久々の日曜日…ロランは家で洗濯をしている所をハイム姉妹に呼ばれ公園に花見に来ていた。
ロラン「うわぁー、きれいですね…なかなか家から出られないから桜を見るのは2年ぶりですよ」
ソシエ「そうでしょうね。ロランはいっつもバタバタしてるから…」
キエル「そんなロランに今日一日ぐらいはゆっくり桜でも見て…って、ソシエが私に相談をしていたのですよ」
ソシエ「わ、私はそんな事言っていませんよ!お姉さまが…」
ソシエが顔を赤くしながら少しむくれる
ロラン「ありがとうございます。キエルお嬢様…ソシエお嬢様」
ソシエ「そうそう、感謝しなさいよ…そうだ、私、お団子作ってきたのよ。ほら食べて!」
ソシエがバスケットから可愛い弁当箱を取り出すと蓋を開けた。その中には団子と言う名の無骨なぼた餅が串に刺さっていた。
ロラン「うわぁ……美味しそう…」(団子?…ぼた餅?)
キエル「あら……とても美味しそうね…」(朝から何を作っていると思ったらこんな物を…)
ソシエ「そうでしょ!気合を入れて作ったんだから!」
キエル「でも、お団子にしてはちょっと大きいような…それにアンコも、漉しアンじゃなく粒アン…」
ソシエ「大は小を兼ねる!って言うでしょ!…それにアンコにも歯応えがほしいと思ってね…あ、それとこのみたらし団子、自信作よ!」
ソシエは自信満々で話している。そこにはみたらし団子と言うより醤油のような黒い液体に漬けられた団子があった。
キエルがロランに向かい貴方が先に食べなさいと目で合図を送る。ロランはその合図に少し戸惑いながら団子を手にする

ロラン「じゃあ、アンコの方から、いただきます……モグモグ…!?」
ソシエ「どお?美味しいでしょ!?」
ロラン(しょっぱい?なんだこれ!?塩?)「いやぁ…アンコにしてはちょっと塩辛いかな…」
(絶対塩だ!砂糖と塩を間違えているんだ!)
ソシエ「まさか……甘~くしたはずだよ」
ソシエがそう言いながらアンコの団子?を口にする
ソシエ「しょっぱッ!?なにこれ?…ちゃんと砂糖を入れたはずよ!?何で?」
キエル「塩と砂糖を間違えたんじゃないの…ソシエ、ちゃんと味見した?」(よかった…ロランに味見させて)
ソシエ「そういえば、味見してない…」
ロラン「でも、美味しいですよ…初めての味って言うか、なんと言うか…ソシエお嬢様らしさが出てていいですよ」
ソシエ「なに、ロラン!それって嫌み?」
ロラン「ちがいますよ…本当に…美味しいですよ…」
ロランの背中に大量の脂汗が流れている。我慢をして次の団子に手を伸ばす…みたらし団子?に…
キエル(ロラン!それも食べる気!?勇気あるわね…さすがはハイム家の召使、ホワイト・ドールのパイロット…)
ロランがみたらし団子?を口に入れる
ロラン「ッ!?ユニヴァ―――………………」
ロランがみたらし団子?を食べた瞬間、絶叫を上げ、泡を吹いてその場に倒れた

ソシエ「ロラン!?」
キエル「ロラン!どうしたの!?…ソシエ、あなた何を仕込んだの!?」
ソシエ「ちゃんと、醤油と砂糖とオイスターソース、とろみを付けるために山芋それに香り付けにハーブ数種類、
隠し味に鷹の爪…甘味を出すため黒砂糖とチョコレートも少し…」
キエル「そんな、兵器に近いものを…なんてこと……ロランしっかりしなさい!」
ロラン「ん……あぁ…キエルお嬢様?…」
キエル「大丈夫ですか?ロラン」
ソシエ「うわ――ん(泣)!ロランごめんね…あたしが…あたしがお団子作ったばっかりに…」
ロラン「大丈びゅですよ…(あれ?ちょっと舌が痺れている?)ショシエお嬢さん…僕こう見えて結構丈夫でしゅから…」
キエル「(うぅ…なんて健気で不憫な子なんでしょう)ロラン、お茶で口の中を潤しなさい」
春の日差しが注ぐ中、ロランはキエルとソシエに介抱してもらっていました
ロラン(ああ、なんかこ~ゆ~のもいいなぁ…有難う御座います。キエルお嬢様、ソシエお嬢様………それと、ソシエお嬢様…
お願いですから料理は作らないでください…)

