る。
「あ、ああっ……慎吾の、凄い…はうぅっ」
切ない表情で由利恵が王都楼に言う。王都楼はそう言われ、腰の運動をより激しくした。
最奥に辿り着きながら王都楼はその中を楽しみながら抜き差しを続ける。
熱くて溶けそうなくらいだった。
(……)
目の前であえぐ女性を、王都楼は見た。
この愛しい人を、壊してしまいたい。
何も抵抗を絶対に自分から逃げる事が出来なくなるくらい壊れて動けなくなってしまえば、
もう自分の手元から逃げはしない。
王都楼はそんな事を思った。
そして、目の前の女性を壊す方法は、こうした交わりの中にしかない。
(何を考えているんだ!)
急いで王都楼は首を横に振って雑念を払う。恐ろしい事を考える自分もいた物だ、と王都楼は思った。
だが、理性で制しようとすればするほど、本能は欲望は留まる事なく彼を狂気へと誘って行く。
「由利恵……」
かろうじて、声の駆れたような音であったが、王都楼は由利恵の事を呼んだ。呼ばれた
由利恵は目を細めて王都楼の事を見詰める。王都楼は黙ったまま、由利恵の腰を掴み、
その身体を固定した。 そして、思い切り突き上げてやる。
「ひっ……あうくふぅうっ!!」
突如として訪れた激しい衝撃と快楽に、由利恵は思わず涙を浮かべる。
王都楼の激しい動きは由利恵の精神をことごとく追い詰めて行った。
「あ、んっ…慎吾、やっ……激し、すぎて………っぁ!」
喉の奥が詰まったような声で、由利恵は快楽に溺れながら王都楼にすがる。
王都楼はもはや何も考えられなくなっていた。目の前に入るこの女性を、隅から隅まで
犯し尽くしたい。そんな危険思考が、彼の行動を止められずに居る。いや、むしろその思いが
彼をより陵辱的な行為をするように進めて行く。
「あふっ…あん、し、慎吾……っ」
いやいやと顔を横に振る由利恵の唇を塞ぎ、口内に舌を突っ込む王都楼。その行為は、まるで
愛すると言うよりも獲物を貪る肉食獣のように感じられた。
彼の姿に、由利恵は少なからず恐怖を抱く。
彼の目は、正気の沙汰ではなかった。
「んんぅ、んむふっ!」
口を塞がれているために、くぐもった叫び声しか出て来ない。
王都楼の舌が、由利恵の舌を絡め取り、無理矢理引きずりまわして行く。
由利恵の口内と言う舞台に、暴れ牛とも言えるような、激しくそして自分勝手な動きをした王都楼の舌と、
その暴れ牛に襲われて成すすべも無い由利恵の舌が、そこに在る。
由利恵の舌先に、王都楼の狂気に染まった舌の味が塗り付けられる。そして、それは由利恵の舌に
絡み付き、ねっとりとした熱を帯びた液体を絡ませる。
やがて、貪る事にも飽きたのか、王都楼が唇を離した。由利恵の唇の端から、二人が居た証が
漏れ出て、バスルームの明かりに照らされる。
王都楼は感情さえ伺えないような目で由利恵の事を見下しながら、王都楼は更に下腹部への
刺激を与える。
「慎吾…慎吾ッ………い、あぐっ」
悲痛な泣き叫び声を上げ、由利恵は首を横に振りながら王都楼に訴える。だが、それに対して、もう
王都楼は自身を止めようとは思わなかった。いや、思えなかった。それほどにまで、由利恵の事を
縛り付け、離れないようにしたいと王都楼が思っていたからだ。
王都楼は腰を更に激しく打ち付け、悲鳴を上げる由利恵の表情を楽しみ、その目に浮かんだ涙を舌で拭う。
「あう………ひぃ…」
息も絶え絶えに、由利恵はガクガクと身体を震わせながら、王都楼の目をぼんやりと見詰めている。
王都楼の狂気に染まった目は、由利恵を見据えて離さない。
「あん、い、いいのっ……」
「何処が?」
わざとらしく聞いてやると、由利恵は悲痛に表情を苦しげにしながら唇を微かに震わせる。
「慎吾と繋がってる部分が……激しくて、熱いのっ!」
由利恵の言葉は、王都楼の残忍な性欲に火を点けた。
王都楼は由利恵の中で暴れながら、彼女の中の肉壁をぐりぐりと擦る。
