498 名前:通常の名無しさんの3倍 :2013/11/25(月) 21:40:47.87 ID:???
学生合同お月見の開始前。一足早く到着してしまったウッソは会場近くの森の中をぶらついていた。
ウッソ「あれ、ハサウェイ?」
ハサウェイ「ウッソ。君も来てたのか」
ウッソ「うん。ハサウェイは一人なの?」
ハサウェイ「父さんたちと来たよ。ちょっと一人でいたくなっただけ。ウッソは?」
ウッソ「シャクティに誘われてさ。みんな集まるまで、ちょっとぶらついてたんだ」
ハサウェイ「ふーん。それにしても、見事な月だよね」
木々の間から月が見えた。月から漏れ出る光が草木と交わり、神秘的な光景を作り出していた。
ウッソ「これも自然っていうんだろうね。人工物のない景色を見ると、なんだか落ち着くよ」
ハサウェイ「大気汚染で、いずれこの月も見えなくなるのかな…」
ウッソ「大丈夫。人はそこまで愚かじゃない…きっと」
ハサウェイ「ウッソは人を信じてるんだ」
ウッソ「ハサウェイは信じてないの?」
ハサウェイ「え、と――」
ケネス「よう、ハサ」
ギギ「こんばんは。いい月ね」
ハサウェイ「ケネス! ギギ! どうしてここに…」
ケネス「月見さ。それとケネス『さん』とギギ『さん』だろ。年上への言葉遣いはきちんとしないとな?」
ハサウェイ「…すみません。ケネスさん。ギギさん」
499 名前:通常の名無しさんの3倍 :2013/11/25(月) 21:43:45.28 ID:???
ウッソ「ハサウェイの知り合い?」
ハサウェイ「うん。ちょっと前に偽マフティーが宇宙船をジャックしようとした事件があったでしょ
その時に居合わせた人たちなんだよ」
ケネス「ケネス・スレッグだ」
ギギ「ギギ・アンダルシアよ。よろしく、坊や」
ウッソ(坊やって…)「
ウッソ・エヴィン・ガンダムです。…よろしくお願いします」
ケネス「ガンダム…ってことは、シローの弟か?」
ウッソ「兄をご存じなんですか」
ケネス「直接会ったことは数えるくらいしかないけどな。うちの部署でも有名だよ
打倒キンケドゥに燃える熱血刑事ってな」
ウッソ「警察の方なんですか」
ケネス「ああ。今は公安と協力して、テロ対策なんかやってるけどな」
ウッソ「テロ…」
ケネス「平和っつっても、なくならないもんはなくならない。…腐敗や不正も、それに対する反発もな」
ハサウェイ「そういえば、レーン…さんは?」
ケネス「レーンは別口だ。うっせえ連中同士集まって、月を肴にバカ騒ぎするんだとさ」
ハサウェイ「ケネスさんは参加しないんですか」
ケネス「月ってのは静かに見るもんだ。そうだろ?」
シャクティ「ウッソ! みんな来たわよ!」
ウッソ「シャクティだ。ハサウェイ、一緒に来る?」
ハサウェイ「あ…ごめん。僕はもう少しこの人達と話してるよ。久々に会ったからさ」
ウッソ「わかった。それじゃ、僕はこれで」
ケネス「気をつけろよ」
ウッソ「はい。ありがとうございます」
500 名前:通常の名無しさんの3倍 :2013/11/25(月) 21:44:37.20 ID:???
ウッソがいなくなったことを確認してハサウェイは"着替え"をするために林の中へ。
数分後、ケネスたちのもとに戻ってきた。
マフティー「待たせたな」
ギギ「あんがい簡単に成長できるのね」
マフティー「着替えみたいなものだよ。…それで、いったい何の用だ」
ケネス「さっき言ったろ。月見さ」
マフティー「なに?」
ギギ「三人で一緒に月を見るの。素敵だと思わない?」
マフティー「テロリストと警官が、一緒に月見か」
ケネス「今日は非番だからな。お前も今日はテロ活動する気はないだろ? それなら今は、ただの仲良し三人組だ」
マフティー「仲良し三人組」
ギギ「いいね、その言い方」
ケネス「お前のためにとっておきの酒も持ってきたんだ。少しくらい付き合えよ」
マフティー「ギギがいるんだぞ」
ギギ「お酒くらい飲んだことあるわ」
ケネス「…だってよ。たまには悪事に加担するのも悪くない」
マフティー「そんなことを言う警官。聞いたことがないな」
ケネス「奇遇だな、俺もだ。あと、警官と一緒に月見するテロリストってのも聞いたことないぜ」
マフティー「ふっ…それもそうか」
この秘密の月見は彼ら以外の誰にも知られることはなく、ひそかに、しかし大いに盛り上がったのだった。
帰りが遅くなった上に酒を飲んだハサウェイが父母から猛烈に叱られたのは、また別の話。
最終更新:2014年12月17日 21:37