722 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/09/24(月) 03:21:21.30 ID:???
――とある日
妊婦「う、生まれる~……」
アセム「が、頑張って!」
ゼハート「もうすぐ救急車が来ます!」
シロー「アセムじゃないか?どうしたんだ」
アセム「シロー兄さん!?」
シロー「その女性は……わかった!任せろ!サンダース、サイレンだ!!」
サンダース「了解です、隊長!!」
ファンファンファンファン
――帰りの電車にて
アセム「シロー兄さんがパトロールで偶々通りかかって良かったよ」
ゼハート「女性をみた途端、躊躇わずにパトモビで運んでくれるなんてな」
アセム「兄さんはそういう人だからさ」
ゼハート「ふっ…お前の兄らしい」
デシル「おい爺、俺が早かったろうが!座るのは俺だ!お前は立ってろ!」
ゼハート「 」
アセム「なんて人だ……お爺さん、俺の席に座ってください」
ゼハート「い、いや、こ、こ、こ、ここは私が席を譲ろう」
アセム「いや、俺が」
ゼハート「頼む!俺に譲らせてくれ!アセム!!」
アセム「わ、わかったよ……」
爺さん「二人ともすまんのぅ…」
ゼハート「い、いえ!(兄の罪は私が贖わなくてはっ!!)」
アセム(ゼハート……なんて立派なヤツなんだ!)
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――また別の日
ゼハート「アセム、お前何を弄ってるんだ?」
アセム「ああコレ?ハロだよ」
ゼハート「ハロ?確か地球圏のペットロボットだったな」
アセム「俺のハロはそこらのハロとは少し違うぜ?何せ製造ナンバー一桁だからさ!」
ゼハート「確かにそれは凄いかも知れないが……お前の歳でペットロボットというのもどうなんだ?」
アセム「いいんだよ、これはアムロ兄さんが誕生日にくれたんだ」
ゼハート「あ……スマン」
アセム「いいって。悪気ないのは分かってるし」
――帰宅後
ゼハート「あの……デシル兄さん」
デシル「あーん?なんだよ?」
ゼハート「兄さんはコールドスリープしてたから気づかなかったかも知れないですが
先月私は誕生日を迎えました」
デシル「ふーん。あそ」
ゼハート「………」
デシル「あ、ならこれやるよ。アイスの当たり棒」
ゼハート「くっ…!」
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723 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/09/24(月) 03:23:32.87 ID:???
――あくる日
不良A「おらっ!もう俺達に刃向かおうなんてすんじゃねーぞ」
アセム「何が刃向かうだ。お前達が恐喝なんてしてるから悪いんだろ!!」
不良「あんだと!!」
ゼハート「アセム!!」
不良B「たった二人で俺達に喧嘩売るなんざ、いい度胸だな。次からはこの街で歩けないようにみっちり教育してやるぜ!!」
アセム「ぐはっ」
ゼハート「アセム!!くっ離せ!!」
不良A「テメエは自分のこと心配しな!!」
ゼハート「ぐはっ…!」
不良C「あひゃひゃひゃ!!」
ドモン「待て!!」
アセム「ド、ドモン兄さん……」
ドモン「貴様らぁ…」
不良C「お、おいコイツ、キングオブハートのドモン=カッシュじゃねえか?!」
不良D「や、ヤベェ…俺達トンでもねえヤツに手出しちまった……」
不良E「け、けどよ、ガンダムファイターが素人殴っちゃ不味いんじゃねぇの……へへっ……」
ドモン「確かに不味い……だが、そんなものはぁ、関係ない!!」
アセム「待って!ドモン兄さん!!」
ドモン「アセム!」
アセム「ドモン兄さんは手を出さないで。俺が一対一でやる。それならただの喧嘩だ」
ゼハート「アセム、その身体で……お兄さんもとめてくれ」
ドモン「いや、いいだろうアセム。それでこそ俺の弟だ!
