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【SS】初心者で小説創ろうぜ!!その2

05/07 13:39 W61SH(e) [32]DD
18
 この国は比較的平和な方だ。少なくとも民間人を巻き込んだ銃撃戦、なんてのはほとんど無い。
 だが、それはあくまで表面上の話に過ぎない。チョイと裏に回ってみれば、そこは暴力と権力が支配する腐敗した世界だ。
 昼間の内は奴らも外には出て来ない。
が、夜になれば街中を怒号と悲鳴が駆け巡り血と硝煙の匂いが充満する。表の住人はやれ旧市街だ、やれスラム街だと騒ぎ立てるばかりで何ら対処しようとはしない。
―――まさに地獄だ。

 誰一人として想像しちゃいなかった。この国の――日本の首都と呼ばれたこの街がこんな事になるなんざな……

         ◆

 俺達を乗せた車は寂れた大通りを走っていた。昼間だからか、外に人影は無い。
 だが…視線を感じる。敵意や怨念…そういう負の情念が無言の圧力となって俺達にのしかかってくるのだ。俺の隣でハンドルを握る渡辺も何か感じる物があるらしく、終始無言のままだった。

やがて一軒の廃屋の前で車は停車した。

「着きましたよ、警部」
「……渡辺、分かってるな?」
「大丈夫ですよ。いざとなったら……」
「フンッ…行ってくる」

そう言って俺はドアを開けて外に出た。
 案の定、俺の目に映るのは銃火器で武装したチンピラ共だ。全員が殺気立った眼で俺を睨み付けている。そんなヤツらに対して俺が取るべき行動は一つ…俺は左手に持った黒い手帳を開き、中身を見せた。
 その瞬間ある者は逃げ去り、ある者は恐怖に顔を歪ませる。それだけの力が、このちっぽけな手帳には宿っているのだ。

「貴様…何の用だ」
そう言ったのは、その場に残ったチンピラの一人だ。恐らく、ある程度の人格者なのだろう。

「…お前達の頭に聞きたい事がある。話をさせろ」
その俺の要求に対し、奴は「少し待て」と言い残すと廃屋の奥に消えた。
 数分後、奥から出て来た三人の男に案内され俺は廃屋に足を踏み入れた――この狂った街で最も死臭を放つ"死喰い人"の巣穴へと……
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05/07 18:05 W62H(e) [33]DD
32
 俺は促されるまま階段を一段ずつ降りていく。周りを取り巻く闇が深まるのと同時に、あの匂いが濃くなっていく。嫌というほど味わった"死の臭い"だ。
 長い階段の終点では、言い知れない威圧感を放つ無骨な扉が俺達を待っていた。

「ここだ。入れ」
案内役の男達はそれだけ言い残し、階段の奥に消えていった。薄暗い闇の中には、俺の影だけが揺らめいている。

「さて…行くか」
俺は赤錆にまみれた取っ手を握り、ゆっくりと扉を開け放った。同時に、部屋の奥から殺気の充満した空気が漏れ出す。
 そして、奴と目が合った。
部屋の中央――黒塗りの椅子に鎮座しているその男と…

「ククク…テメェか?オレに用があるってのはよ…」
「…お前が"死喰い人"か?」
「…さぁな、立ち話もなんだ。座れよ」

 奴はそう言って、対面のソファーを指差した。断る理由も無く俺は腰を下ろし、改めて奴を正面から観察する。
 研ぎ澄まされた凶器のように無駄の無い身体――そこから人種を判別する事は出来ない。
 暗く深い碧の右目と対照的に濁った灰色の左目には、共に人を射殺せるほどの眼光が宿っている。
 不気味な笑みを浮かべながらも、その挙動には一切の隙が無い。
 何より、コイツはそのドス黒い殺気を微塵も隠そうとしない――それを正面から受ける俺の身体が、本能的に忌避する程の殺気を…

「ククク…オレを始末する準備が出来たのかァ…?」
「…個人的にはそうしてやりてぇが、今日は別件だ…この男を知ってるか?」

 俺は懐から一枚の写真を取り出し、男に見せた。奴は表情一つ変えずにそれを眺める。

「……どこにでも居そうな顔だな?」
「………」
「ククッ…そう睨むなよ。最近喰った連中の中には居なかったはずだゼェ…」
「…質問を変える。最近お前の――」
「…ゾアだ」
「何…?」
「オレの名前だよ。"お前"なんて呼び方よりマトモだろ?」
 そう言って奴は――ゾアは笑った。人を和ませるどころか、人に底知れぬ不安を与える……そんな歪んだ"笑い"だった。