熱と水気を帯びたその部分は、王都楼がモノを動かすたびに、より強く、より深く締め付け、呑み込もうと
している。その意地らしい反応は、王都楼の性を、吐き出せと言わんばかりだ。
もはや耐える事も出来なくなり、王都楼は腰を最奥まで打ち付け、震えた。
「ふあっ………あ、あああーっ!」
由利恵は鳴いた。その絶頂を迎えた彼女の中には、王都楼の精液がたっぷりと
注ぎ込まれていた。いや、注ぎ込まれたと言う表現は適切ではない。彼は彼女の中に
精液を無理矢理ぶち込んでいたのだから。
由利恵の胎内で、どくり、どくりと王都楼の性器が脈打ち、その度に由利恵の膣が震え、
熱に溺れた。
震え、溶けたような目で見詰めて来る由利恵から王都楼は自分自身を抜くと、その
繋がっていた部分からは、王都楼が出した欲望が溢れ出していた。
「…綺麗にしろよ」
王都楼が、冷たく言い放った。そして、彼女が何か言う前に、王都楼は由利恵の髪を
掴み上げると、膝立ちをさせた。バスルームの床に、由利恵の太股から流れ出た
白濁の液が少しずつ広がる。
「嫌……慎吾、おか…しいっ」
困ったように由利恵が訴えるが、王都楼は由利恵の顎に手を掛けると、無理に口を開かせる。
由利恵の目が、恐怖に染まった。
「慎吾、やめ…むぐっ」
彼女の拒絶を言い終わらせる前に、王都楼は由利恵の口の中に今も堅くなっている自分の
モノをねじ込んだ。
突然息苦しくなり、由利恵は思わず涙を浮かべる。
「きちんとしゃぶれよ。アンタは口が上手いからな。さぞかし舌遣いも上手いんだろうよ」
「ん、うぅっ……んむっ…………」
恐怖に濡れた由利恵の目は美しい。
その目は自分に向けられているのだ。
その残酷なほどに妖艶である事態に王都楼は満足しながらも、もっと多くを望んだ。
彼女が絶対に自分から離れて行かない方法。
この手で、堕とす事。
「ぐ、むっ……ふっ」
目を細く開き、その苦しさを顔に現しながら、由利恵は王都楼から要求される事に従った。
途端、王都楼は嘔吐感をもよおした。
(何で……由利恵はオレの言う事を聞くんだ……)
こんなにも、自分は愛とは程遠い心で彼女の事を欲していると言うのに。
それなのに、由利恵は王都楼の要求するように舌を精一杯使って彼のモノを舐め上げて来る。
「根元まで、ちゃんと咥えろよ。由利恵」
王都楼がそう言ってやると、由利恵はしばし苦痛の表情を浮かべたが、たどたどしく根元まで
そのモノを咥えようとした。ただ、由利恵の口の容量よりも王都楼の物の方が勝っていたために、
根元まで咥えると言う行為はやはり無理であった。
「……」
由利恵はしばらく止まっていたが、やがて王都楼をくわえるのを止め、口から抜く。由利恵の唾液で
そのモノはぬめり、輝いていた。
由利恵はそのまま、根元の方に舌を持って行き、裏から舐めて行く。
咥えではないものの、由利恵のとっさの機転に、思わず王都楼もゾクゾクする。
口で奉仕する由利恵は、自身の行為に集中し、その堅く太いモノの側面を満遍なく舐め続ける。
舌の感触が、王都楼の官能に触れていく。
この卑猥でありながら妖艶な事態に、思わず王都楼は由利恵の頬骨を掴んだ。反動で由利恵の
舌は王都楼から離れる。
「んっ……慎吾?」
目だけ王都楼の方に向けて、由利恵が王都楼の名を呼ぶ。
その問いかけに答える事も鳴く、王都楼は由利恵の髪に手を掛ける。
そしてそのまま、由利恵の口の中に自身を無理矢理入れる。
「む…ふ……んうぅっ」
そのいきなりの事に困惑しながらも、由利恵は王都楼のモノに歯を立てないように注意しながら
慎重にくわえ直し、再びモノを舐め始める。
これだ。
彼女はどんなに傷付けるような行為をしても、自分に従ってくれる。
これでは……
王都楼は由利恵の頭を手で押さえ付け、熱を帯びた白い粘液を由利恵の口内に放出した。
「ん、ぐ……うぅうーっ」
