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【SS】初心者で小説創ろうぜ!!その3

[60]ラルド
56
「神様って不公平だよね」
オルガはベルネの一言に胸が痛んだ。
「そうね、不公平よね」
いったい今、自分はどんな顔をしているのだろう。
「私の両親ね、魔法使いなの。一部の軍人や関係者の中ではかなり有名らしくてね…そんな二人の娘だからきっと優秀な魔法使いになるだろうって言われて育ったの。」
なんで自分の過去の話なんか
「でも結局魔法は使えず、周りから出来損ないの烙印を押されたの。両親はそれでも私を愛してくれて、あの学校にも入れてくれた。『神様は乗り越えられる試練しか与えない』誰の言葉かは忘れちゃったけど、私はそう思うんだ。……あれ、私どうして」
気付けば何故か泣いていた。
「何かごめんね、いきなり泣いちゃって。それに魔法とか意味解らないよね」

[61]まぼだき
60
「魔法か」
 オルガの言葉を繰り返しつつ仰向けに寝転がる。飾り気のない天井を見ていると、あの頃の記憶が蘇ってくる。暗くて冷たい空間での・・・。
「実はアタシも使えるんだ」
 オルガが驚きの表情を浮かべる中、アタシは彼女の顔を両手で挟む。
「そのまま頭を動かさないでね。・・・ハイ、じゃあアタシの人差し指の先をジッと見つめてて~」
 人差し指をオルガのおでこに向ける。オルガは腫れた目でアタシの指先をじっと見ていた。
 そしてゆっくり、ゆっくりと指先をおでこに近づけていく。おでこまで数センチ、といった所で一気に指を進ませた。オルガが可愛い悲鳴を上げてひっくり返るのを見ると、自然に笑いが込み上げてくる。
 本人は顔を真っ赤にして睨んできているけど、さっきの悲しげな表情はきれいに吹き飛んでいた。
「アタシの魔法は悲しいことを吹き飛ばすことができるんだよ」
 と胸を張ってみる。
「魔法はね本当は誰でも持っていんだよ。でも使い方、力の出し方が分からないから、皆魔法なんて無いって思い込んでるんだよ。これは『聖巫女』様が言ってたんだ」
 聖巫女様の言葉は、本当に胸にくるものばかりでアタシは話を聞く度に号泣していた。・・・シェロさんには違う意味で泣かされたけど!
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05/20 23:16 W61SH(e) [62]DD
36
 真っ昼間から廃墟を走り回って得た情報…ソイツを整理する為に戻って俺達を出迎えたのは、妙に殺伐とした雰囲気の職場だった。

「なんだ、デカい事件でも起こったか?」と俺の隣のデスクで軽口を叩き、安藤さんは新しい煙草を取り出した。それに火を点けようとしたところに「その通りだよ、お二人さん」と課長の横槍が入った。

「その通り…って、俺らの居ない内に何かあったんスか?」
 なかなか火が点かない煙草に苦戦する安藤さんに代わって、俺が質問を返した。
「まぁ色々と…な。詳しくは俺も知らん」
 そう言って課長は肩をすくめた。どうやら俺達にそれを話す気は無いらしい。

「…その様子じゃ、マトモな情報は回って来ていない。って事ですか…?」
 安藤さんはそう言って、口から煙を吐き出す。
…一応この場所は禁煙のはずなのだが、本人はおろか責任者である課長ですらそれを気にする様子は無い。
「仕方ないだろ、担当が違うんだからな。それに、どうせヤツらが勝手に騒ぎ立てるさ」
 課長はそれが誰なのかは言わない。いつの時代にも"正義"だの"真実"だのを主張するだけの連中は消えないからだ。その情報が捻れている事にすら気付かないのに……

「…でも俺達にも"知る権利"ってモンがあるじゃないですか。ね、安藤さん」
「だな。課長、分かる範囲だけでも教えてもらえませんかね…?」
 俺と安藤さんは二人掛かりで課長にプレッシャーをかける。それは、俺達が課長に口を割らせる為の常套手段だ。まぁ、そんな事しなくても問題は無いのだが…
「…だろうと思って回しといた。但し!!」
「分かってますよ、課長」
「そうそう。安藤さんが暴走したら俺が…ゴホッ」
 キツい裏拳が入った。

「頼むから面倒は起こさんでくれよ」と言い残して、課長は自分のデスクに戻っていった。
 その後ろ姿を見送りもせず、安藤さんは目当ての物を探している。俺もそのファイルを見つけ、中身に目を通していた。のだが、うっかり「眠い」の一言が口出る。
 その瞬間、隣から顔面直撃コースのストレートが飛んで来て俺の視界は歪んだ。
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05/21 01:41 W62H(e) [63]ラルド
61
「ありがとう、ベルネ」
オルガは横で寝転んでいるベルネに礼を言う
「もう少しで5時になっちゃうね、もう少しいろんな事お話したかったけど…」
オルガは時計を見る
「そういえばベルネのお家ってどこら辺なの?今度はベルネのお家に行ってみたいな」

