744 名前:ガンダムさんちの師走の景色・後1/3 :2010/12/10(金) 10:25:13 ID:???
Pガーベラ「まったく…何故私がこんな真似を…」ブツブツ
 フライングベースに乗るモビルシチズンが空へと舞い上がる。
キャプテン「すまない、ゼロもディードもラクロア城の飾り付けに忙しいらしい」
コマンダー「MSでも枝を傷つけずに手を伸ばすのは不可能な高さだからな。
      無反動推進で空を飛ぶ君にしか頼めんのだ」
Pガーベラ「ふん! …まぁ、私にしかできぬと言うなら仕方がない」
 不本意そうな物言いではあるが、実に丁寧なマニピュレーター捌きで
 もみの木の頂点に大きな星飾りを据え付ける。
Pガーベラ「どうだ」
キャプテン「完璧だ。 こちらの指定から1mmとずれていない」ピピピピピ
コマンダー「さすがプロフェッサー・ガーベラ」
Pガーベラ「ふ、ふん! これしきのこと、私にとっては朝飯前だ。
      …ついでだ。 次のオーナメントを寄越せ」

ルー「きゅきゅきゅのきゅーっと。 よし、キレイキレイ」
エル「マリーダー、次行くよ~」「は~い!」
ビーチャ「しっかし…クリスマスの飾りまでハロにするかね、普通…」
ルー「いいじゃない、かわいいんだから」
ビーチャ「うわ、光った!」
ルー「ソーラーセルとLEDが仕込んであるんだってさ」
ビーチャ「これも電飾なの!?」
エル「だからちゃんと磨かないといけないのよ。
   ほぉら、ぶつくさ言ってないで手を動かす!」
ビーチャ「へいへい」キュッキュッ

ガロード「おし、こっちはこんなもんかな。 ジュドー! そっちはどうだー?」
 LEDを仕込んだチューブを枝の間に張り巡らせて、針金で固定する。
ジュドー「接続は全部終わった! テスト始める?」
 電源とリレー装置を兼ねたボックスにチューブを繋ぎ、目立たない枝の上に据え付ける。
ガロード「おう!そっちは任せるぜぃ! 俺ぁこのあと竈も見ないと…」
 耐熱煉瓦が積み上げてある一角を見るガロード。
 パーラとキッドが図面を広げ、額を寄せ合って何やら話し込んでいた。


745 名前:ガンダムさんちの師走の景色・後2/3 :2010/12/10(金) 10:26:31 ID:???
ファ「みんなー! お茶が入ったわよー!」
フォウ「休憩にしましょう」
ロラン「あ! ごめん、ファ。 お客さんに任せちゃって」
ファ「いいのいいの。 勝手知ったるってやつよ」
ソシエ「む…」
キエル「(あらあら…)」
フォウ「クリスさんからスコーンの差し入れがあったから、紅茶にしたの」
クリス「いっぱい作ったから、遠慮しないで食べてね」
ジュドー「ふはははは!欠片一つ残さず平らげさせていただきますとも!」
ガロード「あ!テメ、フライングは卑怯だぞ!」
カミーユ「がっつくな、みっともない…」
ロザミィ「ムググ…」ドンドン
ファ「ああ、もう早速…ほら、熱いから気をつけて」

キエル「あら、ちょうど良かったですわね」
ロラン「はい?」
キエル「今日お邪魔した理由です。 ソシエ?」
ソシエ「う…」
 ためらうソシエの肩を、キエルの肩が小さく押す。
ロラン「どうかしたんですか?ソシエお嬢様」
ソシエ「その…えっと…これ!」
 言って、ソシエは肩に掛けていた小さいポーチをロランに差し出す。
ロラン「?」
 受け取り、開いてみるとさらに紙ナプキンの包みが入っている。
 取り出してみると、手のひらに乗るくらいの大きさで、強く押すと潰れそうな弾力がある。
キエル「ソシエさん」ホラホラ
ソシエ「プディング…作ったの」
ロラン「えっ? ソシエお嬢様が?」
ソシエ「なっ、何よ! 私がお料理したら変だって言うの!?」
ロラン「いいっ!? そ、そんなこと言ってませんよ!」
ソシエ「嘘っ! 絶対変だって思ってる!」
キエル「ソシエ」
 迷走しそうな会話を、キエルが引き止める。
ソシエ「う」
キエル「とりあえず、味見をしてあげてもらえないかしら?」
ロラン「僕が、ですか?」
キエル「ええ」
 言われたロランが視線で問うと、ソシエは顔を真っ赤にして頷いた。
ロラン「えっと…それでは…」
 包みを解くと、ブランデーの香りが立ち上る。
 クリスマス用のプディングを、1cmほどの厚みで切ったものらしい。
 ロランはまず小さく千切って口に含み、そうして二口、三口と噛り付く。
ソシエ「………」
キエル「いかが?」
ロラン「そうですね、個人的にはちょっとブランデーが効きすぎてる気がしますけど、
    悪くないんじゃないですか?」
ソシエ「嘘」

746 名前:ガンダムさんちの師走の景色・後3/3 :2010/12/10(金) 10:27:47 ID:???
ロラン「嘘じゃないですよ」
ソシエ「だって! ぼそぼそしてるし、変な味がするし!
    ジェシカのとぜんぜん違うんだもん!」
ロラン「それは当然ですよ。 これ、作ったばっかりなんですよね?」
ソシエ「えっ?」
ロラン「クリスマス・プディングって、作ってからクリスマスまで置いて、
    熟成させるものなんですけど…ご存知なかったんですか?」
ソシエ「!」
 言われて、女中のジェシカが秋口にプディングの用意をしていたことを思い出すソシエ。
ロラン「クリスマスまで置いておくと、ずっと美味しくなりますよ、これ」ニッコリ
ソシエ「ほんと?」
ロラン「ええ。 僕が保証します!」
キエル「納得できたかしら?」
ソシエ「お姉さま…」
キエル「ロラン、聞いてくれる? ソシエったら、私が幾ら言っても失敗だー!
    作り直しだー!って聞かないんですよ?」
ソシエ「お姉さま!」
キエル「お母様にもジェシカにも迷惑をかけて…本当に、
    こんなことでちゃんとお嫁に行けるのかしら…心配だわ」タメイキ
ソシエ「わ、私は社会に出て、バリバリ働く女になるの!
    お嫁になんて行かないんだから!」
キエル「まぁ。 以前は『およめさんになるー』って言ってたのに」
ソシエ「それは小っちゃい時の話でしょー!」
ステラ「ステラ、シンのお嫁さんになるー!」
シン「ちょ」
ステラ「ソシエもシンのお嫁さん?」
ソシエ「違います!」
グエン「そう! ローラは私のお嫁s」
アムロ「キャプテン」
キャプテン「了解! 直ちに変態を排除します!」
ソシエ「もう! ロランのばかー!」
ロラン「ええっ!?」

クリス「ああああ、やっぱりただの大騒ぎに…」
キエル?「にぎやかで宜しいではないですか」
クリス「え? あれ? キエルさん?」アッチニ…
キエル?「ふむ。 やはりこちらで飲むお茶は味わいがちがいますね」
マリナ「スコーンおいしーですー♪」


おわり

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最終更新:2014年12月15日 21:20