ロックオン「ったく、誰だよ、こんな夜中に… うおっ、寒っ!」ペタペタ
ぷしゅー
ロックオン「フェルト? っておい! どうした!」
零れ落ちるは真珠の涙
フェルト「ロックオン… ロックオン、生きてるよね?」ヒック
ロックオン「あ、ああ、ほれ、このとおりピンピンしてるぞ?
なんだったら○ケット団のテーマでも歌っちゃおうか?」
フェルト「ロックオン~~~」
ロックオンのくたびれたトレーナーにしがみつき、しゃくり上げるフェルト。
ただでさえ口数が少ないフェルトが、途切れ途切れに話す言葉をつなぎ合わせるのに時間がかかったが、
要約すると、ずいぶんと怖い夢を見たらしい。
フェルト「ロックオンが、ロックオンが…」
ロックオン「はいはい、お兄さんはここにいますよ。 大丈夫。 俺はどこにも行かないから」ギュッ
精一杯、優しく抱きしめてやると、人の体温に安心したのか、フェルトの体から力が抜ける。
ロックオン「ちょ、おい、フェルト?」
あわてて支えるが、その時にはすでにフェルトは健やかな寝息を立てていた。
ロックオン「うぉい! マジかっ!」
そのくせ、フェルトの小さな手はロックオンのトレーナーをしっかりと握り締めている。
ロックオン「こりゃ、相当の悪夢だったんだな…」
苦労の末、なんとかフェルトを抱き上げたロックオンは、インターホンでクリスを呼び出す。
ぴぽっ!
ロックオン「あ、クリス、今俺の部屋にf」
クリス「乙女の眠りを妨げるものに 呪 い あ れ 」ぶつっ!
ロックオン「………」
思わず天井を見上げてしまうロックオン。
すやすやと気持ちよさそうに眠っているフェルト。
ロックオン「あーもー、ほんっと、カンベンしてくれよ…」
翌朝。
フェルトが自室に居ないことに気づいたクリスが、慌ててトレミーの通路を走っていると、
何が楽しいのか、ニコニコと笑っているアレルヤを見つける。
クリス「アレ…ルヤ?」
呼びかけようとしたクリスに気づいたアレルヤは慌てて口元に人差し指を立て、
クリスに手招きした。
クリス「なに? 今忙しいんだけど…ロックオンの部屋?」ポショポショ
アレルヤ「余計な誤解をされたくない、ってことだろうね。 ドアが少し開いてる」ヒソヒソ
声を潜めて言うアレルヤに促されてその部屋を覗き込むと…
クリス「フェルト? いつの間に…」ポショポショ
そこには、大口を開けて普段の二枚目ぶりを3割ほど落としたロックオンと、
その腕の中で健やかに眠るフェルトの姿があった。
アレルヤ「なんだか、微笑ましいよね。 仲のいい兄妹みたいだ」ヒソヒソ
クリス「兄妹、じゃあダメなんだけどねぇ…ま、フェルトが幸せそうだからいっか」ポショポショ
ティエリア「うん? 何をしているんだ、君たち」
最終更新:2013年09月25日 18:48