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05/21 19:45 Android() [64]まぼだき
59
 フランチェスカが陣地に戻ってくると構成員たちは拍手と指笛で彼女を出迎えた。コートに付着した血液が、獲物を仕留めたと証明していた。
 ダルキアとランスも彼女を出迎えていた。
「いや素晴らしい。さすがショーン=ルミークのパーツを使っているだけのことはありますね」
 ランスの背後にいた男がフランチェスカに近寄った。ナイフを構えそうになったが、ランスが敵では無いことを伝えると彼女は大人しくなった。
 男がフランチェスカの顔を覗き込み、数秒観察して「うんうん」と頷くと顔を上げてランスに向き直る。
「しかしいつの間に戻ってきたんですランス?まだ部隊は完成していないでしょうに」
「自分で呼び戻しておいてそれは無いでしょミスター・カネコ。ここにいるのは私が選び抜いた精鋭ばかり、地球連合の海兵隊とガチンコで渡り合える者ばかりです」
「そうでした。時にフランチェスカ」
 突然名前を呼ばれたフランチェスカは警戒心剥き出しでカネコという男を睨んだ。その様子を見て肩を竦めるカネコ。
「もうすぐお姉さんに会えますからね」
 それだけ言うと、カネコは真剣な表情をランスに向ける。
「ランス部隊長。貴方には一週間後に予定されている聖巫女の日本訪問において、聖巫女の護衛をお願いします」
「大役ですね」
「えぇ。聖巫女の影武者は普通に日本を訪問してきます。貴方たちには本物の聖巫女の護衛をお願いしたいのです」
 どういうことかとランスは疑問を含んだ視線をカネコに向ける。それを悟ってカネコは続きを話す。
 そして全てを話終わるとカネコは乗ってきたと思われるバイクに跨がり、エンジンをかけた。
「あぁそうそう。貴方たちが殺した地球連合の日本沿岸警備隊105人、彼らの正体は貴方たちの言った通り、『奴ら』でした。それではまた」
 カネコがバイクを操り、爆走していくのを見送るとランスは普段のおっとりした表情を顔から消し、歴戦の戦士の顔を表した。
 同時に構成員たちが背筋を伸ばす。
 ダルキアとフランチェスカは目を覆い隠すタイプのサングラスをかけ、表情を見えないようにする。
「各員装備を点検し持ち場につけ。現在地を完全に確保した後、後続部隊の到着と共に次の地点に移動する」
 ランスの一言で構成員たちが一斉に行動を開始した。それは、もはや軍隊と呼ぶに相応しいものだった。
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05/21 23:17 W61SH(e) [65]DD
62
「今回の件…どう思う?」
 ひとしきり作業が落ち着いたところで安藤さんはそんな事を聞いてきた。
 彼の言う今回の件が、ワケのわからない連中が不法入国して来た事なのか、それとも日防軍がその無能っぷりを全世界に曝した事なのか、はたまた単に俺達が追っている"事件"の事なのか…俺には分からなかった。ただ、どれだろうと俺の答えは変わらない。

「とりあえずねむ…」そう言いかけたところで隣から殺気を感じ、口から出そうになった言葉を呑み込みんだ。代わりに「いや~まだ何とも言えませんね」と答えたが、隣から返ってきたのは不機嫌オーラ全開の視線だけだった。

「どうせ俺達の出番無いでしょう?」
「…本当に全部が全部無関係なら、な」
「関係あるとは思えませんけどね…」
「それを探すのが俺達の仕事だ。ほれ、その容量不足の脳みそ動かしやがれ!!」
「へいへい…」

 数十枚の写真と数枚の地図、そして真偽も不明瞭な数百の証言…その中から必要な物だけを組み合わせ、事実を導き出す。それはまるで"揃っているのかも分からないパーツを使い、完成図の無い何かを間違えずに造れ"と言われているのと同じだ。
 一人目は失血死、二人目は焼死、三人目は衰弱死…死因一つ取ってもこの状況だ。共通点などそう簡単には見付からない。ただ、一つの点を除いて――

「オイ!コイツを見てみろ」
「は……何です?」
 安藤さんが指したのは、昼間に撮ってきた現場写真の一枚だった。
「で、これが何か?」
「……不自然だと思わねぇか?」
「どこが…です?」
「テメェの目は節穴か!?よく見ろ、この端だ!!」
「コレは…何かの模様…ですかね?」
「"吊し人の刻印"…コイツはただの殺人じゃない。処刑だ」
「……でも、昼間はこんなのありませんでしたよ?」
「……確認しに行くぞ!!」
「無茶ですって!?ヤツらが動いたら…」
「その前にケリを付けるだけだ!!」
 そう言うなり安藤さんは格納庫に続く扉の奥に消えていった。

「………」
 画面上に写し出された緋色の紋様…それをもう一度眺めた後、俺も安藤さんに続いて格納庫への扉を開いた。
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05/21 23:29 W62H(e) [67]DD
58
 その日の朝もいつもと変わらない。違うのは、街を取り巻く状況だけだった。
 武装した集団不法入国者…軍が"CROW"と呼称する存在に対応する為に集められた者達が、廃れた都市周辺に犇めいている。正規の軍人とは違う漆黒のASを纏った人間達もその中に含まれていた。



