890 名前:バナージの大掃除 :2013/03/19(火) 20:31:02.64 ID:???
屋根裏にて
バナージ「あと1年でようやくここを出られる……今の内に大掃除でもしておこうか」
オルバ「手伝おうか?」
バナージ「うわっ!?どこから現れたんだよ!」
シャギア「フッ、大掃除といえば大量のごみ。使えるものを引き取って直して売れば生活費になる」
オルバ「そんなチャンスを逃す筈無いよね、兄さん」
シャギア「という訳で粗大ごみでも小物でも何でも引き取ってやろう」
オルバ「勿論、お礼のご飯付きでね」
バナージ「意図を隠す気も無いのか……まあ、人手が欲しいから頼みますけど」
シャギア「さすがバナージだ。話が分かる」
オルバ「で、どこから始めるんだい?」
バナージ「うーん……」
ごちゃごちゃ
シャギア「改めて見ると、本当に物が多い部屋だ」
バナージ「シンも刹那も次の人の為に物は残しておいた方がいい、って碌に捨てずに出ましたしね。
フリット達は『これだけ人数がいればすぐ片付く』ってみんなで言ってて結局片付けなかったし……」
オルバ「ダメなパターンの両輪だね」
バナージ「でも、よくこんな所で4人が寝泊りできたよ……あの頃は賑やかで楽しかったなあ……」
オルバ「思い出に浸っていると日が暮れてしまうよ?」
バナージ「デスヨネー。とりあえず、いらない大物を出しましょうか」
シャギア「このコアスプレンダーはいらないな」
オルバ「倉庫でもない屋根裏にこんなものが置けるなんてびっくりだね、兄さん」
バナージ「コアファイター系は必要だってシンがおいていった奴ですね。僕も必要だと思いますし、残しておきましょうよ」
シャギア「ユニコーン未満の乗り物ならトロハチを持っているのに、使う日は来るのか?」
バナージ「そう言われると……無いですね。あっ、でも急いでる時は……」
オルバ「物を捨てられない人は『いつか使う』と『必要なもの』が口癖だよ」
バナージ「……捨てましょう」
シャギア「良い判断だ、バナージ・リンクス」
891 名前:バナージの大掃除 :2013/03/19(火) 20:32:04.60 ID:???
バナージ「あとは……」
シャギア「このケバブ焼き機はどうする?」
バナージ「それは取っておく。色々使えて便利だし」
オルバ「やけにオリエンタルなものがあるんだね」
バナージ「たぶん刹那の趣味ですね。絨毯だってそれっぽいし」
シャギア「この際だから変えるか?」
バナージ「いや、まだ使えるし……って引き取って高く売るつもりでしょう!?」
シャギア「そこまで読まれては仕方が無いな」
オルバ「現地で安く買った物だろうけど本物だからね。大事に使ったお陰で色も馴染んでいる。
ここだと元値が高いし、本当に惜しい品だよ」
バナージ「何を言ってもあげないからな!それより、こっちを引き取ってくださいよ」
シャギア「AGE3人組が置いていったタンスセットか」
オルバ「僕らは箸より重いものは持たないから、君が1人でトラックまで運んでくれないかな」
バナージ「持てるわけ無いでしょう!?そんなの人の腕力じゃありませんよ!
しかもそれがさっきまでコアスプレンダーを2人で運んでた人の言葉ですか!?」
オルバ「本当はノリツッコミをして欲しかったんだけどね」
シャギア「君が次のステージに上がるのはまだ先、という事か」
バナージ「何のステージ!?」
オルバ「この部屋の最初の住人のだよ」
バナージ「遠慮します!」
どすっ
バナージ「うわっ!?どっからかおもちゃのナイフが飛んできた!?」
シャギア「メモがくくり付けてあるな」
『アンタはこっち側に来いbyシン』
オルバ「期待されてるね」
バナージ「……切実で悲しいですね」
892 名前:バナージの大掃除 :2013/03/19(火) 20:33:10.54 ID:???
バナージ「大物はこれくらいですね。後は……」
シャギア「小物だな」
オルバ「僕らは触らない方がいいから、捨てるものを振り分けていってくれ」
バナージ「分かりました」
バナージ「この辺は要る」
バナージ「これはまだ使えそうだし……」
バナージ「捨てたと思ってたけど、こんなところにあったんだ。新しいのを買ったけど予備で取っておくか」
バナージ「これ、存在を忘れてたけどまた読むかもしれないしな」
オルバ「捨てないと片付かないよ?」
バナージ「分かってますよ!でも、みんな必要とされたからここに来た物なんですよ?
