589 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/05/24(火) 15:25:52.41 ID:???
「モニクさん、何をなさっているんですか?」
「掃除をしていたら見つけてな。どうだ?」

そう言いながら自らの制服姿を見せつけるキャディラック。
弟たちの学友のようなセーラー服ではなかったが、彼女にはまだ似合っているように思えた。

「似合ってますよ。僕も探してきましょうかね」
「エルヴィン姿のマイ……くくっ、予想がつく」
「まだまだ子供っぽいって事ですか?」

笑われ、思わず反発する。
言ってから思う。こういう所も子供っぽいのだろうな。
彼女はまだくすくす笑ったままこちらを見た。

「若々しい。それでは不服か?」
「この歳で若い、といわれてはいい気はしません。若造、という事ですから」
「そうか。私なら嬉しいが…男とはややこしいな。エルヴィンもそうだ。
    いつまでも子供あつかいはやめて、と。カスペン大佐や艦長はどうかな?」
「年を重ねれば喜びにかわりますよ。そこは女性も男性も一緒です」
「確かに若さに固執する者もいるわね」

そうですね。相槌をうちながら制服を探す。
どうしても見つからなかったので、ロランに訪ねると「あそこにしまってありますよ」
流石は主夫だ。「きちんと洗ってますから、着られますよ」抜かりない。
数年ぶりに制服に袖を通す。思ったよりきつくはない。


「それが制服か。似合ってるじゃないか」
「またそういう事を言う……」
「フフッ。……学生時代には惚れた女の一人もいなかったのか?」
「………いましたよ」
「そうか。意外だな」

キャディラックは少々顔に嫉妬に似た表情を出したが、彼はそれに気づかない。
惚れた女…学生時代の教授の娘――

「彼女は開発部に、僕は技術評価部に進んだのであれ以来会っていないですね。
   彼女はこう言っていました」

今でもはっきりと思い出せる。
『技術が未来への扉だとしたら、評価はその扉を開く鍵』

「僕は今でも彼女のこの言葉を覚えています。僕の原動力なんです。
   そして、僕は今でもその扉の先に何があるのかを探しているんですよ」
「……妬けるな」
「えっ?」
「なんでもない…それより、開けてほしい扉があるのだが?」
「何でしょうか?」
「私という扉だ」



モニク「みたいな……」
エルヴィン「そんな言い回しじゃ気付いてくれませんって」
モニク「ですよねー」

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最終更新:2015年03月15日 21:28