予告無しの射精に、由利恵の身体が震える。
由利恵の口内に、生臭くねっとりとした粘液が流れ込み、その鼻を付く匂いに思わず
由利恵は眉をしかめた。
やがて王都楼のモノの先から出て来る液体の勢いが収まった時、王都楼は由利恵の口の中から
自身を引きずり出した。反動で、王都楼のモノが由利恵の頬にこすり付けられ、由利恵の柔らかい
肌に、先端から流れていた残りと、由利恵がくわえていた名残が塗り付けられる。
「う、ん……んくっ」
喉に突っかかるどろどろした液体を、何とか飲み下そうと由利恵は奮闘し、鼻声を微かに出しながら、
口内に在る熱を持った液体を喉に流し込んでいた。
由利恵のそんな行動を見ながら、王都楼は今まで自分が行った事を思い出していた。
子のままでは、彼女は自分の思うままに行動するだろう。
このままでは壊れないまま、壊せないまま、由利恵の事を追い詰める事になる。
「……由利恵」
静かに王都楼が由利恵に呼び掛けた。由利恵は口の中に在る液体を何とか飲もうと努力しながら
王都楼の事を見詰めた。
「止めろよ」
「?」
「アンタがそうやってオレの言う事を聞こうとすれば擦るほど、オレが追い詰められる」 「………」
意図が分からない、と言った感じだ。由利恵は少し眉をしかめ、王都楼に疑惑の眼差しを向ける。
「………」
王都楼はソコでマタ黙ったが、由利恵は先程の発言に対して何も質問しては来なかった。
彼女はそうやって、深くを尋ねようとせず、見守って来る。
深くを触れられたくない言葉に限って。
その用意されたような、望みの態度に、王都楼は腹立たしさを覚えた。
彼女を壊してはならない。
だが、壊したい自分居て。
抱けど、彼女は壊れない。壊す事が出来ない。
彼女は壊れる事なく、汚れた行為に流されるだけなのだ。
それは、恐らく壊されるよりも辛い行為。
「もう、出るぞ」
「待って、慎吾」
王都楼の言葉に、由利恵が待ったを掛ける。その言葉に、いぶかしげな視線を由利恵に送る王都楼。
「まだ、洗い終わってないわよ」
彼女の何を考えているのか分からない、何の変哲も無い言葉に、王都楼は思わず絶句した。
ベッドルームに設置してあるベッドに、二人は横たわっていた。
彼の心の中は後悔と性欲に満たされていて、とてもではないが由利恵と目を
合わせる事が出来なかった。
背中合わせになった二人が、黙ったまま相手の呼吸音をしばらく聞いていた。
(…………)
王都楼は由利恵の緩やかな呼吸音に、自分が行った事を思い出しては
その度に嫌悪感に陥っていた。
コレ以上一緒に居ては、彼女も自分も駄目になってしまう。
「由利恵……」
起きているか保証は無かった。由利恵は余りにも正確に呼吸をしていたのだから。
「…何、真吾?」
穏やかな声が耳に入って来た。その声に安堵感を覚えながら、王都楼は
由利恵の方を振り返った。
彼女は相変わらず背中を向けていたけれども、王都楼はそれで良いと思っていた。
きっと、直接目を見て言う事は出来ないから。
「別れよう」
そう言ってやるが、相変わらず由利恵は黙った向こうを向いたままであった。
そして、何も言葉を発する事は無かった。
彼女なりに考えているのか、それとも考えずにさっさと眠ってしまったのか。
後者は無いな、と王都楼は思っていた。自分は由利恵の事を良く知っていたから。
こんな大事なレベルに入る事に対して、考える事を止めて逃げるような女性では
ない事くらい、王都楼には痛い位分かっていた。
「オレは由利恵の事を愛している、と思う」
「…………」
「もしもオレの事を好きだと言うんだったら、コレ以上オレにまとわり付くな」
精一杯嫌味たらしく言ってやる。少しでも自分に絶望して、もう自分の事を見なくなるくらい。
「…」
由利恵は王都楼の方を向いた。
「好きじゃないわ、もう」
「…………」
