アムロ兄さんの出した「アルあまやかし禁止令」のせいで最近家の中がギスギスしている。
ギスギスとは違うかな。なんていうか、緊張感がみなぎってるんだよね。
アルもなんか変だと思ってるだろうなぁ、さすがに。
ていうか僕はそんなにアルのこと甘やかしてないんだよね、もともと。
それはもちろん可愛がってるけどさ、一番小さいから可愛いしね。
でも、どっちかって言うと僕はウッソの方を甘やかしてるかも…。
ウッソに何か頼まれるといつも断れないんだよね。
(誰に頼まれても断れないことに気付いていないキラ)
しかも最近は忙しいし…アルとは全然遊んであげてないなぁ。
ほとぼりが冷めて規制が緩んだら、また格ゲーサークルにでも連れて行ってあげようかな。
そういえば欲しいゲームがあるって言ってたし、それも儲けたお金で買ってあげよう。
(考えてることが既に甘いぞ!キラ)
そんなことを考えつつ学校から帰る途中。
曲がり角の前の電信柱からはみだして、何かの様子をうかがっている人を見つけた。
いやだなぁ、僕って変な人に絡まれやすいから…今日はこの道通るの止めようかな…
って、あれ! ド モ ン 兄 さ ん じ ゃ な い か !
キラ「兄さん、何してるんですか?あまり不振な行動してるとまた捕まりますよ…。」(コソッ)
ドモン「うおお!キラぁー驚かすなっ!俺がここに居ることがばれる!!」
キラ「ばれる…ってその割に声大きいですよ、兄さん。」(ヒソヒソ)
ドモン「ああ、そうだった…!」(ヒソヒソ)
キラ「何見てたんですか…。あ、アル?」
アルはいかにも不良っぽい3人組に囲まれていた。友達同士、という雰囲気ではない。
僕はそれだけ確認するとすぐさまアルのところに行こうとしたんだけど、
なぜかドモン兄さんがガッシリ腕を掴んで離してくれない。
キラ「離してくださいよ兄さん。あの3人いかにも乱暴そうじゃないですか!」
ドモン「ダメだ。アムロ兄さんが言っただろう。甘やかしてはいけない!」
キラ「だって、ケガしちゃうかもしれないよ…!」
ドモン「それが甘いというのだ。」
キラ「トイレ掃除なんていくらでもやるから、離してよ!」
ドモン「そういう事じゃない、アルのためにならないから俺だって助けるのを我慢しているんだ。」
キラ「アルのため……?」
ドモン「そうだ、可愛いから、と助けてやっているとお前みたいないじめられっ子になってしまうからな!」
キラ「(グサッ)酷いや、兄さん…。(´Д`;)」
というわけで仕方なく僕も見守ることにした。
最初のうちは口で何か言っていた3人組は、黙っているアルがむかついたらしく、
軽く踏みにじったり、髪をひっぱったりしはじめた。
それでもアルは何も言わず3人組を睨んでいるだけだ。
キラ「逃げてよ、アル…!」
ドモン「くそう!何故やり返さないのだアルぅうう!」
しばらくネチネチと苛めていたが、反抗もせず、泣きもしないこと痺れを切らしたらしい1人が、アルを蹴り飛ばす。
その衝撃にアルの小さい体は吹っ飛んでしまうかと思われたが、アルは何故か必死になって堪え、その場を動かない。
とうとう全員での攻撃がはじまると、アルは後ろ向きになって地面にうずくまるような格好になった。
そのアルの格好を見たとき僕の中で何かが弾けた。(たぶん種)
僕を抑えていたドモン兄さんの腕を振り払い、飛び出そうとしたその時、
「こおらっぁぁぁああ!クソガキどもぉ!」
そう叫びながら走ってくるクリスさんに驚いて不良達は攻撃を止める。
そのままクリスさんのゲンコツをくらって「うわあああん!!」と泣きながら散り散りになって逃げ去った。
良かった…僕はホッとしてアルの方を確認する。
本当は駆け寄りたかったけど、黙って見てたことがクリスさんにばれたら、半殺しにされそうだったから…。
クリスさんに支えられて立ち上がったアルは、小さい子犬を抱いていた。
足元にはぐちゃっとつぶれたダンボール箱らしきものがある。
キラ「まさかアル、あの子をかばってたから…」
ドモン「反抗を、しなかったのか…」
ガチャ
キラ・ドモン「ただいま…」
ロラン「あれ、二人そろって?おかえりなさい。」
キラ「うっ、
うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ!」
ロラン「どうしたんですかキラ!誰かに苛められたの!?」
ドモン「うぉあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぉおぉォオオ!!!」
ロラン「ぅええっ?ドモン兄さんも!?(゚Д゚;)」
最終更新:2017年05月29日 08:54