キラ「アムロ達からはぐれて暗い洞窟をさまよっていたら、仮面のような顔をした不気味な奴が現れたんだ。
    そいつこそが、その洞窟の主の「変態仮面」だったんだ。
    変態仮面は僕を見つけると、なぞなぞでの勝負を挑んできてね、
    勝負に僕が勝てば出口までの道を教えてくれるけど、負けたら食べてしまうと脅かしてきたんだよ」
パーティーもたけなわになって、キラは村の子供達にせがまれて昔の冒険談を披露していた。
子供キッカ「食べゆって?」
子供レツ「父ちゃんたちが豚を焼くみたいに、口からケツの穴まで棒で通して丸焼きにするんだぜ」
子供カツ「ガクガク *1))ブルブル」
子供キッカ「そんなの怖くないもん(TдT)」
キラ(負けてたら本当に挿されて食べられてたかも *2))ブルブル)

その頃、庭師のロランは、ソシエたちにダンスで引っ張り回されてへばっていた。
アルの方はまだ色気より食い気なので、鴨の丸焼きやローストビーフやサラダや蜂蜜パンに続けざまに手を伸ばしている。
そして、アムロは花火を盗もうとしたイタズラ小僧を捕まえていた。
         ||
         ||.,.,.ヽv,,..
     '^⌒⌒ヽ/    ヽ、 ガロード「魔法使いの先生、この通り反省してるから下ろしてくれよ」
    (,(,( r'ノr /W〈 W从  ジュドー「大人は横暴だな」
    (・∀・; )| リ;゚д゚リ  ガロード「ジュドー、余計なこと言うな」
      ミ≡≡≡≡≡j    
      ミ≡≡≡≡≡j               
      ミ≡≡≡≡≡j           ,r'⌒⌒^'、 ハー忙シイ!
      (_/(_/ ヽ)ヽ)          ( rνyy'ソ =3
                     ε=ヽヾ# ゚ー゚ノ        
                        丿 ヽ~ノ ヾ
                       ん  T   )


94 名前:番外編・兄弟版指輪物語 旅の仲間編4投稿日:03/03/29 13:00 ID:???
陽気なパーティも終わりが近づき、主催者のキラが挨拶に立った。
キラ「村の皆さん、今日は僕の誕生パーティに出席してくれて本当にありがとうございます。
    そしてこれでお別れです。僕は行かなければなりません。行かなきゃいけないんだ…」
最後の方の言葉を口の中でつぶやきながら、キラは隠し持っていた指輪を指にはめ、
指輪の魔力は、昔キラが変態仮面から逃げるのに使った時のように、彼の姿を村人達の前からかき消した。
村人達のパニックは言うまでもない。彼らが大騒ぎする中を通り抜け、指輪の力で姿を見えなくしたキラは、ゆうゆうと屋敷に帰ってきた。
キラ「これで指輪は僕と一緒に村から消える。指輪は僕だけの物だ…」
ほくそ笑むキラ。その背後の闇から声がした。
アムロ「指輪の魔力をもてあそぶのは感心できないな、キラ。その指輪は置いていったほうが良い」
キラ「この指輪を狙っていたんですね、アムロ」
アムロ「そんな指輪はいらない。その指輪は人の精神をねじ曲げてしまう呪いの指輪だ」
キラ「そう言って脅すんだ。指輪は誰にも渡しはしない。僕の『いとしいしと』なんだ!!」
アムロ「『いとしいしと』。変態仮面も指輪のことをそう言っていた。キラ、お前も変態仮面のようになりたいのか?」
キラ「……(次のレス参照)」
アムロ「君がああやって堕ちていくのを見過ごすことは出来ない。外してくれ」
キラ「わかりました。指輪は置いていきます。この箱に入れて、厳重に封印をすれば誰も開けないでしょう」
キラは古い宝石箱を持ってくると、指輪を入れてアムロに渡した。渡されたアムロはキラを鋭い眼光でにらんで、
アムロ「……宝石箱に入れた振りをして右ポケットに隠した指輪を出せ」
キラ「お、おかしいな。入れたはずだったのに」
弁解するように言うキラからアムロは鋭い視線を外さない。気圧されて、やっとキラは脂汗を流して指輪を床に転がした。
そして指輪を手放したキラは憑き物が落ちたような表情でアムロに別れを告げ、住み慣れた家を立ち去っていった。