そらからしばらくして…ロラン達のいる公園の反対側では
ロアビー・ロイ「ハァイ彼女!俺のポッカリと空いた心の穴埋めてくれない?」
女の子「冗談じゃないわよ…あたし、ナンパは嫌いなの」
ロアビー「あ~らら、つれないねぇ…(俺、ナンパの腕落ちたのかな)」
ウィッツ・スー「ロアビー、テメー腕落ちたんじゃねえか?撃墜王の名が泣くぜ?」
ロアビー「そ~んな事言わないの…いくら撃墜王でも打ち逃す時くらいあるの!気楽に行かなきゃだめなのよ」
ウィッツ「けッ!かってに言ってろよ!…それよりオメー、エニルに見っかたら殺されっぞ」
ロアビー「そんな、悲しい事言ってたらだめでしょ。俺は恋をしないと生きられないの。わかる?」
ウィッツ「わかるか、んな事!」
ロアビー(!可愛い子がいる!?向こうの方角だ!!)
ウィッツ「おい!どこ行くんだ!?」
ロアビー「俺のレーダーに反応有りなんだよね!向こうの方に!」
ウィッツ「ど~ゆ~レーダーなんだよこいつは!…ある意味、ニュータイプだぜ本当によぉ」
ロアビーとウィッツが走るその先にはロラン、キエル、ソシエの3人がいた。
ロアビー「ビンゴ!俺のレーダーは正確なのよね」
ウィッツ「げッ!?本当にいる!!マジで可愛いし…(こいつ本当に、ニュータイプだ!)」
ロアビーとウィッツは木陰からロラン達を観察している

ロアビー(ん~、マジでポイント高いね…富豪のお嬢さんとその妹…姉さんの方はなんかいかにも高嶺の花って感じだし…ただ、想い人あり!って感じもするね。
妹さんの方は今の生活に飽きて刺激を求めているって感じ……あの銀髪のお嬢さんはエプロンなんかしちゃったりして、いかにも家庭的って感じ…顔も柔らかいし……いいねえ、よりどりみどりだよ)
ウィッツ「おい、珍しいな。お前がこんなに慎重になるなんて…」
ロアビー「焦らないの。あんなポイントの高い子、なかなかいないよ……って言っても行動を起こさなきゃ進展しないのも事実…一丁、当たって来ますか」
ウィッツ「おおよ!」
ロアビー「え?…お前も来るの?」
ウィッツ「わりーかよ!俺だって男なんだよ!」
ロアビー「いや、別にいいけど…トニヤに見つかるとやばいんじゃないの?」
ウィッツ「む!………だ、大丈夫だよ!死なば諸共だ!オメーに付き合う!」
ロアビー「そうそう、分かってくれた?ハンターは獲物を取らなきゃ死んじゃうのよね。俺もまだ、ハンターでいたいしさ…と、言うことで行きますか!」
ロラン達にロアビーとウィッツが近づいてくる
ロアビー「ハ~イ!お嬢さん達、何してんの?暇なら僕たちとここよりもっと景色のいい所にドライブに行かない?」
ソシエ「はあ?別に暇はしてません!邪魔なんで向こうに行ってください!」
ロアビー「そんな事言わないでよ……(ソシエ達に近寄って小声で)実はさ、そこにいる俺の連れウィッツって言うんだけど明後日、
戦場に行っちゃうのよ。だから少しでもいい思い出を作ってあげたくて…協力してくれない?だめ?」
ソシエ「そんな見え透いた嘘を…」

