【お姉さんとれいむ】
お姉さんは仕事から帰ってくると、玄関で待っていたれいむを優しく抱き上げた。
「ただいま、れいむ」
「おねえさんおかえり!れいむいいこにしてたよ!」
お姉さんは微笑んで、れいむの頭を撫でた。
れいむはお姉さんの柔らかな手の平が好きで、帰ってきたらいつもこうしてくれるお姉さんが大好きだ。
お姉さんは部屋着に着替え、夕食の準備に取り掛かる。
今日はカレーだ。
れいむは辛いものが食べられないから、特製の甘口を作る。
お姉さんが料理をしている間に、れいむは新聞紙を床に広げてその上に自分用のお皿を置く。
食欲をそそる香りが漂い、れいむのお腹の虫が鳴いた。
お姉さんはくすりと笑った。
テレビを点けてチャンネルを回す。
ニュース番組で、連続飼いゆっくり誘拐事件について特集が組まれていた。
お姉さんは材料を刻みながら、それをちらりと見た。
「物騒な世の中ねえ。飼いゆっくりが誘拐されるなんて……うふふ、うちの子についてはそんな心配はいらないけどね」
と言った。
れいむはお姉さんがご機嫌なのを見て、自分もうれしくなった。
今日は、朝にお姉さんがお仕事に行ったあとはお部屋でゆっくりしていた。
「ぼーるさん」を転がしたり、お腹が減ったら「おまんじゅうさん」を食べたりした。
「れいむ、ご飯だよ。あまあまなカレーさんができたよ」
「ゆわーい!」
れいむのお皿に、たっぷりカレーが盛られる。
「いただきます」
「いただきます!がつがつむしゃむしゃ!……ちあわせー!」
「れいむはあまあまだいすきだもんね。お姉さん、お仕事頑張ったんだよ」
お姉さんは、人間にとっては少々甘過ぎるカレーを口に運びながら、「物騒な事件」を語るテレビを冷たい眼で眺めていた。
完
最終更新:2010年10月14日 00:42