「愛してる。ずっと前よりも、今も、これからも」
その言葉は、一番聞きたくない言葉だった。
王都楼は首を横に振って由利恵の言葉を振り払おうとする。
「…………だから…私はあなたから離れた方が良いと言うのなら、離れるわ」
「……」
由利恵の言葉に、今度は王都楼が黙り込んだ。
彼女の言葉は、自分が一番望んでいた言葉だ。
なのに、何故こんなにも苦しいのか。
「……」
王都楼が返事をしあぐねていると、由利恵は微笑んだ。
「そんな表情をしなくても、良いじゃない」
「……」
心の何処かに苦しさを残したまま、王都楼は由利恵の事をベッドの中で抱き締めた。
抱き締められた由利恵は、拒絶する訳でもなく、目を閉じて彼の腕の中に収まっていた。
離せない。
離したくない。
自分から離れて行く由利恵を見るのは嫌だった。
「行くな」
「……」
「オレから、何もかもを持って行くな」
「真吾………」
由利恵はいまいち王都楼の言葉の意図を読めないながらも、その辛そうな表情を見て、
彼女からも王都楼の事を抱き締めて来る。
「行くな、行くな……由利恵ッ!」
強く、強く抱き締めながら、王都楼は必死になって由利恵の事を呼ぶ、。
まるで、迷子になってしまった子供のように。
そんな王都楼の心境を読み取ったのか、そうでないのか。
由利恵は彼の抱擁にすがり付き、愛しそうに彼の頬にキスをした。
「愛してる、真吾」
「行くな。由利恵……」
すがり付き、王都楼は由利恵の事を抱き締めたまま、彼女の衣服を脱がす。
当然、由利恵は驚いたが、制止の言葉を掛けなかった。
王都楼は現れた由利恵の首筋に舌を這わせ、彼女の下着に手を掛ける。
そのまま何も言わずに、無心に彼女の下着も、衣服も取り去って行く。
由利恵は恥ずかしさに眉をしかめたが王都楼の首に腕を巻き付け、拒絶の意を示さなかった。
「…………」
言葉を言ってしまえば、全てが上辺だけになってしまいそうで。
いっそ、上辺だけになってしまうくらいなら、何も言わずにコトを進める。
それが……最後の梯(かけはし)である。
王都楼は由利恵を生まれたままの姿にした。
途端、バスルームで二回も放出したと言うのに、王都楼のモノがうずき、王都楼のズボンを
押し上げる。
自分の節操の無さに吐き気がした。
「真吾……」
愛しく王都楼の名を呼ぶ由利恵。その言葉に答えるように、王都楼は由利恵の事を抱き寄せ、
密着する。
由利恵は全裸なので、由利恵の柔らかな肌が良く伝わる。そして、恐らく王都楼のモノの形も良く
伝わっているであろう。それだけ、王都楼は興奮していた。
「オレは由利恵の全てを手に入れたい」
「真吾…?」
少し頬を赤らめているのは、恐らく王都楼のモノの形を感じ取ったからであろう。ズボン越しであると
言うのに。
王都楼はそれに対して弁解する事無く、人差し指を由利恵の口内に割り入れた。
指先に、ねっとりとした熱が伝わって来る。
「んっ……ふむ…ッ」
急に口内に王都楼の指が入って来て驚いていたが、しばらくして落ち着いた由利恵はその指先に舌を
そっと当てる。そして、王都楼の事を見た。
「これで良いのか?」と言わんばかりだ。
その表情を見ながら、王都楼は微かにうなずく。
王都楼のうなずきを見てから、由利恵は今度はややエロティックにその指先を舌で舐めた。
思わず王都楼もそのねぶりにそそり立ってしまう。
しばらく由利恵に指を舐めさせていたが、指が完全に由利恵の唾液で滑ったのと、それ以上に
この行為を続けられると王都楼の方が耐え切れないと思ったために、王都楼は人差し指を
由利恵の口内から引き抜いた。
つ……と指先と由利恵の唇を唾液の糸が一瞬繋がり、解ける。
「どうしていきなり?」
口の中に指を入れられた意図が掴めず、由利恵は王都楼に尋ねた。
答えずにそんな由利恵の事を掴むと、そのままうつ伏せにさせた。
