822 名前:プロジェクトV 後編1/4 :2012/02/14(火) 12:50:03.80 ID:???
モレノ『えー、そろそろ行き渡ったかな?
    では、改めて説明させてもらおう。
    先ほども言ったとおり、諸君の手元にあるホットチョコには、
    砂糖が加えられていない。
    そのため、かなり苦味が強いはずだ。
    出来ればその苦味を確認しておいて欲しいが、まぁ、無理にとは言わん。

    さて、ここで一つ、ある記録映像を見てもらう。
    それにより、諸君に何らかの反応が起こるはずだ。
    その反応をより顕著に判らせるのがそのホットチョコと言う次第だ。
    それでは、正面のスクリーンか、手元のモニターに注目してくれ。
    ミレイナ、頼む』
ミレイナ「はいですぅ」ピピピッ


ティファ「ガロード」
ガロード「ティファあ? あれ? 部活は?」
ティファ「今日はお休み。 皆、用事があるって」
ガロード「ふーん…あ、美術部って女の子ばっかりだもんな」
ティファ「うん。 今日は、特別な日だから…」
ガロード「う…うん、そうだな」ソワソワ
ティファ「だから、私も、ガロードに渡したくて…」っ□
ガロード「えっと、これは…チョコ?」
ティファ「うん。 私が作ったから、美味しいかわからないけど…」
ガロード「(ティファの手作りティファの手作りティファの手作りティファの手作り…)」ジーン
ティファ「もう…大げさなんだから」
ガロード「ハッ! いやいやいや! そんだけ嬉しいって事だから!
     って、えーっと…」
 残念な事に少年の両手は、さまざまなジャンクパーツを抱えて塞がっている。
 とっさに辺りを見回すが、極めて繊細な電子部品も混じっている事もあって、
 すぐに下ろせそうな場所が無い。
ガロード「じゃ、じゃあ、こっちのポケットにでも…」
ティファ「………」
ガロード「ティファ?」
 ガロードの呼びかけに、何かを決意したティファが顔を上げる。
ガロード「へ?」
 ぺりっ! がさがさ…

823 名前:プロジェクトV 後編2/4 :2012/02/14(火) 12:51:13.85 ID:???
ガロード「ええ?」
 突然、丁寧に包装された包みを解き始めるティファ。
 そのまま、真っ白な箱を開くと、そこには整然とトリュフチョコが並んでいる。
ガロード「おおおお…」
 感嘆の声を上げるガロードの前で、ティファはおもむろにそのうちの一つをつまみ上げた。
ティファ「はい」
ガロード「へっ?」
ティファ「あ…あーん」(////)
ガロード「いいいいいいっ!!」
 突然の成り行きに狼狽するガロード。
ティファ「あーん」(////)
 そして、ガロードの口元にチョコを差し出すティファ。
ガロード「………」ゴッキュン
 右を見る。
 人影、無し。
 左を見る。
 やはり人影、無し。
 後方確認、クリアー。
 冬の川岸と言うこともあり、周囲に人影はまるでない。

 だが――――――
ですぅアーミー「…………」ジーーーーーーー…
 実はこの時、程近い茂みの影に、巨体故の巧妙な偽装で隠れるものがあっのだ。
 そして、無生物であるですぅアーミーは、ティファの能力でもそれを知覚する事はできなかった。

ティファ「………」(////)
 元々は真っ白のティファの肌は、今やマシュマーが大事にしているバラの花弁よりも真っ赤である。
ガロード「あ…あーん」(////)
 意を決したガロードは、万個の勇を以って、口を開いた。
 ティファの、不安を残した面が綻び、極上の笑みが彩る。
ティファ「……」
 繊細な指が、そっと少年の口にチョコを運ぶ。
ガロード「………」
 舌先に感じたほのかな甘みに、少年は少女の指を噛んでしまわぬよう、
 ゆっくりと口を閉じた。
ティファ「………どう……かな?」
ガロード「―――――――――」
ティファ「ガロード?」
ガロード「――――ンまいっ!」
ティファ「あ…」
ガロード「すっっっっげー美味いよ、ティファ!」
ティファ「よかった…」
ガロード「もう一個! もう一個ちょうだい!」
ティファ「はい」
ガロード「あーーーん」

824 名前:プロジェクトV 後編3/4 :2012/02/14(火) 12:52:51.58 ID:???


