ガロード「そ、Wデート」
夜になって珍しくウッソの部屋を尋ねてきたガロードがそう言って話を切りだした
ガロード「俺とお前とティファとシャクティちゃんで明日出かけるんだよ」
ウッソ「それはいいですけど…何処に行くんです?」
ガロード「詳しくは聞いてないけど…確かピクニックだとか言ってたな」
ウッソ「ピクニック!!ティファさんがそう言ってたんですか…?」
ガロード「ああ、計画はシャクティちゃんが立てたそうだけど」
ガロードのその言葉を聞いたとたんウッソの顔が見る見る青ざめていく
ウッソ「……やっぱり僕行くの止めます…」
ガロード「オイオイ…今イイって言ったばっかじゃんかよ!?」
ウッソ「兄さんは…シャクティのピクニックの恐ろしさを知らないからそんな事が言えるんですよ!!」
ガロード「ハァ?何言ってんだ、お前」
ウッソはガクガク震えながら頭を抱える
ウッソ「イヤだ、もうあんな目に遭うのは懲り懲りなんですよ!!」
ガロード「オ、オイ、ウッソ?」
ウッソ「とにかくぼくは絶対行きませんからね!行きたいならこないだのプールの時のように兄さん一人で行けば良いんですよ!!」
ガロード「駄目だ、絶対お前も連れてくからな!」
ウッソ「どうして!?」
ウッソは殆ど叫びださん勢いでガロードの喰ってかかる

ガロード「俺はティファとのんびりデートしたいんだ!シャクティちゃんの相手はお前に任せるつもりなんだからな」
ウッソ「冗談じゃありませんよ!!なら、Wデートなんて面倒くさい事は止めてティファさんと二人で行けば良いじゃないですか」
ガロード「ティファがシャクティと行きたいと言ってるんだからしょうが無いだろ」
ウッソ「それを真に受けるんですか?ティファさんが死ねと言ったら死ぬんですか?」
小学生みたいな屁理屈を言うウッソ
ガロード「ティファが死ねと言ったら俺は死んでもイイ!!」
真顔でキッパリ言い切るガロード
ウッソ(…駄目だこりゃ 兄さんはティファさんの事になると他の事は何も見えなくなるんだから)
ウッソ「そんなの、オカシイですよ!」
ウッソは呆れたようにガロードに背を向ける
ガロード「明日は首に縄を付けてでもお前を連れて行くからな」
ウッソ「どうぞご勝手に でも、ぼくは絶対に行きませんからね」
ガロード「集合は朝四時にシャクティちゃんの家の前だからな 三時半には家を出るぞ」
ウッソ「朝四時って後六時間も無いじゃないですか!」
ガロードはバレンタインデーにティファから貰ったご自慢の腕時計を見る
ガロード「おっと、もう寝なくちゃな じゃあ、明日」
そう言ってガロードは部屋を出ていく
ウッソ「冗談じゃない。もう二度とあんな目に遭うのはゴメンこうむるんだ…」

午前二時
ウッソはこっそりと起きると忍び足で家の地下にあるMS格納庫に忍び込む
ウッソ「ピクニックなんて冗談じゃないよ。ガロード兄さんはティファさんと一緒なら何があっても本望だろうけど僕はもうあんな目に遭うのは懲り懲りだからね」
そう呟きながらV2のコックピットへと上がる
ハッチを開放しようとしたがふと気になって持ってきたペンライトでその周辺を照らしてみる
ウッソ「やっぱり…」
誰かがハッチに細工をした痕跡が微かにだが残っていた
ウッソ「ガロード兄さんの仕業だな でもNTでスペシャルの僕にこんな手が通用するもんか…」
ウッソは慣れた手つきで仕掛けられていた警報装置を無力化させる
ウッソ「ハッチを開けたら警報が鳴るなんて陳腐すぎますよ、ガロード兄さん」
無事にハッチを開けてコクピットへと乗り込むウッソ
ウッソ「さて、これから一時間の間が勝負だ V2の機動性と僕の腕を持ってすればガロード兄さんのDXから逃げ切る事はそんなに難しい事じゃない!」
機動シークエンスを立ち上げながらウッソは素早く計算する
ウッソ「さて、何処へ逃げようかな…フレイさんの所かな、それともエニルさんの所、いやいや…」
V2を静かに立ち上がらせながらウッソは一瞬考え込む
ピー!!
コクピットに響く鋭い警告音にウッソは我に返る
ウッソ「対人センサー…!!」
ガロード「そらよ!」
バシュ!!
ガロードの投げたあげた特殊閃光手榴弾がV2のメインカメラのちょうど真ん前で炸裂する
ウッソ「しまっ……!!」
急激な閃光で視界が白く染まるウッソ
一瞬遅れて遮光フィルターが作動するが、暗闇に慣れていたウッソの目は一瞬視力を奪われる
その隙にワイヤーガンを使ってV2のコクピットにとりついたガロードは強制解放ボタンを作動させてハッチを開くと
手にしていたグロック17を模したBBエアガンをウッソに突きつける
ガロード「へへ…コレってホールドアップってヤツ?」
ウッソ「……」
ウッソは観念したように両手をあげる