『FG2配置完了。これより起動準備に入る』
「了解。あまり時間を掛けるな…以上」

 必要最低限の返事だけを返すと、彼は不快感を表情に出したまま再度、向かい側の男を睨み付けた。一方、相対する男はそれを気にする事も無く無邪気な笑みを浮かべている。

「桐生班長代理、一体何のつもりだ…?」
「やだなぁ~そんな仰々しい呼び方しないでよ」
「……任務中ぐらいは公私を弁えろ」
「……あ~もう、わかったからそんなに睨まないでよ。え~…CP極東第三支部第ニ実働隊J班班長代理桐生 由貴以下三名、たまたま現場が近かったので帰投中に立ち寄りました。貴隊任務への参加許可を願います同A班班長谷塚 樹殿……これで良い?」
「……要は野次馬か?」
「そうとも言うね」

 谷塚は桐生の言動に呆れ返り、額に手を当てたまま黙り込んだ。対照的に桐生は不思議そうな目で谷塚を見ている。

「…ここに来る途中、軍の敷いた検問を強行突破したらしいな?」
「だって邪魔だったし…そもそも、先に喧嘩売ってきたのはアイツらだしね。あ、心配しないでよ。"一応"殺してないから」
「………」
「それは置いといて、結局僕達の扱いはどうなるワケ?」
「即刻帰れ!と言いたい所だが、作戦開始まで時間が無い…余計な手出しはするなよ」
「さっすが班長、話が分かるね~♪」
「………」

 谷塚は子供のようにはしゃぐ桐生の後姿を静かに見ていた。その姿は、彼の笑顔の裏側に潜む狂気と殺気からは想像もつかないほど清々しい物だった。

『FG起動準備完了だ』
「軍の連中がまだうろついている様だな」
『もう一度警告を出すか?』
「事前通達は行った。奴らの自己責任だ」
『…だな。全FG起動!現空間より当該地区を隔離する!!』

 その直後、重い轟音と共に目に見えない"何か"が旧市街を覆い隠す。ヘルメットに内蔵されたセンサー越しに谷塚が見たその街は、不可視の壁によって文字通り"隔離"されていた。
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05/25 20:22 W62H(e) [68]まぼだき
67
「来たか。予想より早いご到着だ」
 CROWの制服に着替えたランスは口元に笑みを浮かべていた。それに反して両脇に控えるダルキアとフランチェスカの顔には狩りを始める前の、血に飢えた猟犬のような表情が受かんでいる。
 CROW構成員たちもそれぞれこれから始まる“ショー”を楽しみにしているようだ。
「この様子だと相手はASを使っているな。フランチェスカ数はどれくらいいる」
「50から60と推定」
「ダルキア現在の状況は」
「テクニカルなどは地下駐車場に全て収容。狙撃チームにゲパードを持たせ各ポイントにて待機、工作チームにはトラップを設置させました。尚、当地は敵の兵器により“隔離”されています」
「FGって代物だな」
 ランスは落ち着き払った様子で部隊の配置が記された地図を眺める。多少の修正を命じた後、総合指揮所に入っていった。
 残されたダルキアとフランチェスカは互いに目配せし、コートの内側から愛用の大口径ハンドガンを取り出した。
「フランチェスカ俺に獲物を横取りされるのと、部下に獲物を取られるのどちらがいいか」
「どちらも腹が立つから却下だ。ちなみに狩りの時は私をあだ名で呼ぶなとあれほど言っただろう」
「悪かったな“ファルケン”」
「分かればいい」と言ってフランチェスカ・・・ファルケンはハンドガンの安全装置を外し、近くに置いてあったコンテナからをMGL140グレネードランチャーを取り、狩場に向かう。 ダルキアも同じようにコンテナからM134を取り出し、ファルケンに続く。
 構成員たちが防衛陣地を構成している中ファルケンとダルキアは異様なまでの殺気を放っている。二人の黒い革コートが風でたなびく。
「ヘマするなよダルキア」
「こちらの台詞だファルケン」
 二人は一気に駆け出し狩場に突入し二手に分かれた。待機していた狙撃チームのメンバーも行動を開始し、風景に溶け込むかのように姿を消した。
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05/27 01:36 W61SH(e) [69]DD
68
 誰が名付けたかは分からない。その原理すら解明されていない技術……彼等の視界に入る"檻"もその一つだ。
 内側と外側の物理的相互干渉を完全に遮断するデタラメな"壁"を生み出す物。それは単に「フィールド・ジェネレーター」と呼ばれていた。度重なる実地試験で判明したのは「このフィールドを物理的に突破する手段は存在しない」という事実だけだった。


『樹~』
「………何だ?」
『ヒ……』

 最後まで聞かず、彼は通信を切断した。そして、時間経過と共に変動する3つの数値を頼りにフィールド内の環境状態を外側から把握していく。

(………)
『何で急に切るのさ~!?』
(……濃度…%)
『聞いてんのか~!?』
(…反応率…8%)
『答えろ~!!この陰険ヤロ~!!』
「………五月蝿い、黙れ、気が散る、邪魔だ!!」
『だってヒマなんだよ~!せめてハンニバル出せば?』
「無意味だ。アレがある限りな」

 俯瞰で見れば地上を半球状に覆う巨大なフィールドが、外側に居る彼等からの干渉を拒んでいた。

『ホントどうなってんだろ、コレ?』
「さぁな…俺は研究者じゃない」
『通信も通じないし、行き来も出来ない。兵糧攻めには最適だけどさ…僕はキライだね』
「……閉じ込めた害虫を直接叩き潰す必要性は無い。殺虫剤を使えばいいだけだ」