95 名前:番外編・兄弟版指輪物語 旅の仲間編4投稿日:03/03/29 13:01 ID:???
指輪の呪いに毒されたキラの図。

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   , ィ ´      ,ゝ、_ `r'   l |  、レ // `テ三..ノく _ `       ヽ、
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112 名前:番外編・兄弟版指輪物語 旅の仲間編5投稿日:03/03/30 10:44 ID:???
指輪を外したキラだが、旅装は解かなかった。
キラ「何か、さっきまで自分の中の違う誰かがささやいているようでした」
アムロ「違う誰か?」
キラ「ここ最近、その声が強くなってきていました。指輪を持ってモルドールへ行けって言うんです」
アムロ「…それで旅に出ようとしたのか。しかしモルドールは危険過ぎる」
キラ「モルドールに行くのは止めますよ。でもここは出ます。指輪の近くにいるとおかしくなっていきそうなんだ」
アムロ「行くあてはあるのか?」
キラ「フロンティア・サイド。昔行ったでしょう?妖精(エルフ)の領地なら安全じゃないですか」
アムロ「そうだな、それが良いだろう…。道中気をつけて」
キラ「さよなら、古い友人。魔術師アムロ」

キラが去った後、アムロは床に落ちた指輪を拾い上げようとした。しかし指輪をつまみあげた瞬間。

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アムロ「!!」
悪意に満ちた二つの眼のビジョンが彼の脳裏に映り、思わず指輪を取り落としてしまった。
アムロ「あの眼の発するプレッシャー…あれがキラの精神を蝕んでいたのか…?」
そしてアムロもこの指輪の魔力に支配されていたかも知れなかった。冷や汗が流れる。
外ではアムロの不安に応じたように雷雨が突然降り出し、村人は大慌てでパーティの後片付けを始めた。


113 名前:番外編・兄弟版指輪物語 旅の仲間編5投稿日:03/03/30 11:48 ID:???
悪意に満ちた二つの眼の図。

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115 名前:番外編・兄弟版指輪物語 旅の仲間編6投稿日:03/03/30 13:07 ID:???
暗く寒くなった部屋で指輪のことを考えているアムロの耳にドアがきしむ音が聞こえた。
アムロ「アルか?」
アル「ここにいたんだ。キラも見つからないし、どうしたのかと思っちゃったよ」
アムロ「ああ…。雨でずぶ濡れになってしまったな。今部屋を暖めるから、体をよく拭いて着替えてくるんだ」

暖炉にあたってホットミルクを飲みながら、二人は話していた。
アル「ねえ、やっぱり、キラは行ってしまったんだね…」
アムロ「知ってたのか?」
アル「キラは何も言わなかったけど、そんな気がしてた。だって、家族だよ?
    ……最近様子が変だったんだ。ずっと寝不足っぽいし、元気もなかったし。病気だったのかなぁ。
    そのくせこの指輪だけは何時間もあきずに眺めてうれしそうに笑ってたけど」
アルがアムロに差し出したのはキラが置いていった魔法の指輪だった。
アムロ「指輪?!触って何ともなかったのか?」
顔色を変えて聞くアムロにアルは面食らったが、正直に何もなかったと答えた。
アル「これ、魔法の指輪でしょ?僕要らないからアムロが持っていってよ。アムロが魔法使いだからキラはあげるつもりだったんでしょ?」
アムロ「違う。僕も要らない。その指輪は使わないんだ」
声を振り絞って言った。自分のものにしたいという欲望を抑えるのに必死だった。指輪にはそういう魔力があるらしい。
アル「それじゃあどうしよう、この指輪」
アムロ「そこにある宝石箱に入れて鍵をかけて」
アルが箱に鍵をかけると、アムロは魔法でもう一度鍵をかけた。アルの前で魔法を使ったのはこれが初めてだ。
アムロ「僕は急用があるから行かなきゃならないが、2ヶ月以内に戻るから、この宝石箱はそれまで誰も知らないところに隠すんだ。誰にも秘密だよ」
雨も上がって翌朝。アムロはアルにしつこく指輪のことの念を押して村を去って行った。


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最終更新:2018年11月05日 10:13

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