582 名前:通常の名無しさんの3倍 :2013/11/30(土) 13:14:30.62 ID:???
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 街が夕暮れに染まる頃、会社帰りのアムロは一軒の屋台を見つけた。
のれんを見るとどうやらラーメン屋らしい。
家族との夕食の前に軽く食べていこうとアムロはのれんをくぐった。

男A「はい、いらっしゃい」

 屋台の中の椅子ではそれぞれシンとルナマリアが座ってラーメンを食べていた。
カウンターの奥には二人組の従業員らしき男が立っているのが見える。
アムロはシンの隣の席に座ってラーメンを注文した。

シン「いただいてます」
ルナマリア「こんにちは」

 そう言うと二人はまたラーメンに没頭し始めた。
その間、従業員の男の一人はやれ美人だとか
歯が浮くようなことをシンとルナマリアに言っている。

アムロ(ラブホテルよりましか。二人でラーメンってのは……。
    いかんいかん、最初にラブホテルという発想はよくないな)

 シンもルナマリアも食事を終えてアムロにあいさつすると帰って行った。
待ちくたびれたアムロは出されたラーメンを一口食べて……。

アムロ「う、うまい! これは苦労に苦労を重ねた熟練の味!?」

男A「いいえ、一週間前に屋台を開店したばかりですよ」
アムロ「あれ? おかしいな」
男A「ニュータイプのアムロさんでも失敗することがあるんですね」

アムロ「……なぜ俺の名前を一言も言ってないのに知ってるんだ!?」

583 名前:通常の名無しさんの3倍 :2013/11/30(土) 13:16:41.39 ID:???
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男A「ハハハ、アムロさんにいっぱいくわせたぞ!」
男B「『いっぱい』と『ラーメン一杯』をかけてるのか?」
男A「誰もそんなことを言ってない……! 失礼しました」

 それからこの男二人組は身の上話を始めた。
ラーメンをすすりながらアムロは一部始終を聞くことにした。

男A「自分達はなかなかいいところに雇ってもらえなくてね。
   最初はニュータイプだ、なんて嘘を言ってなんとか就職しようとしても
   誰にも信用されなかったんですよ。
   その後、露天商でイヤリングやブローチなんかを売ったり
   街角でインチキ占い師等をしながら頑張って生きてきたんです。
   そうしたらね……」

アムロ「いろんな苦労を重ねてきたと。そうしたら?」
男A「たくさんの人に会って話をして気がついたらこの街のことに詳しくなってました。
   あれだけニュータイプになりたかったのに、
   いつの間にかそういう人達よりも口コミで街のことをよく知っているかもって……。
   まあそれはニュータイプのアムロさんの目の前で言うことではないですけど」

 会社員の身としてアムロは苦労したという二人組の気持ちは痛いほどわかった。
家族を路頭に迷わすことはさせたくない。
一週間前の屋台開店でもラーメンが熟練の味の様に感じるのは
二人組の苦労によるものかもしれなった。

アムロ「失礼ですがお名前は? あまりこの街では見たことのない顔のようですが」

男A「俺達の名前ですか。我らは二人で一つですよ。『赤い二連星』っていうんです」

584 名前:通常の名無しさんの3倍 :2013/11/30(土) 13:19:25.83 ID:???
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 赤い二連星! 黒い三連星に名前が似ているこの二人は確かに赤い二連星に間違いなかった。

赤い二連星A「さまざまな職業やってる間に口も少々上手くなって。これも経験です。
       もっともそれを自分で言うことでもないですが」

アムロ「そうか。赤い二連星、いたな。いた」

赤い二連星A「先ほどのお客様のシンとルナマリアが結婚したら赤い二連星の名を継いでもらわないと。
       そして俺達とチームを組んで赤い四連星!?」
アムロ「シンとルナマリアが結婚する可能性はあるが赤い二連星にはならないと思うぞ……」

 と、ちょうどアムロが食べ終わった時に客が二人入ってきた。

シャギア「ラーメン2つだ」
オルバ「僕の方はチャーシュー多めでね」

 アムロは小銭を数え代金を払うと屋台を出た。

アムロ「いやあ、今日はいいものを見たな」

 正直、ラーメン屋台はすぐにつぶれてしまうかもしれない。
しかしニュータイプにこだわらなくとも大丈夫なあの二人組ならたくましく生きていくだろう。
そう思いながら、そしてあたたかいラーメンを食べてほかほかになったお腹をさすりながら
アムロは家路についた。

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最終更新:2016年02月11日 21:04