 俺はそれを見て改めて感じた。そう、コイツが…今俺の前で不敵な笑みを浮かべるこの男こそが…東京旧市街を――この地獄を統べる者"死喰い人"なのだと……
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05/08 11:19 W62H(e) [34]まぼだき
27
 部屋に入って制服を脱ぎ、ジャージに着替える。携帯通信端末を荷物を詰めた段ボール箱から取り出す。
 ユーザーIDとパスワードを入力し、ポートを開きコマンドを入力する。
「アイツらとコンタクトがとれるかどうか」
 終戦後間もない頃はお互いにいがみ合っていたが今となってはただの思い出に過ぎなくなっていた。もう私は戦いから身を引いたがアイツはら今も戦い続けている。
 できれば手伝いに行きたいが、それは余計なお世話だろう。
「ノエルは駄目か」
 また地球連合かアルテミスの高官たちとパーティでも行ってるんだろう。あの派手好きめ。
「ジークリンデは・・・在宅?ガネルとアイーシャも」
 あぁそういえば結婚してマイホーム生活送ってるんだったっけ。
 まずはジークリンデとコンタクトをとってみようか。
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05/08 16:16 W61SH(e) [35]まぼだき
30
「あわわわわ!う、撃たないでぇ」
 操縦席ハッチを開け、白いハンカチを持って両手を上げる。だってオルガの御両親物凄い殺気立ってたもん!死ぬかと思った・・・。
「アタシはオルガさんに招待されたベルネ=T=グランシュカーです。吉山国際学園中等部機械科3年A組!」
 自己紹介しても信用されないと思ったので学生証を掲げる。
「お、お邪魔でしたら直ぐに帰るんで!あ、あのあのえっとえーっと・・・」
 もはやアタシの頭は予想だにしない事態を把握しきれずパンク寸前だった。
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05/09 21:03 W61SH(e) [36]DD
33
「………」
「ククク…どうした?急に黙り込みやがってよォ…」
「…何でもない、こっちの事だ。改めて聞くが…ゾア、この数日間でここをうろついてた奴は居るか?」
「………」

 俺の質問にゾアは沈黙する。その瞬間、ヤツの放つ殺気が僅かに増加した気がした――まるで獲物を見つけた野獣のように…

「…女だ」
「何…?」
「女が一人…狩りの時間にいやがったらしいぜェ…4日前だ」
「…殺ったのか?」
「クククッ…殺られたよ、6人もなァ…信じられるか?」
「そりゃあ只者じゃねぇな…」
「ククク…違いねェ…」

 化け物が化け物と呼ぶ女の存在…それだけではこのパズルは解けない。まだ部品が圧倒的に不足していた。

「…ゾア、他に何か気付いた事は?」
「…得物」
「……?」
「…奴の銃、アレは正規品じゃねェ…」
「…なぜそうだと言える?」
「…表のブツにしちゃ弾が規格外なのさ」
「どういう事だ…?」
「クク…奴は"UG"かも知れねァ…?」

         ◆

 日光が目に染みる。時間にしてたった数十分…それだけでこうも光を眩しく感じるものか……
 廃屋から外に出た俺を待っていたのは、対戦車ライフルを担いだチンピラ達と談笑するバカの姿だった。

「オイ渡辺ッ!!何してやがる!!」
「おっ、安……警部殿じゃないですか。いつ戻ったんですか?」
「…ついさっきだ。で、テメェは何してやがる…?」
「イヤァ、彼等なかなか話が通じる連中でして、色々と積もる話を………オブッ!?」

 とりあえず、その腑抜けた横っ面に正拳をかましてやった。



「それで、どうでした"死喰い人"は?」
 隣でハンドルを握る渡辺がそう聞いてきた。その右手は赤く腫れた頬を押さえたままだ。
「…二度と面を合わせたくねぇ相手だ」
「警部にそんな事言わせるとは…彼等以来じゃないですか?」
「………」

 渡辺の言葉を聞いた俺は、あの出来事を思い出した。クソ忌々しい記憶だ…

「そういえば…」
思い出したように渡辺が切り出した。
「何を聞いたんです?」
「…渡辺。このヤマ、UGが絡んでるかも知れねぇ」
「へぇ、UG…ですか」
 その単語を聞いた渡辺の目が一瞬別人のそれに変化した。

「それでどうするんです?これから」
「一度戻るぞ。情報を整理する」
「りょ~か~い」

 渡辺がアクセルを踏み込み、俺達を乗せた車は加速していく。その先の"何か"を目指して……
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05/10 00:44 W62H(e) [37]ラルド
35
「もう、おとーさん!おかーさん!いきなり構えないでよ!」
隣でテンパっているベルネに流石に同情する。
実際オルガですら恐い位に二人とも殺気立っている。
ガネルなんか、対戦車榴弾砲であるRPG―7を片手で担いで何時でも射てる状況である。
「ごめんねベルネ。両親共に元、今もなのかな?軍人なんだ。だからあんな感じなだけで……取り敢えず上がって!後でお父さんとお母さんにはちゃんと言っておくから。」
オルガは戦車から下りると、放心状態のベルネを支えて自分の部屋に連れて行く。
「ちょっと待ってて、今飲み物取って来るから。」
オルガはベルネをベッドの縁に座らせると、飲み物を取りに、部屋を出た。
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05/11 01:41 Android() [38]まぼだき
37
「し、死ぬかと思った・・・」
 まだ冷や汗が止まらないけど、平常心を取り戻すことはできた。本当になんなのオルガのご両親!もしかして元兵士かな・・・。
 そうだ元兵士といえばあの人が・・・と思い立った瞬間、携帯電話の着信音が鳴り響く。
「はいもしもし」
『私だよベルネ』
「シェっ、シェロひゃん?!」
 どうしてあの人アタシの携帯電話の番号知ってるのだろう・・・。
「あの、どうしてアタシの番号を」
『ヨシヤマのネットワークを使った』
 なんですと?!口が軽すぎるよヨシヤマの人たち!
『ところで、貴女いまどこにいるの』
「友達のお家です」
『その友達の名前はわかる?』
「えっとオルガ・・・、オルガ・ナイトウィングです」
『ナイトウィングか・・・ 分かった。切るよ』
 本当に電話を切っちゃったよシェロさん。でも何だか『ナイトウィング』という苗字の人を知っているようだった。
 あ、戦車を移動させるの忘れた。