 ディスプレイに表示された数値が再び変動する。減少する数値は推定酸素濃度。増加する数値は内部転送率と予測BC濃度。
 それは、この檻の中で化学兵器が使用されている事を示していた。

『ホント外道だよね、僕達もさ』
「……俺達はフィールドの外側に居て、ガスが発生しているのはその内側だ。俺達がアレを使用する事は"物理的"に不可能な筈だが?」
『それを可能にする技術を僕達が持っていなければ、だけどね……』

ディスプレイの赤い数値が再び上昇した。
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05/28 22:31 W62H(e) [70]まぼだき
63
「えっ」
 オルガの言ったことが正しければ、「今度はベルネ」のお家に遊びに行きたいって言ったような・・・。
「あーえっとね。アタシの家は向こうの山沿いなんだけど、その・・・神社なんだ」 何か急に恥ずかしくなった。
 神社で働いている他の巫女さんは黒髪なのに、何故かアタシだけブロンドだし、でも何故か両親はアタシをお祭りの時に神楽を舞わせたがる。
 一人恥ずかしくがっていると、金属が一気にバラバラに砕かれる音が部屋に響いた。まさかと思い、オルガの部屋の窓を開け様子を見た。
「あぁあああああッ!?」
 恐らく近所の通報を受けたのだろう、警察と地球連合の憲兵たちがアタシのティーガーを解体して、部品をトラックの荷台に詰め込んでいた。
「嘘ぉ・・・」
 これで帰る足が無くなってしまった。こうなったら、嫌でもあの人に頼むしか手がない。
 携帯電話の着信履歴から、シェロさんの通信端末に発信した。しばらくして電話が繋がり、アタシは少し泣きながら頼むしかなかった。
「シェロさんごめんなさい。迎えに来てください・・・」
『何をやらかしたの。内容によっては』
「戦車を壊されて帰ろうにも帰れないんですぅ!」
『・・・だから作るならバイクとかその辺にしとけと言ったでしょ』
「だってぇ」
『それに私はこれから金子と旧市街地に行くんだ。泊めてもらいなさい』
「でもでも明日から授業だし教科書は家に置いてあるし着替えも持ってないですよぉ」
『自分が悪い。どうした金子・・・・・・了解。じゃあベルネ、ちゃんと両親には伝えなさい』
「シェロさん?!」
『通信終了』
 うぅ・・・。あれ、目から塩水が・・・。
 オルガに向き直り、深々と頭を下げる。他人から見たら多分土下座してるように見えてるんだろうなアタシ。
「ごめんオルガ。今日一日泊めてもらえるかな」
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05/29 10:54 W61SH(e) [71]ラルド
70
「えっと、大丈夫だと思うけど…明日の仕度とかどうするの?」
こうやって話していてもオルガは普通科でベルネは機械科なのだ。
普通教科は同じかもしれないが、専門教科についてはどうしようもない。
「貸せる物は貸すけど…取り敢えずお母さんに泊まる事伝えてくるから、どうするか考えてて」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「お母さん、ベルネ泊まってくって言うから夕飯一人分追加ね。あと、予備の布団って何処に閉まってあったっけ?」

[72]零
54
「圧勝でしたね」
シミュレータ1号機を降りたジークリンデに、2号機から降りて来たムーンアロー2--副長のサーシャ大尉が話しかけてきた。
「違う……自走砲台に時間をかけすぎだ、それに部隊に被害が出た以上、圧勝とは言えない」
「そうですかね、被害といっても小破健在、作戦続行に支障な無いと思いますが」
「たまたま小破健在だっただけだ、自走砲台の出力が臨界に達するのが、あと少し早かったら大破、よくて中破だったはず」
「厳しいですね」
「当然だ」
サーシャは少し苦笑いすると「それでは中佐」と敬礼しシャワールームへ向かって行った。
残されたジークリンデは1人壁のモニターに目をやる。そこには今回の作戦内容と戦果が映っている。
「無人戦術機……か」
今回の作戦内容は、グリーンランドから侵攻してきた敵無人戦術機部隊をドーバ海峡で迎撃し、首都への攻撃を退けるというものだった。
この頃のグリーンランドは怪しい、というのも今まで武装中立を守ってきた国が、最近は突然軍備を増強しだしたのだ。
世界水準にあわせると言うのならまだ分かる、だがグリーンランドはまるで挑発するように兵器の量産を始めていた。
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06/01 00:09 H001(e) [73]まぼだき
69
 センサーに反応。
 ファルケンとダルキアはこの狩場で相手は楽に終わらせるつもりだと予測した。だがそうはいかない。こちらは丁重に歓迎する準備ができているのだ。
 このフィールドに敵の気配は無い。
 ならば誘いこむのが一番なのだろうがどうしたものか。