桃のように形良く白い由利恵の尻が、王都楼の目の前にさらされた。
「ちょっ……真吾…ぉっ」
何を意味しているのか理解し、由利恵は流石に泣きそうな表情になる。
だが、王都楼は知っている。
この顔こそが、自分の事を誘っている証拠なのだと。
王都楼は由利恵の尻に指を押し付け、そのまま左右に広げた。
後方に位置する恥穴が、その力で少し口を広げる。
恥ずかしさのためか、その部分の筋肉がぴくぴくと痙攣している。
由利恵のその部分にあるシワと窪みを、王都楼は人差し指で撫ぜる。途端、きゅっと由利恵の
尻に緊張のための力が込められる。
「や、やだ…真吾、そっち……」
眉をしかめ、由利恵が王都楼に懇願する。
けれどその懇願を聞かない振りをして、王都楼は由利恵の恥部に人差し指の先を埋め始めた。
普段モノを入れるための口ではないソコは、突然の挿入者にびくりと震え、拒絶も込めた
締め付けを行って来る。
まるで、人差し指を押しつぶさんばかりだ。
「やっ、駄目……よ、真吾…ッ!」
勿論由利恵としてもこんな事は初めてであるので、不安と苦しさに表情を歪めながら、王都楼に
責めるような口調で声を掛ける。
王都楼はそれでも止めるつもりは無かった。彼女の何もかもを手に入れたい彼にとって、この
場所は由利恵を完成させる物が在るのだから。
「ん、くあ、ひぐっ……真、吾ぉっ! あぁあっ」
ぐにぐにと、すぼみに反するように指をねじ込み続けると由利恵が悲鳴を上げる。
その悲鳴を聞き、何処か優越感を覚えながら人差し指を奥へ奥へと入れようとする。
非常に苦しく、締め付けは痛いくらいだ。
「由利恵は駄目なマネージャーだなあ。こんなに拒むような性格じゃあ、お仕事が
入って来ないぞ」
「お、仕事……」
「勿論……小さなモノから大きなモノまで在るけどな」
にたりと笑い、王都楼は指を激しく動かして奥まで無理に進めて行く。
もう、指は第二関節まで入っているのだ。だが、それ以上行かせまいと、由利恵の尻の
筋肉が持ち上がり、その部分を締め付ける事によって奥まで行く事を阻んでいる。
「小さなモノは勿論、人差し指だ。じゃあ、大きなモノは何だと思う?」
「……ッ!」
眉をしかめ、羞恥心に由利恵は荒く呼吸をする。
「言ってみろよ、淫乱マネージャーさん」
「ア……ぐぅっ…」
顎が少し痙攣し、喉の奥で息がひゅーひゅーと震える由利恵の様を見てから、王都楼は
人差し指を思い切り突き進める。
尻の緊張よりも言葉の方に意識が行った由利恵の後ろを取るのはた易い事であった。
由利恵の唾液の効力も在り、王都楼の指先が由利恵の後ろをすっかり人差し指で犯してしまう。
「あ、ああっ…んぐっひ……」
涙を浮かべ、腰をガクガクとさせながら、王都楼の指の刺激に由利恵が声を発する。
一方の王都楼は少し意表を突かれた表情をする。
「何だ……急な事だから結構覚悟していたんだけどな……」
そう言いながら王都楼が由利恵の耳元に口を持って行く。
「浣腸でもしてるのか?」
「ッ!! な……」
「妙にすっきりしているしな。この中」
そう言いながら指を動かしてやると、びくびくと由利恵は身体を震わせた。
「プロポーションでも気にしているのか?」
王都楼の言葉に由利恵が微かに王都楼に目を向ける。
その懇願するような瞳は、王都楼のサディスティックな感覚に火を点ける。
空いている手で、王都楼は由利恵の腰を撫でる。
「気にするような身体じゃないけどな」
その手はやがて腹部に回る。くびれたウエストは、腹部の肉も必要なだけが付いているだけで、
余分な物など無かったのだ。
「それとも……こうした事態を予測しての事、か?」
王都楼の言葉に、びくりと由利恵は身体を震わせる。
こうした事態とは、勿論今現在、王都楼が由利恵の後ろを指で犯している事だ。
「ん、どうなんだ? 由利恵。本当は後ろに入れられるかもしれないって、思ってたんじゃないのか?