 通信を切り、端末を机に置きソファーに横になる。
「成る程。ナイトウィング・・・、あの二人の娘か。確かに目元がそっくりだ」
 端末に通信が入ってきた。
 送信者はイヴァだった。
『近いうちに日本に訪問することになったよ!道案内よろしく~』
 ・・・・・・。
「はぁあああああ?!」
 もう叫ぶしかなかった。
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05/11 15:38 W61SH(e) [39]DD
28
 突然の顧問襲来から約数十分……あれから私は何をするでもなく、ただ部室で暇を潰していた。窓から撒き散らした可燃ゴミのせいで入部希望者数名が押し掛けて来たが、それを追い返して状況も落ち着いてきた頃だ。
 幸い、この部屋には先代部員達が掻き集めてきた膨大な数の資料が保管してある。それを端から読んでいれば、時間なんて飛ぶように過ぎていく――それが、この部屋に居座る理由の一つでもあった。
 ここの資料には一般的な物以外に、都市伝説のように怪談じみた物や信憑性が怪しい物も混在している。かと思えば、歴史的大事件について徹底的に調べ上げられたファイルや、明らかに専門機関の調査報告書に見える物まで揃っている始末だ。
 私が今読んでいるファイルもその内の1つで"閉鎖区画"と呼ばれる都市伝説について書かれていた。



――7年前の国際的バイオテロ事件DSC…この国は間接的被害こそ受けたものの、直接的被害は無く"滅菌処理"の対象にはならなかった……一般的にはそう云われているのだけど、このファイルによると事実は異なるようだ。
 どうやらこの国でも汚染区域が見つかったらしく、政府は秘密裏にこれを封鎖・滅菌処理を施したらしい。ただ、政府が独自に行った滅菌処理は不完全だったらしく、感染区域拡大を恐れた政府はその区画を何らかの方法で隔離・隠蔽したそうだ。
 閉鎖された区画は地図上から抹消され、次第に人々の記憶からも消えていった。しかし、閉鎖区画には現在も当時のウィルスが生き残っていて、もしそれが解放される事態になればこの国は確実に滅亡するだろう。かつて滅菌処理で亡んでいった国々のように――というような内容だった。
 それから後のページには、先代部員達による考察が細かく書き込まれている。



 一通り読み終えたそのファイルを元の場所に戻し、私は軽く溜め息を吐いた。
 この部屋にはこんな物がまだ大量に残っている。1年掛けたにも関わらず、まだ半分以上手付かずのままなのだから…

 私は先代部員達の努力の結晶(?)に感謝してから、あの面倒な教師が帰って来る前に部室を後にした。けど、私に帰る家なんて無い。
 私が向かうのは第二の暇つぶしポイント……校庭の隅にある射撃訓練場だった。
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05/11 19:56 W62H(e) [40]ラルド
38
「おまたせ、ベルネ」
オルガはお盆を持って自室へ入る。
「お昼御飯まだだったでしょう?驚かしちゃったお詫びって訳じゃないんだけど良かったら食べて。」
オルガはお盆に乗っていたスパゲッティをテーブルの上に置く。
「量が少なかったら言ってね、おかわり有るから。」
少ないとオルガは言ったが、あくまでもオルガの量よりも少ない、と言うだけで普通かそれ以上はボリュームがある。

[41]まぼだき
40
 この量は軍人が食べる量じゃないかな・・・。もしかしてオルガも毎日これくらいの量のご飯を?太ったりしないのかな。
 気になってオルガの身体を横目でちらりと見てみるる。そして自分の身体を見て、またオルガの身体を見る。
 ・・・・・・・・・・・・。
「世の中不公平よね・・・」
「?」
 アタシのボヤキの意味が分からないのかオルガは首を傾げるだけだった。
 でもこの量は胃袋に収まりきるか心配だなぁ・・・。

ж
 同時刻。
 突然決まった『聖巫女』の吉山国際学園の来校に学園の教職員一同は会議室に集められ、警備体制について激論を交わしていた。
 しかしなぜ『聖巫女』がこんな極東の島国の学校なんかを?
 私は『聖巫女』の訪問はシェロ=ルミークからの情報提供ですでに把握済みだ。
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05/12 08:41 W61SH(e) [42]零
34
03時17分、アルテミス:ドーバー基地

雲一つない夜空の下、戦術歩行戦闘機「FE-2000 タイフーン」12機からなる戦闘部隊が、市街地の大通りを高速で移動していた。
敵軍の侵入を幾度となく退け、足を踏み入れた者の生還を許さない無慈悲な海峡をたった1個中隊の戦力で築くのは『月の矢』の部隊名を掲げる、アルテミスの猛者達だ。
彼らの目的はドーバー海峡を越えてくる敵部隊の無力化。
ドーバー海峡を突破されると言うことは本土が直接敵の攻撃を受けるということ、絶対に守らなくてはならない絶対防衛ラインなのだ。

