待っていた。
温かな暗闇のなか、母の肉に抱かれ、外の世界に飛び出すそのときを待ちわびていた。
「おちびちゃん、いいこにそだってね。おかあさんはがんばっておちびちゃんをうむからね」
母の声が響く。
溢れんばかりの愛が、母胎を通じてれいむに伝わってくる。
「まりさは、おちびちゃんにはつよくそだってほしいんだぜ。まりさみたいなゆうかんなゆっくりになるのぜ」
すぐ近くで父の声も聞こえる。勇ましさを感じさせる、野性の強さを持った父の声だ。
外に出れば優しい母の姿とたくましい父の姿があり、頬を擦り寄せ、歌を唄ってくれる。
外にはおいしいごはんがたくさんあり、毎日が刺激に満ち、楽しいことがれいむを待っているのだ……。
そしてしばらくの後、れいむは外に出た。明るい日の光が眩しくも快い。
見上げれば、大きな母と父の姿がある。さあ、両親に挨拶をしよう。
できるだけかわいらしく、初めての言葉を言おう。
れいむは産声をあげた。
「ユ゛ア゛ッギジネ!」
れいむは一瞬、獣が現れたのかと思ったが、それは紛れも無い自分の口から放たれた言葉であった。
れいむは
「口のきけない気持ち悪い赤ちゃん」
として両親に殺された。
完
最終更新:2010年10月14日 00:42