ある日、兄弟の家に荷物が届いた。
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|クール宅配便|/
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差出人はドモン。彼は修行の旅に出ていた。
ウッソ「ニューヤーク?ドモン兄さんにしては珍しく都会から送ってきてる」
ジュドー「生モノだってさ。食い物かな」
ガロード「よっしゃー、早速開けようぜ。兄さん達帰ってきたら、あっという間に無くなっちまうからな」
シャクティ「楽しみね」
ウッソ「シャクティ、その牛刀とまな板とクーラーボックスは何?!」
シャクティ「荷物の重量は70キロ以上、きっとドモンさんが倒した牛だわ」
ウッソ「それぐらい見当つくけど、はなからもらう気なんだね…オカシイデスヨシャクティモ」
ティファ「来る…開けちゃいけない…!」
ガロード「え?!」
がさがさっ。ガロードが箱を開けようとすると急にその箱は動き出した。
一同「な、中に
何かいる~!?」
(続く)
477 名前:パンドラの箱・その2投稿日:03/05/17 03:26 ID:???
箱は急にがさがさと中から音を立てだしたが、すぐに収まった。
ジュドー「何だ。なんでもないんじゃんか。驚いて損したぜ」
自称彼女や妹分や女教師もいないのに強がってみるジュドーの横で、
ガロード「ティ、ティファは俺が守るッ!!」
ティファ「ガロード…」
二人だけの世界に突入するのが二人。
シャクティ「牛肉じゃないなら魚…それとも、とれとれぴちぴちカニ料理…」
ウッソ「熟れ熟れピチピチお姉さん…ハァハァ」
論外が二人。
とてもすごいもの(兄弟にとっては
日常茶飯事だが)を見てしまってうんざりした様子のジュドー。
彼を救ったのは一家の良心たる兄のロランの「ただいま」という声だった。
(続く)
478 名前:パンドラの箱・その3投稿日:03/05/17 04:04 ID:???
ロラン「この荷物が動いたんですか?」
ジュドー「ああ。生魚でも入ってるのかな?」
ロラン「冷凍保存で仮死状態だった魚が、温度が上がって蘇生したんでしょう」
ジュドー「なるほど」
ロラン「だから大丈夫ですよ」
大丈夫の一言でジュドーは安心した。
「大丈夫」の言葉が信用できるのは兄弟でも、長兄にして家長のアムロとこのロランぐらいなものだ。
シローとドモンは大丈夫だと言ってあさっての方向に行ってしまうタイプだし、コウはいささか役者不足。
ロランと同年齢のカミーユとシーブックはまだ年上の友人というレベルだ。
ロラン「悪いけどみんな台所に運ぶの手伝って下さい。今夜はごちそうですよ」
兄弟の4人は少年の外見ながら体力は十分だし、シャクティも火事場のクソ力だ。難なく台所に運び込んだ。
ロラン「さあ、開けますよ」
だが、ロランが手をかける前に箱はひとりでに開いた。そして、
γソ⌒ソ あー、寒かった。
(=ル#==ル__
/Σミメ゚Д゚彡/\
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|クール宅配便|/
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ドライアイス詰めの箱から平然と出て、ドモンはそう誇らしげに言ったものだ。
(了)
480 名前:476投稿日:03/05/17 18:18 ID:???
「パンドラの箱」改め「King in the Box」。その余談。
アムロ「なんでクール宅配便なんかで戻ってくるんだ」
ドモン「兄さんここだけの話だが、実は、寒さに耐えるための修行なんだ」
アムロ「それなら、普通に冷凍室に行くんだな。漁業プラントなら魚用の冷凍倉庫がいくらでもあるぞ」
カミーユ「旅費がなくなったから、到着払いで帰って来たって、素直に認めればどうなんです」
ドモン「…貴様何を言うかー!あのような苦しみを自ら味わってこそ、男は肉体も精神も成長するのだ!(実は図星)」
アムロ「頼むから普通に帰ってきてくれ。前はシャトルにノーマルスーツでしがみつき、
その前は東方先生といっしょに馬のかぶり物で競走馬の輸送機に潜り込んで…」
ドモン「だから修行で…」
アムロ「この前東方先生に酒おごったら、馬のふりして旅費を浮かせたと自慢していたぞ」
ドモン「……師匠の裏切り者ぉぉー!!」
ジュドー(あんちゃん達はどうしてあんな箱で耐えられるかということ自体は疑問に思わないっての?)
ゼクス「お届け物です」
ロラン「また大きな荷物ですね」
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|クール宅配便|/
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アムロ「送り主は、アグリッパ・メンテナー?」
ロラン「ディアナ様のところの重役ですよ。いったい何だろう?」
.., -ー-、.
〈=◎=-,___> ロランに皆様、おはようございます。
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⊂llこ,円(){.,!、ノ/\
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|クール宅配便|/
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一同「ユニバァァァァァス!!(何とぉぉぉぉ!!)」
シーブック「人を冷凍睡眠させるための箱かよ!」
最終更新:2018年11月13日 23:25