【熟成】
鎖の擦れる音と嘆きの声が部屋に響く。その部屋には、数十体の胴付きれみりゃがいた。
首と両手両足を強靭な鉄輪で拘束されたれみりゃたちは、ひたすらに泣き叫んでいる。
「べみびゃばごうまがんのおぜうざまなんだどぉぉぉ! ざっざどごごがらだずんだどぉぉぉ!」
「おなかがすいたどぉぉぉ! さくやのぶっでぃんくわせろぉぉぉ!」
「ぐるじいど……これはずじで……」
喚き、抗うものの、鉄輪に繋がる鎖は鈍い音をたてるだけだ。
「れみりゃはおぜうさまなんだど……おぜうざまにわるいことしたらだめなんだど……」
「うっ……うっ……ごはんたべたいぃぃぃ……」
不意に、れみりゃたちは体が軽くなるのを感じた。解放されたのか、と喜ぶ刹那に何かが降ってくる。それは甘い液体だった。緩められた拘束に感謝し、体についたり床に広がった液体を舐め取る。
「あまあまだどー♪ ぺーろぺーろするんだどー♪」
「うー、おぜうさまがいいこだからごほうびもらったんだどー!」
液体は次から次へと降り注ぐ。やがて足を包み、腹を浸し、首元まで迫った。
「やべで……うっぷ、いぎがでぎな……」
「がぼがぼごぼぼ……」
「あまあまはもういらないど……あぶっ」
れみりゃたちを苦しませ続けた液体はぎりぎりのところまでで止まり、数分ののちに退いていった。
「げほっ、げほ……」
そして気付く。また、拘束がきつくなっていた。身動きのできぬ不快さに苛立つ。腹に溜まった過度の甘味が胸やけを起こす。
「これはずじでぇぇぇ! ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎもぢわるいぃぃぃ……もうおうぢがえるんだどぉぉぉ……」
―――――
それから、この一連の光景が何度も繰り返された。衰弱死したり溺死したれみりゃもそのままに、最後の一匹になるまで、何度も。
部屋に人間が入ってくる。その姿を見て、最後のれみりゃは希望の光を得た顔をしたが、すぐに表情を曇らせた。その手には、鮮やかに輝くナイフ――――。
「いただきます」
「うぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
―――――
「特別本仕込み・ゆっくりれみりゃの超熟成肉まん」。スパイス入りの糖液に浸け、他のれみりゃのだしを吸わせた最高級のれみりゃ。苦悶に満ちた表情をしているほど美味である。賓客をもてなす場合に用いられる。
完
最終更新:2010年11月23日 19:43