ここ一週間、アムロは一度も帰宅していなかった。
ロランが小耳に挟んだ情報によると、どうやらラーカイラム社にモビルシチズンの大量受注があったらしい。
工場は休み無くフル回転でモビルシチズンの製造を行っているそうで、あまりの忙しさに管理職であるある
アムロも工場に出張って、注文の中にあるワンオフ機の開発を行っているとのことだった。
「ガンイーグルはいい機体になりそうだ」
 心配したロランが工場に電話をした際、アムロは嬉しそうにそう言った。もともと技術畑の人間だから、
事務仕事よりも性に合っているのだろう。声からして普段のものよりも明るかった。
「無理はしないで下さいね」
 ロランが心配して言った。アムロのことだから食事もろくにとらず、仕事に没頭しているのは容易に想像
出来た。チェーンがいるから身の回りの世話をしてもらっているとは思うが……着替えを持っていかないと
いけないかな、とロランは思う。きっと油まみれの汗臭い作業着を着ていても、アムロ自身は一切気にしてい
ないのだろうなぁ……。
 わかってるよ、と電話の向こうのアムロは言っている。そう答えはするものの、実際は全然わかっていない
なんてことが、アムロにはよくある。今までの経験則でロランはそう理解していた。
 それだから(明日にでも着替えを持っていこう。ついでに食事も……)と、ロランは決心した。
「ところで、どこが大量にモビルシチズンを発注してるんです? 遊園地かどこかですか?」
 ふと気になってロランは質問する。すると「よく知らない」とのアムロの返答。社の重要人物であるアムロ
も知らないなんて……とロランは訝しむ。
「どこかヤバところでしょうか?」
「いや、ホントに知らないんだよ。ブライトが一切を管理してるからね」
 口調からするとアムロは何も知らないみたいだった。もっともどこか興味の無さそうな口ぶりではあった。
目の前のガンイーグルなるモビルシチズンを作っていれば満足、といった感じなのであった。
 そうですか……。残念そうにロランは呟く。新しい遊園地が出来るなら、アルやシュウトに教えてあげたか
ったな、と残念に思った。
「ただ……」ふと発せられたアムロの言葉に、ロランは「ただ?」と訊ねる。
「マーキングに”SDG”ってあるんだけど、なんだろうね?」
 なんだろうね、と問われても……。困惑するロランだが、そういう組織なのかも知れない、とすぐに思った。
おそらく世界の裏側にありそうな……もしかしたらギンガナムなら知っているかもしれない。受話器を置くの
と同時に、ロランは結論に至った。
 よし、明日のキラの朝食に自白剤を入れておこう。ロランは強く
拳を握った。


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最終更新:2019年01月22日 15:31