だから何時後ろに入れられても良いように、浣腸をしてたって訳か。いやらしいな」
「う……うぅっ」
「じゃあお望み通り、後ろに入れ続けてやろうじゃないか」
そう言って、王都楼は指をぐりぐりとねじ込む。
「あっああ……ゃ、ひぃ……」
そのとてつもない苦しさと湾曲した快楽に、由利恵は思わず涙を交えたあえぎ声を上げる。
「さっきの問題に対しての答えがまだだったな。大きいモノについての」
「は、うぁ……や、め………あぁんっ」
「指を止めて欲しければ、オレの問題に答えるんだな」
残忍な笑みを浮かべ、王都楼が由利恵の耳たぶを舌で舐める。
勿論、そうしている間も指を休めずに、だ。
「きゃ…あんっ……」
切なく鳴き、由利恵は王都楼の指を止めようとする。
「言ってみろよ、快楽主義者」
「う………し、んご…の……あふっ」
「オレの?」
「真吾の……」
そこで言葉に詰まる由利恵の姿を見て、王都楼は激しく指の抜き差しを繰り返した。
「あ、あああっ…ああーっ!」
由利恵が悲鳴を上げ、その合間に言葉を発する。
その言葉を聞いて、王都楼は満足する。
ゆっくりと、王都楼は指を引き抜いた。挿入物を除かれた由利恵の尻は、快楽と緊張に強張り、
ひくひくと痙攣していた。
王都楼は指を抜いた後、ベルトをかちゃかちゃと動かし、その中からモノを取り出す。
モノを片手に支えてから、もう片方の手で由利恵の腰に手を当てる。
「じゃあ、大きなお仕事でも入れるか」
「! ッ…や!」
言わせまいと、王都楼は由利恵の後ろの穴に自身を突き入れた。
「あ、んひっ……やあぁっ…真、吾ッ……ああっ…」
由利恵が快楽の歌を歌い、ベッドが悲鳴を上げる。
そんな由利恵の表情を見ながら、王都楼は由利恵の背後で暴れる。
その衝撃に、由利恵は思わずガクガクと腰を震わせ、王都楼の激しい暴動を拒絶する事さえ
出来ない。
何より、彼女の表情は被害一色ではなかったのだ。その合間に、確かに快楽に対する
嬉々とした物を感じられる。
だが、それを彼女に伝えても、今は彼女はその事実を認めないだろう。
王都楼は自身を深くまで突き進めながら、一方で由利恵の尻を思い切り叩いた。
「はぁんっ……!」
由利恵は衝撃に痛みに対する苦痛と変形した快楽が混じった声で鳴く。
それは、王都楼の言葉を裏付ける物となった。
「大したマゾだな、由利恵」
王都楼は由利恵の耳元で囁いてやる。由利恵はびくりとして、王都楼の方を見る。
その目は明らかに痛みに対する快楽を求める期待の色だ。
「だから、こうして強姦にも近い事をされても、由利恵はよがるんだよな」
「違……違うっ……はぅっ」
首を振るものの、由利恵の身体はそれに反して快楽にうずいた。
その反応が王都楼にも分かったのか、王都楼は残酷な笑みを浮かべながら、由利恵の後ろで
暴れ、強く由利恵の乳房を揉んでやる。
由利恵は痛みに眉をしかめながら、何故か止めろとはいえ無かった。それは、彼女の内に潜む
受身の心からだろうか。それに、こうした暴力の中に、何か心惑わせる物が在る。
痛覚が快楽に変換されて、由利恵の身体を襲う。
「い、ああっ……」
その歪んだ快楽は、王都楼の行為を受け容れるだけでなく、彼女自身を慰める事にも繋がって来た。
後ろを取られながら、由利恵は本来の接合部分を指でいじり始めたのだ。
王都楼はそれを見て満足そうに笑う。
「やっぱりマゾなんじゃないか、由利恵は。そんなにいじめられたかったのか?」
舐めるように由利恵に言ってから、王都楼は由利恵の髪の毛を引っ張る。
「あぐっ……」
「ホラ、言っちまえよ。もっといじめて下さいってな」
「ん、やぁ……」
由利恵は首を振るが、それを王都楼は理解する事も無く、由利恵の事をただただいじめ抜く。王都楼の
歪んだ愛が、彼女の事を追い求め、暴力を交えた快楽を送る。
「ん、うううっ」
由利恵がガクガクと震えた。もうそれと同時に、自分も。
「出すぞ、中に」
「真吾……いやっ、後ろは…」
「じゃあ、何処なら良いんだ?」
由利恵に向かって王都楼はそう尋ねたが、本当は答えなんて分かり切っている。元より、王都楼は
