停車している幼稚園バスに武装した男たちが闖入してきた。
ミケロ「ガキどもおとなしくしな。おめえらはこのバスともども、俺が交渉に使わせてもらうからな!」
子分達「逆らわない方が良いぜ。俺達の銃の引き金はちょっとばかり軽いからなァ。アヒャヒャ!」
わめくバスジャッカーをぽかんとした様子で見つめる園児達。
ショックで放心状態なのか? バスジャッカーは安心してバスを発車させた。
バスの運転手が公園の便所から飛び出してきたのはその直後。
彼は「俺の園児をやらせはせんぞー!」と雄叫びを上げると、スピードを上げていくバスに追いすがった。
園児達を人質にしてバスを弟分に走らせながら、バスジャッカーのリーダーのミケロは電話で声明を読みあげた。
ミケロ「次の要求を8時間以内に達成しない場合、30分ごとに人質の園児を一人殺す。
俺様が要求するのはたった2つだ。身代金1500万ドル、俺のガンダムファイターの地位回復、ドモンとの再戦…、
いや3つだ!身代金1500万ドル、俺のガンガルフライヤーの地位快速、ドボンとの再戦、俺様専用メタルファイヤーの開発…、
アヒャヒャ、4つだ4つ。
もう一度言うぞ、みのさん1500万ドル、尾瀬のガンガルフライヤーの珍走、モンドとの再戦……」
ラリっているのか数え方どころかろれつも怪しげなバスジャッカーを、人質の園児達は「アホか」と哀れむような目で見ていた…。
ミケロ・チャリオットが犯行声明を叫んでいると、
ミケロの子分「あ、兄貴!追っかけてくる奴がいる!」
ミケロ「邪魔するな!ファイナルアンサーはまだ言ってねーぞ!!」
内容の半分も言ってないのに中断させられてミケロは気分を悪くしたが、弟分に言われて外を見ると。
園児A「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
ゴリラかフランケンシュタインの怪物のような御面相の怪物が、人間とは思えないスピードでバスに追いすがってきていた。
パニック状態になった子分たちは銃を抜いた。銃撃すれば怪物を車から引き離せるはずだった。
が、そう思って窓から首を出したバスジャッカーの子分たちは怪物に首根っこをつかまれて車外へ放り出された。
さらに怪物は腕を伸ばして運転席のガラスを叩き割ると、まるでアクション映画のヒーローのように簡単に運転席からもバスジャッカーをつかみ出した。
園児B「組長先生キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
ミケロ「怪物め!人質を殺せ!」
動揺したミケロが叫んだが、残った最後の子分は
子分「でも、30分たってません!」
と言うと走り続けるバスの窓から飛び出した。残ったバスジャッカーは主犯のミケロだけになってしまった。
怪物は自分で叩き割った運転室の窓からバスに乗り込み、ブレーキをかけた。
2メートルを越す巨体と凶悪な顔面から発する圧倒的なプレッシャーに、さすがのミケロも飲まれかけたが、すぐ強気を取り戻す。
ミケロ「誰だよオメエはよ?」
怪物?「俺はこのムンゾ幼稚園の園長のドズル・ザビだ!文句があるなら言ってみろ」
ドズルは昂然と胸をそらしてミケロの前に進み出た。
巨体に一瞬びびったが、落ちぶれたとはいえガンダムファイターの自分が一般人を恐れる必要はない。ミケロはそう考えた。
ミケロ「俺に歯向かうとは、死ぬのが怖くないらしいな。望み通り、俺の必殺の銀色の脚で殺してやるよ。食らいな!!」
瞬間、オーラをまとって輝くミケロの脚がドズルの頭蓋を砕いた。ミケロはそう思った。しかし。
ドズル「ふ、ふ、ふ。この程度、痛くも痒くもないわ。貴様が銀色の脚なら、こっちは鋼の拳よ」
ドズルの笑みを見たミケロは、次の瞬間に鉄棒で殴られたような衝撃を感じて意識を失った。
間もなく、バスジャッカー達は緊急出動してきたシローの08小隊に身柄を引き渡された。
シロー「御協力感謝します、園長先生。…相変わらずですね」
アルがこの幼稚園の出身でシローも何度となく迎えにいったことがあるので、ドズル園長とは顔見知りだった。
ドズル「フン、これしきの芸当が出来んで幼稚園の園長が務まるものかよ」
シロー「ハ、ハハハ…」
本当は突っ込みたかったが、さすがにドズルが相手ではシローも愛想笑いで返すしかなかった。
(おわり)
最終更新:2018年10月31日 21:02