中隊を指揮するジークリンデ・アイヒベルガー中佐は、目前に展開する光のパノラマを黙って見つめていた。
外部カメラの映像が網膜投影で視界全体に広がっているため、まるで生身で飛んでいるような錯覚に陥る。
全周を覆い尽くした白い光が奔流となって後方へ流れてゆく光景は、人類が生み出した物とは思えない美しさを持っていた。
そう感じた瞬間、ジークリンデは心が緩むのを感じた。
「……いけない」
今から殺し合いをすると言うのに気を緩めてしまった。
極度の精神的緊張を強いられる戦闘任務にあって、一瞬でも気を緩める事は許されない、もし緩めようものなら、その瞬間が人生最後の瞬間になるからだ、それはジークリンデ自身も理解している、故に気を緩めた自分にイラついた。
だがそれも一瞬のこと、すぐさま感情を制御して平常を取り戻した。
目前の空間に浮かび上がる虚像、機体ステータスのウィンドウに目をやる。
部隊は時速700㎞を超える速度で、大通りと大通りの間を長距離跳躍中である事を示していた。
「―――ムーンアローゼロより中隊各機。敵群の存在を確認。前方1時方向、距離約7000!」
ヘッドセットのスピーカーから、全域管制官の声が響く。
ジークリンデはゆっくり深呼吸をした。
「ムーンアロー1より各機――跳躍中止。第壱小隊、前へ出ろ。隊形を雁行から楔弐型へ!」
中隊全機は、同時に跳躍ユニットの噴射制御パドルを閉塞、逆噴射用のパドルを解放して一気に減速、機体を派手にスライディングさせながら着地を開始する。
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05/12 22:33 H001(e) [43]零
42
突撃前衛の4機が前方へ突出、残りの8機がその後ろに続き、部隊が完全停止した時には、雁行型だった隊形は大きな矢印へ変わっていた。
楔型隊形――攻撃時に多様され、戦術機甲部隊が戦闘を行う際の基本隊形といっても過言ではない。
「――ムーンアローゼロより各機。大規模敵群が中隊座標へ移動中。近いぞ、注意しろ!」
警告を受け、ジークリンデは自機の索敵情報へ目をやるが、そこに敵影はない。
誤報……あるいはセンサーの故障なのか?
いや、市街地の地形や構造物の配置によっては、戦術機の複合センサーであっても、大きな死角や誤差が生じる場合がある。
「ムーンアロー1よりムーンアロー2、12時方向へ指向索敵1回」
突撃前衛として最前線に位置していたムーンアロー2の兵士はジークリンデの命令を受け、それまで周囲を満遍なく索敵していた自機の複合センサーを前方へ集中させた。
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05/12 22:59 H001(e) [44]ラルド
41
「ごちそうさまでした。」
オルガは食べ終わるとベルネを見る
「ごめんね、量多かった?」
ベルネは無言で首を横に振ったが、明らかにダウンしてしまっている。
「あはは……ちょっと食器置いてくるからゆっくりしててね、飲み物も持ってくるよ。」
そう言うとオルガは再度部屋を後にした。