そっちの答えを期待していた。
「…………真吾のは……中で欲しいの」
その言葉を聞いて、王都楼は由利恵の後ろから自身を引き抜いた。そして、うつ伏せにしていた
由利恵の事を持ち上げ、仰向けにさせる。
「足…自分で広げろよ」
王都楼に言われ、由利恵はゆっくりと両足を開いた。そこは、先程からの痛覚と快楽によって蜜が
溢れ出ていた。
王都楼は何の手も加えずいきなり自分自身をその場所に突き入れた。
「きゃああっ」
由利恵が悲鳴を上げるが、王都楼は気にせず一気に奥まで付き上げた。
狭く、子宮入り口まで先端が当たる。竿の部分に与えられる膣から来る締め付けに思わず苦しくて
うめき声を上げそうになるほどである。由利恵の中は熱く、ひくひくと痙攣していて今にも絶頂を
迎えそうであった。
「もうイきそうなのか? 結構早い物なんだな、由利恵は」
王都楼が言ってやると、由利恵は歯をカチカチと鳴らして目をぎゅっと閉じる。
そんな由利恵の中で、王都楼は激しく動いてやる。由利恵は激しく呼吸をしてその激しさから
逃れようと必死になる。お互いが必死になってお互いの事を高めて行く。
「やん、やあっ……真吾、もう、もう駄目……イっちゃうぅっ!」
「イっちまえよ。オレと一緒に、なぁ」
ぶるり、と王都楼をせき止めていた物が途切れ、本能の赴くままに自身を突き入れ、由利恵の
事を捕えていた。
「ん、あ、っ……ああぁっは……」
由利恵と王都楼を繋ぐその部分が一気に締め付けの力を持ち、王都楼の事を締め付けた。
王都楼も思わず由利恵の胎内に精を放出した。
びくびくと由利恵の身体が震え、熱くたぎったその液体がたっぷりと入れられて行った。
「……」
やはり、駄目だった。
彼女の事を堕とす事も出来ず。
彼女の事を繋ぎ止める事すら出来ない。
もう、二人の関係は通常で言う物ではない意味での続けられない物となっていた。
お互いがお互いを求めるからこそ、これから先は無い方が良いのだ。
「……由利恵」
まだ熱にうめく由利恵に向かって王都楼が呼び掛ける。
由利恵は王都楼の方を見れなかった。自分の痴態を見せてしまった後で、王都楼の事を見るのは
余りに勇気のいる事であったから。
だが、そんな由利恵の事を咎める事無く、王都楼は由利恵の隣に横たわる。
「別れよう」
「……」
「オレ達はこれ以上一緒に居る事は不可能だ」
「真吾……」
「由利恵が居れば居るほど、オレは離れないように壊そうとするだろう」
オレにそんな事をさせないでくれ。
王都楼は声に出さずにそんな事を言った。
その様子を見て、由利恵は黙ったままだった。
分かっている。気持ちが矛盾している事など。
離れて行かないように先程もあんなに強欲に由利恵の事を抱いたのだ。
「………」
「もう、行っちまえよ。オレの所に居るな」
吐き捨てるように言ってから、王都楼は由利恵に背を向けて、目を閉じた。
「……真吾」
背中に由利恵の言葉が掛けられるが、王都楼は応えなかった。
眠りに就く前に、王都楼は由利恵の愛を感じる言葉を掛けられたような気がした。
別れて…後悔してはいない。
彼女は捨てられたと考える事で、自分との時間を過去に収めようとしているらしい。
そのために、彼女は自分への愛を捨て、気に食わないが藤見野 イサオと今を過ごしているらしい。
自分も、彼女の事を考えずに日常を過ごすようになった。
彼女は、居る。
今も未練がましく残された写真立ての中に、あの日の由利恵が居る。
王都楼は写真立てを手に取った。ゆっくりとその写真立てを裏返す。
そこには、由利恵の綺麗な字が並んでいた。
『愛をこめて……ユリエ』
この愛は、真実であるのだ。
それが、ただ彼の事を一人にさせた。
この彼女の愛は変わらない。それが例え錯覚であったとしても。
月日は、そうでも考えなければあまりにも長すぎた。
そして……運命の日。
藤見野が由利恵との結婚を発表した時。
彼の、独占欲と言う名の残酷さに火を点けた。彼は、自分達の関係を、藤見野に伝える事を決意する。
彼女を、『取られない』為に……
~終幕~
最終更新:2006年12月12日 20:19