305 名前:隣は何をする人ぞ?1投稿日:04/08/06 22:11 ID:???
 ウッソ「シャクティ、何やってんのさ?」
ウッソは隣の畑でうずくまっているシャクティに話しかけた。
シャクティ「シッ、話しかけないで。獲物が逃げちゃう」
シャクティは葉っぱをたくさん貼り付けた網をかぶって藪に見せかけているらしい。
彼女の右手からはひもが伸び、ザルを支えるつっかえ棒につながっている。
ザルの下のエサに釣られてきた鳥を捕まえる極めて原始的な
ウッソ「罠なんか張ってどうするの(小声)」
シャクティ「鳥が畑を荒らしに来るから捕まえるのよ。……あと動物性蛋白」
ウッソ「……(汗)」
想像以上の耐乏生活ぶりに、どう反応すれば良いのか途方にくれるウッソ。
そんなウッソに構うことなくザルを見据えていたシャクティは、
シャクティ「来た!」
ニュータイプ真っ青の超反応で罠のひもを引いた。鳥が逃げるよりも早くザルが落ちる。
シャクティ「焼き鳥にしようかしら、それともスープが良いかなぁ。ウッソも味見してね」
…結構この生活を楽しんでいるらしい。小学生とは思えないタフさだ。しかし。
トリィ「トリィ?」
シャクティ「……」
ウッソ「……」
捕まえたのはキラの鳥形ペットロボットのトリィだった。これは食べられない。
シャクティ「…パーツ屋に売りましょう。足がつかないようバラした方が良いかしら?」
ウッソ「勘弁してよ。キラ兄さんが泣くと大変なんだから」

結局ウッソはシャクティを説得してトリィを兄のキラに返した。
キラ「良かった。家の中に居ないから探してたんだよ」
そんなことを言っていると茶の間の方から話し声が聞こえる。
ドモン「兄さん、クリスの親父さんの名前って何つったっけ?」
アムロ「知らないのか?」
ドモン「知らなくても困らなかったし。昔からクリスの親父さんとかおっちゃんとかマッケンジーさんとかおじさんとか
    マッケンジーおじさんとか言って済ましてたからなあ、俺たち」

ウッソがシャクティの畑に戻ると、彼女はまた一羽捕まえていた。
シャクティ「ウッソ、ほらハト捕まえたわ。今度は本物よ」
ウッソ「ハト?…だめだよこれ、マッケンジーさんの飼ってるハトだ。伝書鳩用の識別票がついてる」
シャクティ「ウッソも私も何も見なかったことにすれば…?」
そう言って、シャクティはハトを放そうとしない。
ウッソ「ダメだよ。…うちで晩御飯食べさせてくれるように頼んであげるから、このハトは勘弁してよ」

アムロ「やれやれ…。マッケンジーさんの名前はニールのはずだ。あれ、ニーヌだったかな」
ドモン「伝書鳩好きの演歌歌手かよ!確かにハトたくさん飼ってるけどさ」

306 名前:隣は何をする人ぞ?2投稿日:04/08/06 23:04 ID:???
 ドモン「新沼…げふんげふん、クリスの親父さんっていつも家にいるけど、もう定年なのか?」
アムロ「そこまで年はいってないが早期退職のはずだぞ。今は退職金やらを元手に投資しながら、
    あとは趣味三昧の隠居生活だな」
ドモン「じゃクリス一人で稼いでるわけじゃないんだな。安月給で大丈夫なのか不思議だったんだ」
アムロ「失礼な。うちは他のところよりも給料は良いんだぞ。お前のファイトマネーと一緒に考えるな」
ドモン「済まない…」
コウ「ねえ、それよりあのおじさんの趣味、ハト以外に何やってるか知ってる?」
アムロ「宴会芸だろ。あの人が現役だった頃、得意先とかに披露してたらしいな。
   で、その宴会芸の歌でCDデビューしたんだ。…これだ」