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05/13 19:44 Android() [45]まぼだき
 なかなか通信に出ないナイトウィング一家に対して私は苛立ちを募らせていた。確かに秘匿回線を少しハッキングして使っているからとはいえ、少々警戒し過ぎではないか。
「早く出ろ・・・!」
 手元に置いていた.44magのシリンダーを指先で回転させる。これは月面都市連合(現在はB.M.Sと呼称を変えている)にいた時からの癖だった。
「やっと繋がったか・・・久しいなガネル。私か?ガーゴイルビアンカと言えば分かるだろう」
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05/13 22:38 W61SH(e) [46]ラルド
45
「シェロ=ルミークか…珍しいな、と言うか初めてじゃないか?」
電話に出たガネルはその名前と共に昔の忌々しい記憶が甦る。
「何の用かな?いつぞやの決着でも着けたいのか?」
ガネルは電話越しに冗談をかます。
「……冗談だ。」
しかしシェロの反応があまり良くないので訂正の言葉を放つ。
「で、改めて………用件は?」
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05/14 20:51 Android() [47]零
43
「――こちらムーンアロー2。12時方向、距離3500に感あり! 規模は…一個大隊です!」
無線報告と同時にジークリンデの網膜にも詳細情報が映し出されれ「敵性存在」を示す赤い光点が無数に浮び上がっていた。
位置は前方3500m、沿岸部に展開、戦術機36機と地対空ミサイル車両8を主力とした戦術機甲部隊、まだこちらには気づいていないようだ。
「『トライデント』で行く、第一撃着弾と同時に第壱小隊は1500まで進出し攻撃。第弐、第参小隊はそれぞれ距離を100を保ち、これを支援、一気に制圧する!」
ジークリンデはレシーバーに響く『了解』の合唱を遮るように命令を発した。
「――攻撃開始ッ!」
「――ムーンアロー11、フォックス1ッ!」
「――ムーンアロー12、フォックス1ッ!」
第参小隊最後尾に位置する2機の制圧支援機から、無数の誘導ミサイルが敵群へ向かって放たれる。
敵も気づいたのかフレアを発射し迎撃体制に入った、だが。
――爆発。瞬間、夜の港が眩い光で溢れ、吹き返して来た爆風が機体を揺さぶる。
「――第壱小隊突撃ッ! 第弐、第参小隊、前進しつつ援護射撃開始ッ!」
噴射跳躍によって一気に敵群との距離を詰める第壱小隊。
それをめがけて放たれる砲撃。だが、そのような状況にあっても、少しも怯む事無く攻撃を開始する4の突撃前衛小隊は、瞬く間に鉄塊の山を築き上げて行く。
36㎜砲の餌食になる仲間を無視し押し寄せる敵群が、何者かの号令に従うように左右に隊列を分けた。
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05/14 22:12 H001(e) [48]零
47
第壱小隊を包囲しようとしているのか、いや…
「ムーンアローゼロより各機」
勢いに乗る中隊へ、再び全域管制官からの警告が響く。
「――敵自走砲台と中隊規模の敵増援を感知――12時方向、距離約5000、H12広場からH24大通りへ移動中」
ジークリンデの網膜に波形データと照合データが投影される。
680㎜自走レーザー砲台『ルクス』だ。照合データから言って間違えない――ジークリンデがそう確信すると、操縦桿をしっかりと握り直した。
「敵遠距離レーザー照射、各機散開ッ!」
ジークリンデの号令と同時に中隊が射線上から左右に逃れた次の瞬間。
――閃光。大通りと大通りに隣接する建造物が炎上し融解を始める。
レーザーの温度は摂氏4500。最新の対レーザー蒸散膜をコーティングした耐熱耐弾装甲でも約4秒しか持たない。
「各機被害報告ッ!」
ジークリンデも自分の機体ステータスを確認する。
システムオールグリーン、健在。
次々と他の隊員からも報告が入る。殆どの機体が健在、ひどくても小破健在だ。
敵は今の一撃で勢いづき自走レーザー砲台を主に左右に展開した部隊による一斉攻撃を仕掛けて来た。
「――ムーンアロー各機に告ぐ、あれを使う――下がれ!」
第壱小隊は左右へ大きく展開、第弐小隊は第参小隊のいるラインまで後退した。
部隊全体は三又槍型とも言うべき特殊な隊形となり、その中央に位置するジークリンデが、正面から敵を迎え撃つ体制を整えた。
本来、自走砲台などの大型兵器に対して、正面からこういった攻撃的隊形を選択する事は自殺行為に他ならない。
なぜなら、大型兵器正面の頑強な装甲は、戦術機の装備する120㎜滑空砲の砲撃ですら容易に貫けないからだ。
コックピットに機動回避を促す警報が鳴り響く。
だが、ジークリンデは微動だにせづ、網膜に移る虚像を睨み付けていた。
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05/14 23:23 H001(e) [49]まぼだき
46
「なに大したことじゃない。私の妹分がそちらにお邪魔していると思うが」
 時計を見る。ちょうど1500時の時間が時計に表示されていた。今頃は間食でもしている頃合いか。
「できるだけ良くしてやって欲しい。あの子は難しいところがあるから」
 そう。
 あの子、ベルネは神殿で保護を受けていた一時期、悪夢にうなされていた。イヴァの処置により今ではマシになっているが、いつ再発するか分からない。それに昼間でも急に意識を失うこともある。
 恐らくあの子自身の身体が限界に近づきつつあるようで、ヨシヤマの金子に何とか手を打ってもらえるようには言ってあるが、それで不安が解消されたのかと言われればそうでもない。
 ベルネが接触した人間に彼女のことについて言っておかないと、いざという時話にならないからだ。
「しかしあの娘、オルガと言ったか?・・・・・・気をつけろ。最近軍人の家系を狙うテロが後を絶たない」
 元、現軍人を問わず軍人の家系を狙うテロ。犯行グループの名前は『CROW』という反地球連合組織。
 情報自体があやふやで、地球連合は『CROW』の存在を真っ向から否定しているがヨシヤマ重工業は『CROW』が実在することを把握していた。
 『CROW』の首領は男性とも女性とも言われており、構成人数もかなりのものだということも。
「戦いから身を引いたのに・・・私はまた」
 そう呟いて通信を閉じる。
 一体何が起ころうとしている?
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05/14 23:41 W61SH(e) [50]まぼだき
 日本共和国旧東京市街沿岸。
 アサルトライフルや、対物兵器で武装した一団が接岸している貨物船から物質を下ろしている。その一団に共通していえることと言えば、頭に黒い鳥の羽を付けていることと、闇夜に溶け込むような色の服を着ていることだ。
 今貨物船から下ろされた貨物の扉が開かれ、そこからテクニカルが姿を現す。
「いやーそれにしても壮観だねぇ?ここがかつての日本の首都だったなんて想像できないね」
 髪の長い、中性的な顔立ちの人物が貨物船のデッキから廃墟を見渡している。その後ろにはサングラスで素顔を隠した小柄な女性と大柄な男性が控えている。
「フラン、ダルキア。荷下ろしはどうかな」
「今はテクニカルを下ろしてる。テクニカルの次は食糧、最後にCFだな」と男が答える。続けて女性が答える。
「部下には全員この港一帯の制圧を命じました。先程獲物を数匹捕らえたようです」
「うわそれマジなの?!なになに、ヤクザ?役人?」
 その時デッキにロープで身体を縛られた、地球連合の公的機関の制服を着た人間が三人連れて来られた。
 三人共日系人だ。一人はすっかり怯えきっていたが、残り二人は悪態をついていた。
「頭目、どぶねずみを捕まえてきましたぜ」
「おっ!ご苦労さん」
 頭目と呼ばれた人物は捕虜を連れてきた部下にコインを数枚握らせ、下がらせた。
「さて、あー・・・『こんばんは。お役人さん』」
 頭目は流暢な日本語を話した。若干訛りがあるが、十分に通じたようだった。
『貴様ら何者だ』
「『私たちはイタリアから来ました。ちょっとした用事で』」
 頭目はにこやかに会話をしているが、後ろに控えている二人には頭目が何を考えているのか、完璧に読み取っていた。
「二人とも、コイツらムカつくから殺しちゃっていいよ」
「バラですか、ミンチですか」
「両方!ついでにこの辺りに隠れてる奴らもお肉にしちゃってね」
 頭目が指を鳴らすと同時に二人はそれぞれの手に大口径のハンドガンを持ち、捕虜に向かって発砲した。