それを持ち主の都合で片付けって言って、簡単に突き放してしまう……
まともじゃないですよ、そんなの!」
マリーダ「まるでキャラの片付けない言い訳を聞いている様だな……」
バナージ「そんな、マリーダさんまで……って、マリーダさん!?何でここに!?」
シャギア「どうせ掃除をするから人手がいると思って呼んだのだが……
彼女が早く着いた上に君が時間を掛けすぎたせいで、こんな登場となったのだ」
マリーダ「私が手伝ってやる。シャギア、オルバ。常識的に考えて要る物を教えてくれ」
シャギア「絶対必要なのはこの辺りだね」
マリーダ「じゃあこっち側は全部捨てよう」
バナージ「え……?存在を忘れてるものばかりだし、無いと困るものじゃあないけど……」
マリーダ「なら不要だな」
バナージ「そんな事あるものか!マリーダさんだって分かるでしょう?
他人にとっては何でも無い物でも、本人にとっては大切なものだってたくさんあるって事……」
マリーダ「大切な思い出があると言いながら、お前はその思い出を忘れている」
バナージ「俺が矛盾してたって構わない。マリーダさん、
必要だって言ってくれ!」
マリーダ「必要ない」
893 名前:バナージの大掃除 :2013/03/19(火) 20:34:16.40 ID:???
オルバ「捨てる物と売る物に分け終わったよ、兄さん。後は掃除だね」
シャギア「マリーダ、君のおかげで予定より早く済みそうだ。感謝する」
マリーダ「どういたしまして」
バナージ「どなどなど~な~ど~な~♪」
シャギア「バナージ、虚ろな目で体操座りをして残った物を見るのは止めた方がいい」
マリーダ「バナージ。ハマーンが言っていた。
『物を捨てるという事は新しい思い出を詰め込める様にする事』だと」
バナージ「そうだよな……俺にはガロードより甘い最初からハッピーエンドの3分経っても終わらない長編が待っているんだ!
落ち込んでいられないよ」
オルバ「ネタが古いね、兄さん」
シャギア「そうだな、オルバよ」
マリーダ「そもそもその前にハマーンやドズルが
シャギア「マリーダ、今やる気を削ぐ事を言うのは得策ではないな」
マリーダ「了解した、済まない」
バナージ「さあ、さっさと掃除を終わらせましょう。俺、ちゃんとこれで用意してたんです」
シャギア「AGEシステムとビルダー?」
バナージ「フリット達が残してくれたんです。
片付けを始める前に掃除道具を作るようプログラムしておきましたから、そろそろ出来ている頃です」
オルバ「それは心強いね」
バナージ「可能性の獣……掃除の象徴……出ろ!」
どでーん
マリーダ「……大きいな」
オルバ「これは……MS用だね」
バナージ「そんな……あっ!サイズの変更を忘れていた!?」
シャギア「仕方ない、これは我々が引き取るから、普通の道具で掃除をするしかないな」
894 名前:バナージの大掃除 :2013/03/19(火) 20:35:01.23 ID:???
バナージ「やっと終わった……」
オルバ「なんとか日が暮れる前に終わったね」
バナージ「物を捨てた時は喪失感で満たされたけど、今はこっちの方が良いって思える。
マリーダさん、ありがとう」
マリーダ「ああ。これでミネバ様が来ても大丈夫だな」
オードリー「凄い、こんなに綺麗になって」
バナージ「噂をすれば……オードリー、来てくれたんだ」
オードリー「バナージ達が頑張ってるって聞いたから。これ、皆に差し入れ」
マリーダ「缶ジュース?」
オードリー「キャラがマリーダにって、こっそり持たせてくれた」
オルバ「気が利くね。その好意に甘えさせてもらうとしよう」
シャギア「さて、バナージ。君には私からも渡したいものがある」
バナージ「これって……お金?こんなにたくさん!?」
シャギア「最初に言っただろう?『何でも引き取ってやる』とな。
これは買い取り料だ」
バナージ「良いんですか?」
オルバ「僕達は商売に関してはフェアだからね」
マリーダ「良かったな、バナージ。これだけあれば、私やドズル閣下に壊されるユニコーンの何回かの修理代にはなる」
バナージ「はは、嫌な冗談だよ……」
シャギア「さてバナージ、そろそろ行こうか?」
バナージ「行こうか?どこへですか?」
オルバ「最初に言わなかったかな?食事だよ。勿論、君のおごりでね」
ミネバ「私やマリーダも行っていいのか?」
オルバ「当然だよ、ミネバ様」
シャギア「バナージ・リンクス、それだけ現金を持っていて、ミネバ様も陪席される。
ただでさえドズル閣下の覚えが芳しくないのに、選ぶ店を間違えたら閣下はどう思われるか……」
バナージ「言いたい事があるならはっきり言ってくださいよ!」
シャギア「前に君が買ったグルメ雑誌の付録の、高級店ガイドから選んで行ってもらおう」
オルバ「捨てる雑誌を活用するちょうど良い機会だね」
バナージ「くそっ、良い話で終わると思ったのに!」
おわり
最終更新:2015年12月29日 21:02