ウッソ「もう逃げませんからいい加減に手錠を外してくださいよ…イテテ」
ウッソは後ろ手に手錠を填められてシャクティの家に向かう道を歩かされている
ガロード「駄目だ ちゃんとシャクティちゃんの家に着くまではね」
ウッソ「トホホ」
ガロード「ところで何でそんなに嫌がるんだ、単なるピクニックじゃねーか」
ウッソ「……僕が一年位前に一週間ほど外泊した頃があったでしょ」
ガロード「ああ、あったあった…確かシャクティちゃんと一緒にキャンプにいったんだっけ?」
ウッソ「…キャンプなんて生優しいもんじゃなかったですよ、アレは…」
ガロード「……」
ウッソ「シャクティが山菜や木の実を取りたいからって山の奥深くにどんどん分け入って行っちゃって、川に流されそうになるわ、崖から落ちそうになるわ、蜂に刺されるわ、蝮に噛まれそうになるわ、帰りの道が判らなくなるわ…」
ガロード「ハハハ…」
ウッソ「…挙げ句の果てに手斧一本で子連れの母親熊に立ち向かわなきゃならない羽目になるわでもう少しで死ぬところだったんですから!!」
ガロード「でも、シャクティちゃんを熊から守ったんだろ…大したモンダよ」
ウッソ「あの後シャクティがなんて言ったと思います?『熊の手って美味しそうだったのに残念ね』なんてのんきな事言ってたんですよ!?」
ガロード「…なんつーか…まぁ、シャクティちゃんらしいな」
ウッソ「だから、シャクティのピクニックとかキャンプとか海水浴とかにつきあうのは危険なんですって!今からでも遅くないですから帰りま…」
シャクティ「ウッソ!ガロードさ~ん!」
ティファ「……」
いつの間にやら二人はシャクティの家の前に到着していた

ガロード「ま、そう言う訳だ 覚悟を決めろよ、ウッソ(w」

その日のピクニックの行き先は当初ロッククライミングで断崖絶壁登りだったのだが(どうやら燕の巣が目的だったらしい)
ウッソの強硬な反対により近くの沼にザリガニ釣りに行くことになった

ティファ「ガロード…来ます…」
ガロード「いいか、ティファ。落ち着いてゆっくり竿を引き上げるんだ…そーっとだぞ」
ティファ「ん…くう…」
ガロード「そう、その調子その調子。そのまま竿を立ててザリガニを手前に寄せて…」
ティファ「えい!」
ガロード「よっしゃあ!!ザリガニGET!!凄いよ、ティファ」
ティファ「ガロードの…おかげです…ありがとう…」
ガロード「いやーハハハ(照れ)」
パシャ
ティファ「きゃっ!?」
横に置いていたバケツの中に入れていたザリガニが跳ね、驚いたティファがガロードに抱きつく
ガロード「大丈夫か、ティファ?(でへへ~来て良かったな~♪)」

しゃぎゃー!
ばちやばちゃばちゃ
ウッソ「うわわわわわ!?」
シャクティ「頑張って、ウッソ」
ガチンガチンガチン!
じゃぼじゃぼじゃぼ
ウッソ「なんのこれしき~!!」
シャクティ「ファイトよ、ウッソ」
しゃげー!!しゃげー!!
バシャバシャバシャ
ウッソ「なんでこんな小さな沼にワニがいるんだよ~(涙!!」
シャクティ「ハンドバックぐらい作れるかしら(ワクワク」
ワニ「しゃげー!しゃげー!しゃげー!」
バチャバチャバチャバチャ
ウッソ「ガロード兄さん!そんな所でマッタリしてないで手伝ってくださいよ~!!!」

ティファ「ガロード…ウッソ君が…呼んでる」
ガロード「聞こえない…聞こえない…(汗」

ワニ「しゃげ~~~!!!」

(終)



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最終更新:2018年10月31日 21:23