              ィ'ロフフフゞヽ           {二二_¨¨7
             fミリ _  _ ']ミ`、           ,へ/ ./
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    _,ノミ]ハ / X..|。.::*.+゚// `ヒ \...*  く~> ,.へ ノ ,_ ̄二]
  / iゞ_ノY人。.:x|・.'゚x。'゙//::+`ゞ  人※   _/ / `¨_ノ ノ
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ドモン「なんじゃこりゃあ!」
アムロが出したディスクのジャケット写真の中からで、ラメ入りの派手な浴衣を着た肥満した眼鏡の男が、
さわやかな笑みを浮かべてポーズをとっている。これがクリスの父親のマッケンジー氏だ。
コウ「ドモン兄さんは長期遠征に出てたから、最近のことは知らないんだね。かなり売れてるらしいよ」
ドモン「ふーん。でも、サンバだったらクリスの方にカーニバルのような格好で出てもらったらもっと売れただろうな」
アムロ「あり得る話だな。というかぜひともお願いしたいものだな」
ドモンもアムロもニヤニヤとだらしなく笑った。
コウ「サンバ……カーニバル……うはあ」
サンバのカーニバルでの女性ダンサーの格好、つまり全裸同然ともいえる半裸のクリスをリアルに想像したコウは、
ドモン「ああっ、コウの奴また想像で鼻血を!」
アムロ「これだからチェリーは!」

311 名前:隣は何をする人ぞ?3投稿日:04/08/08 18:51 ID:???
 夕食時。今日はシャクティもいて一人多いが、別に珍しい光景ではない。
ガロード「マッケンジーといえば、クリスとバーニィが二人で街に居たぜ。こうやって互いに腕組んでさ」
そういってガロードは隣のジュドーと腕を組んで見せた。このあたり悪ガキコンビの息はぴったりだ。
シロー「お前たちは2人で何をしていたんだ?」
ジュドー「あたし達も今日はデートだったのぉ♪ジャンク屋2人ではしごしてぇ~」
ジュドーは体をくねらせながらオネエ言葉で答えた。が激しく似合わない。
ガロード「うわっ、やめろよキモッ」
ジュドー「あによー、失礼しちゃうわね!レディにキモッはないでしょ」
おふざけだろうが、一瞬兄たちはジュドーの将来が心配になった。

アムロ「しかし、もうデートにアルをだしにしなくなったのだから、あの2人も順調に進展しているんだな」
アル「そうだね…」
解ってるのかいないのかアルがうなずいた。
コウ「……」
そしてアルは上の空でご飯を食べているコウに話を振った。
アル「コウ兄ちゃんはそれでいいの?」
コウ「え、何を言ってるんだい?僕が気にする訳ないじゃないか。ハハハ…」
コウは平静を装って答えたが、視線は泳いでいるし、口調は弱いし、笑い声は乾いているし、
何よりも、食卓の上をうろついていた右手の箸が、普段なら避ける人参のソテーに突き刺さっている。
ヒイロ「…ターゲット、戦力低下中。反撃の確率低下」
ウッソ「家もお隣で、小学校からの幼なじみでそれなりに仲も良くて、おまけに二人ともガンダムマニア。
    絶好のポジションなのに生かせないなんておかしいですよ」
ロラン「ウッソも、それを言える立場じゃないでしょ」
ウッソ「え……? ……」
ウッソはロランの言う意味が最初わからなかったが、横からの刺すような視線で理解した。
横にいるシャクティだって、畑仕事が共通の趣味の隣に住む彼と仲の良い幼なじみなのだ。
アル「バーニィは好きだけどコウ兄ちゃんも好きだから、クリスのこと先に好きだって言ってたら、
   応援したのに。コウ兄ちゃんはいつも遅過ぎるんだ」
哀れコウ、鼻血の醜態で落ち込んでいた上に末っ子に厳しい注文を受けて、さらにヘコんでしまった。
アムロ「アル、もう良い。そこまでだ。大人の事情もあるんだから、あまり言い過ぎるのは良くないぞ」

その後、コウは百戦錬磨(?)のアムロ兄さんの恋愛講座を受けたのだが、効果のほどはまだ不明だ。
ちなみに。
シローも恋愛論の教授に現れたが、成功例と称したアイナとのノロケ話を一晩中聞かされただけだった。

(おわり)


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最終更新:2018年12月11日 13:37