【価値】
れいむの心は期待でいっぱいだった。
厳しい試験を乗り越え、ついに「かいぬしさん」のところへ出荷されたのだ。
仲間たちとの別れはつらかったが、それ以上に「かいぬしさん」に可愛がってもらうのが楽しみだった。
いつも、
「良い子のゆっくりは良い飼い主さんに引き取られて、ゆっくりした生活ができる」
と聞かされていた。
おいしい食事、楽しい毎日。
夢の生活が、れいむを待っている。
――――はずだったのだが。
「おい、俺が注文したのは国家試験を突破した優良ぱちゅりー種だぞ。こんなゴミみたいなれいむ種は要らん」
「……申し訳ありません、こちらの不手際のようです」
れいむの心は高鳴っていた。この人が、これから自分と共に生活する人なんだ。素晴らしい思い出をつくろう、そう思った。
「お詫びと言ってはなんですが、こちらのれいむ種を無償でご提供いたします」
「いらねえって言ってるだろうが。馬鹿なことほざいてる暇があったら優良ぱちゅりー種を持ってこい!」
――――――
「お前要らないわ。持って帰るのも面倒だから、今ここで廃棄な」
れいむが最後に見たものは優しい飼い主の笑顔ではなく、汚い靴の裏だった。
完
最終更新:2010年10月14日 00:40