だがもしアセムとのタイマンを邪魔するようなヤツがいたら……わかってるな?」
不良A「ひっ…」
不良B「び、びびんなよ。半死人の相手にタイマンで俺が負けるかってんだ」
アセム「それは俺の台詞だ。一対一ならお前なんかに負けるもんかぁぁぁぁぁ!!!」
アセム「ゴメン、ドモン兄さん」
ドモン「何言ってるんだ。お前はちゃんとアイツらを叩きのめしたじゃないか。流石オレの弟だ」
アセム「でもこうやってドモン兄さんの背中を借りてちゃ、締まらないよ」
ゼハート「そんな事はない。アセム、お前は立派だ。それにお前を信じてくれたお兄さんも、素晴らしいと思う」
ドモン「ふっ…俺も師匠や兄さん達にこうやって育てられたからな」
デシル「ねえ、ちょっと金貸してくんね?」
少年「え…あの……」
デシル「ちゃんと返すからさぁ……俺困ってるんだよ」
少年「う……」
デシル「な?ちょっと跳ねてみ?人助けだと思って!!」
ゼハート「 」
724 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/09/24(月) 03:24:43.26 ID:???
ドモン「全く!どいつもこいつも!!ゼハートと言ったな、アセムを頼む。俺はアイツをちょっと更正させてくる!!」
ゼハート「ま、待って下さい!!」
アセム「ゼハート?」
ゼハート「こ、ここは私に任せて下さい!!」
ドモン「しかしお前だって怪我してるぞ?」
ゼハート「せ、説得!まず説得します!!暴力に頼るのはその後です!!!」
ドモン「む……確かにそれが武の真髄という話を師匠やシュバルツから聞いたことがあるが……」
ゼハート「アセムとお兄さんはここで待っていて下さい!!絶対に動かないで!!!」
ドモン「何故だ?」
ゼハート「そ、それはですね……えっと、そう、ドモンさんのような有名人が出て行くと相手を刺激して話し合いにならないかも知れない!!」
アセム「なるほどなぁ……ゼハートは凄いな」
デシル「ちゃんと返すからよぉ……な?」
ゼハート「兄さん!!」
デシル「んぁ? お、ゼハートじゃねえか……って、おい、掴むなよ!!」
ゼハート「貴方はこんな所で何をやってるんです!!」
デシル「金無くなったから借りてるんだろ!!」
ゼハート「お金なら私が出します。だからこの場は去って下さい」
デシル「マジでか?ラッキー」
ゼハート「ちょっと待て!この少年に謝ってからだ」
デシル「あ?なんでだよ」
ゼハート「謝れ。いいから謝れ。でなきゃ殺す」
デシル「わ、わかったよ……」
ドモン「ほぅ、あいつホントに説得したぞ。大したもんだ」
アセム「ゼハートはいつも俺の上を行くんだ……」
ドモン「ふっ…ライバルか。負けるなよ、アセム」
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――また別の日、アセムの部屋にて
ゼハート「いそげアセム!プチモビの完成は今日までにしないとまずい!!」
アセム「分かってるよ!!確かにこの辺にパーツがある筈なんだ!!」
ゼハート「本当だろうな!」
アセム「た、多分」
ゼハート「おい!」
アセム「し、仕方ないだろ!十日前の事なんだぞ!!」
マイ「騒がしいですよ、アセム」
アセム「あ、ゴメン兄さん」
マイ「どうかしたんですか?」
ゼハート「実はかくかくしかじかで」
マイ「ふーむ……十日前……ちょっと待ってて下さい」
アセム「兄さん?」
ゼハート「いいから手を動かせアセム!」
マイ「アセム、確か十日前でしたね?」
アセム「そうだけど」
マイ「私の観察日記よると、その日はアセムはクラブの部室に泊まって家に帰ってないですよ?」
アセム「え?」
マイ「ここに部品がある可能性は低いのでは?」
ゼハート「ア~セ~ム~~!!」
アセム「あ、あはは……よし、時間がない!部室に戻ろう!!」
ゼハート「お兄さんの日記は確かなんだろうな!」
アセム「それは間違いないって!」
ゼハート「……お前のお兄さんはきっちりしているんだな」
725 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/09/24(月) 03:25:44.18 ID:???