 翌日。
 地球連合日本沿岸警備隊の隊員、105名の遺体が無惨な姿で発見されたことが大きく報道された。


[51]まぼだき
50
 夜が明けた旧東京市街を黒い車列が駆け抜ける。人っ子一人もいない。時たま見かけるのは野良猫か、この辺りを根城にしている組織同士の抗争跡くらいだ。
 完全防弾仕様のリムジンの中から『CROW』の頭目ランス=クロウは自分たちの根城にするのに相応しいビルを探していた。
「えーっ何も無いじゃん・・・まさかの野宿になるのかな」
「まだ太陽が昇ってから4時間しか経っていません」
 と女性が指摘する。それを聞いて男が威勢のいい声で笑う。
「固いぞフランチェスカ。今は頭目と俺しかいないんだ。いつも通りでいいんだよ」
「・・・分かった」
 フランチェスカと呼ばれた女性はサングラスを取り、足を組み愛銃の改造型.44Magのシリンダーを意味も無く回し始める。
「さっき無線を傍受した奴によると、地球連合がこの地域に部隊を展開するようなことをほざいてたよ。マジうぜぇ」
「何でそれを先に言ってくれないの・・・早く隠れ家見つけないとヤバくない?」
「無かったら奪えばいいじゃん」
 そう言ってフランチェスカは窓の外を指指した。そこにはこちらの車列を訝しげに見つめるギャングの集団、70人程度がビルの前に固まっていた。
 ランスが指を鳴らし、車を止まらせる。それに呼応するように車列が止まり、車の中から完全武装した構成員たちがぞろぞろと降りる。 最後にランス、フランチェスカ、ダルキアの三人が降り完璧に整列した構成員の間を歩く。
「んだぁおまいら!」
 ギャングのリーダーらしい男が刀を振り回しながらランスに近づく。
「すいませんね。ちょっと宿をお借りしますよ」
「お前」
 男が何かを言う前に、男の頭が吹き飛んだ。いつの間に抜いたのか、ランスの大口径ハンドガンの銃口から硝煙が上っている。
「It's cooking time.今日のメニューはギャングの肉のソーセージです」
 リーダーを失って浮足立つギャングたちに鉄の嵐が襲い掛かった。手足が吹き飛び、血飛沫が上がる。
 今日、旧市街地に根城を張る組織が一つ消滅した。
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05/15 19:14 W61SH(e) [52]DD
 その男は走っていた。
自分を追って来る"何か"から逃げるために生き延びるために…

「…ハァッ…ハァ……クソッ!!」
 星の光すらも届かない狭い裏路地を、男は全速力で走り抜けて行く。道端のゴミ箱を蹴飛ばし、壁にぶつかりバランスを崩しながらも、その脚を止める事はしない。背後を振り返る事もせず、ただ前だけを見て走り続ける。
――そうしなければ自分は死ぬのだ。少しでも足を止めれば"奴"に捕まり……殺される――男の生存本能がそう警告していた。

「…ハァ…ハァッ………ッ!!」
 地面に散らばったゴミに足を取られ、男の体が受け身も取れないまま地面に倒れ込む。立ち上がろうと男は力を込めたが、その脚は激しい痛みを訴えるだけで全く動こうとはしなかった。

「ッ…!!クソ…こんな…所でッ…!!」
――こうしている間にも"死"は確実に迫ってくる――

 残された右足と両腕の力を使い、男は地面を這って進む。泥にまみれ、身体中ボロボロになりながらも彼は"街の光"を求めて闇の中を這いずり回る。
(表通りに…人の居る所に出られれば…)
 それだけを考え、彼はただひたすら前に進む。今、男の中に在るものは純粋な生存本能のみであり、それこそが今の彼の全てだった。

 唐突に男の動きが停止した。疲れすら忘れて動かし続けた身体が、まるで鉛のように動かなくなる。
「…ぁ……ア…あァ…」
 その目は絶望に打ちひしがれたまま、目の前にそびえ立った黒く高い壁を映し出していた。

「…ウ…あァ…アぁぁァァぁッッ!!」

 悲痛な叫びが闇の袋小路に響き渡った。
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05/15 20:04 W62H(e) [53]ラルド
49
「軍人家庭を狙ったテロ行為……」
ガネルは電話の後、書斎に込もってパソコンに向かっていた。
「『クロウ』か、かなりの家庭が被害を受けているのか。これなんかは最近ニュースになった事件か………くそっ」
ガネルは机を殴る。
「戦争は終わったってのに、何時までたっても争いは治まらないか。なぁアイーシャ、オルガに少しは戦いのやり方を教えた方が良いと思うか?」
いつの間にか後ろにいたアイーシャにガネルは問いかける。
「そうね……本当は嫌よ、でもガネルが必要と言うなら。」
アイーシャは背を向けると部屋から出ていった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ベルネ、気分はどう?」
飲み物を手に戻ってきたオルガはベッドに横になっているベルネを見る。
「さっきより顔色は良いみたいね。今、3時を少し回った所だけど、何時ごろまで居るの?夕飯も食べていくなら、遠慮しないで言ってね。」

