「ハァ…私もヤキが回っちまったねぇ」
溜息を吐きながらも、ボウルをかき混ぜる手を休ませず、
いつも以上の鋭い視線は温度計に向けられている。
「シーマさん、随分慣れてきましたよ」
すでにチョコレートを型に流し終えたシャクティが、
冷蔵庫にトレイを入れながら、コンロの方を見つめて微笑む。
流しに置かれた失敗作を意図的に見ない振りをしながら。
シャクティがなぜ、シーマと一緒に、
しかもチョコレート製作をしているのか?
簡単に言えば、
「初代変態仮面」&「シス下だけ仮面」に追われていたシャクティを
たまたま気紛れにシーマが助けてから、付き合いは始まっていた。
意外と世話焼きな面があるシーマにシャクティは(意外にも)懐いている。
そこで、2/14が近づき、
お世辞にも料理が上手くないシーマがシャクティに教えを請うのは
当然とまではいかないが、ある程度の成り行きであったからだ。
(しかし、あのケツが青い坊やの何処が気に入ったのかねぇ…)
自問自答しながらも、決して答えには導かれないシーマは、
思考を再び目の前の物体へと向ける。
後ろで、シャクティの煎れる紅茶の匂いと、
ひたすらに甘ったるいチョコレートと、
ほんの少しだけ焦げた匂いを嗅覚に感知させながら。



70 名前:で、もう一発w投稿日:03/02/14 05:03 ID:???
「わーい、クリスお姉ちゃん、ありがとー♪」
「クスッ、じゃあ、気をつけてね」
ラッピングされた大きな袋を右手に、
小さな袋を左腕に抱えながら、アルはクリス宅を後にした。
大きな袋は、
「これは、みんなの分だから、アル、独り占めしたら駄目よ」
と、帰り際、最初に渡した物で、
小さな袋は、
「これは特別にアルだけにあげるわ」
と、少し項垂れていたアルに渡した物である。
そこで、話の冒頭に繋がる。
ここで終われば「隣のお姉さん」的な話だが、
誰もが予想していた通り、
彼女の家の冷蔵庫には
「凝りに凝りまくりやがったチョコレートケーキ(手製・18インチ)」
が、眠っていることにアルが気付く術は無かった。

で、
「嘘だといってよ、バーニィ!」(チョコレートケーキ、食べたかった…)
というアルと、
「嘘だといってよ、バーニィ!!」(二人で分けた為、体じゅu)
というクリスの叫びが後日、近所に鳴り響いたのだった。


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最終更新:2018年10月26日 09:11