ヒイロとロラン
朝が来て……
ロラン「今日もいい天気ですね、さて、朝ごはん作りますか
……ヒイロ?お帰りなさい」
ヒイロ「ああ」
ロラン「疲れてるでしょう?休んだ方がいいですよ」
ヒイロ「いや、今日は学校がある」
ロラン「今までリリーナさんの護衛してきたんでしょ?倒れちゃいますよ」
ヒイロ「大丈夫だ」
ロラン「大丈夫じゃないです。疲れがはっきり顔に出てますよ。一日くらい
学校休んだって、ヒイロなら大丈夫ですから、今日は休みなさい」
ヒイロ「だめだ、リリーナと約束した」
ロラン「リリーナさんと……?」
ヒイロ「ああ、だから学校は休まない」
そんな会話が何回か繰り返されたある日。
ロラン「すみません、突然お邪魔して」
リリーナ「お気になさらずに……ヒイロのお兄様がどのようなご用件で?」
ロラン「リリーナさんと約束があるとヒイロは学校を休まないんですが、
ヒイロとどんな約束をしたんですか?」
リリーナ「約束?……ああ、私の護衛をしてくれてるんですが、学校に支障が
でない範囲で、というものです」
ロラン「もしかして、ヒイロその時、『わかった、学校は絶対休まない』って
言いませんでした?」
リリーナ「はい、学校を休まない範囲でと約束してくれました。」
ロラン「その約束、撤回できませんか?」
リリーナ「何故ですか?」
ロラン「リリーナさんは、学校に支障のでない程度の護衛でいい、という意味の
約束をしていると思いますが、ヒイロは、学校さえ休まなければ、好きなように
護衛してもいい、という意味で約束しています。だから、ヒイロはどんなに疲れ
ていても学校を休もうとしないんです。」
リリーナ「そんな……では護衛は――」
ロラン「護衛はヒイロの好きにさせてあげてください」
リリーナ「えっ?でもヒイロの負担になるなら……」
ロラン「ヒイロは、好きであなたの護衛をしています。ヒイロは頭のいい子ですから、
一日くらい学校を休んだって、大丈夫です、だから護衛はヒイロの好きにさせて
上げてください」
リリーナ「でも、それでは――」
ロラン「勉強するより大事なことってあるんですよ。昔からヒイロはほとんど感情を表
に出さない子でした。でもリリーナさんに出会ってから、変わりました。今も少し
ずつ良い方向に変わっています。だから、体にだけ気を使うようにだけ、リリーナ
さんから言って欲しいんです、お願いします」
リリーナ「わかりました……ヒイロは良いお兄さんをお持ちですね」
ロラン「そんな……僕なんてまだまだですよ。」
そして数日後、買い物からロランが帰ってくるとヒイロが待っていた。
ヒイロ「ロラン、俺は感情で行動することに異論はない、そう学んだ。」
ロラン「そうですよ」
ヒイロ「だから、余計なことはしなくていい」
ロラン「ヒイロ……行っちゃった。―――これ……?……余計なこと……か、ふふふ」
帰ってきたら洗おうと思っていた食器は全て綺麗に洗って戸棚にしまわれていた。
最終更新:2017年06月22日 15:21