 旧東京市街封鎖口4番付近。
 中国式アサルトライフルにドラムマガジンを押し込むシェロを尻目に金子は市街地に展開されているフィールド・ジェネレーターを双眼鏡で眺めていた。
「いやはや君が来てくれるとは思わなかったよ」
「イヴァ・・・聖巫女様の護衛人数が少なくなるのは困るから。私はジェネレーターコントロールを破壊しに行くだけ」
 安全装置を外し、防弾繊維が織り込まれたコートを羽織る。
「でも大丈夫かい?そんな口径が大きい銃より小口径が使いやすいと思うけど」
「相手はパワードスーツを着ている。その防御を崩せるとしたら、これしかない」
 双眼鏡から目を離した金子はバイクに跨がるシェロを見てぎょっとした。
「いやいやシェロそれは私のバイクですよ」
「少し借りていく」
 シェロはエンジンを吹かせ、ジェネレーターの近くにあるジェネレーターコントロールを目指した。
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06/01 16:27 W61SH(e) [74]DD
73
 名も無き蝶はヒラヒラと空を舞う。小さな翅を羽ばたかせ緩やかな軌道を描き舞い踊った後、彼は空中でその動きを止めて羽を休めた。
 それが不自然な事であると、蝶は気付かない。在るはずのない物体がその場所に在る事に、彼は何の疑問を抱かない。

 束の間の休息を終えた蝶が再び空に舞い戻って行き、姿の見えない狩人だけがその場に残された。

 4機の狩人達はそれぞれ4つの異物に狙いを付けたまま、ただその場で時を待つ。

その存在を知る者は誰もいない……

         ◆

 作戦開始から14分が経過した。
 フィールド内のガス濃度は38%を超え、毒性が発現するのは時間の問題だった。そうなればもう、誰にも止められない。
 空気中の酸素と次々に結合し、自然分解には膨大な時間が必要となる。唯一の"解毒剤"は、汚染された空間ごと全てを灼き払う"BOM"のみ――どちらにしろこの廃墟は地図上から抹消される事になる。

――タイムリミットまであと73分。
 その間に彼等がすべき事は攻める事でも守る事でもなく、ただ獲物が罠に掛かるのを待つ事だけだ。
 FGは単機では動作しない…必ず複数機が連動した状態で稼動しているのだ。この状態で仮に一基が破壊されたとしても、十数秒後には他のジェネレーターからのデータを基に"再生"する――そのデタラメな法則を研究者達は「相互間フィードバック」などと呼んでいるが、実態は掴めていない。
 ただ分かっている事は、一基でもジェネレーターが残っていれば他を停止させようが、消滅させようが、何の意味も持たないという事実だ。

 故に彼等は罠を仕掛けた。外側から畑に近付く鴉を始末する為の"案山子"――"マンイーター"と呼ばれる破壊の為だけの機械のみが、ジェネレーターの周辺に無数に配置されていた。
         ◆

 その鳥は見えない何かに接触し、墜落した。それは実体を持った幽霊船、現世に未練を残した兵士達の旗艦。旧市街上空を徘徊するその船は、地上からの合図を待っていた。

 狩人達が上げる反攻の狼煙を――
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06/04 13:39 W62H(e) [75]まぼだき
74
「まずいなぁ・・・」
 ランスは部下達に防護マスクを被らせ、テクニカルが収容されている地下駐車場に行かせシャッターを完全に閉じさせた。
 狙撃チームはいち早く対策を取っていたが、残る懸念はダルキアとフランチェスカの二人だ。だが彼らはこれまで何回も非常に危険なケースを生き延びてきた。
「しかしいつまでも閉じ込められるのも癪だね」
 指の関節を鳴らしながら外に置きっぱなしにしていた重CF、BSR/BOM-04『フレイム・ヘル』の遠隔操作コンソールを弄る。
「まずはこの糞汚い空気を浄化させてもらうよ」


『フレイム・ヘルが動いてます同志ファルケン。退避を』
 本部の方角を振り返ると確かにフレイム・ヘルが一斉射撃体勢に移行していた。さすがにまずいと思ったのかファルケンは足元のマンホールの蓋をこじ開け、中に入った。
 視界が暗視モードに切り替わり、地下の様子が鮮明に映る。
「成る程。どうやらここまでは隔離できなかったのか」
 ファルケンの表情が血に飢えた猟犬の様に変わった。


 飛来してくる無数の弾丸の中を駆け抜け、ジェネレーターを目指す。光学迷彩で姿を完全に消しているようだが、私には関係なかった。
 ライフルグレネードを数発撃ち込み、欝陶しい砲身を黙らせる。しかしそれでも全然攻撃を止めようとしない。
「・・・つぅ! 」
 脇腹に衝撃。
 衝撃に耐え切れずバイクから放り出され地面にたたき付けられる。弾は防弾コートを貫通し、私の脇腹に突き刺さったようだ。
 激痛が全身を駆け抜け、自由に身動きがとれない。
 敵の銃口が私に向けられる。
 これが、15年前に死ぬべきだった私の最後となるのか。目を閉じて静かに死を受け入れる。
 だが敵は撃ってくるどころか、逆に音を立ててその場に崩れ落ちた。何が起こったのか。目を開けると、そこには深紅の眼を光らせ、猟奇的な笑みを浮かべるもう一人の『私』がいた。
「貴女は・・・」
「貴女の妹ですシェロ姉様」
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06/06 00:38 W61SH(e) [76]DD
74
『………』

 一機の狩人の上空を姿無き幽霊船が通り過ぎていった。
 それが始まりの合図だった。

         ◆

 その異常は突如として発生した。

『……班…える……答―――』
『…チッ、駄目か。ジャミング発生源の特定は?』
『無理だな…ノイズが多すぎる』
『マズいな、この状況は……各員、ハンニバル起動準備!FGを直接防衛する!!』