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05/15 20:52 Android() [54]零
48
「――『アルテミス』……準備は良いか?」
ジークリンデは「誰か」にそう呼びかけると、残弾僅かな中隊支援砲を投棄、機体の右肩に固定された異形の兵器、FE-2000 タイフーンの全身ほどある大型弓の安全装置を解除した。
ジークリンデがその弓を構えると、甲高い充電音が鳴り響く
――自走砲台を表す光点が正面に移動し、照射準備に入った。
予測照射範囲がマップ上に表示され網膜に投影される――機動回避はもう間に合わない。
「――撃てッ!」
その瞬間、通常のものとは明らかに異なる砲声と閃光が港に充満した。
アルテミスの弓は、チェーンガン並みの発射速度で矢を吐き出し続け、そのハミングの如き振動が強烈なトルクとなって機体を軋ませる。
弓には絶え間なく新たな雷光の矢がローディングされ、遠雷に似た不吉な響きが、機体を介してコックピットに伝わる。
ジークリンデは歯を食いしばり、ターゲットサイトに集中した――すると、あの頑丈な装甲を持つ自走砲台が、まるで粘土のよいにひしゃげ、飛散する姿が映しだされた、やがて自走砲台は爆発し、炎上した。
「――全機兵器使用自由! 1機残らず片付けろッ!」
……………。
………。
…。
『仮想戦闘プログラム・ルクス3 終了』
と書かれたダイアログが浮かび上がった。
周囲に広がっていた港の風景が小さな六角形の破片となって消え、赤灯に照らされたシミュレーションのコックピットを背景にプログラムが終了した。
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05/15 22:16 H001(e) [55]米酢
9

『聖巫女』の緊急訪問に対処する為の緊急会議を適当な理由をつけて抜け出してきた斎藤。
まったく勤務初日からめんどくさいのは御免だ。それはそうと・・・この学校の保健室は手術室が軽く二部屋は入るんじゃないかというくらい無駄に広い。それに此処が軍事訓練を行っているのを差し引いても絶対に使わないであろう手術器具。

「まったく、レントゲンなんて病院に行って撮ればいいのに・・・私の記憶が正しければ保健室は戦争が起こっても大丈夫みたいな場所じゃないのにな」

斎藤は近くにあったソファーにもたれかかると先ほど拝借してきた職員名簿に印を付けていく。

「ぱっと見ただけだから確証は無いけど少なくとも3人くらいは吉山の裏に深く関係してそうな奴がいるわね。それとは別に血なまぐさい奴が数人・・・」

この学校には生徒を含めまともな人間が居ないのかしら。

斎藤は自虐的に笑いながら 名簿を放り投げた。

「ふふっなんにしたって暇はしなさそうね。まったく地下に『METAL GEAR』でも収容してるのかな~♪」

とんでもない事口走る保健室の先生の長い一日はこれから始まると言っても過言ではなかった。
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05/15 22:22 N02B(i) [56]まぼだき
53
「うーん、さすがに夕飯までご馳走になるのは気が引けるから5時には帰るかな?いやオルガってよく食べるよね」
 さすが軍人の家系というべきか。オルガの栄養吸収力はずば抜けているようだ。
「てゆーかさオルガって男子にモテるでしょ」
 本人は何で?という表情を浮かべている。
「スタイルいいし、可愛いしさ、成績はどうか知らないけど・・・ほら、アタシって機械科じゃない?毎日機械触ってるからオイル臭くなるし、髪はベタベタになるし、すぐ汚れるし・・・」
 あぁなんで自分で傷口をえぐってるんだろう。悲しくなってきた。自分のスタイルをここまで呪う日がくるとは・・・。
「それにあちこち小さいし・・・」
 そう。胸とか胸とか胸とか!
「神様って本当不公平だよねー」
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05/15 23:16 W61SH(e) [57]まぼだき
51
 ギャングの残骸を尻目に『CROW』の構成員たちはせっせと機材や武器、食糧をビルの中に運び込んでいた。後続の貨物船から下ろされた物資や人員は相当な希望に膨れ上がっていた。
 ビルから半径500範囲内はすでに『掃除』済みだ。邪魔になる弱小勢力は全て消し去った。
 今回自ら連れてきたのは500人。予め潜入させていた人員を含めれば650人に上る。武器弾薬は三ヶ月分、食糧は二ヶ月分持ってきた。
 どうやら我々と同じ『CROW』の名前を持つ組織がこの国にあるらしい。その組織はどこのどいつが率いているのか。そいつを取っ捕まえて、ミキサーにぶち込んで挽き肉にしてやる。
 ランスはビルの最上階から陣地の構築を進める部下たちを観察していた。ダルキアとフランチェスカの姿も見える。
「おーおーやってるやってる」

 地上ではフランチェスカとダルキアが部下を指揮して陣地を構築していた。二人はそれぞれ協議しながら機関砲の配置や、装甲車の配置を検討し部下に指示を下している。
「・・・ダルキア」
 突如フランチェスカが獲物の気配を感じとった猟犬のように鋭い表情を浮かべた。
「俺も感じた。行け、頭目には俺が伝える」
 フランチェスカは身体を低くして走り出した。目指すは獲物の気配がする場所。恐らくこの旧市街地と新市街地の境目となる所だろう。
 一度立ち止まり、四方を見渡す。一番気配が強かった方向、新市街地へと続く橋へと再び走り出した。

