144 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/01/03(土) 22:45:43 ID:???
カミーユ「………」
シャア「おや……あれはカミーユ君ではないか」
ナナイ「何やら落ち込んでいるようですね」
シャア「ふむ……」
河原で体育座りしながら川を眺めるカミーユ。
カミーユ「はぁ……」
シャア「カミーユ君、どうした?」
カミーユ「あ…クワ……シャアさん」
シャア「クワトロで良い……何を悩んでいるのだ?」
カミーユ「あ…いえ…たいした事じゃないんです」
ナナイ「その割には表情が暗いわね」
カミーユ「ナナイさん……実は…」
カミーユは、自分の出番が少なく、苦悩していた事を告白した。
何故少ないのか、自分なりの結論も…
カミーユ「俺は…ドモン兄さんや刹那みたいに『一筋』になれる物がない……
マイ兄さんやシロー兄さんみたいに『誇れる』こともない…
だから…出番が少ないのかな、って……」
シャア「なるほどな……確かに彼らの信念は普通ではないな。良い意味でだが」
カミーユ「もちろん、俺にだって一筋になれるものや誇れるものはあるんですよ。
だけど……兄さん達みたいに生涯を懸けられる程か、といったらそうでもない……」
ナナイ「では、カミーユ君は何があるの?」
カミーユ「え……MS設計です。一応、夢なんですよ。はは」
シャア「ほぉ……MS設計、な…」
カミーユ「だけど、本気でそれを成す為に突き進んでいるかと言えばそうでもない……俺は…俺は……」
ナデナデ。いきなりカミーユの頭を撫でるシャア。
流石のカミーユも面食らう。
カミーユ「た、大尉…俺は子供じゃないですよ!」
シャア「ふふっ。私から見れば子供さ……」
後編に続きます。
145 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/01/03(土) 22:48:57 ID:???
シャア「人はそれほど強い信念を持てる者ではない。ある時は曲げ…又ある時は完全に諦める時もある。
私だってそうさ。迷いを持っているから、未だにララァへの妄執も断ち切れん」
ナナイ「あなた……」
シャア「だが、目標があれば…一つの確固たる目標さえあれば良いのだ。
諦めさえしなければいつかは辿り着けると言う事だからな…途中で諦めようと…
それを本当に成し遂げたいのならば、再びいつかはその道に戻る…そういう物だ。
例え…いくつもの道を諦めたとしても、最後には本当の自分の道と言う物が見つかるだろうからな」
カミーユ「そういう物ですかね…」
ナナイ「人生は長いのです。いくらでもやり直しはきくのですよ」
カミーユ「でも、最近の社会ははチャンスが無いとか見通しは真っ暗だとかネットでは言いますけどね」
ナナイ「生きていればなんとでもなるのです。もちろん、チャンス自体が始めから用意されていない不幸な人もいます。
ですが、カミーユ君はそうではないでしょう?考えてみて下さい」
決して裕福とは言えない家庭。
だが、温かみがある、尊敬に値する兄達が、人々がいる。
カミーユ「そう…か、俺は恵まれているんだよな…」
シャア「だから、カミーユ君も悩んで、進むといい。道を諦めさえしなければいつかは叶うだろうからな…」
カミーユ「……はい!ありがとうございます。俺、頑張ってみます。
出番がない、とふて腐れていましたけど頑張って…これは職人さん次第だけど……
ネタにしてもらえるだけのポテンシャルを身につければ良いだけなんですよね」
シャア「そうだ。それと、MS設計な…その夢を叶えたら…我がネオ・ジオン社で働かないか?なぁ、ナナイ?」
ナナイ「はい。その時は歓迎しますよ」
カミーユ「大尉…ナナイさん…ありがとうございました!」
タタタタタタ
シャア「ふふ…悩み、ぶつかり、成長せよ。少年」
ナナイ「良かったですね……あなた、ララァさんの事ですが」
シャア「う。あ、あれは…その、なんだ……すまん。どうも今の私にはまだ断ち切れん」
ナナイ「それでいいのですよ…あなたのララァさんへの妄執を断ち切らせる事が、私の『道』なのですから……」
シャア「ナナイ……世話をかけるな」
ナナイ「ふふっ。何を今更」
おしまい。
実際はZとか設計してるけど、この時点ではまだだとか過去の話とか言う事でここは一つ。
最終更新:2013年10月02日 20:50