 唐突に旧市街一帯を襲ったECM障害により彼等は分断されていた。高度な対ECM技術を持つ彼等を、こうも容易く欺ける力を持つ存在は決して多くはない。

『ジャミングパターン検出完了。照合結果……ゴースト!?』
『UGだと…?奴ら一体何を……まさか!?』

 彼等が気付いた時点で、全てはもう手遅れだった。

         ◆

 4機の狩人達はそれぞれ別のFGをスコープ越しに覗いていた。ジェネレーターの周りには、数十の殺人機械が犇めいている。
 旧市街を囲む四方に配置されたFG。この全てを、ほぼ同時に機能停止させなければ意味が無い。

 まるでシンクロしているかのように、4機の狩人は同じタイミングで得物を構え直した。戦車砲を改造した56mmライフルを構える彼等の姿は風景と完全に同化し、誰の目にも映る事は無い。
 そして、彼等はその完全に同期した動作で静かにトリガーを引いた。


 旧市街の遥か遠くから1つの銃声が轟き、四方から放たれた4発の銃弾は、同時に4基のジェネレーターの息の根を止めた。

         ◆

『これは…』

 突然のジャミングに班を分断されてから僅か数分、その間に谷塚の視界から不可視の境界線が消え去った。

『ククク…やられたねコイツは。確か…』
『…アレは密閉空間だからこそ毒性を持ち得る。この状態では……』
『で、どうすんのさァ?』
『……総員ハンニバル起動準備…直接標的を排除する!!』
『ククク…そうじゃないとねェ!!』

 谷塚の号令から数秒後、旧市街南口に停車した数台のトレーラーのコンテナが展開され、中から灰色のRAがその姿を現した。
 そして、計14機のハンニバルは一斉に疾り出す。その姿には、善も悪もない純粋な殺意が満ちていた。
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06/06 02:01 W62H(e) [77]まぼだき
75 >>76
「おやおや状況がぐるぐる変わるねぇ」
 先程まで反応していたセンサーが発していた警告音がぴたりと止み、変わりに敵性反応を示す。
「あーあー全部隊、今すぐにテクニカルに乗車せよ。速やかにこのキル・ゾーンを抜けるぞ。ダルキアとフランチェスカは見つけたら回収し、ポイントβにて再集結」
 ランスはシートが被せられたCFの一機に乗り込み、起動させる。
「CF部隊は私と共に友軍の離脱を援護しろ。相手は相当手慣れているようだから注意しろ」
 シートを破り立ち上がったのはイタリア製旧世代CF『ヤコベッティ』。幾度となく死線をくぐり抜けてきたのであらう、機体各所に被弾痕や修理した跡が残っていた。
 後部カメラで地下駐車場から部下や物質を乗せたテクニカルやトラックが次々と飛び出し、旧市街からの離脱を開始したのを確認し、メインディスプレイを見る。
「神よ我らに力を与えたまえ」


 周りをクリアリングし安全を確認し、ファルケンは負傷したシェロの治療をしていた。体内に入りこんだ弾は皮膚層を突き破って貫通していたが、機能は十分に生きていることを確認した。
 痛みに顔を歪めるシェロを心配そうに見つめながら懸命に治療を続ける。
「貴女は、何なの」
「私はフランチェスカ。でも本当はファルケン」
「そうじゃない!どうして、貴女の身体からショーンの反応が」
 ファルケンはシェロの言っていることが分からないのか、首を傾げるだけである。
 その時近くに黒塗りの車両が止まり、中からダルキアが大声で呼び掛ける。
「ファルケン、ポイントβまで急ぐぞ。早くお姉様とやらを乗せろ時間が無い!」
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06/06 17:13 W61SH(e) [78]零
72
「どうしたんですか?」
声をかけられてジークリンデは声のする方へ振り向いた。そこには、ひのうち所の無いほど綺麗な敬礼をした時条 鋒火少佐がいた。
「ちょとシミュレーションで苦戦してね、後でデブリーフィングもあることだし反省点を探ってたのよ、鋒火、あなたは?」
「私は哨戒任務の帰りです」
「今日は鋒火のだったんだ、何か動きはあった?」
「コレと言ってありません、いつもどうり境界線ギリギリで小型艦を発見しましたが戦闘はありません」
また領海ギリギリで小型艦を索敵、だんだん頻繁になってきてる。
「戦術機や軍艦は?」
「発見の報告はありません、さすがに、そんなあからさまな事はグリーンランドもしないでしょう、武装中立とはいえ、中立国家なのですから」
「そうよね、そんな相手を刺激するような事はしないか」
とわいえ、国境ギリギリまで艦を出している時点でかなりの刺激にはなっている、でなければあんなシミュレーションはやらない。

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06/07 00:59 H001(e) [79]零
78
アルテミスはグリーンランドとの開戦も視野にいれて行動している、もし何か起きればすぐさま軍上層部は対処するだろう。
「ジークリンデ、あなたはどう思います? グリーンランドの目的」
「正直わからない、国土は十分、資源にも困ってはいない、戦争をする理由がないわね」
「やはりそう思いますか、私も同じです、グリーンランドが何の目的で他国を刺激するようなまねをしているのか、さっぱり分かりません、なにかもっと別の目的があるとしか」
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06/07 01:18 H001(e) [80]DD
77
「ククク…いるねェ、蟻みたいにゾロゾロと」