一同「「「「「「「だーーーーーーーっ!」」」」」」」
 会議室の中に、悲鳴のような声が轟いた。
ソーマ「………」(////)
ハレルヤ「なんっっじゃこりゃーーーー!」
アニュー「うわー、うわー」(////)
クリス「くっ…あ、あの二人の破壊力がこれほどとは…」
ニール「いやはや…なんとも」

ミン「あー、なんと言いますか…」
セルゲイ「うむうむ。 これも若さだな…」
 のた打ち回る若者たちの中で、苦笑で済んでいるのは人生の経験値の差か。
 ロシアの荒熊と呼ばれた男は、程よい温度になったホットチョコを一口啜る。
セルゲイ「むっ?」
ミン「どうしました、店長?」
セルゲイ「いや…」
 不思議そうな面持ちで、もう一口。
セルゲイ「…甘い?」
ミン「は?」
セルゲイ「君のはどうか?」
ミン「自分の…このチョコですか? …えっ?」
 思わぬ味に、目を見張る。
セルゲイ「お前たちはどうだ?」
荒熊店員A「うわっ! ほんとだ、甘い!」
荒熊店員B「マジっすか?」
荒熊店員C「俺もだ!」

クリス「うそ…」
イアン「わはははは、ホントに甘いな!」
ライル「いやいやいや、これは無いだろ!」
スメラギ「…フェルトは、驚いてないのね?」
フェルト「うん…初めてじゃ、ないから…」
ニール「ああ、仲いいもんなぁ、お前ら」

ティエリア「ふむ…実に興味深い現象だな」
 冷徹鋭利な表情を崩さず、しかし、一口一口をかみ締めるようにカップを傾けるティエリア。
刹那「………ガンダムだ


825 名前:プロジェクトV 後編4/4 :2012/02/14(火) 12:54:27.60 ID:???
モレノ「どうやら、全員で確認できたようだな」
ミレイナ「すごいです! 恋するパワーは無限ですぅ!!」
モレノ「ふむ…相変わらず糖分は検出されず…
    人体にのみ作用するのはテクスのレポート通りか」

荒熊店員D「ドクター!」
モレノ『ん? 何かな?』
荒熊店員E「もう“お茶請け”は終わりですか?」
 ざわ…
クリス「ゆ、勇者がいる…」
アニュー「あ、でも、私もちょっと、見てみたい…かも?」
ライル「えっと、アニューさん?」

モレノ『ほう…』
 にやり、と、一種の凄みすら感じさせる笑みを浮かべるベテラン医師。
 かつては「国境のない医師団」を率い、戦場を転々としたと言うのも頷ける。
モレノ『とりあえずは今のが最新のサンプルではある』

セルゲイ「最新…と言うことは…」

モレノ『ミレイナァ!』
ミレイナ「はいですぅ! ヴェーダにアクセス!
     ライブラリー全放出ですぅ!!」ピピピピピピピピ
イアン「ちょっとまてミレイナ! お前、いつの間にそんなもの!」
ティエリア「と言うか、なんだそれは! 僕はそんなデータ知らないぞ!」
イアン「モォレェノォオオー! 貴様、人の娘に何をやらせとるかー!!」
モレノ『わーっはっはっはー!
    医学の発展の為ならば、悪魔とだって取引してやるわーーー!!』
リンダ「あらあら、相変わらず仲良しさん♪」
刹那「………」ズズズー…


 狂乱は、その日深夜まで及んだという。

 どっとはらい。

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最終更新:2015年06月02日 07:00