【ゆっくり踊り食い】
私の趣味は、赤ゆっくりを丸々踊り食いすることだ。酒も煙草もギャンブルもやらぬ真面目でつまらない私の、少しだけ刺激的な趣味。長年連れ添った妻にも秘密の、私だけの楽しみだ。
今日は休日、動きやすい服装に着替えて近所の公園に向かう。
「ゆっくりしていってね!!!」
私は茂みのなかに声をかける。端から見たら変なヤツだが、周りに人がいないことは確認済みである。
「ゆっ! おじさんゆっくりしていってね!!!」
ふむ、ビンゴ。今日は運が良い。そのれいむの頭からは、赤ゆっくりが五匹実った茎が生えていた。すべてれいむ種だ。どの赤れいむも安らかに眠っている。夢のなかで、生まれ落ちたときの口上を考えているのかもしれない。
「おじさんはゆっくりできるひと?」
「ああ、とってもゆっくりできるひとだよ」
れいむは警戒心なく無防備に私に近づいてくる。
「じゃあ、れいむにあまあまちょうだいね! れいむはしんぐるまざーなん……ゆぎっ!?」
私の腕が届く距離に入ってきてしまったとき、既に家族の命運は決まっていた。茎はれいむの頭を離れた。私が引っこ抜いたのだ。
「ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? れいむのあがぢゃんがえじでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「やだやだヤダモン」
母体から離された茎にぶら下がる赤ゆっくりは衰弱するのが早い。新鮮さを失わぬうちにいただくとしよう。赤れいむを二匹、ぷちりと茎から離す。
「ゆっ! ゆっくちちていっちぇにぇ!」
「ゆぅ! れいみゅがうまれちゃよ!」
同時に眼を開ける赤れいむ二匹。そこには、ゆっくりしたおかあさんが……
「はぁーい☆」
いなかった。
「生まれてすぐでアレだけど。……いっただっきまーす!」
「やべでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! あがぢゃんたべないでぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
母れいむの懇願は叶わない。
「「ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁ……!?」」
哀れ、二匹の赤れいむは私の口の中へ。 うむ、ばたばた暴れている。
暗い、怖い、助けて。口のなかで叫び声が響く。歯で潰すようなことはしない。時間をかけ、舌で舐め回してじっくりと溶かしていく。やがて外皮がとろけ始めた頃、残りの三匹もお口にいらっしゃいませー☆
「ゆっくちしちぇいっ……!?」
「ゆっくちうまれ……ゆ!?」
「みゃみゃ、れいみゅうまれりゅ……ゆわぁ!?」
初めて見たものは、兄弟姉妹の苦しみに歪む形相。
「ぺーろぺーろ」
私は年甲斐もなくそんなことを言ってみる。といっても、口のなかには五匹もの赤ゆっくりがいるからもごもごした音が出ただけだが。
「ぐぞじじいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! じぇいみゅのあぎゃぢゃんぎゃえぜぇぇぇぇ!!!」
母れいむは私の足に体当たりを喰らわせていた。ぽよんぽよんと跳ね返るだけで、私へのダメージはゼロ、むしろマッサージされているみたいで気持ちが良かった。
「ここはどこにゃのぉぉぉぉ!?」
「みゃみゃにあいちゃいよぉぉぉ!」
「だしちぇにぇ! ゆっくちしにゃいでおしょとにだしちぇにぇ!」
「ゆぎぎぎ……」
「れ……みゅ……まだ……じにだぐ……ない……」
歯や内頬にぶつかる感触。……あ。餡子の味だ。そろそろかな。
ごくり。
死にきらぬうちに、胃へ。腹の奥から声がする。
「いぢゃいよぉぉぉぉぉぉ!」
「くさいぃぃぃぃぃぃ!」
「ゆ……ぎ……」
あー、美味しかった。赤ゆっくりは取れたて生まれたてが一番だな。
「あがぢゃんがえぜぇぇぇんぎぶっっっ!?」
母れいむにキック。顔面に爪先がめり込んだ。母れいむはそのまま吹っ飛んでいく。
「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
食後の運動、開始。競技はサッカー。プレイヤーは私。ボールは母れいむ。
「ごべんなざい! あがぢゃんのごどはあぎらめまずがらっ! れいむのごどばゆるじでぐだざっ……んぐゆびっ!?」
ボールは友達☆
人が見えるまで、私は母れいむと一緒に遊んでいた。
金はかからず、ストレスは解消でき、しかも健康的な趣味。
毎回感じる多少の後ろ暗さなどは、美味しい赤ゆっくりたちと共に飲み込んでしまうのだった。
完
最終更新:2010年10月28日 12:57