694 名前:番外編・兄弟版指輪物語 プロローグ投稿日:03/03/17 15:24 ID:???
はるか昔、中つ国と呼ばれる世界。魔王と呼ばれる邪悪な力の主が魔法の指輪を作った。
魔王は指輪の力で世界を闇で覆うため、各国に戦争を仕掛けた。
戦いは人間と妖精の連合軍の必死の抵抗で魔王が敗北し、魔王は肉体を失った。
そして魔王の力が与えられた魔法の指輪は、魔王の肉体を滅ぼした人間の王の手に渡った。
しかし肉体が滅んでも魔王の力は指輪に強く残り、指輪は手にした者の運命を狂わせていく。
人間の王もその後の戦いで魔王の残党に殺され、指輪の行方はわからなくなっていた。
魔王との戦いが歴史ではなく神話として風化するほどの年月が過ぎた時代、
クルーゼという者が湖の底に沈んでいた指輪を拾った。
指輪の呪いの力は時が経っても変わらず作用し、クルーゼは不老不死の力を得た。
しかしその外見は指輪に蝕まれた精神そのままに変貌していき、いつしか変態仮面と呼ばれるようになった。
クルーゼに拾われても指輪は真の主たる魔王を呼び続け、ある時指輪はクルーゼの手を離れた。
しかし運命のいたずらか、その指輪を拾ったのは小人のキラだった。
キラに指輪の価値はわからなかったが家に持ち帰って長い間隠して、年月が過ぎた。
年月が経ってキラにはアルという新しい家族も増えたが、アルの成長を見届けたキラは再び村を旅立つ決意をした。
キラは村では結構な財産家だったが、その財産のほとんど全てをアルに残していくことにした。
彼は指輪を含めた、昔の冒険で手に入れた宝のいくつかだけを持って、誰も知らないところへ行こうと思った。
お別れのパーティを開くつもりで、キラは村人や古い友人達に招待状を送った。
695 名前:番外編・兄弟版指輪物語 1投稿日:03/03/17 16:29 ID:???
パーティ当日、村の入り口にいたアルは待ち人がやっと来たことを確認した。
待ち人は馬車でやって来た。
アル「良かった、アムロ、間に合ったよ。いつも旅してるからここには
来ないんだと思ってた」
アムロ「キラが招待状を『踊る天馬亭』に預けてくれてたんだよ。それでわかったんだ。それにしても今日は急な話だね」
アル「キラの誕生パーティなんだよ!ねえねえ、花火持って来てくれた?」
アムロ「荷台に山ほど積んできたよ」
アムロはキラの古い知り合いだった。アルとキラが住むこの田舎の村で村祭りがある頃になると、
今回のように自作の花火を山ほど持ってくるのだった。
キラが言うにはアムロはすごい魔術師だということだが、
アルがいくらせがんでも「危険だからめったに使うものじゃない」とアムロは言って一度も魔法を使って見せてくれなかった。
パーティ会場の集会場では、村人達がおおわらわで準備をしていた。アムロの馬車が来ると、
ミーシャ「おっ、花火師の先生だ」
チェイ「アムロ、花火やって見せてくれよぉ」
アムロ「だめだめ、夜のお楽しみだ」
ソシエ「けちんぼー!」
せがむ村人達はアムロのことはただの花火師だとしか思っていない。しかし彼らはアムロが持ってくる花火を楽しみにしていた。
アムロは木を刈り込んでいる庭師の若者に声をかけた。
アムロ「やあロラン、精が出るね」
ロラン「あ、こんにちはアムロさん。今日は集会場の木を全部刈り込まなきゃいけなんですよ」
アムロ「間に合いそうかい?」
ロラン「パーティには間に合わせますよ」
アル「ロランはアムロの花火を魔法みたいだって言ってたけど、ロランの仕事も魔法みたいだね」
ロラン「そんなことないですよぉ」
ロランは謙遜したが、集会場の木々は人型や動物型に刈られて見事な出来栄えだった。
696 名前:番外編・兄弟版指輪物語 1投稿日:03/03/17 16:57 ID:???
兄弟版指輪物語外伝・「キラの冒険」より。
ゴクリ(ゴラム)=クルーゼ「この洞窟の出口を知りたくば、私と
f´ ヽ
r'´ f"~`ヽ ヽ
Y f^>f'"~Yゝ,f-、ッ 〕
,.! /_`-、! ∧ /-'"//
゙、 \`_ヽ V r'_,フ/ !
! ノ i | i { |
〈 {ヽ!``__!__'"レ,イl や ら な い か?」
ヽ ir\ ,イ !.l
j:i:i:::ヽ` ':/::::!', l
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/ ヽ. / ト-` 、ノ- | l l ヽ.
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/ |`二^> l. | | <__,| |
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}/ -= ヽ__ - 'ヽ -‐ ,r'゙ l |
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___`\ __ / _l - ̄ l___ / , / ヽi___.|
ビルボ=キラ
;´从V∧)
W; ´Д`) キモッ!ヘンナオトコ!マホウノユビワデスガタヲケシテ ニゲナキャ!
/ つ つ
人 Y
し'(_)
699 名前:番外編・兄弟版指輪物語 旅の仲間編2投稿日:03/03/18 03:06 ID:???
アルは友達と遊びに行くので途中で馬車を降り、アムロ一人がキラの家に着いた。
キラ「いらっしゃい、来られないのかと思ってましたよ。お茶で良いですか」
アムロ「いただくよ。…それで、どうしても行くのか」
アムロは単刀直入に聞いた。
キラ「貴方への招待状に書いた通りです。ここには戻らないでしょう。アルのことをお願いします」
答えて、キラはアムロの視線から逃れるように顔を伏せた。
今回のキラの旅に特に合理的な理由はない。彼の中には何故かとにかく、「行かなければならない」という衝動だけがあった。
アムロ「アルは旅に出ることを知っているのか?」
キラ「言ってません。でも、賢い子だから気づいているかも。ついて行きたがるかも知れないけど、一人で行くつもりです」
そこへ玄関から激しいノック音と女の大声がした。
フレイ「キラー、いるなら出てらっしゃいー」
キラ「げっ。僕は留守ですよ」
アムロ「……」
外の来客はしばらく呼んだ後あきらめて帰って行った。しかし間もなく、別の女の声で、
ラクス「キラ様ー、居留守を使ってないで出てくださいませー」
アムロ「………」
二人目の来客は粘ったが、日が暮れてきてあきらめて帰って行った。
アムロ「…キラ、女の問題でこじれたから、ほとぼりを冷ますまで隠れようっていうんじゃないだろうな」
アムロは白い目でキラを見た。
キラ「ち、違いますよ(汗)」
そこへ三度ノック。
ロラン「キラさん、そろそろパーティが始まりますよぉ」
アムロ「…………」
キラ「何で、男にも手を出したのかと言わんばかりに僕を見るんですか!」
アムロ「……………」
最終更新:2018年11月05日 10:13