夕方。夕食の仕度の間に、僕はカミーユ兄さんの傷の手当てをしていました。
何でも、クラスメイトに名前の事を言われ、ケンカしたんだそうです。
早めに帰宅し、リビングのソファで夕刊を読んでいるアムロ兄さんは、何も言いませんで
したが、心配そうにたまにこちらをチラチラと見てました。
ロラン「あ、ほら動かないで。しみますよ。」
カミーユ「!っつぅ。」
僕が手際よく手当てをしていると、珍しく家に居たドモン兄さんが口を挟んで来ました。
ドモン「なんだお前、また名前の事でケンカしたのか。」
カミーユ「うるさいな。アンタには関係ないでしょ?」
…なんか険悪なカンジになってしまいました。
僕はドモン兄さんに、カミーユ兄さんを挑発しないで、と言おうと思ったのですが、そん
な事を言ったら余計にカミーユ兄さんが荒れそうなので止めておきました。
このまま、またケンカが始まってしまうのかと危惧していたのですが、次にドモン兄さん
の口から出たのは、意外な言葉でした。
ドモン「いい加減、名前の事でケンカするのやめろよ。カミーユ・ビダン…優しくていい
名前じゃねぇか。」
ガタッ。
カミーユ兄さんが座っていた椅子から落ちそうになりました。
僕は、久々に聞いたドモン兄さんの「兄」らしい台詞に感動すら覚えたのですが、カミー
ユ兄さんはそうは思わなかったみたいです。
カミーユ「まさか…ドモン兄さんから、フォウと同じセリフを聞くなんて…鬱だ。」
ギンガナム「カミーユ・ビダンだけに、ビダン(美男)子なのであるっ!」
ありえない事が二つ同時に起きました。
1つは、何時の間にかギンガナムさんが上がり込んで居た事。
もう1つは、そのギンガナムさんが強烈に寒いオヤジギャグを飛ばした事です。
一瞬、場が凍り付きました。
余りの寒さに、僕はそのまましばらく凍り付いていましたが、その間に、ドモン兄さんの右
手が真っ赤に燃えたのと、カミーユ兄さんが「修正してやるっ!修正ッ!修正!!」と叫ん
でいたのを覚えています。
僕が我に返ると、ボロ雑巾の様なギンガナムさんが家からつまみ出されてるところでした。
ギンガナム「シ…シャア殿…これが…若さなのだな…。」
…人は中年になるとオヤジギャグを言わずにはいられなくなるのでしょうか?
あと、言い忘れてましたがアムロ兄さん。僕が凍り付いてる時、肩が震えてましたよ。
さてはギンガナムさんのオヤジギャグに ウ ケ ま し た ね ?
はぁ…。僕も年をとるとああなるんでしょうか?激しく…鬱です。
完
最終更新:2018年10月30日 15:42