キエル「いいじゃない、ソシエ。協力してあげましょう」
ロラン「そうですよ!…戦場に行ったら…もしかしたら死んじゃうかもしれないんですよ!?そんなの…悲しすぎますよ(泣)!」
ソシエ「そんな、キエルお姉様?ロランまで!?」(なんでロラン泣いてるの?べたべたのナンパじゃない!)
ロアビー(ふ~ん…キエルちゃんにソシエちゃん、それにロランちゃん…ね。)
ウィッツ(小声で)「おい、ロアビー…俺、戦場に行くのか?聞いてねーぞ!いつ、召集掛けられたんだ?それに…俺、死ぬの?」
ロアビー(小声で)「(これだから実直馬鹿は…)違うよ、作戦だよ…こう言っておけば同情を誘えるんだよ…ほら、そこのロランちゃんなんかもう目ウルウルだぜ」
ウィッツ(小声で)「おお、そうか!オメーすげぇな!関心するよ」
ロアビー「それじゃあ、お嬢さん達…思い出を作りに行こうか!」
キエル「エスコート、よろしく御願いします」
ソシエ「お姉様、本当に行く気!?」
ロアビー「大丈夫だよ。ただ、僕達はいい思い出がほしいだけだから…ね、ロランちゃん!」
ロラン「あの~…僕も一緒に行ってもいいんですか?」
ロアビー「大丈夫、大丈夫!気にしないよ、一緒に行こうよ……え?…僕…って、もしかして…男なの?」
ロラン「そうですよ」
ロアビー「!!?」
ウィッツ(マジで!?気づかなかった!…って言うよりロアビーがこんなミスしたの始めて見た!)
ロアビーは瞳孔を開いたままその場から動けなかった…まさか男女の区別も付かないとは、何たる失態!
最近ナンパの腕が落ちつつあるとは思っていたがまさかこれほどとはロアビーは信じられずにいた

キエル「あの…そちらの方、大丈夫ですか?」
ウィッツ「だめかも…当分立ち直れないな……実は俺とロアビーは君たちをナンパしてたんだよ…まさかそこのロランちゃん…いや、ロラン君が男の子とは思わず…
ロアビーのやつ、かなりショックだったみたいだな…」(俺もショックだよ…まさかこんな可愛い子が男とは…)
キエル「まあ、あれがナンパと言うものでしたの!?」
ソシエ「姉さん、鈍すぎるよ…それにしてもいい気味だわ!こんなナンパな男にはいい薬よ!気合が入ってない男は本当に駄目駄目ね!」
ロラン「(うわあ、ソシエお嬢さん結構きついなあ…そういえば最近、ギャバンさんと交流があるって言ってたからその影響かな)あの、本当に大丈夫ですか?ロアビーさん」
ウィッツ「そっとしておいたほうがいいなこりゃ…なんか、ごめんな」
それから数分後、ロアビーが我に返り自分の行った無様な行為に落ち込んでいた。それに見かねたロランが慰めるがロアビーはさらに落ち込んでいった。

トニヤ・マーム「ねえ、エニル…あれって、ウィッツじゃない?」
エニル・エル「本当だ…ロアビーもいる…なにしてるんだろ?」
トニヤ「?ちょっと待ってよ!なにあれ!?若い女の子達に囲まれて!今日はロアビーと海に釣り行くって言ってたのに…まさか、女の子を釣りに行ってた訳!?」
エニル「トニヤ…それ、笑えないよ……それにしてもやってくれるわね…私達という物があるのに、懲りもせず……トニヤ…私、きれそう…やっちゃっていい?」
トニヤ「エニル…やっちゃって!」
エニルはトニヤのその声を聞くと自分の愛機、エスペランサの下に走っていく

