ヒイロに合いに来たトロワと五飛。
茶の間のテーブルを挟んで3人は向かい合ったまま身じろぎもせず、ただ黙って座っている。
そしていつもの通り何も喋らない。
その様子を、偶々居合わせたコウとロランが陰から窺っていた。
コウ「相変わらずだんまりか、気味が悪いな。」
ロラン「そうなんですけど、実は最近気がついたんです。彼らはあの状態で意思疎通を図っているらしいと。」
コウ「何、そんな事が!」
ロラン「今に分かりますよ。あ、コウ兄さん、ヒイロを見てください。」
良く見てみると、かすかに口元が緩んでいる。そして固く結んだ唇が何かが漏れるのを堪えるように
ピクピクしている。
ロラン「今あの子は笑いを堪えているんです。」
コウ「あ、言われてみればなるほど。」
更にはトロワが僅かに肩を小刻みに上下させているのが観察できた。
コウ「あれはひょっとして鼻で『クックック』って笑ってるって事か?」
ロラン「僕もそう思います。あ、もう一人のほうは様子が違いますね?」
五飛のほうに目を転じると、彼のこめかみに十文字の血管が浮かび上がっていくのが見て取れた。
顔全体も紅潮している。
ロラン「どうやらあちらは怒っているみたいですね。」
コウ「でこが広いから良く分かるな。」
ロラン「何だか雰囲気が変わっていたみたいですね。」
コウ「あぁ、なんとなくわかる・・・えぇ、涙!?」
三人共微動だにせず、なんの表情も変えずに突然、目の幅涙でおよよ泣きしていた。
コウ「どうして何が悲しくて泣いてるんだ、あいつら!?」
ロラン「僕に聞かないで下さい。あ、泣き止んだ。」
今度は、若干目元が緩み出し、硬く引き締めた口がやや緊張を解き、頬にうっすら赤みがさしていた。端から見てほんわかとした雰囲気。
コウ「まさか・・・喜んで・・いる・・とか・・・」
ロラン「間違いなくそうだと思います。いったい彼らはどの様にして通じ合ってるんでしょう?」
コウ「それこそ俺に聞くな。気味が悪いというより思いっきり変だ。どう見ても」
シャクティ「あの人達おかしいわ!」
ロラン「あぁシャクティ、いつの間に!っていうか・・・」
コウ「お前が言うかぁっ!」
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トロワ・バートン ヒイロ・ユイ 張五飛
最終更新:2017年06月22日 15:23