それは少し前の話…

シーブック「カミーユ…今、いいかな?」
カミーユ「なにさ?改まって」

カミーユが話を聞いてみると…
色恋沙汰に関してウブなシーブックにとって、初めて彼女が出来たらしい。
その相談をカミーユにしに来たのだった。

「カミーユは色々と経験があるだろう?ファとか、フォウとか、ロザミアとか…」
「ま、まぁね……」カミーユは少し得意げになった。

「で、誰なんだよ?相手は」

「…セシリー」
「セシリーって…あの、セシリーフェアチャイルド?」

「……ああ」シーブックの顔は真っ赤になっている。

(や、やるなぁ、シーブック…初めての彼女で金星GETかよ…侮れない奴)
カミーユは内心焦っていたが、虚勢を張りつつ
「ふ、ふ~ん…セシリーかぁ……」

「今度、初めてのデートなんだけど…何処に行けばいいかな?」
「そうだね…彼女の趣味にもよるだろうけど……」

それから何かの度に、カミーユはシーブックから相談を受ける事になった。

カミーユのアドバイスが効いたのか?シーブックとセシリーの交際は順調に進んでいた。
そんなある日…
カミーユの部屋にシーブックが訪れて、毎度の恋愛相談をしていたのだが

シーブック「あ、あのさ…普通~…何回目のデートでキスするもんなんだろう?」
カミーユ「え?……そ、そりゃ、人によって…色々…って、もう、セシリーとはしちゃったのかよ?」

「ま、未だだけど…」
「未だだけど?」

「……昨日、そんな雰囲気になり掛けたんだ…けど、俺、キスの仕方とか…知らないし…
躊躇っちゃって……どうすればいいか分らないんだよ!」
「ふ~ん…」
(シーブックの奴…上手い事やってるじゃないか、あのセシリーと…くぅ~~羨ましい奴)

「カミーユは経験あるだろ?」
「え?…ま、まぁねぇ……」

「じゃあさ…教えて欲しいんだ……キスの仕方」
「(;゚Д゚) はぁ?」

「そ~ゆ~時は男がリードしないといけないんだろ?俺、今までキスなんかした事ないし…
いざって時に失敗して、セシリーと駄目になるのが怖いんだ…頼む。カミーユ。練習させてくれ!」
「(;゚ -゚) 練習!?…って」

シーブック「何も本当に唇と唇を合わせる必要はないんだよ!その…キスに入るまでの動作とか…
それまでの持っていき方とか…練習しときたいんだ」
カミーユ「………。」
「頼む!」シーブックは深々と頭を下げたまま、その場を動かなかった。

(……正直、兄弟とキスの練習なんて嫌だけど、シーブックは本気っぽいし…
今まで相談に乗ってきた手前、断る訳にも…本当にキスする訳でもないし…こうなりゃ仕方ないか?)
「いいよ、分った…練習相手になるから」
「本当?カミーユありがとう!!」

二人は早速、キスの練習をする事に…

「じゃ…俺が男性役で、シーブックが女性役な」
「うん、分った」

カミーユは左手でシーブックの髪を撫でると、右手を腰に回して、シーブックを引き寄せる。
「ほ、本格的だな…」
「ああ…」
二人共、顔が真っ赤になる。

「こ、こうやって…徐々に雰囲気を高める事も必要なんだぜ?」
「うん…」シーブックは息を呑んだ。カミーユの顔が段々と迫ってくる…
練習とは言え、妙な高揚感が二人を包んでいた。

…突然、ドアが開き
「カミーユ、お風呂空きましたよ~」タオルで頭を拭きながらロランが部屋へ入ってくる。

カミーユ「な!?……」
シーブック「なんとぉ!?……」
ロラン「……(゚Д゚) 」

ロランは二人の姿を見ると、すぐさま部屋のドアを閉めて、廊下に出てしまった。

ロランは心臓が飛び出しそうな位に、動揺している。
カミーユとシーブックが部屋で抱き合っているのを見てしまったからだ。

(ハァハァ…なんで…二人が?…ハァハァ……男同士で抱き合ってた?…同性愛者なの?……
や、その前に兄弟じゃないか!イケナイ!こんな事、イケナイ事なんだ!!……ハァハァ…けど、家族としては
カミーユとシーブックの性癖を理解してあげる事も必要?……そうだ!アムロ兄さん、
アムロ兄さんには話しておかないと……って、何て話そう?……ああ、僕はどうしたらいいんだよぉ!!)

ロランは廊下に立ち尽くしたまま、様々な思考を思い巡らせていると…

キラが来た「ロラン兄さん、辞書貸してよ…勝手に貰っていくからね~」
「あ~!!…今は駄目です!」ロランはキラが部屋に入ろうとするのを必死に止める。

キラ「何で?」
ロラン「つ、都合が悪いんですよ!今は…その……あ、そうそう!部屋の模様替えをしてるから……
探すの大変なんです!明日じゃ駄目ですか?」

「今、必要なんだけどな…シーブック兄さんも居なかったし…ま、いいや…
ジュドー達の部屋を探してみるよ」キラはジュドー達の部屋に入っていく。

「ふ~ぅ…」キラを追い返したロランは、
今度は自分が部屋に入ろうかどうか?躊躇っていた。

部屋の中の二人。
カミーユ「今のロランに見られた…よな?」
シーブック「多分ね……」

再びドアが開くと何食わぬ顔でロランが部屋に入って来る。

カミーユ「ロ、ロラン?…あのさ…」
ロラン「なんです?」
シーブック「さっきの…事なんだけど…」
ロラン「…ぼ、僕は何も見てませんからね!タ、タオル邪魔してて何も見えなかったんです!
…カミーユ、お風呂空いてますよ。早く入ってきて下さい」

明らかに怪しいロランの言い分だったが、場の空気が気まず過ぎて
二人はそれ以上、言い返し様も無かった。

ロランは二人の事を他の兄弟には話さなかった。
(僕が二人の事はなんとかしないと!…)と、一人で問題?を抱え込むつもりだったからで
誤解が溶けないまま、シーブックとカミーユとは気まずい関係が暫く続いたとか…



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最終更新:2018年11月12日 14:08