 廃ビルの屋上から眼下に広がる光景を見下ろし、桐生は壊れた笑みを浮かべた。

 謎のジャミングでレーダー類が無力化された中、彼等は高所からの目視で状況判断を行っていた。
 その結果、分断された他の班も独自に攻撃を開始しているらしい事。
ジャミングによる影響がCROWにも発生している事。
ディアブロが双方に対して無差別攻撃を始めた事。
そして、UGの物と思われる降下用ポッド数基が市街地に落着している事が判明した。

 UG…それは安定し始めていた世界情勢を狂わせた存在。あらゆる戦場に現れ、争いの火種を撒き散らす独立傭兵軍。
 それは彼等CYPHERの明確な"敵"の一つであり、世界にとっての害毒だった。



『真嶋機、準備完了しました!』
『こっちもOKだぜ!』

 下の通りを進む黒塗りの車両群と護衛機の脇を挟むように突き立った2棟のビル屋上で、同じく2機のハンニバルが対面するビル群に向け、無反動砲を構えていた。

『ククク…それじゃまずは一発目』
『あいよ!!』

 重い爆発音が響き、その直後に一棟のビルが中程から崩れ落ちた。数十mの高さから降り注ぐ瓦礫の山は先頭車両群を押し潰し後続車両群の進路を塞いでいく。

『次…二発目』
『了解!』

 二度目の奔流は反転を始めた最後尾を押し流し、その退路を封鎖した。

『ククッ…さぁて、鴉の解体ショーといこうかァ!!』
『…御意』

 崩落の際に舞い上がった土煙に紛れ、2機のハンニバルはビル屋上から停滞した車両群に突っ込んでいった。

         ◆

『畜生!アイツら加減ってのを知らねぇのか!?』

 街に入った瞬間に乗ってきた装甲車をスクラップにされ、安藤と渡辺は自身の脚で現場へと向かっていた。幸い、ASの能力があればさほど時間は掛からない。

『仕方無いでしょう!それが彼等の仕事なんですから!!』

 ただし、それは周りに障害が無ければの話だ。そこら中で銃声と爆音が鳴り響く今の状況では到底叶わない。

『ったく、どうなってやがる!?』
『俺が知る訳無いでしょう!!とにかく今は……!?』

 不意に渡辺が立ち止まり宙を見上げた。

『どうした!?』
『いや、何でも…』

 ヘルメットに隠れその表情は見えなかったが、安藤にはおおよその見当は付いていた。

―見えない"何か"がそこに居たのだ、と―
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06/07 19:08 W62H(e) [81]米酢
都市部から少し離れた場所に位置する寂れたゲームセンター。そこが俺達の隠れ家、隠れ家と言うには少々いろんなチームが陣地を敷いているがそこは暗黙の了解で店内にある陣地に侵入さえしなければ危害を加えたり加えられたりはしない。そんな隠れ家も今日は騒がしかった。どうやらよそ者が陣地に侵入したらいな、たまにいるんだよなこういう馬鹿。店内入って俺がその馬鹿に気づくとほぼ同時に俺のマブダチのかっちゃんが話しかけてきた。


「ようかっちゃん」

「ようゆうくんwww。きてそうそう悪いんだけどさあそこにいる馬鹿締めね?」

どうやらかっちゃんは俺にあそこの馬鹿を粛正してほしいらしい。まっ誰でもないマブダチの頼みだからな断る理由は無い。俺は数人を引きつれてその馬鹿の元に向かった。

「ちょっwお前さ顔貸せよ?」

無反応どうやらイヤホンをしていて聞こえないらしい。しかしそんな事は俺達には関係無い。俺は馬鹿の頭を掴むと問答無用でディスプレイに叩きつけた。周りからやり過ぎだと野次が飛んできたが気にしない本気で言ってるわけでわないそれに温いくいらいだ。馬鹿が血を流しながら倒れていく。

