パプティマス・シロッコ。天才と称える人がいる。ペテン師と侮蔑する人がいる。
カリスマと崇める人がいる。ただのジゴロだと断ずる人がいる。
世間的にはジュピトリス・メタル・カンパニー(JMC)の経営者として知られる。
それは世を忍ぶ仮の姿で、実は悪の秘密結社だと信じる人がいる。
彼の本質がいずれにせよ、一挙一動が注目され、大きな影響を与えている人物だというのは間違いない。

ある日彼は町のゲームセンターに現れた。普段こういう所に来る人ではない。
シロッコ「ここがゲームセンターか。…ふむ、あの席、私を呼んでいるのか」
シロッコの中の人(仕事かったるいからここで時間つぶそっと。…あの席しか空いてないじゃないか)
彼が席に着いたのはMSの対戦シミュレーターゲームだった。無論、ただのゲームなので、操作は極めてシンプルだ。
シロッコ「初めて見るタイプだが、ここで鍛えても悪くあるまい」
シロッコの中の人(やったことないのに、どうする。どうするよ俺!)
座ってちょっと後悔しているシロッコと裏腹に、周囲のざわめきは大きくなっていた。
客1「おい、MSシミュレーターの挑戦者、あれシロッコさんじゃないか?」
客2「本当だシロッコさんだ」
客3「あの人ならカミーユの野郎の50人抜きを阻止してくれるぞ」
シロッコ「ふっ。あの賢しい少年か。私のジ・オの力を見せてやる。いくぞ」
シロッコの中の人(って、49人抜きの強者にすかしてる場合じゃないって!ジ・オを使うとして、操作は…えーい、このスイッチだ!)
カミーユ「賢くて悪いか!…なにぃ?!」
対戦者席のカミーユは絶句した。ジ・オはいきなり股間の位置にある隠し腕を起動させたのだ。
シロッコ「来い、少年!貴様にはこれで十分だ!」
シロッコの中の人、略してシ中人(他にライフルとかあるはずだが、このゲームの武器の使い方知らないぞ)
客1「うおぉぉぉ!シロッコさん、いきなり股間のチ○ポサーベルで挑発だ!」
シ中人(うわあ、やっぱり隠し腕のことチ○ポだって言われてるよ。酔っ払って設計図にふざけて描いたばっかりに…)
客2「さすがシロッコさん、男の力を象徴するマシンに乗る異常性欲者なだけあって、性別も機械の体も関係なし!!」
シ中人(何でそういう話になるんだ?!いつからそういうアブノーマルな人間になってるんだ?!))
シロッコ「降参するならよし、このまま戦うなら皆の前で恥をかくことになるぞ」
客1「うおぉぉ、シロッコさん公開陵辱宣言だ!まさに悪魔!木星から来た悪魔!」
客2「俺たちにゃ言えないことをあっさり言ってのける大胆不敵さ!そこにしびれるあこがれるぅ!」
他の熱狂した客「悪魔!悪魔!悪魔!JMCの魔王!」
シ中人、さらに略して沖人(しつこいよお前ら)
カミーユ「お前ら黙れぇぇぇー!!」
カミーユは周囲の熱狂的なシロッコの称え方に激高した。彼らに殴りかかりたくなる衝動さえ吹き上がってきたが、
今この対戦シミュレーターでシロッコを倒せば済むことだとその衝動を抑えて、シロッコのジ・オに猛攻撃を仕掛けた。

怒りで我を見失ったカミーユはシロッコの敵ではなかった。
本当はゲームは素人のシロッコの「チ○ポサーベル」に翻弄され、2度3度とみじめに逝かされ、カミーユは真っ白に燃え尽きた。
カミーユ「ふ、ふふ、大きな星が点いたり消えたり…彗星かな?いや彗星ならもっとブァーッと…」
シロッコ「ふっ、これだけ恥をかけば、私に逆らおうとは思うまい」
沖人(うわあ、負けるつもりだったのに勝っちゃった。どうしよう)
熱狂する客たちに囲まれながら、シロッコの中の人(略して沖人)は思わぬ勝利とその騒ぎの収拾に頭を抱え込んだ。

956 名前:ジュピトリス・メタル・カンパニー(JMC)2/2投稿日:2006/08/06(日) 21:48:20 ID:???
ゲームセンターでの騒ぎの翌日のジュピトリス・メタル・カンパニー(JMC)本社。
社長室に男がいる。パプティマス・シロッコだ。
しかし皆が知るパプティマス・シロッコではなかった。顔立ちも紫色の髪も変わらないが、その紫色の髪は短く、特徴的な輪を頭にはめていない。
何より違うのは、周囲を圧倒するオーラがひとかけらも感じられないことだった。
どう見ても社長をやっている男ではなく、むしろ市役所の窓口でやる気のない表情で座っていそうな雰囲気だ。
しかし、これが本当のパプティマス・シロッコ。いわゆる中の人。天才にもカリスマにもペテン師にもジゴロにもなれない普通の男がその正体だ。

沖人「ああ、みんなの期待する目が怖いよ。人類の未来を変えるとか世界を支配するとか、俺はそんな立派な人間なわけないのに…」

頭を抱えるシロッコの中の人(略して沖人)。しかし冷静な秘書の声が会議の開始時間を告げた。行かねばならない。
シロッコはトレードマークの輪っか、木星で発見された未知の物質で作られた輪を頭にはめた。
紫の髪が肩まで伸び、目つきは鋭さを増す。カリスマ性を感じさせるオーラを背負ったおなじみの姿だ。
シロッコ「では、俗人たちに教育してやるか。ふははは」

(おしまい)


デトロイト・メタル・シティのパロディっぽくしたかったがうまくいかないorz


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最終更新:2019年03月18日 21:26