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05/16 00:08 W61SH(e) [58]DD
52
 背後から聞こえたほんの微かな物音。それが彼には、自身に迫る死神の足音のように聞こえた。

「ァ……」

 壁を背に振り返った男の目に、闇から現れた死神の姿が映る。闇に溶けた身体は見えず、ただ目のような一つの赤い光が男を見下ろしている。
「ァ…ァァァァ…!?」
 既に壊れた男は隠していた拳銃を構え、死神の頭部目掛けて引き金を引いた。

――――

銃声が響く。一発、二発、三発………
死神は歩く。一歩、二歩、三歩………

 男はひたすらトリガーを引き続ける。
放たれた銃弾は確かに死神の頭部に命中している。が、死神の動きは止まらない。

――五発…六発…七発……

 人間なら既に死んでいるはずの銃弾を頭部に受け、しかし平然と死神は男のほうに近付いていく。

――5m…4m…3m……

 そして、男のすぐ目の前で死神の動きは制止する。男が至近距離で放った最後の銃弾はその頭部に吸い込まれ、漆黒の装甲に弾かれた。

「ウァ…アァ…ァァ」
 大きく見開かれた男の目に、その死神の姿が明確に映し出される。全身を隙間無く覆う装甲、頭部に赤く光るカメラアイ、大鎌の代わりに携えられた機関砲、そしてこの死神が何者かを示すマーキング……

「ァァ…ァ……ウァァァァッ!!」
 男は叫びながら死神に飛びかかった。その手に握られたナイフの刃が死神の胸に突き立てられる――はずだった。男の左腕がナイフを握り締めたまま胴体と分離し、地面に転がっていなければ――

「―――――!!」
 死神は、もはや声ですらない悲鳴を上げ地面をのた打ち回る男の頭を鷲掴みにし、自身の視線の高さまで持ち上げ――

「――」
 勢いよく握り潰した。

         ◆

『処理完了』
「数は?」
『68。内民間人14』
「それ、殺り過ぎだから。いくら何でも人質皆殺しはダメでしょ…」
『仕方無、排除最優先』
「ハァ…隠蔽する身にもなってよね。とりま、こっちに戻って来てよ…面倒な事になってるっぽいから」
『了解』

 通信を切ってからも笑いが止まらなかった。別に僕は殺人凶じゃ無いし、争い事も嫌いだ。
 けど、何故か血が騒ぐ。今だって待機組になった事を後悔してる程だ。

「楽しくなりそうだね。久々に…」
 誰に向けた言葉でも無く、ただ思った事がつい口から出ただけだ。

 全員の搭乗を確認してから、僕はトラックを発進させる。

――次は戦場だ――

心が踊った。
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05/16 01:23 W62H(e) [59]まぼだき
57
 獲物を追って新市街地に入ったのはいいが、人の気配が多過ぎて獲物を捉え続けるのが難しくなってしまった。
 だが獲物の特徴をこれまで追跡した中でフランチェスカはある程度把握できていた。
 獲物は中肉中背の男性、武器を所持しているか不明だが、明らかに軍隊経験者・・・それも元特殊部隊であること。元特殊部隊なら気配を隠すことも容易だろう。それにこれだけの人が行き来しているのので身を隠すにはもってこいの場所だ。
 一々こちらに視線を向けてくる民間人に苛立ちを覚えながら獲物の気配を探す。
「そこのお嬢さん少しお時間いい?」
「黙れ」
 近寄ってきたホストに、通行人に見えないようにナイフを突き付ける。殺意を放ち、ホストに肉薄する。ホストの男性は顔を恐怖に引き攣らせながら、転がるように逃げていった。
 ナイフをしまったその時、獲物が動く気配を感じた。
 どうやらフランチェスカのすぐ近くに隠れていたようだ。人目があるところではやりにくい為、路地裏に誘導する。
 獲物はフランチェスカが自分に気づいてないと解釈しゆっくりと彼女の後を追う。
 十分に入り込んだところで獲物は懐から自分の武器を取り出した。サイレンサーを取り付けた.45calの小型SMG。その銃口をフランチェスカの背中に向ける。
 トリガーを引けば追跡者の背中にありったけの弾丸を撃ち込める、はずだった。
 重く響く銃声と共に獲物の右腕が肘から先が吹き飛んだ。
 獲物が腕を押さえて地面に膝をついた。
「どこの組織の人間だ」
 フランチェスカは硝煙が上る銃口を獲物の頭部に向ける。獲物の男は彼女を見上げ、その顔に唾を吐きつけた。男の唾液はフランチェスカの頬に当たった。
「くたばれ阿婆擦れ」
 そう吐き捨てた男の頭部は次の瞬間見事に吹き飛んでいた。
 男の唾をハンカチで拭き取り、それを近くのごみ箱に投げ捨てる。
「この国の警察は対応が早いな」
 警察が近くまで近づいていることを悟ったフランチェスカは薬莢を回収し、組織の陣地に戻る為走り出した。
 その動作はまるで猟犬のように素早かった。

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最終更新:2011年06月14日 23:23
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