「えwwww弱すぎだ――」

「おい・・・!」

床に倒れる直前、馬鹿が態勢を立て直した。意外に根性あるじゃねぇか。

「お前おもしれえなwwwwwwwどこの奴?」

「吉山国際学園2年歩兵科九条政宗だクズ野郎」

「あっ?あんだてめぇ?つか吉山って言えば金持ちが集まるぼんぼんがっこだろ?気にくわねぇ・・・」

合図とともに九条を囲むように人が集まってきた。全員何らかの武器を持って・・・。

「お前みたいなぼんぼんにこれから世の中がどれほど厳しいか教えてやるよ」

「ママに助け求めてもいんだぜwww」

「もっともみんな見てみぬふりだけどなwwwww」

「「ぎゃははははは!!!」」
じりじりと輪が狭まっていく。そしてついに痺れを切らした1人が九条に飛び掛かった。

「一番のへぐ!あっあっあー!」

攻撃が届く直前に九条の手がそいつの顔面を掴んでいた。メシメシと音をたてながら頭蓋骨を変形させていく。

「まったくよう、これだからクズ野郎は嫌いだ・・・」

九条は男を床に叩きつけて周りをなめ回すように見た。

「ほら、さんざん期待させるようなこと言ってきたんだから少しくらい楽しませてくれよ?」

[82]まぼだき
80
「くそっ、マイラスの部隊は間に合わなかったか」
 ハンドルを握りダルキアはテクニカルのハンドルを切り、旧市街から脱出。ダルキア、ファルケン、メディックの四人が乗るテクニカルの後ろには11台のテクニカルと4台のトラックが付いていた。
 15台の黒塗りの車両が日本の高速道路を疾走する。
 一般車両のドライバーがもの珍しげな顔で自分たちを追い抜いていく車列を眺めていた。
「メディック、嬢ちゃんの具合はどうだ」
「安定していますね。ファルケンさんの適切な応急処置のおかげで自分は鎮痛剤を打つだけで楽ですよ」
「そりゃよかった・・・っとまずいなサツが来た」
 バックミラーに映っているのはサイレンを鳴らしながらCROWの車列を追跡している、白黒に塗装された日本のパトカー。それも複数台。
「俺のケツについてる全車へ。奴らのタイヤを撃て。この国の警官を殺すと厄介なことになるからな」
 そう通信を入れるやいなや、銃声とタイヤがパンクする音が真夜中の高速道路に響く。
『止まれコラァ!止まれ!』
 ダルキアたちの車両の横にパトカーが一台横に付いた。
 これにファルケンはすぐに反応し、ハンドガンでタイヤを撃ち抜きパトカーを失速させる。だがどうしても先頭車両を止めようと、警官は粘っていた。
「しつこい」
 そう呟いて、照明弾を打ち出すシュツルムピストルに照明弾を装填しパトカーの運転席に撃ち込んだ。フロントガラスを突き破り、車内で発光した。警官たちは慌ててブレーキを踏んだおかげで、パトカーのタイヤがスリップし壁に激突した。
「お前らこのまま真っ直ぐ行くぞ。ポイントβまではまだ遠いからな」


 8時間後。
 黒塗りの車列が我が物顔で高速道路を爆走し、それを止めようとしたパトカーに向けて銃を発砲し警察官5人が負傷したというニュースが日本中に流れることになる。
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06/11 23:30 W61SH(e) [83]DD
80
 彼は一人だった。
 最初は三人。3分には二人、73秒前にもう一人が消えた。
 原因は感覚的死角からの攻撃――熱光学迷彩を利用した不可視の銃撃と斬撃。それは明確な気配すら無く、ただ戦場に死を運ぶだけ存在。

――ゴースト…


 26秒後、そこには誰もいなかった。
 遺された物は数多の残骸…無数の風穴を開けられ、何らかの力でひしゃげた塊と十数人程の死骸だけだった。
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06/13 00:30 W62H(e) [84]米酢
81
「まっよくもったほうだぜ、いやただたんに数が多かっただけか?」

九条を中心として辺り一面に広がる怪我人の山、そのほとんどが右半身に集中的なダメージが見れた。

「しかしあれだあれ、登校日からさぼるもんじゃないな。なぁそう思うだろ?」

「ひっ!?」

怪我人に隠れるようにして逃げようとしていたかっちゃん。九条は勿論それを見逃すはずもなく軽く跳躍をするとかっちゃんの退路を塞いだ。

「マブダチ(笑)を置いて自分だけ助かろうってか?ダメだよなぁそんなの・・・全然ダメだぁ」

「痛てぇ!やめっ止めてくれ!?」

かっちゃんの右肩を握り潰すように掴む九条。その顔にはうっすらと笑みが見える。
「質問に答えられたら逃がしてやるよ」

「しっ質問?」

「ここら辺で銀髪のじじいを見なかったか?」

「そんな奴いくらで――」

「残念、俺の求める答えはそれじゃない」

かっちゃんの顔が恐怖で崩れる。九条は更に腕に力を込めた。

「こっこんだけ人を傷つけておいてなんで笑っていられるんだよ化け物!!??」

「はあ・・・俺は化け物じゃない。狂戦士だ」

言い終わると同時にかっちゃんの右肩を握り潰した。


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06/13 14:01 N02B(i) [85]DD
83
『…クッ!!』

 装甲を掠めた弾丸が後方のビルの壁を貫き、どこかに突き刺さった。RAの装甲を軽々と撃ち抜くペネトレイトアローの前ではたかがビルの外壁程度など紙同然に過ぎない。

 谷塚は乱立するビルの隙間を縫うように機体を疾らせ、姿の見えない"何か"に向けて銃撃を返す。しかし、その直後には別の方向からの攻撃に襲われ、その度に回避行動と軌道演算を行い予測ポイントへ撃ち返す――彼はそんなエンドレス・ラリーを既に5分以上続けていた。

 敵の数は予想最大5機、通信網は完全にシャットアウト。更に対象はあらゆるセンサーに反応せず、視認すら不可能。

(本当に幽霊か…)
何故か、そう考えられるだけの余裕が彼には残されていた。

 降り注ぐ弾幕を紙一重で回避し、予測演算後に反撃する。彼にはその一連の動作自体が不自然な物に思えた。
 回避動作に遅延さえ無ければ、掠りこそすれど直撃には至らない。物理的死角となる上方・背後からの攻撃は無く、常に左右どちらかを起点にした散発的な――しかし、決して目標に退路を与えない計算された攻撃を繰り返す。それはまるで…

(誘導…されている!?)
『……ッ!?』

 谷塚の判断が鈍った瞬間、左前方から飛来したPAがハンニバルの左腕に深く突き刺さり、その体勢が大きく崩れる。それを狙ったように前方からPAの弾幕が飛来した。

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最終更新:2011年06月14日 23:30
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