昨年のミスカントリーサイドの栄冠にも輝き
新聞部で行った学園女子生徒、好感度調査でも常に上位をキープしている私、セシリー=フェアチャイルドは
6時限目終了のチャイムが鳴ると同時に、猛ダッシュで工科のクラスへと向かった。
「シ、シーブックは居るかしら?」
「オ、オイ!エリシャさん居るかよ?」
私は隣りの男子生徒とハモってしまった。コイツも急いでこの教室に来たらしく、息を切らしている。
「シーブックなら女子と一緒に工科準備室へプロジェクター片付けに行ったぜ。なぁ?日直のあの子の名前…」
「エリシャ=クランスキーだろ?」
「ありがとう、ジョージ。そうそう、シーブックとエリシャだよ。二人して行ったぜ」
工科生徒でシーブックがいつもツルんでる友達。
アーサー=ユングと、ジョージ=アズマがシーブックの行方を答えた。
工科準備室?…エリシャ?って…今朝、涌いて出て、私のことを邪魔したザコキャラの名前でしょ?
「え?…そ、そ~なの…」
「マジかよ!?嘘だろ?」
又、この男子とハモってしまった。
そういえばコイツは…朝、下駄箱の前であのザコキャラと一緒だったような?
しかし、今回はヤラレた……。この私を出し抜くなんて。あのザコキャラ、なかなか根性あるじゃない?
私の完璧な世界にちょっかいをかけるなんて…。身の程を知れって感じ!!
ま、いいわ。今は落ち着くのよ…。冷静になるの…。『急いては事を仕損じる』ってね。
お爺様に学んだロナ家の帝王学をここでも活かすのよ。セシリー=フェアチャイルド。
貴方は今までもそうやって切り抜けてきたし、これからもそう…誰にも私の常勝無敗伝説は崩させやしない。
今は落ちついて、この劣勢をなんとか挽回する手立て。それを考えなきゃ…。
さっきから私の横で突っ立ってるこの男子。今は放心状態だけど…。
「あの、貴方は?」
「……え?俺?…俺はその、エリシャさんとは同じ園芸部で…」
「エリシャさんとはお友達?」
「そうだ。それ、友達だよ」
「工科準備室の場所。分る?」
「え?…大体は…分ると思うけど…」
使える!コイツに案内させて現場を押さえるのよ。ザコキャラなんかに抜け駆けさせない。
ゲームの勝者は常に私。最後に勝つのは私なんだから!!
「君、準備室。行くわよ!」
「お、おぅ…」
最終更新:2018年12月03日 12:03