――後日
ゼハート「兄さん、私が兄さんに貸した"ドキッ☆水着だらけのエデン運動会"のBDを返して下さい」
デシル「あ?んなの借りてねー」
ゼハート「何言ってるんですか!二週間前に私の部屋から持っていってそれっきりでしょう!!」
デシル「記憶にねーな。ゼハート、お前兄貴に言いがかりつけてんじゃねーぞ!!」
ゼハート「言いがかりなどではない!!」
デシル「んだとぉ!このムッツリ野郎が!!」
ゼハート「な、なんだと!!」
デシル「そーか、そーか、そんなにアレが見たいのか。ならお前の部下に買ってきて貰おうぜ!」
ゼハート「き…キサマ……」
デシル「親愛なるゼハート様の為だって言や、ダッシュだろ、ダッシュ。えーと携帯の番号は……」
ゼハート「や、やめろぉぉぉぉぉぉおぉぉぉーーーーーーーーーー!!!」
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――ある日曜日
ゼハート「デシル兄さん、そこどいて下さい。掃除しますから」
デシル「あー…」
ゼハート「くっ……休日なのに家でゴロゴロしてるだけの兄など……なぜだ……どうして私は……」
デシル「なんかテレビやってねーかな……」
ピッピッピ
TV < ワー ワー
デシル「大学ラグビーか……まぁこれでいいか。連邦大とジオン大ってどっちが強ぇんだっけ?」
ゼハート「知りませんよ……ん?」
デシル「あんだよ、止まんなよ。早く掃除しろよー」
ゼハート「アセムとロマリー……だと……!?」
デシル「んぁ?」
ゼハート「観客席に……二人で……馬鹿な…ッ!」
デシル「え?何?ゼハート君振られちゃったの?ぷぷっ……」
ゼハート「ち、違う!!ロマリーは私に好意を持っていてくれた…筈……」
デシル「自w意w識w過w剰wwwww」
ゼハート「兄さぁぁぁぁぁぁん!!」
デシル「自分は家で掃除、親友と気になるあのコはデートwwうはwww超うけるwwwww」
TV < コウ選手、タッチダウン!!
ゼハート「ハッ! あのラグビー選手は確かアセムの兄!!
そうか分かったぞ!アセムはロマリーと一緒に兄の応援をしてるだけだ!断じてデートではない!!」
デシル「いやwもうそれwwデートだろwwwwあーやべ、笑いすぎて汗ビショビショだわ。ちょっと着替えてくる……」
ゼハート(アセムの兄は大学ラグビーで汗を掻いてるというのに……)
ゼハート「わ、私は……私は……ぁぁぁぁぁ………!!!!」
726 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/09/24(月) 03:27:59.25 ID:???
コウ「よし!この分だとジオン大に勝てるぞ!!ガトーに借りを返せるんだ!!」
アセム「コウ兄さん燃えてるなぁ」
ロマリー「あのジオン大の銀髪の人がお兄さんのライバルなのね?」
アセム「うん、そうだよ。ガトーさん。ソロモンの悪夢って言われてるんだ」
ロマリー「銀髪で長髪って、ちょっとゼハートに似てるよね」
アセム「あ、あぁ……そうだね……」
アセム(ここに居るのは俺じゃないか。なんでゼハートの事なんて言うんだよ、ロマリー!!」
ゼハート「アセムゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
モンシア「なんだぁ!?」
ベイト「MSの乱入?」
バニング「む?パイロットが出てきたぞ!?」
コウ「あの仮面、まるでシャアだ!」
アベル「もしかして負けそうになったジオン大の連中の仕業ですか!?」
モンシア「汚ねぇ!ジオン大の連中汚すぎるぜ!!」
ゼハート「私は、ずっと、お前が、羨ましかったんだ、アセムゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」
モンシア「げぇ!暴れ始めやがった!!」
コウ「せ、せっかくガトーに勝てる機会がぁぁぁ!!」
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――豚箱にて
ユウ「面会だ」
アセム「ゼ、ゼハート……」
フラム「………」
ゼハート「アセム、フラム……お前達……来てくれたのか……」
アセム「当たり前だろ、ゼハート。俺達親友じゃないか」
フラム「………」
ゼハート「もうお前達だけだ……デシル兄さんは、面会にも保証人にもなってくれない。
イゼルカント様はお気に入りのキオと一緒に世界一周旅行に出掛けてしまって、連絡がつかない。
いや、私の醜態をイゼルカント様に知られずにすんだのはむしろ僥倖かも知れないが」
アセム「ゼハート、お前を思ってくれる人は他にも沢山いるんだ。悲観する事なんてない。
ここからだってすぐ出られるさ。ほら、このフラムさん?だってお前の事をこんなに心配して……」
フラム「……ドキッ☆水着だらけのエデン運動会(ボソッ」
アセム「え?」
ゼハート「デシルゥゥゥゥゥ!!!!」
<おわれ>
アセム「ゼハート、隣の芝生は青く見えるだけだって」
ゼハート「隣の芝生が何色だろうと、私の家の芝生が焼け野原なのは変わらないじゃないか……」
最終更新:2015年11月01日 23:19