ウィッツ「おい、落ち着いたか?」
キエル「大丈夫ですか?ロアビーさん」
ロアビー「ああ、ありがとう…だいぶ落ち着いたよ…」
ソシエ「ふんっ!ロランを女の子と勘違いするなんて、かなりの馬鹿じゃない!?」
グサッ!…ロアビーの心にまた一つ傷が増えた
ロラン「ソシエお嬢様、言葉が過ぎますよ!…大丈夫ですか?ロアビーさん…気にしないでください。僕ってよく女の子に間違えられるんですよ……それに、ロアビーさんのナンパのテクニックよかったですよ…」
ウィッツ「そうそう、俺も関心したもんな…こいつスゲーって」
ロアビー「そ…そうか?」
ロラン「そうですよ…僕、今まで何度もナンパされましたけどロアビーさんのが一番でしたよ」
ロアビー「そうか?…そうだよな!そうさ、俺は落ちぶれてないよ!今日はちょっと調子が悪かっただけだよ!」
キエル「そうですよ、私も始めてナンパされて少し嬉しかったんですよ…ああ、これがナンパかって」
ソシエ(なに?キエルお姉様もロランも…なに慰めてんの?このロアビーっていう人も慰めてもらって嬉しいの?って言うか、そんな慰め方ある?なによ、ナンパされて嬉しいとか、
よかったって…分からない…お姉様もロランもこいつらも分からない……こいつら馬鹿じゃなかろうか…そうだ!こいつら馬鹿だ!!)

トニヤ「それまでよ!!」
ウィッツ「げッ!?ト…トニヤ!」
エニル「私をお忘れかい?」
ロアビー「エ…エニルも…!?」
そこにはエスペランサに乗って殺気を漲らせているエニルとエスペランサの手に仁王立ちしているトニヤの姿があった…エニルの顔は無表情だが、切れる寸前だ…トニヤも顔は笑っているが、逆にそれが恐ろしい
エニル「殺すのはいつでも出来る…今でも…後でも…」
トニヤ「とりあえず…言い訳を聞きましょう…ね、エニル」
ロアビー「ちょ、ちょっと、待ってくれ!…別にナンパとかじゃなく…」
エニル「ナンパは…確か止めたんだよね…ロアビー?」
ロアビー「そ、そうさ!止めたんだよ!」
ウィッツ「そ、そうだよ!…ほら、なんて言うか……ハンターは獲物を取らなきゃ死んじゃうんだよ…俺もまだ、ハンターでいたいしさ」
ロアビー(こ…こいつ、いきなり何言うんだ!?馬鹿かテメー!こっちはちゃんと言い訳考えてたのに…これだから実直馬鹿は…もう口開くな!)
トニヤ「へ~……そうなんだぁ…」
ロアビー「いや、違うんだよ!聞いてくれ!」
ウィッツ「男は恋をしなきゃ死んじゃうんだぜ…だよな、ロアビー!?」
ロアビー(もう…だめだぁ…こいつ、馬鹿だ…正真正銘の馬鹿だ…ある意味、馬鹿のニュータイプだよ…こいつ)
トニヤ「救いようがないね…」
エニル「…じゃあ、死にな…」
ロラン達の目の前ですざまじい惨劇か起きていました…エニルの操るエスペランサは非情にもロアビーとウィッツを肉の塊に変えていく…ロランは必死で止めようとしましたが、ぶち切れたエニルとトニヤを止める事は出来ませんでした…
キエルは何が起こっているのか分からず、おろおろしていました…ソシエはいい気味よ、と腹を抱え大笑いしています
それから1時間後…生ゴミを入れるゴミ箱にミンチになったロアビーとウィッツが捨てられていましたが、どうやら今日は粗大ゴミの日らしく業者の人に引き取ってもらえませんでした


終了



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最終更新:2018年11月12日 15:35