917 名前:喫茶『M&S』/ある日常 :2008/09/16(火) 04:48:49 ID:???
 カララン♪
ルー「いらっしゃいませー♪」
  ウエイトレスの華やかな声と、穏やかな喧騒が二人の姉妹を迎える。
マルチナ「あ、良かった! 空いてるよ、姉さん!」
エリシャ「もう…誰も寄るとは言ってないでしょ?」
ルー「ああん、そんなつれない事言わないでよぅ♪」
エリシャ「ちょっ…わかっ、判りました! 判りましたから、放してください!」
ルー「やた! んじゃ、席はどうする? 相席でいい?」
マルチナ「うん!」
エリシャ「もう…」ドキドキ
ルー「カリスー、相席せてもらっていい?」
  カウンター席もほとんど埋まっていたために、ルーが客の一人に気軽に頼み込む。
カリス「え? ああ、はい。 かまいませんよ」
  金髪碧眼、白皙の美少年は、読んでいた文庫本から顔を上げると、柔らかい笑顔で応えた。
マルチナ「うわぁ、キレイな人…」ボソッ
カリス「どうぞ」ニッコリ
マルチナ「はっ、はい!(////)」ドキドキ
エリシャ「あ、ありがとう…(////)」ドキドキ
ルー「にやにや」
エリシャ「あ! えっと…」
マリナ「ルーさん」メッ!
ルー「は~い」テヘッ

ビクザム「イラッシャイ!イラッシャイ!ハロ!」
マルチナ「えっ?」
  ソフトボール大のハロが接続された、モーター動力のワゴンがテーブルの脇にピタリと止まる。
  ワゴンの脇からマニピュレーターが伸び、目を丸くする姉妹の前にお冷を並べた。
ビクザム「ゴチュウモン、ドゾー」
エリシャ「ゴチュ…あ、ご注文?って、ハロがウエイターやってるの!?」
ビクザム「Yes,I am!」
マルチナ「へぇ~~、すっごぉい! こんなにちっちゃいのに、お利巧さんなのね!」ナデナデ
エリシャ「じゃあ、私はアメリカンサンドとホットミルクをお願い」
マルチナ「私はプリン!」
ビクザム「アメリカンサンド、ホットミルク、プリン、オールワン!リョウカイ!リョウカイ!」ウィィィン…
マルチナ「あ~ん、カワイイ~~♪」
エリシャ「…あれって市販のハロじゃないわよね?」
ルナマリア「アスランが作ったのをラクス経由でもらって、アル君が改造したんだって」
エリシャ「アル君、って…まだ小学生じゃない!」
ルナマリア「いやぁ、世の中には天才って居るもんよねー」
カリス「さすがに、外側のモジュールはご兄弟の手が入っているそうですけどね」


918 名前:喫茶『M&S』/ある日常 :2008/09/16(火) 04:49:38 ID:???
ウッソ「というか、アレはもともと僕のハロ用に設計したユニットなんです!
     だのに、兄さんたちがよって集って…」
エリシャ「ウッソ!」
カリス「ウッソ君?」
ウッソ「さっきのマルチナさんのナデナデも、僕のハロがされるはずだったんです!
     そうやって警戒心を解き、隙を見て更衣室に忍び込む完璧な計画がっ!」
カリス「………」
エリシャ「………」
ルナマリア「………」
マルチナ「それで、次は本人がそんなところに潜んでた訳?」
ウッソ「え? そんな所って…」
  観葉植物のプランターが纏めて置いてある場所に、
  ちょうど子供が一人隠れるだけのスペースがあったらしい。
ウッソ「ああっ! しまったっ!!」

  ズシャン!
ビクザム「オキャクサン、コマリマスネェ…ソンナイタズラシテモラッチャァ」ゴゴゴゴゴ…
 用心棒代わりの対人格闘戦用外殻モジュール―――身長2mほどの、
  ゴリラを思わせる鋼の巨人に換装したビクザムが、ウッソの襟首を摘み上げる。
ウッソ「え?」
  ルーとルナマリアが両開きの窓を開く。
ウッソ「ちょ…」
  ウッソをぶら下げた腕を、おおきく振りかぶるビクザム。
ウッソ「あいるびーばーーーーっく!!」
  キラーン!
ルー「悪は、滅びた…」
ルナマリア「でも、アレが最後のウッソとは思えないわ…
      我々が美しくあるかぎり、第二、第三のウッソがいつまた現れないとも限らないのよ…」
エリシャ「意味がわかりませんから」タメイキ
カリス「あそこまでバイタリティのある人間は、そう何人も居ないと思いますよ」クスクス
 カララン♪
アル「ビクザムー、帰るよー」
ビクザム「リョウカイ!リョウカイ!」


919 名前:喫茶『M&S』/ある日常 :2008/09/16(火) 04:50:16 ID:???










 その頃…


 ピッ!
ガロード「“スネーク”?
      やっぱり例のルートに死角があったぜ」ヨッ!
 無人の女子更衣室に、華麗に降り立つガロード・“雷電”・ラン。
ガロード「ああ、対策としては、そんなモンだな。
      んじゃ、帰りはBルート試してみる。
      了~解。
      そいじゃな」
  ケータイを切ると、ロッカーの上、僅かな隙間に懸垂で体を引っ張り上げるガロード。
  スモークガラスが少しだけ傾くタイプの窓を、手早く窓枠ごと取り外すと体を入れ替え、外へと脱出。
  ひさしに足をかけて逆さまにぶら下がると、窓枠をはめ直す。
  フリー間接の小型マニピュレーターがガラスの隙間から差し込まれ、ネジを止めると、
  見た目では何事もなかったように元通りになる。
メイリン「お財布お財布…」パタパタ…
 パステルピンクの制服に身を包んだメイリンが更衣室に駆け込んでくるが、
  その時にはガロードが進入した痕跡は、僅かにロッカーの上のホコリぐらいにしか残っていなかった…


密やかに終わり。

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最終更新:2013年09月20日 22:25